ウルトラマンエターナル 〜神聖時間軸の守護神〜 作:マーベルウルトラ
アスガルド全域を包み込んだ、どこまでも温かく神聖な白金色の光柱。
そのまばゆい陽だまりの光のなかから、ついに「彼」が帰還を果たす――。
世界の理をきしませる全能の衝撃をどうぞお楽しみください!
アスガルド全域を夜の闇から春の陽だまりのような白金色の光柱へと塗り替えた、あのどこまでも温かく神聖な創生光の霧のなかから、スッ……と一つの確かな人影が浮かび上がった 。
まばゆい烈光の粒子が左右へと優しく晴れたその場所──医療室に現れたのは、5000年前の戦神の姿でも、いつもの漆黒の戦闘ジャケット姿でもなかった 。
そこにあったのは、星を開拓するために彼が着込んでいた、泥臭くもどこか温かい、農作業服(つなぎに長靴)を纏った少年──真中優斗の等身大の姿であった 。
ジェーンを蝕むエーテルの暴走を結界で命懸けで堰き止め、満身創痍となっていた王妃フリッガは、そのあまりにも強烈な日常のギャップに
「あら……?」
と一瞬だけ戦慄を忘れて美しく双眸を見開いた 。
しかし、彼が新しい居場所を開拓している真っ最中に、着替える時間すら惜しんで次元の壁ごと飛んできてくれた本質を瞬時に察し、瞳に熱い涙を浮かべて、我が子のことのように深く、深く喜んだ 。
「……あぁ、真中さん。やっと、『星』を見つけたのですね……っ!」
「うん、フリッガさん。みんなの為にも、最高の場所を見つけたんだ。今作業してたんだ。……でも、フリッガさんのピンチを感じて、急いで飛んできちゃった」
優斗は優しく微笑むと、フリッガの煤まみれの手をそっと自分の両手で包み込んだ 。
その瞬間、優斗の温かい手のひらからパチパチと薪がはぜるように湧き出した白金色の粒子が、フリッガの皮膚を優しく透過し、焼き切れかけていた魔術回路の芯へと滑らかに流れ込んでいった 。
無限の温かみを宿したグリッター粒子は、触れた瞬間にマレキスの残した冷徹なエーテル毒の残響をジュウジュウと音を立てて優しく融かし消し去り、衣服の煤汚れすらも一瞬で清らかな光で上書きしていく 。
安心感がフリッガの全身を満たし、枯渇していた魔力を臨界突破するほど満たしながら、細い身体の傷も衣服も全回復していった 。
フリッガは「あぁ……」
とただただその絶対的なぬくもりに救われて深く安堵するのだった 。
──しかし、友一人を救った代償として、世界に未曾有の超常振動が鳴り響いていた 。
別の星からお守りの力を頼りに形振り構わず爆速で飛んできたため、全能の力をセーブするための枷
──いつもの漆黒の戦闘ジャケットをまだ羽織っていない優斗の生の全能力(エタニティコアとスフィアの因果)の出力が、そのまま周囲の空間へと凄まじい密度で溢れ出してしまっていたのだ 。
その瞬間、アスガルドを含む『九つの世界』のすべてが、かつてない圧倒的な全能の質量に押し潰されんばかりの悲鳴を上げ始めた !
時空の因果を司る次元の壁がメリメリと音を立てて悲鳴を上げ、大青空が黄金色や七色へと激しく反転を繰り返すアスガルド 。
それだけに留まらず、ミッドガルド(地球)では突如として白昼の空一面に巨大なオーロラがバリバリと大爆発を起こし、ヨトゥンヘイムでは氷の大地を揺るがす重力の乱高下によって巨大な氷山が宙へ浮き上がるなど、全宇宙の理そのものが根底からきしみ狂いかねないほどの大激震が世界中を揺るがしたのだ 。
この世界がバグるほどの圧倒的な光と大激震のなか、王宮の外の大広場で戦っていた雷神ソーは、その光のなかに心まで温かくなる最高の力を直感で察知し、瞳に熱い涙と深い安堵の表情を大爆発させていた !
(──真中優斗が、奴が来たんだ、母上の元へ来てくれたのなら、もうすべてを任せられる! ならば俺のすべきことは、ここで目の前の化け物を確実に叩き伏せることだ!)
ソーは優斗への絶対的な信頼を胸に、引き返しようとする足を止め、より一層ムジョルニアの青白い青電を大爆発させて、目の前で本能の畏怖から硬直しかけていたアルグリムを力ずくで激しく抑え込み、外の広場で必死に戦い続ける道を選んだ!
回路の修復を完璧に完了させ、優斗の生パワーに誇らしげに笑っていたはずの制御盤の間の長女ヘラは、念話の視界に飛び込んできた優斗の農作業服姿を目にした瞬間、戦神としての畏怖が一瞬で吹き飛んだ!
「──おい真中優斗!! 何だその締まらん農作業服は!? あの美しい漆黒のジャケットはどうした! なぜ泥まみれのつなぎを着て全宇宙を悲鳴を上げさせながら現れている!!」
その通信のルーンを耳にしながら、王宮の回廊を全力で爆走していたロキは、一人だけ完全に状況についていけずに大困惑していた !
「待っていてください、母上……っ!」
と、すべてかなぐり捨て、母への愛のままに緑のルーン光をオーバーロードさせて檻の壁を粉々に粉砕し、本を床へ投げ捨てて全力で階段を駆け上がってきたというのに、通信の向こうから聞こえてくるのは「農作業服」「つなぎ」「泥まみれ」というあまりにも締まらない単語の応酬 。
「……フン、帰ってき方まで規格外だね、真中優斗」
と安堵の笑顔を浮かべたのも束の間 、通信の向こうでヘラが大騒ぎし始めたことに、ロキは爆走しながら目を白黒させる 。
「えっ……? 姉上、何を言っているんだ……!? 母上が危機なんだぞ!? なぜウルトラマンは農作業……? 泥……? 私はこんなに髪を振り乱して必死に走っているというのに、何なんだこの空気は……っ!?」
一人で必死だったロキが、医療室につくと、泥の付いた農作業服を着ていたウルトラマンが立っており困惑していた。
優斗は「あ、ごめんね!」といつもの等身大の優しい少年の声で照れくさそうに笑った 。
その瞬間、優斗の頭上にピキィィン……と耳を劈くほどに澄み切った『創生回路(白金色の光の輪)』が浮かび上がり、まばゆい創生グリッター粒子の霧が渦巻くなかから、あの白銀の刺繍が美しく輝く不滅の漆黒の戦闘ジャケットが流れるような残像を伴って実体化した 。
優斗がその漆黒のジャケットをバサリと肩に羽織り、ジッパーを上までシュッと滑らせたその刹那である 。
九つの世界全体を天変地異の如くガタガタときしませ、地球の空一面に白昼のオーロラを大爆発させていたあの宇宙創生規模の「全能力」の漏洩が 、まるで鉄の意志の枷によって、グググ……とミリ単位の精度で完璧に優斗の奥底へと閉じ込められ、仕舞われていった 。
世界中を揺るがしていた地鳴りがピタッと収まり、アスガルドはただ優しく温かい真昼の陽だまりの光だけが満ちた空間へと戻る 。
泥臭くも温かい農作業服の上から、不滅の戦闘ジャケットをカチッと纏い、自ら枷をはめることで一人の「ただの優しい人間」へと出力を完璧に力を抑えた優斗がそこに佇んでいた 。
その姿を目にしたマレキスが、これ以上ないほど戦慄に大きく見開かれた !
農作業服という奇妙な格好をしてはいるが、その上から羽織られた漆黒のジャケット、そしてそこから滲み出る絶対に誤魔化しようのない創生の波長 。
マレキスの脳裏にフラッシュバックするのは、5000年前、自分たちがエーテルの力を以てアスガルドへ攻め込んだあの戦場であった 。
世界のすべてを暗黒物質へ還そうとした自分たちの軍勢を、あのジャケットを揺らしながら、わざわざ『人間体』のままでただ一人戦場に立ち、エーテルの共鳴進化を完璧に抑え込みながらダーク・エルフの軍勢を文字通り蹂躙・壊滅させてみせた、あの絶対神の真の姿が全身の細胞でフラッシュバックし、骨の髄まで植え付けられた絶対的な敗北のトラウマが大爆発を起こしたのだ 。
マレキスはガタガタと全身の細胞を恐怖に震わせ、時空を超えた恐怖の声を絞り出して絶叫した 。
「何故、何故貴様はあの時のまま変わらんのだ……っ!? 5000年前のあの男が、何故今もあの時の姿のまま、生き続けているのだ……っ!!」
怨念すらも恐怖で消し飛ばされそうになりながら震えるマレキスに対し 、優斗は、眠るジェーンの寝台の前に静かに立ち塞がり、不敵に、けれどどこか冷徹な不退転の格を宿して「静かに向き直った」 。
先ほどフリッガが凛と見据えて放った「貴方の好きにはさせませんよ。私達の子も、全てを掛けて戦ってくれています」という誇り高き言葉のバトンを受け継ぐように
優斗の瞳の奥に、かつてドルマムゥやクトーン、死の女神デスといった邪神たちを暗黒次元で手加減なしの全力でねじ伏せてきた、あの本物の戦神としての底知れない静かな威圧感が一瞬だけ鋭く走る 。
絶対的な安心感を以て、優斗は静かに、けれどこれ以上ない絶対の意志を込めて言い放った 。
「マレキス。君の好きにはさせないよ」
優斗の瞳の奥に宿る「本物の戦神としての静かな威圧感」と「君の好きにはさせないよ」という絶対の宣戦布告を前に 、マレキスは完全に恐怖の臨界点を突破した 。
これ以上の滞在は自らの、そしてダーク・エルフという種族そのものの「完全なる消滅」を意味すると本能で察したマレキスは、数千年の怨念すらも恐怖で完全に塗り潰され、これ以上のジェーン(エーテル)の強奪を一時断念 。
粉砕されたガラス窓から、這う這うの体で上空の漆黒の巨大宇宙船へと全速力で退避(一時撤退)を余儀なくされた 。
マレキスを収容した十字型の巨大宇宙船は、再び空間透過(カモフラージュ)を起動しながら、アスガルドの上空から急速に離脱(反転進軍)を始めた 。
船内の奥底へと逃げ延びたマレキスは、白金色の粒子で四肢を焼き焦がされた激痛に身を悶えさせながら、「おのれウルトラマン……っ! だがエーテルは必ず我が手に取り戻す! 次こそは、九つの世界のすべてを光を拒む暗黒物質へ還してくれよう……っ!」と、次なる決戦へ向けた最悪の呪詛を宇宙の深淵へと響かせるのだった 。
マレキスが逃げ去った医療室 。
優斗は、眠るジェーンを護りきって全回復したフリッガへと向き直り 、
「フリッガさん、もう大丈夫だよ。……ちょっと、外で頑張っているソーを助けてくるね」
と、いつもの穏やかで等身大の優しい笑顔を浮かべた 。
優斗がスッ……と指を動かした瞬間、白金色のグリッター粒子が優しく瞬き、彼は一瞬にして医療室から姿を消した 。
場面は切り替わり、王宮の外の大広場 。
全身の肉体を赤黒い溶岩のようにドロドロと融け崩らし、ウルトラマンへの復讐とアスガルドの滅びの命令だけに全自動で駆動する狂った化物アルグリム(カース)の怪力攻撃を前に 、ムジョルニアをがっしりと構えて満身創痍で食い止め続けていた雷神ソー 。
「おのれ、これ以上は一歩も行かせんぞ……っ!」
とソーが稲妻を迸らせるその真横、空間の光がスッ……と透過するように、白銀の刺繍が輝く戦闘ジャケットを纏った真中優斗が、音もなく静かに着地を果たした 。
ソーの真横の大気と床が『キィィン……ッ』と心地よい高周波の音を立てて白金色に透き通り、何億もの温かいグリッター粒子の瞬きとともに優斗が音もなく静かに降臨した瞬間
カースの撒き散らしていた悍ましい赤黒い物質の残響やアスガルドを包んでいた緊迫した戦場の硝煙が一瞬にして消えていきソーの傷ついた肉体すらもその温かみで優しく包み込んでいった 。
そのあまりにも頼もしい友の帰還に、ソーは感動の涙を浮かべる──
が、次の瞬間、ソーの視界に飛び込んできたのは、ジャケットの下に着込まれた、農作業服姿であった !
ソーは感動の涙を一瞬で引っ込めて目を丸くし、大声を張り上げた !
「──って、真中優斗!! お前、その格好はなんだ!?」
「あはは、ちょっと農作業をしてたからね。着替える時間がなくてさ。……ソーさん。──さあ、アスガルドを壊そうとする化け物を、僕たちの力で調和しよう」
優斗は長靴を履いたまま不敵に、けれど最高に頼もしい等身大の笑顔でソー横へと並び立った 。
その優斗の戦闘ジャケット姿と創生の気配に、カースによって理性をジュウジュウと焼き尽くされ、まともな思考が正常に働かなくなっていたはずのカースの巨体が、本能が告げる絶対的な死の危機により、ピキィィン……と凍りついたようにその動きを完全に硬直させた 。
5000年前の絶望の残像が脳裏でフラッシュバックの大臨界を起こし、その肉体を赤黒い溶岩のようにドロドロと床へ融け崩らしながら、恐怖を掻き消すように
『ギチギチギチ……ッ!』
と狂った思考回路からおぞましい火花をバリバリと撒き散らし、理性を完全に喪失した自動殺戮兵器として出力をさらに赤黒く大共鳴させて牙を剥く 。
「ウォ、ウルトラ……マ、ン……ッ! アァァァァァッ!!!」
恐怖を掻き消すように狂暴な怪力の出力をさらに赤黒く大共鳴させ、理性を完全に喪失したおぞましい自動殺戮兵器として牙を剥くアルグリムとの、バトルの幕が今、切って落とされる―― 。
第19話をお読みいただき、本当にありがとうございました!
お守りの奇跡によってフリッガを救い出し、農作業服の上から戦闘ジャケットを纏ってマレキスを敗走させた真中優斗の大降臨を描かせていただきました。
外の大広場で孤独に戦い続けていたソーの真横へと並び立った、光と雷のバディ。
理性を失って暴走するアルグリムとのバトルどうぞお楽しみに!