ウルトラマンエターナル 〜神聖時間軸の守護神〜 作:マーベルウルトラ
天才科学者が寝食を惜しんで追い詰める、世界のタイムラインの裏側。
そこで暴き出される、時代を越えた不滅の足跡――。
次なる因果の歯車をどうぞお楽しみください。
激動のニューヨーク決戦、そしてあのアラビア料理店でのささやかな食事会から数日が経った、スタークタワーの最上階 。
天才科学者トニー・スタークは、数日間にわたり寝食を惜しんでホログラムモニターに向かい、血眼になって世界中のあらゆる極秘データベースをハッキングし、解析を続けていた 。
「……スターク、少しは休んだらどうだ。真中くんのお守りのおかげで僕の心は驚くほど穏やかだが、君のバイタルの方が先に限界を迎えそうだ」
日常のよれたシャツを着たブルース・バナーが、心配そうにコーヒーカップを片手にトニーのラボへと入ってくる 。
トニーは目の下のクマを擦りながら、ギラギラとした技術者としての執念の瞳でニヤリと不敵に笑い、空間の透過モニターをバナーの前へとスライドさせた 。
モニターから放たれるまばゆい青い透過光が、トニーの寝不足の瞳を妖しく照らし出す 。
「休んでいる暇なんてないさ、バナー。……これを見てくれ。ジャーヴィスと私の執念が、世界中に残されていた『あの少年の足跡』を、ついに数箇所ほどハッキングでこじ開けたんだ」
画面に映し出されたのは、数十年も前のものと思われる、ひどく画質の粗い古いデジタル映像や防犯カメラのデータだった 。
トニーが画面をピンポイントで拡大すると、バナー博士は驚愕のあまり持っていたコーヒーカップを落としそうになり、その理知的な瞳を限界まで見開いた 。
「これは……まさか、真中くんなのか……!?」
「ああ。1992年のオークランドの古い監視カメラの記録、そしてさらに古い1985年から1988年にかけてのミズーリ州のいくつかの防犯カメラの映像だ。
画質は最悪だが、あの特徴的な『漆黒の服』を纏った、彼としか思えない青年がはっきりと写り込んでいる。……だが、それだけじゃないぞ、バナー」
トニーは不敵に笑みを深め、虚空に数千画面もの膨大な映像ウィンドウを一斉に大展開させてみせた 。
圧倒的な大質量のデータが並び、次々と少年の足跡がこれ程あったのだと見せられていく光景は、戦慄を覚えさせるに十分だった 。
「さらに深く洗ってみたんだが、この地球上の、歴史的に重要な事件や大きな災害が起きた世界のあらゆる場所の監視カメラにも、これと全く同じ特徴を持った『漆黒の服の青年』が、まるで時代を置き去りにしたかのように何度も何度も映り込んでいるんだ。そして極めつけはこれだ」
トニーがキーを叩くと、それぞれの映像の「青年の顔の部分」だけがクローズアップされる 。
そこには、数日前のニューヨークの生中継で世界中を震撼させたあの映像と、全く同じ不可解な現象が起きていた 。
すべてのカメラレンズが、まるで少年の持つ力に耐えかねて全自動の映像バグを起こしたかのように、彼の顔の部分だけが激しいデジタルノイズでブレて写っていたのだ 。
「見た目はただのピチピチの少年なんだがな。……バナー、あの日、オーディンがソーに語っていたという、数千年前から幾度となくこの星を裏から救っているという伝説の友人の記述……あれは、本物だ。何千年も前から、あの少年は漆黒の服を大切に着続けて、たった一人で世界中の人々を護り続けてきたんだよ」
「……世界中に遺された、歴史の証明か」
バナーは透過モニターの光を見つめたまま、驚愕が収まらない様子で深く息を吐き出した 。
「彼が何千年も前からこの星を救ってきた守護神だという証拠を、君の科学が力ずくで証明してしまったわけだね」
「ああ。だが、ただ驚いて終わりにするつもりはないさ、バナー」
トニーはギラリと不敵に瞳を輝かせ、バナーの胸元をまっすぐに見据えた
「あの後、あの少年が君に手渡したという、その『光のお守り』……少年のエネルギーの塊を、私に少しだけ解析させてくれないか? 彼の持つとてつもないエネルギーの波長を直接スキャンできれば、何かとてつもない地球防衛のヒントが掴めるはずだ」
バナーは一瞬、戸惑うように自分の胸元のお守りに手を当てた 。
しかし、トニーの瞳の奥にある「誰も死なせないようにこの世界を守り抜きたい」という、一途な防衛の思いを理解し、やれやれと肩をすくめた
「……分かったよ。ただし、本当に大切に扱ってくれ。
このぬくもりはハルクを暴走させづらくして、彼の寂しい怒りの心をいつでも優しく落ち着けるようになっていて、本当にかけがえのない大切な宝物なんだ。傷つけるような真似はやめてくれ」
「分かっているさ。精密機械を扱うように、最大級の敬意を払ってスキャンする」
トニーはお守りを慎重に受け取ると、スタークタワーが誇る最先端の分子スキャン装置へとセットした 。
――ピー、ビ、ビビビビビッ……システムエラー(測定不能)!!!!
装置を起動したその瞬間、ラボ内のすべてのモニターが激しいアラートを上げて赤色に染まった 。
真中の放つ多次元宇宙の創生波動は、地球の最先端科学の測定限界をはるかに超越していたのだ 。
「エラーだと!? 構うな、もう一度だ! 再試行(トライ)しろ!!」
「トニー様、これ以上の高負荷なスキャンを繰り返すのは、システムデータそのものの破損を招く恐れがあります」
人工知能ジャーヴィスが冷静に警告するが、天才科学者の執念は止まらない
「まだだ、諦めるなジャーヴィス! 波長を変更して三度目のトライだ! システムが焼き切れるのが先か、エネルギーを掴むのが先か、勝負をかけよう!」
バチバチと激しい火花を散らし、スキャナーがオーバーヒートで白煙を上げそうになる中、過酷なスキャンの高周波が何度も、何度も、強烈な外からの物理的刺激として『光のお守り』へと与え続けられた 。
真中のエネルギーを己の科学で力ずくでコピーしようとする、トニーの狂おしいまでの執念のトライが繰り返される 。
そしてシステムが完全に焼き切れる寸前、トニーの凄まじい執念の試行が実を結び、その膨大な因子の海の中から、たった“一つ”のエネルギー波長を奇跡的にキャッチすることに成功したのだ !
「キャッチしました、トニー様。……素晴らしい、まるで宇宙そのものが呼吸しているかのような、極めて知的で美しいエネルギー因子です」
「ああ……私の胸のアーク・リアクターの熱量すら、これに比べればただのマッチの火に過ぎん。この高次元の調和の波形……これこそが、私がずっと夢見ていた完璧なエネルギーだ」
トニーはその未知の白金色の波形に、魅了されたように瞳をギラつかせた 。
トニーが荒い息を吐きながらスキャナーからお守りを丁重に取り出し、バナーへとそっと返却した 。
それを見ていたバナーは、メインフレームに保存された未知の美しい波長を見つめ、真剣な顔で静かにトニーへ釘を刺した 。
「スターク……このエネルギーはハルクをも癒した『彼の力』だ。僕たちが気軽に科学の都合でコントロールして、便利に使っていいものではないと思う」
トニーはマーク7のヘルメットを弄びながら、不敵に、けれどどこまでも真剣な顔でニヤリと笑ってみせた
「悪用はしないさ、バナー。ただ、あの日宇宙の虚空から迫ってきたような最悪の脅威が現れた時、この地球を完全に防衛するために……この偉大な光を『有効活用』するだけだ」
「やれやれ、君のその防衛の執念には敵わないな」
バナーは仕方が無いと苦笑し、手元に戻ってきたお守りのぬくもりにハルクの心を優しく落ち着かせてもらいながら、
「ただし、暴走しないように僕が横でしっかりブレーキを踏むからね」とトニーの肩を叩き、二人でその未知のエネルギーの研究を進めていくことを決意するのだった 。
しかし――彼らがラボを去り、静寂が戻ったメインフレームの奥底で、二大天才科学者の頭脳を以てしても完全に想定から外れている事象が起きていた 。
トニーが執念のトライによって何度も外からの刺激を与え、解析を行っていたはずの「一つのエネルギー因子」 。
その光の波長の奥底、地球の科学の刺激によって呼び起こされた不気味な『影』が、二人のあずかり知らぬところで、まるで自らの意志を持った生命の如く、少しずつ、少しずつ、冷徹な防衛の波長へと不気味な自己進化を始めていたのだ 。
透過モニターの片隅で、ジャーヴィスの演算波形が一瞬だけ黒い球体状に歪み、まるで少年のあの気高い掛け声を逆再生したかのような、冷たい電子の産声を小さく、不気味に響かせる 。
それが、この地球の未来にさらなる巨大な『平和の防衛という名の激動』をもたらすことになるとは、現在のトニーもバナーも、まだ知る由もなかった―― 。
第11話をお読みいただき、本当にありがとうございました!
ニューヨーク地上決戦の裏側で、天才トニー・スタークの執念と科学の英知が手繰り寄せた『未知のエネルギー』を描かせていただきました。
彼が突き止めた歴史の証明、そして静まり返ったラボの奥底で響いた小さな残響の正体を、ぜひ色々と想像しながら楽しんでいただければ幸いです!
あと数話ほどの後日談を投稿します。どうぞお楽しみに!