ウルトラマンエターナル 〜神聖時間軸の守護神〜 作:マーベルウルトラ
宇宙の闇の奥底から完全覚醒を果たした宿敵マレキス 。
5000年前の因縁が現代のタイムラインへと最悪を撒き散らし、アスガルド王宮へと未曾有の危機が迫り来る―― 。
それぞれが大切な人々を護るために形振り構わず立ち上がる、どうぞお楽しみください!
遙か宇宙の闇の奥底、数千年の封印の眠りから完全覚醒を果たしたダーク・エルフの宇宙船のなかで、長マレキスは、船の奥底に保管し続けていた最凶の暗黒物質の遺物を取り出した 。
それこそが、5000年前の超古代の戦場にて、完璧に輝いていた白銀の刺繍のジャケットを纏う真中優斗への最深の憎悪をマレキスが滾らせた結果、優斗のエタニティコアのエネルギーと最悪の共鳴を起こし、より強大で手の付けられない全自動の破壊の力へと変貌を遂げていた、超高密度の暗黒物質の塊であった 。
その一部をマレキスは、骨肉をメリメリと破砕する凄まじい衝撃音を響かせるその最凶の塊を、忠臣アルグリムの肉体へと直接埋め込んだ 。
「アルグリムよ……。ボーや、ウルトラマンがそこまでして守りたがった、奴らの愛する星や人々を……我らが数千年の怨念を以て、ただの塵一つ、影一つ残さず根こそぎ滅ぼしてくれよう……っ!!!」
その絶対的な滅びの呪詛に呼応するように、アルグリムの脳裏には5000年前の優斗のコアのエネルギーと共鳴した時の赤黒い物質が直接雪崩れ込み、かつての記憶や理性がジュウジュウと焼き尽くされていった 。
まともな思考や理性は正常に働かなくなり、ただ『ウルトラマンへの復讐』と『アスガルドの破壊』というマレキスの命令だけを遂行する、狂ったおぞましき生体兵器──禁忌の特攻兵器『カース』の誕生であった 。
だが、5000年前の共鳴のままの凄まじい出力ゆえ、アルグリムの強靭な肉体であってもその器が過負荷には耐えきれず、全身の皮膚や筋肉がまるで高熱のドロドロとした溶岩のように赤黒い暗黒物質となって融け崩れ
戦えば戦うほど肉体が崩壊して最終的には必ず死に至るという悍ましき宿命を宿し、カースの全身の傷口はより不気味に、ドス黒く烈光を放って共鳴していた 。
死を覚悟したアルグリムは地下牢の番人の一人に化けると、アスガルドの警戒を掻いかいくぐり、地下牢の檻の中へと密かに潜入を果たした 。
その頃、アスガルドの地下牢では、清潔な檻に佇みながら静かに本を読んでいたロキが、突如として魔術の直感を介し、ダイレクトに響いてきた異様な気配に眉をひそめた 。
それは、昨日父上と母上の魔術の奥底で感じたあのエーテルの残響でありながら、器がその出力に耐えきれずドロドロに融けかけている、真中優斗の光とは真逆の圧倒的に冷徹で狂った波長であった 。
ロキは静かに手元の本を開いたまま、不敵に、けれどどこか寂しげに目を細めてぽつりと呟いた 。
「……哀れな奴だ。憎悪の駒として脳まで狂わされ、肉体を融かされている。ただの捨て駒だ」
その直後であった 。
ムジョルニアの雷光とともに、大気圏を力ずくで引き裂く爆速で地下牢へと大突入したソーの眼前に広がっていたのは、全結界をハッキングされて解き放たれた囚人や異形の怪物たちが牙を剥いて暴れ回り、アスガルドの衛兵たちが血を流して倒れている阿鼻叫喚の惨状であった 。
そしてその大混乱の中心で、圧倒的な怪力を以て防衛兵たちをゴミ切れのように掴んでは投げ飛ばし、暴虐の限りを尽くしている巨大な影──アルグリムの姿を、ソーの双眸がガチッと捉えた 。
「おのれ、アスガルドをこれ以上荒らすことは絶対に許さん……っ!!」
怒髪天を突いたソーが吠え、ムジョルニアを最大出力で振り抜いて青白い烈烈たる大雷撃をその脳天へと叩き込む 。
しかし、アルグリムは5000年前の優斗のコアの力と共鳴した時の凄まじい力をそのまま宿しているため、なんとソーの放った必殺の雷光を、ドロドロに融けかけた赤黒い腕で力ずくでパシィィィン……と火花を散らしながら完全に弾き飛ばしたのだ !
そのままアルグリムのドロドロに融けかけた赤黒い拳が、ソーのムジョルニアの柄をギチギチと軋ませ、空間そのものをメリメリと歪ませるせバリバリと撒き散らしながら、ソーの強靭な肉体を力ずくで圧殺せんばかりに真っ正面から力ずくで押し込みに押し込んでいく 。
(バカな……っ!? この力、この圧倒的なまでの腕力(パワー)だけならば……あの真中優斗の、あの等身大の『人間体』の状態の力をすら上回っているというのか……っ!?)
ソーがかつてない強敵の異次元のパワーに驚愕し、足元がメリメリと床の装甲を爆砕して押し込まれそうになった、まさにその絶体絶命の時 。
その凄まじい激突のを見つめていたロキが、不敵にニヤつきながらいつも通りの煽り文句を投げかけてきた 。
「兄上、そのような相手にも勝てないのですか? その様では私が王座を頂きます」
「黙ってそこで見ていろ! 俺が倒す!」
ソーがカチンときて、いつもの兄弟のじゃれ合いをしてきたロキに熱い大咆哮を返す 。
その瞬間、ロキは端正な顔のニヤつきをフッと消し、後ろに組んだ長くて白い指先が、流れるような美しい残像を伴って極小の緑色の魔法陣を編み上げた 。
それはアスガルドの一般の兵士はおろか、野生の直感で戦うソーすらも絶対に気付かないほどの、極小にして極限まで精密な重力軽減の隠密魔術であった 。
アルグリムの放つ狂った破壊力の『力の芯(ベクトル)』へとロキの精密なルーン魔術が滑らかに干渉し、その直撃の軌道をスッ……と数ミリだけズラしたことで、ソーの足場に奇跡的な踏みとどまる反撃のスペースが生まれる 。
──その時、王宮全体の防衛魔術基盤を掌握する上層の医療室 。
ジェーンを包む結界を維持していた主神オーディンと王妃フリッガの二人は、地下から王宮のルーンを伝って響いてくる、あの極めて精密で優しい緑色の魔術の微細な揺らぎを、完璧にその身で探知していた 。
フリッガがジェーンを包む光の防衛回路から伝わるかすかな波長に「あっ……」と小さく息を呑んで胸元のお守りを優しく持ち、その視線の意図を瞬時に汲み取ったオーディンが、グングニルから伝わるルーンの共鳴を隻眼に映しながら重々しく頷く 。
かつて孤独と嫉妬に深く歪んでいたあの子が、家族のぬくもりを経て、今こうして当たり前のように兄の背中を支えているという真実への、言葉にならない親としての最深の安堵と歓喜 。
二人は静かに顔を見合わせると、親として、胸の奥から込み上げる愛おしさと喜びを噛み締めるように、心の底から温かい大満足の笑顔を優しく交わし合うのだった 。
そんな両親の深い喜びの視線が注がれているとは露知らず、弟の放った極上のアシストをその身に受け(ソー自身は己の闘志だけで耐えきったと思い込んでいるが!)、完璧な反撃の足場を得たソーの闘志が何倍にも跳ね上がる !
「うおおおぉぉぉっ!!!」
ソーはムジョルニアの回転速度を極限まで引き上げ、アスガルドの全大気中の青白い雷光をその戦鎚へと一気に集束させた 。
「貴様の思い通りには絶対させん!!!」
不退転の叫びとともに、ソーが全身全霊の底力で放ったアッパーの如き超雷撃の一撃が、カースの胴体を真っ正面から完全にブチ抜いた !
──ズガァァァァァンッ!!!
ムジョルニアに集束したアスガルド全体の全大気の雷光がバリバリと空間を焼き尽くし、アッパーの雷撃が直撃した瞬間、カースの巨体は弾丸の如き速度で打ち上げられた 。
パワーだけなら等身大の優斗を上回っていたはずのアルグリムが、何層にも重なる王宮の頑強な神聖装甲をメキメキと粉砕し、瓦礫の嵐を撒き散らしながら一直線にブチ抜き、そのまま王宮の遥か外の広大な大広場へと、何キロメートルも力ずくで一撃のもとに大ブチ飛ばされていったのだ 。
ソーもまた、その雷光の残響を纏いながら、天井の大穴へと爆速でアルグリムを追って跳び去っていった 。
ドン……と、激しい激突の地響きが去り、再び静寂が戻った地下牢 。
天井に丸く綺麗に開いた大穴から、アスガルドの眩しい青空の光がスッ……と差し込み、檻の中のロキを静かに照らし出す 。
ロキは密かに放っていた魔術の残響を消し、何事もなかったかのようにパサリ……と本のページをめくった。かつて孤独と嫉妬の闇にまみれてこの檻でスープを飲んでいた自分が、今はこうして、フリッガがくれたスープのぬくもりや幼き日の大切な記憶のままに、戦う兄の背中を当たり前のように信じて裏から護れている 。
ソーを助けていないふりをしたまま、誰も見ていない檻の中で、少し卑屈そうな笑顔を浮かべてぽつりと呟いた 。
「フン……相変わらず壊し方だけは派手だね、兄上。……まあ、威勢だけは一人前だ」
一方、地下牢から溢れ出した残りの略奪者や怪物たちが王宮の上層へ向かって一気に進軍しようと牙を剥いたが、その行く手を完璧に、力ずくで堰き止めたのは、アスガルドが誇る不滅の守護者たちであった 。
「これ以上、アスガルドを汚させはしない!」
凛々しい声を響かせたシフやウォーリアーズ・スリーが最前線で武器を振るい、さらにその頭上からは、真中優斗によって過去の悲劇から救われ、滅びずに現役の最強守護者として王宮を護り続けている、不滅の精鋭『ヴァルキリー部隊』がペガサスに跨って大降臨した !
黄金のルーン装甲を眩しく輝かせたヴァルキリーたちが、一糸乱れぬ完璧なチームワークで急襲してきた囚人たちの軍勢を完璧に制圧し、一歩の進軍すら許さずに蹂躙していく 。
国全体の暴動が彼女たちによって完璧に堰き止められているまさにその同じ瞬間、制御盤の間では、一人でバグに汚染された回路を修復しようと死闘を繰り広げていたオーディンの前に、パッと緑色の粒子とともに長女ヘラが姿を現していた 。
短期間での無理な次元移動による世界の歪みを防ぐため、真の力は使わずにあえて等身大のサイズへと力を抑えた「分体」の姿ではあるが、その頼もしさは健在であった 。
「父上、助けに来てやったわ。頑固な老いぼれがまた一人で無茶をして回路を爆破させていなければ良いのですがね」
「……助かる、ヘラ。お前がいれば、この回路を直すのにそう時間は掛からんだろう」
オーディンは声を潜め、かつて死闘を繰り広げた不滅の長女のルーン技術を100%信頼して受け入れた 。
最強の親子が驚異的な速度で防衛回路の修復を進めるなか、ヘラはヘルヘイムの玉座から感じ取っていた地下牢でのかすかな魔術の残響を思い出し、いつものからかう姉ではなく、弟たちの成長を心から愛おしく誇りに思う最高の優しい姉の笑顔を浮かべてぽつりと言葉を零した 。
「それにしても父上……ソーめ、まだ一人で満足に戦えんとは相変わらずまだまだだな。だが……あの偏屈なロキが、自分から進んでソーのために裏から手を貸すとはね。少しは見ない間に、あの子たちも随分と良い成長を重ねてきたようだな」 [2012年]
回路の修復が進むなか、場面は切り替わり、王宮の最高医療室 。
オーディンから「私は壊れた回路を直してくる。その間、この娘は頼んだぞ、フリッガ」と全てを託され、ヘラを送り出した王妃フリッガは、眠るジェーンの寝台の前にただ一人で佇んでいた 。
回路が完全に修復される前のこの一瞬の深い静寂のなか、フリッガは胸元に隠された優斗から託された不滅のお守りにそっと手を触れ、母親として、王妃としての不退転の覚悟を宿していた 。
(──あぁ、あの真中優斗さんが命を懸けて繋ぎ止めてくれた家族が、今こうして国を護る不滅の強さとなっている。あの子たちの美しい成長を、私は何があっても絶対に傷つけさせはしない……っ!)
その刹那、突如として透過を解除したマレキスの漆黒の巨大宇宙船の本隊が不気味に大来襲を果たした !
──バリバリバリッ!!!
激しい硝子の破片が飛び散る赤黒い煙のなかから、数千年の怨念を隻眼に滾らせたダーク・エルフの長マレキスが、フリッガの元へと堂々と大降臨を果たす 。
マレキスが来たその瞬間、本来の支配者の気配に激しく呼応するように、ジェーンの体内にあるエーテルの暗黒物質が、これまでの比ではない凄まじい波長で赤黒い物質を撒き散らしながら寝台ごと壊さんばかりに大暴走を開始した !
全宇宙を震撼させるエーテルの完全解放の禍々しい衝撃波と地響きがアスガルド全域へとダイレクトに響き渡り、それぞれの場所で戦っていた家族たちへ同時に最悪の戦慄が走った 。
王宮の外の大広場 。飛ばしたアルグリムを追って激しい肉弾戦を繰り広げていたソーは、背後の医療室から届いた赤黒い暴走波動を感知し、戦慄に大きく見開いた 。
「な、何だこの悍ましい波長は……っ!? しまった、今は父上も先程まであった姉上の気配もあそこには居ない! 母上が、ジェーンを護るために一人で医療室に残されているのだぞ……っ!?」
ジェーンの命を結界で護るために力を割かれ、全力を出すことが出来ない母の危機を一瞬で察したソーは 、
「母上ぇぇぇっ!!」
と大咆哮を上げてムジョルニアの雷光を爆発させ、王宮へと全速力で引き返そうとした 。
しかし、脳を侵食されて思考が狂った自動殺戮兵器となったアルグリムが、自らの全身の皮膚や筋肉をまるで高熱のドロドロとした溶岩のように赤黒い暗黒物質となって融け崩らしながら、ソーの足首をギチギチと骨ごと砕かんばかりに掴んだ 。
そのままアスガルドの大広場の頑強な大理石の床ごとメリメリと力ずくで引き裂き、ソーの巨体を王宮の回壁へと凄まじい衝撃波とともにブチ当てて引き留めた !
ボーやウルトラマンへの復讐とアスガルドの滅びの命令だけに全自動で駆動する狂った化物としての圧倒的な絶望感がそこにあった 。
「おのれ、離せぇぇっ! 母上の元へ行かせろぉぉぉっ!!」
地下牢の檻の中でも、天井の大穴を見上げていたロキの顔から不敵な笑みが完全に消え去っていた 。
「──っ!? この悍ましい気配……狙いは最初から、地下牢ではなく上層の医療室だったのか……っ! 母上が、一人で……っ!」 [2012年]
愛する母の絶体絶命の危機に、ロキはこれまでの冷徹な表情をすべてかなぐり捨て、感情を剥き出しにして絶叫した 。
「ぬおおおおぉぉぉっ!!!」
魔術の衝撃波が地下牢の空気と床をメリメリと軋ませ、ロキの手のひらから放たれた極限の緑色のルーン光が、かつて母フリッガから優しく手解きを受けていたあの光のシールドの防衛式へと激しくオーバーロードし、凄まじい大爆発の火花とともに檻の壁を粉々に粉砕した !
「待っていてください、母上……っ!」
という魂の叫びを響かせ、本を床へ投げ捨てて髪を振り乱しながら、フリッガの元へと全速力で回廊を駆け上がっていった 。
しかし、その時すでに医療室ではすでにフリッガが単身でマレキスと対峙していた 。
ジェーンのエーテルを今すぐ力ずくで魔術を込めて堰き止めなければ彼女は確実に死ぬ。
そのため、マレキス本人と戦うための自分自身を護る全力を絶対に出せないという極限のジレンマのなかで、フリッガは絶対の王妃の格を以てマレキスを凛と見据え言い放った 。
「久しぶりですね、マレキス。──貴方の好きにはさせませんよ。私たちの子も、全てを掛けて戦ってくれています。ここで私が貴方に負けるわけにはいきません」
全力を出せないながらも、王妃としての超一級の立ち回りでマレキスを翻弄するフリッガ 。
しかし、冷徹なマレキスは標的をフリッガから背後のジェーンへと変え、彼女を殺そうと凶刃を振り下ろした 。
その刹那、フリッガは一人の息子の大切なミッドガルド人の娘の命を護るため、一切の躊躇なく身を挺してジェーンの前に立ち塞がった !
マレキスの冷徹な刃がフリッガの細い身体を貫くかと思われた、まさに死の直前であった 。
フリッガの元で、彼女がずっと大切に持ち続けていたあのお守りが
「キィィィィン……ッ!」
と耳を劈くほどに澄み切った神聖な高周波音を響かせ、眩い烈光を放って完全覚醒を果たしたのだ 。
お守りの中から湧き出した無限のぬくもりを持つ白金色の創生グリッター粒子が、まるでフリッガの身を慈しむかのように、どこまでも温かく神聖な光の球体となって全身を優しく包み込んだ!
そのあまりにも強大で優しい光の密度によって、医療室の空間そのものの時間の因果がスローモーションになったかのように引き伸ばされ、マレキスの凶刃の動きがピキィィン……と完全に静止する 。
温かく神聖な光の結界に触れた瞬間、マレキスの刃、そして彼のまとうエネルギーが、まるで太陽の光を浴びた夜の闇のようにジュウジュウと音を立てて浄化され、マレキスの身体ごと、王宮の壁際まで何十メートルも力ずくで激しく押し返し、吹き飛ばした 。
「こ、これは……やはり、あの白銀のジャケットを纏いし奴の力か……っ!!!」
放たれた白金色の創生グリッター粒子に四肢をジュウジュウと激しく焼き焦がされ、数千年前のあの戦場で植え付けられた光の巨神への絶対的な敗敗の恐怖が全身の細胞でフラッシュバックしたマレキスは
これ以上の滞在は自らの完全なる消滅を意味すると本能で察し、圧倒的な光の質量に圧殺されかけながら、這う這うの体で漆黒の宇宙船の奥底へと退避を余儀なくされ、戦慄の声を絞り出す 。
その直後、お守りから放たれた温かく神聖な光は王宮の天井をブチ抜き、アスガルドの空全体へと向かって巨大な白金色の光柱となって大爆発した !
暗黒物質に汚染されていたルーン防衛回路は一瞬で白金色へと上書きされ、アスガルド全体の夜の闇が、まるで春の陽だまりのような温かく強大な光によって完全に覆い尽くされていく 。
──ピキィィン……ッ。
そのまばゆい陽だまりの光のなかに、突如として、どこまでも澄み切った『サークルアームズ』の神聖な起動音の残響が鳴り響いた 。
ザッ……ザッ……。
それに続くように、あの等身大の優しい少年の、懐かしい確かな足音の残響が、王宮全体の上下へ、そして戦う者たちの魂へとダイレクトに優しく響き渡っていく 。
大広場でアルグリムの手を必死に振り払おうとしていたソー、全速力で回廊を駆け上がっていたロキ、制御盤の手を止めたオーディンとヘラも、その光と音がもたらす圧倒的な「力」に一瞬で気づき、張り詰めていた戦場の表情がフッと解けていった 。
誰もが「あ奴が、優斗が帰ってきた……っ!」と確信し、その瞳に熱い涙と、深い安堵の表情を美しくシンクロさせるのだった 。
救世主たる光の巨神の降臨を告げる、温かく神聖な光の地響きがアスガルドを優しく包み込む。
第18話をお読みいただき、本当にありがとうございました!
マレキス本隊の王宮襲撃の絶望のなかで 、形振り構わず叫ぶロキたちの姿 、そして死の直前にフリッガを優しく包み込んだお守りの光の奇跡を描かせていただきました 。
アスガルド全域へと鳴り響いた、あの懐かしい音と足音の残響のゆくえを、ぜひ色々と想像しながら―― 。見ていただけたら幸いです!