ウルトラマンエターナル 〜神聖時間軸の守護神〜   作:マーベルウルトラ

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第2話を開いていただき、本当にありがとうございます!前回の墜落から一気に時が経ち、物語のタイムラインが本格的に動き出します。張り詰めた空気の中、歴史の裏側で交錯する波長をどうぞお楽しみください。それではどうぞ!


アベンジャーズ
第2話アッセンブルの序曲


あれから幾千年以上の時が経ち

 

大西洋上空、荒れ狂う雲海を厳かに切り裂いて航行するシールドの巨大空中空母――ヘリキャリア。

 

作戦室には長官ニック・フューリーを筆頭に、キャプテン・アメリカ、トニー・スターク、そしてアスガルドの雷神ソーが顔を揃えていた。

 

チタウリ襲来を前に、室内の空気はガラスを張り詰めたように緊迫していた。その刹那、作戦室の中央の空間が、ぐにゃりと波打つようにマゼンタピンクの美しくも強大な光と共に湾曲した。 

 

「誰だ!?」

 

キャプテンが瞬時にヴィブラニウムの盾を構え、トニーの右腕の手甲からウィィィンと鋭いリパルサーの起動音が鳴り響く。

 

しかし、光的粒子が収まった中心に現れたのは、漆黒に美しい白銀の刺繍が入った耐摩擦タクティカル・ジャケットを纏った、一人の物静かな青年――真中優斗だった。

 

優斗は慌てることなく周囲を見渡すと、いつもの温かい笑顔を浮かべ、穏やかに、しかし芯の通った優しい声で語りかけた。 

 

「こんにちは、フューリー長官。遠い宇宙にある、とある星の友人から、急ぎの極秘通信をいただきましてね。ある軍勢の影が、僕がいくつか頼み置いて分散保護している星の一つ……この地球を狙って動き出したと聞いたんです。僕は大切な人たちも、地球の皆さんも傷つけさせたくありませんから。皆さんの笑顔を守るために、僕が見に(守りに)来ました」

 

「……相変わらず神出鬼没だな。かつて宇宙(そら)から来た“あの友人”から、お前の噂はかねがね聞いているよ」

 

フューリーがフッと不敵に微笑み、向けた銃をホルスターに収めるのを見て、作戦室のメンバーに凄まじい衝撃が走る。あえて名前を伏せたフューリーの口振りに、トニー達は眉をひそめた。

 

「おいフューリー、シールドはいつから10代のティーンエイジャーを空中空母に密航させるようになったんだ? ……いや待て、何だこれは」

 

トニーが即座にホログラムで優斗をスキャンした瞬間、彼の指先が完全に凍りついた。画面に表示されたのは、地球の科学を完全に超越した異常な質量とエネルギーの数値。そして、彼が着ているジャケットの生体繊維だった。

 

優斗が着ているその漆黒のジャケットは、旅立ちの日に父さんと母さんが力を込めて作ってくれたものでは無かった。 

 

だが、数千年前、この神聖時間軸へ墜落した際の凄まじい多次元嵐の負荷によって、最初の服はボロボロに引き裂かれてしまっていたのだ。

 

現在の服は、墜落直後に最初に出会った古代の「ある神々や友人たち」が、傷ついた優斗を案じ、両親の服に極めて近い姿へと、神の繊維を用いて手作業で仕立て直してくれ力を施してくれた奇跡の防衛衣だった。

 

まだ力による征服戦争に血気盛んで荒れていた当時の彼らは、墜落してきた優斗を敵とみなし、激しい武力で一斉に襲いかかってきた。

 

しかし優斗は変身せず、慈愛の心と圧倒的な受け流しの技能(一本背負いやいなしの手)だけで彼らの猛攻を傷一つなく優しくいなし、その征服の狂気を綺麗に調和して見せたのだ。 

 

己の愚かさを恥じた彼らは、優斗に深く頭を下げ、その時この宇宙に二つとない金剛不壊の衣を贈ったのだった。そのジャケットには、神々の強大な力や友人たちの力が完璧に隠蔽され、偽装されている。そのため、地球のトニーの科学センサーには『未知の繊維』としか映らない。――だが。

 

「フューリー、銃を収めるということは、この少年は君の知り合いなのか? だが……ただ者じゃない。この立ち姿、泥臭い戦場を幾度もくぐり抜けてきた、本物の兵士のそれだ」

 

キャプテン・アメリカが盾を構えたまま、鋭い双眸で優斗を凝視する。第二次世界大戦を戦い抜いた彼だからこそ、少年の穏やかな微笑みの裏にある、限界まで鍛え上げられた強靭な「心技体」の気配を、本能的に察知していた。

 

(……お会いできて光栄です、キャプテン。僕は、あなたのその不屈の心を、ずっと前から知っていましたよ……)

 

優斗は声に出さず、心の中でだけ静かにそう呟いた。彼の脳裏に、かつて放浪の旅の最中、1945年の北極圏の冷徹な氷の底へ、人類を救うために飛行艇ごと沈んでいった一人の高潔な兵士――コールドスリープという過酷な運命を受け入れたキャプテンの最期を、次元の隙間からそっと見守り、深い敬意を抱いたあの日の一幕が優しくフラッシュバックしていた。目の前に立つ本物の英雄の姿に、優斗の瞳には温かいリスペクトの光が宿る。

 

「あ、ああ……ちょっと待ってくれ。僕の内なる“緑の怪物”が、さっきから異常なほど静かに縮こまっているんだ。まるで、絶対に逆らってはならない圧倒的な上位存在を前にしたように……」

 

作戦室の奥から、冷や汗を流しながら歩み出てきたブルース・バナー博士が、自らの胸を押さえながら怯えたように呟いた。

 

普段なら些細な刺激で暴れ出そうとするハルクが、優斗が一歩足を踏み入れた瞬間から、魂の最深部でガタガタと震え、完全に自鳴を自制している。

 

その異常事態に、バナーは目の前の優しい目の少年に、計り知れない恐怖を覚えていた。そんなバナーの怯えと狂気の脈動を察した優斗は、ふんわりと温かい微笑みを浮かべ、ゆっくりと彼の方へ歩み寄った。

 

「大丈夫ですよ。怖がらせてしまってごめんなさい。……少し、お疲れのようですね」

 

優斗はバナーの前に静かに立ち、そっとその胸元へ向けて右手をかざした。

 

刹那、優斗の手のひらから、かつて学んだ絶対浄化の光――優しくもどこまでも澄み切ったゴールドピンクと白銀の癒しの波動『エタニティフルムーンストライク』が、生身の身体から暖かく、波紋のように優しく放射された。

 

「何だ今の光は……!?」

 

「おい、彼に何をした!」

 

当然、作戦室のメンバーたちの間に激しい緊迫が走った。トニーのホログラムモニターが「未確認の超高密度生体エネルギーの放射」を検知して真っ赤な警告音を鳴らし、キャプテンは驚愕しながらも優斗に向けて盾を一段と強く構え直す。

 

しかし、彼らが優斗を制止しようと動くよりも早く、バナーがハッと深く息を呑んだ。

 

長い間、常に自らの魂を内側から焼き、引き裂こうとしていたハルクの狂暴な怒りと絶望の熱が、まるで冷たい清流に溶かされるかのように、一瞬でピタリと穏やかな、これ以上ない極上の静寂へと調和されていく。

 

その信じられない精神の安らぎに、バナーは呆気に取られたように目を丸くし、自分の胸を何度も摩りながら

 

「……す、凄いな……こんなに心が静かになったのは、初めてだ……。君は僕を、いや“彼”をなだめてくれたのか……?」と、目元に涙を浮かべて深く安堵の息を漏らした。

 

バナーのその劇的な変化に、トニーたちもリパルサーの銃口を向けたまま、信じられないものを見る目で言葉を失った。

 

そして、優斗がその至近距離で、温かくも計り知れない純粋な創生波動を放ったそのコンマ1秒後、作戦室の随所で、凄まじい奇鳴が響き渡った。

 

(――ドクゥゥン!!!)

 

「……ッ、何だ!?」

 

作戦室の机に置かれていた、ソーが我が身のように信頼する最強のハンマー『ムジョルニア』が、優斗の放った光の残光に激しく感応し、生き物のようにドクンと大きな脈動を刻んで眩しく明滅したのだ。

 

ソーは引き寄せられるようにハンマーの柄を掴んだが、手のひらから伝わってきた「主人の意思を完全に無視した、尋常ならざる熱い共鳴」に驚き、思わず目を見張った。

 

「地球の戦士よ。お前のその衣服……私は初めて見るはずだ。だというのに、なぜ私の心はお前を見てこれほど安らぐ? ムジョルニアまでがこれほど激しく呼応するなど有り得ん。言葉にはできんが、狂おしいほどの不思議な安心感と、優しき母上のぬくもりのようなものが、その不滅の布地から漂ってくるのだ……」

 

ソーのその困惑の言葉を聞きながら、優斗の胸の奥は、じーんと熱く温かい感動で満たされていた。

 

なぜなら優斗のエタニティコアのエネルギーは、ムジョルニアの柄から放たれたその強烈な脈動の奥底に眠る、はるか古代に自分を優しく介抱し、我が子たちの道具の因果の裏へと刻み込むことを許してくれた、あの「とある神々」の、長き時経っても消えない深い愛の波動を完璧にキャッチしていたからだ。

 

(……そっか。彼らは、自分の子供たちの道具に、それほどまでに不滅の“サイン”を深く刻み込んでいたんだね……。あの人達は、それほどまでに子供たちの事を愛し未来を案じているんだな……)

 

最初は誤解から襲いかかってきた、あの荒れていた神々。けれど調和の後に結んだ深い絆と、彼らの我が子を想う不滅の愛の証。そのあまりにも優しく切ない輝きに触れた優斗の顔には、いつにも増して愛おしそうな、最高の、どこまでも眩しいスマイルがパッと咲き誇るのだった。

 

それは、ヘリキャリアの最下層にある全面ガラス張りの特殊牢獄でも、全く同じだった。

 

ロキから「四次元キューブ」の目的を聞き出すため、ガラスの檻の前でじっと彼を睨みつけ、極限の心理戦の騙し合いを仕掛けていたナターシャ・ロマノフは、突然、目の前のロキの顔が幽霊でも見たかのように青ざめ、ガタガタと震え出していくのを目撃した。ナターシャの鋭い問いかけさえ、今のロキの耳には1ミリも届いていなかった。

 

檻の向こうに設置された監視モニターが、作戦室に現れた少年の姿を捉えたその瞬間,ロキの全身には冷たい戦慄が奔っていた。ロキはまだ、目の前にいる物静かな青年が何者なのか、その正体を夢にも思っていない。

 

だが、優斗が姿を現した瞬間、モニター越しであるにもかかわらず、かつて自分が謁見し、地球侵略の全権を授かったあの宇宙の支配者「サノス」と対峙した時のような、あるいはそれを遥かに凌駕するレベルの『絶対的強者の気配』を、本能がハッキリと察知してしまったのだ。

 

(バ、バカな……! なぜだ、なぜこのただの地球の少年にすぎない男から、あれほどの悍ましい気配がする……!?)

 

さらにそれだけではない。優斗が作戦室で癒しの光を放ったその瞬間、ロキが自身の衣服の裏に隠し持っていた一対の短剣の刃が、主人の魔力を完全に無視して、何かの波長に激しく呼応するようにドクドクと熱を帯びて震え出したのだ。

 

サノス級の圧倒的な威圧感と、短剣から伝わる実家の父と母のぬくもりという有り得ない大矛盾。その正体不明のプレッシャーに、ロキは激しい混乱の混じった戦慄を覚え、ナターシャの目の前で、檻の奥で身を縮めて激しく震え上がっていた。

 

ナターシャの冷徹なスパイとしての本能が、一瞬でロキの異常な怯えの視線を捉え、作戦室のモニターに映る少年の姿へと結びつける。彼女は即座に耳元のインカムのボタンを長押しし、作戦室へ向けて鋭い疑念の声を放った。

 

『フューリー長官、聞こえる? 今そっちの作戦室に現れたあの少年……一体何者なの? 下の檻にいるロキが、まるで死神でも目の前に突きつけられたかのようにガタガタと怯え出しているわ。シールド(あなた)はまた、私たちに何か重大な隠し事をしているんじゃないでしょうね?』

 

インカムから響くナターシャの冷ややかな問いかけに、作戦室のフューリーは片目を細め、静かに言葉を濁した。

 

「……話せば長くなる、ロマノフ。今はただ、彼は我々の味方だとだけ言っておこう」

 

長官のその曖昧な態度に、トニーやキャプテンたちの間にも

 

「シールドの知らない“何か”が、あの少年にはある」という、深い不気味さと不穏な疑念がさらに静かに走るのだった。

 

主人の意思に関係なく一斉に熱く脈動を始めたムジョルニアとロキの短剣。

 

なぜ、これほどまで激しく武器たちが光りだしたのかは、ソーもロキも、そしてアベンジャーズの誰もその本当の理由を知る由もなく、ただただ正体不明の違和感に首を傾げることしかできなかったが、優斗だけは、その武器の震えに隠された「親の深すぎる愛と信頼」を、最高の笑顔でそっと胸に抱きしめていた。

 

「皆さん、どうか警戒を解いてください。僕はアベンジャーズの皆さんの、味方ですから」

 

優斗はトニーたちの目の前で、父親譲りのどこまでも穏やかで優しいスマイルを浮かべ、静かに頭を下げた。




第2話をお読みいただき、本当にありがとうございました!ヘリキャリアの作戦室、そして牢獄の奥で交錯した様々な『違和感』や『気配』――。それぞれが感じた驚きや、あの武器たちが起こした奇妙な共鳴現象の本当の理由は、物語が進む中で少しずつ明かされていきますので、ぜひ色々と想像しながらお待ちいただければ幸いです!本日はもう一話投稿します。
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