ウルトラマンエターナル 〜神聖時間軸の守護神〜 作:マーベルウルトラ
激動のニューヨーク決戦を終え、一時的に借りていた服を返却するためにカマー・タージへと帰還した真中優斗。
そこで静かに交わされる至高の魔術師との対話、そして紡がれていく次なる因果の歯車。
フェーズ1を締めくくる、神話の答え合わせをどうぞお楽しみください!
アベンジャーズとの共闘、ニューヨーク地上決戦のすべてを終えた真中優斗は、神々から手渡された『漆黒の戦闘服』をその身に纏い、空間跳躍の火花と共にカマー・タージの広場へとぬるりといつもの姿で帰還した 。
その腕には、ニューヨーク決戦で一時的に借り受けていたカマー・タージの白銀の魔術衣が綺麗に畳まれて大切に持たれており、その横にはバナー博士から預かった髪の毛の細胞因子が静かにホールドされていた 。
真中優斗はいつものように気さくな笑顔を浮かべていたが、その瞬間のカマー・タージの空気は、一瞬にして張り詰めたような絶対の静寂へと変わった 。
「あ、あの御方が……本物の光の守護神が、お戻りになられた……っ!!」
広場に集まっていたカマー・タージの魔術師たちは、ニューヨークの空に溶けていったあの黄金のウルトラサイン――三位一体の神ヴィシャンティが『対等の友』として認め、永遠の敬意を捧げた不滅の特異点の印をその目で目撃してから、完全に真中優斗への絶対的な畏怖の念を抱いていたのだ 。
この気さくさ、等身大の穏やかさこそが、底の知れない本物の絶対神の証明。
広場全体が一斉に美しく波打ち、全魔術師たちが畏れ多さのあまりガタガタと全身を戦慄させ、息を呑んで一斉にその場に深く平伏し、魂の底からの最敬礼を捧げていく 。
その全魔術師たちの最前列にいたウォンとモルドもまた、未だかつてないほどの凄まじい緊張感で背筋を極限まで正していた 。
優斗がいつも通り「こんにちは! 無事にニューヨークを守ってきました! 皆さんもお疲れ様でした。皆さんのお陰で多くの人を助けられました」と笑顔で近づいてくるその気さくさに、二人は余計に恐縮し、息も絶え絶えになりながら深く深く頭を下げた 。
「は、はっ……! 我がカマー・タージの全魔術師を代表し、光の守護神の無事のご帰還に、心より最大級の敬意と感謝を捧げます……!!」
ウォンがガタガタと声を震わせながら畏まる中、その張り詰めた緊張の檻を解くように、一歩前へと進み出たのは至高の魔術師エンシェント・ワンであっ。
エンシェント・ワンはいつも通り、扇子をパッと優雅に扇ぎながら、どこまでも自然体で温かい微笑みを真中優斗へと向けた。
「お帰りなさい、真中優斗。アガモットの目を以てしても、あなたの未来のタイムラインだけは神聖な白光に遮られて一秒先すら視ることは出来ませんでしたが……。彼――ブルース・バナーの未来を視た瞬間に、すべてを理解しましたよ」
真中優斗が不思議そうに首を傾げると、エンシェント・ワンはフフと嬉しそうに笑った 。
「決戦の前、バナー博士の未来のタイムラインを覗いた際、彼はなぜかハルクの変身にも絶対に破れない強固な、見たこともない新しい魔術衣を纏って穏やかに笑っていたのです 。
私の目では理由が分からなかったけれど、あなたが今、その手にバナー博士の髪の毛を大切に持って帰ってきた姿を見て、ようやく謎が解けました 。……彼のために、これから新しい服を仕立てるのでしょう? さあ、中へ入ってください」
カマー・タージの最も神聖なる錬成の座へと場所を移し、バナー博士から預かった髪の毛の細胞因子を、エンシェント・ワンが朱色の魔術の火花で包み込んでいく 。
ハルクの強大な質量膨張にも完璧に追従する幾何学数式が組み立てられ、特殊な魔術の繊維へと滑らかに織り上がっていく中、真中優斗はその繊維へとそっと両手をかざした 。
「僕の光のエネルギーも、この服にたっぷり込めておきますね。バナーさんもハルクも、二人ともあったかい気持ちになれるように!」
真中優斗の気高い両手から溢れ出た緋色と白銀の創生エネルギーが、魔術の繊維へと優しく注ぎ込まれていく 。
その絶対の光に触れた瞬間、カマー・タージの朱色の幾何学数式の数々が、まばゆい白金色の粒子となって滑らかに服の裏地へと吸い込まれていった。
繊維の一針ずつに不滅の加護が物理的に刻み込まれていく美しく神秘的な光景に、横で大真面目に手を貸していたウォンやモルドたちは、恐れ多さと感動のあまり息を呑んでカマータージの魔術師としての背筋を震わせるしかなかった 。
やがて、一着の無色にして内側にまばゆい光の粒子を宿した、至高の防衛魔術衣(バナー専用服)が完成を迎える 。
真中優斗がほっと胸を撫でおろすと、エンシェント・ワンはいつも通り優雅に扇子を揺らしながら穏やかに告げた 。
「素晴らしい服が仕上がりましたね、真中優斗。……ですが、この服へあなたの光と我がカマー・タージの防衛式を完全に融け合わせ、力を定着させるために、少しだけ時間をください」
「はい、お願いします! それに、ここで力を定着させたら、僕がよく行っている『とある星の友人たち』のところへも持って行って頼んでみるよ 。
このバナーさんの服に、彼らにも、もっとたくさんの加護を重ねて込めてもらうよ!」
真中優斗が最高の笑顔でそう告げると、エンシェント・ワンは「それは彼にとって、これ以上ない不滅の守りになりますね」と優しく目を細め微笑んだ 。
それから、用意された温かいお茶を飲みながら、ニューヨークでのハルクの活躍やアベンジャーズの戦士たちについて、真中優斗たちは温かく穏やかに談笑の時間を過ごした 。
バナー博士を救えた喜びを等身大の少年らしく楽しげに語る真中優斗の姿を、エンシェント・ワンは慈愛に満ちた眼差しで見つめていたが、ふと、その手をパッと扇子で隠して温かく微笑んだ 。
「定着までの間、……久しぶりに会っていきますか?」
バナーの新しい服は、そのうちにバナーに直接手渡すために一度大切にしまわれる 。
そして、カマー・タージの白銀の魔術衣を手に、真中優斗はそれをエンシェント・ワンへと返そうとした 。
「エンシェント・ワン、ありがとうございました! 借りていたこの服をお返ししますね!」
だが、その魔術衣を受け取ろうとせず、エンシェント・ワンは胸元に輝く『アガモットの目』にそっと手を触れた 。
彼女の視線の先には、アガモットの目が紡ぎ出す『もう一つの決定された救済の未来』がハッキリと映し出されていた 。
エンシェント・ワンはいつも通りの温かい微笑みを浮かべたまま、優しく首を振って真中優斗の手を押し戻した 。
「いいえ、真中優斗。この服は、あなたがそのまま手元に持っていなさい」
「ええっ? 僕が持っていていいんですか? カマー・タージの服なのに……?」
真中優斗がきょとんと首を傾げると、エンシェント・ワンは未来の希望を見据えるように声を潜めた 。
「ええ。近い未来、あなたが歩む旅路の先で、この偉大な光の加護を魂の底から必要とする、大いなる『混沌の運命に震える者』に必ず出会うはずです。……これが役に立つ時が来るでしょう。その時まで、あなたが大切に保管しておいてください」
「そっか! それなら、これからさっき言った『とある星の友人たち』にバナーさんの服の加護を重ねてもらいに行くから、その時にこの服にももっとたくさん強い光の加護を重ねて込めてもらうために、僕が一緒に預かっておくね! それに――」
―― 地球から遙か彼方。
姿や詳細な光景は一切伏せられたまま、その光の向こうから、真中優斗が旅の途中で仲良くしている『とある星』の、かけがえのない同志たちの気高き声が優しくカマータージに響き渡る 。
『我が同志ウルトラマンよ。私たちはクリー帝国を抑えるために戦いに行く。その間、任務を頼めるか?』
「任せてやっておくよ」
さらに、その通信に混ざるようにして、真中優斗の大切な少女の声が、どこか楽しげなぬくもりを伴って胸に愛らしく届いた 。
『あの子たちが、早く特訓したいと言ってたわ。私もやりたいわ』
未来を夢見て、「優斗に格好いいところを見せたいね」「とっくんやる!」と、あの子達と一緒に健気に、楽しげに笑い合っている小さな息遣いとぬくもりの気配 。
その愛おしいあの子たちの言葉を胸の奥で確かに受け止めたかのように、跳躍していった優斗の光の軌跡から、これ以上ないほど等身大の温かい、最高のスマイルに満ちた声が優しく、不滅の約束を交わすように響き渡るのだった 。
「分かったよ。任務が終わったらそっちに行くね。それまで頼んだよ、ライラ」
真中優斗は等身大の爽やかな最高の笑顔を浮かべ、エンシェント・ワンを見つめた 。
「僕も新しい任務ができたから、行ってくるよ! エンシェント・ワン、またね!」
「ええ。行ってらっしゃい、真中優斗」
エンシェント・ワンが温かく見送るなか、真中優斗がいよいよカマー・タージから次の旅路へと向かおうとしたその時、彼女はふと彼の腰元へ視線を落とし、それとなく尋ねた 。
「そういえば真中優斗、旅に出る時に父親から貰った『サークルアームズ』を持っていませんね?」
真中優斗は窓の向こうの遙か彼方の空を見つめて静かに答えた 。
「うん。星のエネルギーを、僕がいない間も優しく抑えておくために、あそこに置いてきたんだ。……そろそろ『あの計画』が実行できそうだよ」
「……なるほど。光の神器それ自体を結界の核として遺すことで、主(あなた)が不在の間も、あの星の歪んだエネルギーを優しく調和し続けているのですね。」
エンシェント・ワンはその深遠な計画のスケールに、至高の魔術師として深く敬服するように目を細めた 。
そう言って、未来へ向けた大いなる因果をサラリと残し、真中優斗はマゼンタピンクの誘導線を大爆発させて爽やかに大空へと跳躍していった 。
トニー・スタークの科学すら及ばない、遥か歴史の深淵 。超テクノロジーの結晶である鉱山の最深部の洞窟や、 世界の裂け目の向こう側で異次元の神獣たちが息づく動く竹林の結界の核にも――かつて優斗が放浪の時代に遺してきたあの不滅の黄金のサインは、今も変わらずに優しく、温かく灯り続けている 。
平伏から立ち上がったウォンやモルドたちが、その去りゆく光の軌跡を畏敬の念で見上げる中、今日も人々を笑顔にするため、優斗は誘導線を放ちながら宇宙を飛んでいく 。
第12話をお読みいただき、ありがとうございました!
ニューヨーク地上決戦のその後、カマー・タージの広場で交わされた至高の対話を描かせていただきました。
父親から受け継いだ神器の行方、そして優斗の手元に残された白銀の魔術衣が紡ぎ出す温かい未来を、ぜひ色々と想像しながら楽しんでいただければ幸いです!
これにてアベンジャーズ第1作目にまつわる幕間は一区切りとなります。
あと1話ほどコンパクトな総括エピソードを挟み、次なる新章(フェーズ2)へと本格始動していきます。どうぞお楽しみに!