ウルトラマンエターナル 〜神聖時間軸の守護神〜 作:マーベルウルトラ
本日より、ついに第二期(フェーズ2)へと突入いたします!
激動の決戦から数ヶ月。九つの世界の調和のために転戦するソーと、アスガルドの家族たちの日常。
かつて光の守護神が遺していったぬくもりが、彼らの間に今も優しく息づく新章の幕開けをどうぞお楽しみください!
第14話響き渡る新章のプレリュード
激動のニューヨーク決戦から時は流れ、九つの世界が数千年に一度の激動を迎えようとしていた頃 。
アスガルドの王宮の地下、白く清潔な魔法の檻のなかで、ロキは静かに本を捲りながら日常の時間を過ごしていた 。
かつて孤独と嫉妬に狂い、冷たい怒りの炎を燃やしていた彼の前に、コツコツと優しい足音を響かせて、温かい湯気を立てる大皿の手料理と数冊の古い魔術書を両手に抱えた王妃フリッガが、柔らかい微笑みを浮かべて自ら直接訪れる 。
その時、フリッガの胸元で、ぽつりと白金色の優しくも絶対的な調和の光を放っている一つの『お守り』があった 。
それを見たロキは、ニューヨーク決戦で世界中を震撼させ、自らを恐怖の底へと落としたあの光の巨神の、忘れもしない圧倒的な波長を敏感に察知し、僅かに目を細めて静かに言葉を漏らした 。
「母上それは……奴のものですか?」
フリッガはお守りに手を触れ、優しく微笑みながらロキを見つめた 。
「ええ。真中さんが光の力をこのお守りに込めてくれたものよ、私たちを護るためのものと渡してくれましたよ、ロキ」
「……フン、奴の過保護さには閉口するよ」
ロキは不器用な皮肉を口にして少しだけ気恥ずかしそうに視線を逸らしながらも、フリッガが綺麗に並べてくれた温かいご飯をモグモグと嬉しそうに口に運んだ 。
肉や野菜が優しく煮込まれたアスガルドの家庭の味――
その温かいスープの湯気を視界の端に捉えた瞬間、冷たい檻を溶かすような温かいスープの熱が、母のぬくもりとともにロキの頑なだった心の雪解けをさらに深く、深く進めていき、二人は穏やかな談笑の時間を魂の底から愛おしむように噛み締めるのだった 。
――場面は切り替わり、混乱に陥っていた九つの世界の最前線 。
すべてを見通すヘイムダルの燃えるような金色の双眸の奥には、遙かビフレストの彼方で繰り広げられる、アスガルドの王子の圧倒的な武勇が万華鏡のような美しい雷光の軌跡として鮮烈に映り込んでいた 。
ヘイムダルが「主神よ、王子は真の王へと成長されました」と王宮へ報告を送るなか、雷神ソーは戦鎚ムジョルニアを片手に、全戦線を縦横無尽に転戦していた 。
ムジョルニアを全力で振り抜けば、青白い雷光が天空を真っ二つに割り、大地を穿つ咆哮とともに大気そのものが激しく引き裂かれる 。
次々と襲い来る暴徒たちをその圧倒的な戦闘スケールで完膚なきまでに圧倒し、ソーはついに九つの世界に絶対の平和と調和を取り戻してみせたのだ 。
アスガルドをも震わせる嵐のあとに、一人の戦士としての気高き風格を得たソー。
誇らしくアスガルドの王宮へと凱旋したソーの成長を、主神オーディンは深く、深く満足そうに見つめていた 。
偉大なる黄金の王座の前に立つ我が子を見据え、オーディンは重々しくも、どこか父親としての誇らしさを隠しきれない口調で問いかける 。
「見事な武勇だ、ソー。混乱を平定し、九つの世界に再び日常を連れ戻した。……お前こそが、次なるアスガルドを統べるにふさわしい真の王だ。どうだ、王位を継ぐ気は固まったか?」
しかし、アベンジャーズ決戦を経て、一人の戦士として、そして家族の一員としてより知恵や力を得たソーは、不敵に笑いながらも、純粋な息子としての瞳でオーディンを見上げた 。
「身に余る光栄です、父上。ですが……私よりも圧倒的な実力とカリスマを持つ、あの『姉上』をおいて、私に先に王位を継ぐわけにはいきません。姉上は、王位を継ぐ気はないのですか?」
その純粋な息子の問いかけに、オーディンは呆れたようにパッと手元のグングニルを軽く揺らし、フッと髭を震わせた。
「ヘラか。あ奴は昔から、そんな世俗の王位という権力には1ミリも興味を持たん奴だ。先日も冥界からぬるっと帰ってきたかと思えば、王宮の厨房の肉を美味そうに平らげて、そのまま風のように去っていったからな。
今頃も、自分の領地である冥界ヘルヘイムにのんびりと籠もっておるか、あるいは気が向いた時にだけアスガルドに顔を出しに来るか、ただ自分のやりたいようにしておる。あ奴の自由奔放さには、私を以てしても敵わん」
ソーはヘラの自由奔放さに「相変わらず姉上らしい」と温かく苦笑したが 、ふと、その逞しい眉を僅かに曇らせ、遠いミッドガルドの空を想うように、一人の男としての切ない葛藤を静かに口にした 。
「父上、もう一つ、王位の前に……私の胸を締め付ける躊躇いがあるのです。九つの世界が平定された今、私はすぐにでも地球へ赴き、最愛のジェーン・フォスターの元へ駆けつけたい。
……だが、アスガルドの王位を継ぐべき男としての重責、そして以前の決戦で彼女を過酷な戦火に巻き込んでしまったことを思うと、彼女をこれ以上アスガルドの宿命に近づけて良いものか、どうしても指先が躊躇ってしまうのです」
その一途な息子の恋煩いと深い情緒の成長に、オーディンは厳格な王の顔を和らげ王としてではなく父としての顔をした。
その瞬間、優斗の光の加護が深く織り込まれたオーディンの黄金の鎧が、ソーの一途な愛に呼応するかのように、白金色の微光となってスッ……と静かに美しく共鳴して波打った 。
主神は己の鎧へとそっと手を触れて、至高の王としての深遠な風格をその双眸に宿しながら深く静かに笑った 。
「……かつて、我が不滅の友であるあの真中優斗も語っていた。愛する者たちの笑顔を蔑ろにする者に、世界や大切な国を護る資格など最初からない、とな。
あ奴は我が父ボーの時代から、このアスガルドの危機を何度も救ってくれた。我が父ボーも、あ奴の前では一人の無骨な友に過ぎんかったのだよ。
王位の重圧などより、目の前の日常の笑顔を護る方が遥かに難しいと、私に、そして我が父に教えてくれたのはあの少年なのだ。
ソーよ、お前のその躊躇いは昔の様な傲慢ではなく、その娘への純粋な愛と不屈の優しさだ。
ただ王位を継ぐことよりも、一人の男として愛を護ることの方が遥かに気高い。会いに行きたいのなら、行ってくるが良い。王位など、その後でもいい」
オーディンは息子の逞しい肩をがっしりと掴み、父親としての深い包容力で背中を押した 。
ソーは父親の温かいアドバイスに深く胸を打たれ、親子の間に流れるアスガルドの温かい絆のぬくもりを、噛み締めるのだった 。
第14話をお読みいただき、本当にありがとうございました!
第二期最初の幕開けは、優斗の登場の前に、彼が護り抜いた『アスガルドの家族のぬくもり』をじっくりと描かせていただきました。
不器用ながらも母のご飯を食べるロキ、そして最愛の人のために躊躇うソーの成長を、ぜひ色々と想像しながら楽しんでいただければ幸いです!
次回からは、いよいよ宇宙の歪みが動き出す『ダーク・ワールド』の本格的な歯車が回り始めます。どうぞお楽しみに!