ウルトラマンエターナル 〜神聖時間軸の守護神〜   作:マーベルウルトラ

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20話を開いていただき、ありがとうございます。

未曾有の超常振動に王宮が揺れるなか、一人取り残されていたロキの前に、主神オーディンと王妃フリッガが歩み寄る―― 。
かつて孤独を呪った第二王子が 、真の意味でアスガルドの家族、そして国と一つになる歴史的な瞬間をどうぞお楽しみください! 


第20話偽りの神から魔術の神へ

「真中優斗、今だっ!!」

 

ソーが咆哮し、不滅の戦鎚ムジョルニアの雷撃を結界の如く展開してカースの剛腕の一撃を正面からガチッと力ずくで引き止め、反撃の機会を作り出す。

 

その瞬間、──真中優斗が、泥のついた農作業服の上から戦闘ジャケットをバサリと羽織った姿のまま、長靴で軽やかにアスガルドの大地を蹴って跳躍した!

 

サークルアームズを構えた優斗がその白金色の創生グリッター粒子を刃へと流れるような残像を伴って大集束させ、カースの巨体をすれ違いざまに目にも留まらぬ速度で鮮烈に一閃する。

 

白金色の尾を引いた光の刃が、カースのまとう赤黒い暗黒物質の残響をジュウジュウと融かし消していく。

 

着地した優斗が

 

「ありがとう、ソーさん! 相変わらず最高のタイミングだね!」

 

と等身大の優しい笑顔でサムズアップを送り、ソーもまたムジョルニアを回しながら

 

「母上を護ってくれたお前に、これ以上手を煩わせる訳にはいかんからな! それにしても、やはりその長靴姿での動きのキレは、何度見てもおかしいぞ!!」

 

と、極極限の戦場のなかでいつも通りの二人だった。

 

しかし、二人の圧倒的な連携を正面から浴びたカース──

 

アルグリムは、狂った脳内で最凶のトリガーを引き、自らの命の器のすべてを燃料としてジュウジュウと焼き尽くし始めた。

 

全身の皮膚や筋肉を限界を超えてドロドロの赤黒い溶岩のように激しく融かし崩しながら、カースの出力は何倍もの異次元の破壊の怪力へと跳ね上がる!

 

理性を完全に喪失したおぞましい自動殺戮兵器として再び突進してくるカースの凄まじい力に対し、そこへ制御盤の間から分体の姿のまま戦場へと来た長女ヘラが、無数の夜空の剣を空中へバッと展開して急襲した!

 

「──ふ、随分と威勢の良いトカゲではないか。お前達、私も手伝ってやろう」

 

ヘラは不敵に笑い、優斗の泥付き長靴姿に一瞬だけ視線を走らせながらも、空間を完全に埋め尽くす数千に及ぶ漆黒の夜空の剣の超豪雨攻撃を解き放った!

 

無数の刃がメリメリと音を立ててアルグリムの巨体を無数に穿ち、抉り抜いていくが、命の器を削るアルグリムは、数千の刃でどれだけ肉体を穿たれようとも、その傷口から溢れ出た赤黒い暗黒物質の溶岩がジュウジュウと音を立てた刹那

 

肉体そのものを全自動で即座に超再生させ、漆黒の刃を肉体ごとバキバキと噛み砕きながら強引に突き進んでくる。

 

あまりの衝撃波の衝突に、大広場の大理石の床がメリメリと爆砕していく。

 

一方、外のあまりにもド派手な大爆発と衝撃波の連続に、医療室の床が激しく揺れていた。

 

一人置いてけぼりで困惑していたロキに対し、全回復した王妃フリッガがその目を真っ直ぐに見つめて優しく語りかけた。

 

「ロキ、私たちは今からこの王宮に強固な防衛結界を張ります。手伝ってください。貴方のその精密で優しい魔術の才能なら、必ずできますよ」

 

さらに、グングニルを構えた主神オーディンも重々しく、けれど温かい声で呼びかける。

 

「やるぞ、息子よ。ヘラの奴め、加勢に入ったのは良いが相変わらずやり過ぎだ。このままだと奴を仕留める前にアスガルドの王宮が被害で崩壊してしまう」

 

「──フン、仕方ありませんね。あの脳筋の兄上と暴虐の姉上が派手に壊した跡始末をさせられるのは癪ですが……お任せください、父上、母上!」

 

かつての孤独と嫉妬の闇を乗り越え、実の「息子」として両親からの愛と信頼を託されたロキの胸の奥に、言葉にならない安堵とぬくもりを大爆発させる。

 

ロキが天へ向かって両手を掲げた瞬間、その手から解き放たれたのは、かつての孤独で冷たい魔術ではなかった。

 

ロキが生まれ持った氷の巨人としての冷たく澄み切った青い光の芯のなかに、オーディンから受け継いだ誇り高き王家の黄金の烈光、そして母フリッガから優しく手解きを受けた慈愛の緑とオレンジのぬくもりの色彩が、オーディンとフリッガの力と共にまるで極上のマーブル模様の如く美しく溶け合い、大共鳴を起こして王宮全域の空間へと張り巡らされていった!

 

その美しく温かい四色の結界の輝きは王宮を突き抜け、激しい地鳴りと赤黒い衝撃波に怯え、逃げ惑っていた城下町のアスガルド市民たちの頭上をふんわりと優しく覆い尽くしていった。

 

降り注ぐ瓦礫や衝撃波のすべてがその温かく神聖な光の盾に吸い込まれ、街全体が春の陽だまりのような温かみに包まれた瞬間、光を見上げた民衆から、驚愕と、それを遥かに上回る歓喜の叫びが一斉に湧き上がった!

 

「ああ、見ろ! あれはロキ様の、ロキ第二王子の魔術だ……っ!」

 

「ロキ様! ロキ様、ありがとうございます……っ!!」

 

誰もがその精密で優しい魔術の波長が誰のものなのかを理解出来なかったがアスガルドの為に魔術を施すロキの姿を見て、瞳に安どの涙を浮かべて次々と空を指差す。

 

かつては気難しく、民衆からも遠巻きにされていた王子へ向かって、地響きのような万雷の「ロキ様コール」と心からの感謝の大喝采が国中に鳴り響く。

 

偽りや嫉妬をすべて融かし去り、真の意味でロキがオーディンたちアスガルド族と、そしてこの国すべてと本物の「家族」になったその歴史的な神話の瞬間──。

 

自ら放った美しい結界のぬくもりに包み込まれ、街からの大歓声を背に受けながら、戦う兄の背中を気恥ずかしそうに誇らしげに見つめ

 

「頼んだぞ兄上」と呟くロキの姿を、特等席で見つめていたオーディンとフリッガの二人は、親として心の底から、これ以上ないほどの最深の喜びの笑顔を優しく交わし合うのだった。

 

その完璧な多色結界の防衛魔術の胎動を、地下牢の暴動を制圧していた女戦士シフやウォーリアーズ・スリー、そして黄金のルーン装甲を輝かせて大無双していた不滅のヴァルキリー部隊が肌で感じ取った。

 

「おいおい、あのロキ様がこれほど温かく強固な結界を……!」

 

「ふん、ただのひねくれ者の悪戯小僧だと思っていたが……見直したぞ、アスガルドの第二王子よ!」

 

戦士たちが一斉に武器を掲げ、かつて警戒し不信感を募らせていたロキの圧倒的な魔術師としての成長へ、心からの最深のリスペクトと大喝采を送り、完全に信頼を得ていく。

 

ロキの紡いだ結界のぬくもりと家族の愛、そして国中から響き渡る大歓声を、野生の直感で誰よりも敏感に大広場で感じ取った兄ソーの魂が、激しく、熱く震えた!

 

「ロキ……! お前は、本当によくやってくれた……っ!! あとは俺がやるだけだ!」

 

成長した弟を誇りに思う兄の戦士としての力が何倍にも膨れ上がったその刹那、ムジョルニアの回転速度をさらに限界突破させ、ソーの全身から青白い爆発的な稲妻が咆哮の如く迸る!

 

なんと一瞬ではあるが、右手の不滅の戦鎚ムジョルニアとは別に、何も持っていない「左手の拳」からも、空間そのものをメリメリと歪ませる雷がバリバリと火花を散らして実体化し、迸り出たのだ!

 

「うおおおぉぉぉっ!!!」

 

ソーは左右の両腕から迸る神聖な雷撃の嵐を真っ正面から叩きつけ、カースの命を削った異次元の剛腕の怪力を、アスガルドの大地ごと力ずくで激しく押し戻していった。

 

しかし、まだ覚醒の器が完全には整っていないこのタイムラインにおけるソーの「雷」は、出力を全開放し続ければソーの肉体そのものが過負荷によって焼き切れかねない危険を孕んでいた。

 

──だが、その危機を上層の医療室から瞬時に察したオーディン、フリッガ、そしてロキの3人が、すぐさま動き出した。

 

先ほどアスガルド全域へと張り巡らせたあの美しい多色の神聖ルーン結界の防衛線を介し、ソーの暴走しかけた左手の生雷の上から、さらに重々しくも優しい防衛の抑え込み魔術をパシィン……と大共鳴させて上書き発動したのだ!

 

これによってソーの左手の雷の出力はミリ単位の精度で完璧に制御され、ソーの肉体を傷つけることなく、カースの巨体を大広場の地面へと完全に縫い止めてその動きを完璧に停滞させた。

 

ソーは「あぁ……家族の力が、俺を後ろから支えてくれている……っ!」と、親子の最高の絆を背中に感じて不敵に咆哮した。

 

完璧なお膳立てが整ったその中心で、優斗がサークルアームズを最大出力で構え直した。

 

「ソーさん。──さあ、アスガルドを壊そうとする化け物を、僕たちの力で調和しよう」

 

優斗がサークルアームズを構えて一閃した瞬間、放たれたのは破壊 of 刃ではなかった。昔ヘラを呪いから融かし去った時と同じ、どこまでも温かく神聖な白金色のグリッター調和波動──創生粒子の大濁流が、大広場を真昼の陽だまりのように埋め尽くしたのだ!

 

「懐かしい頼むぞ、真中優斗!」

 

サークルアームズの一閃から放たれた白金色の創生グリッター粒子が、アルグリムの肉体とエーテルの赤黒い物質の刺々しさをジュウジュウと音を立てて完全に調和していった。エーテルに汚染されて狂っていたアルグリムの脳裏に、マレキスにエーテルを入れられる前の「理性と記憶」がシュッと還されていった。

 

肉体を破壊される苦しみから完全に解放されたアルグリムは、枯渇していた魂の格を優しく保管して苦しみから解放され、元の忠臣としての穏やかな魂の格を取り戻しながら、一切の未練を消し去るように光のなかで静かに眠りについた。

 

それと同時に、カースの体内で暴走していたあの赤黒い物質の残響は、優斗の全能の力によって優しくコントロールされ、パシィン……と清らかな電子鈴の和音とともに医療室のジェーンの体内へと優しく逆流していった。

 

彼女の細い身体を蝕むことなく、まるで温かいゆりかごに格納されるように、彼女の奥底へと完全に眠った状態で再び安全に格納、封印されたのだ。

 

──おのれ、ウルトラマン……っ!

 

一方、アスガルドの遥か上空、お守りの光に四肢を焼き焦がされ、優斗の戦神としてのトラウマに圧倒されて這う這うの体で漆黒の巨大宇宙船へと逃げ延びていたマレキスは、激痛に身を悶えさせながら、空間透過を起動して九つの世界の隙間である深淵の闇へと急速に敗走・離脱していた。

 

アスガルドを正面から落とすことは不可能だと本能で骨の髄まで理解したマレキスは、エーテルを奪還できずに手ぶらで逃げ帰りながらも、

 

「だがエーテルはまだ滅びてはおらん! 次こそは、九つの世界のすべてを光を拒む暗黒物質へ還してくれよう……っ!」

 

と、次なる地球での決戦へ向けた最悪の呪詛を宇宙の深淵へと響かせるのだった。

 

激しいバチバチとした衝突の残響が去り、ロキたちの張った四色結界の眩しい陽だまりの光だけが優しく残された大広場。

 

医療室から全速力で駆け下りてきたオーディン、フリッガ、ロキの3人が、前線で並び立つ優斗、ソー、ヘラ、そして周囲を固めていたシフたちの元へ合流し、アスガルドの精鋭達全員が一堂に集結した。

前線でムジョルニアの回転を止めたソーは、ロキの姿を見るや否や、我を忘れて嬉しそうにその細い肩をがっしりと抱き寄せた。

 

「がはははっ! さすがは俺の弟だ!! お前のあの多色の美しい結界が、俺の雷を後ろから完璧に支えてくれたんだぞ!!」

 

ソーが戦士としての凄まじい規格外の腕力で、バシバシバシィィィンッ! と誇らしげにロキの背中を全力で強く叩きまくった!

 

あまりの痛さにロキは端正な顔を歪め、必死にその剛腕から逃れようとオロオロと顔を歪めて大声を上げた。

 

「……っ! あ、兄上、やめてください、力が強いです……っ! 私は必死に防衛結界を維持して疲れているというのに、貴方は相変わらず配慮というものを忘れてきたのですか……っ!?」

 

そんな兄弟の騒がしいじゃれ合いを前に、分体の手を腰に当てた長女ヘラお姉ちゃんが、ふんっと鼻を鳴らしながらロキを不敵に見下ろした。

 

「ふん……やれるなら最初からやりな、偏屈な末っ子め。お前がいつまでも檻の中で澄ました顔をしていたから、王宮全体の回路がハッキングされて私や父上まで余計な無茶をさせられたではないか」

 

口ではツンツンと小言を言いながらも、その口元は、弟の目覚ましい魔術師としての成長を誰よりも愛おしく誇りに思う、最高の優しいお姉ちゃんの笑顔になっていた。

 

さらに、その様子をすぐ側で見つめていた優しい母フリッガが、ロキの前に一歩進み出て、その端正な横顔を温かい手のひらで優しく包み込んだ。

 

「ええ、流石はロキです。あなたなら出来ると思っていましたよ」

実の母直伝の最高峰の魔術を「あなたなら出来る」と完全に肯定され、温かく肯定されたロキの瞳に、じわりと熱い涙が浮かぶ。

 

そんな我が子たちのいつも通りの姿を前に、厳格なる主神オーディンは、直接は何も言わなかった。

 

けれど、オーディンはグングニルをガシィィィン……

 

と大理石の床へ重々しく突き立て、その隻眼をこれ以上ないほど優しく、誇らしげに細めながら、一人の父親として、ロキ第二王子の目を見つめて深く、重々しく頷いてみせたのだ。

 

言葉はなくとも、「お前は紛れもない、アスガルドを護る気高き我が息子だ」という絶対の魂の太鼓判がロキへ注がれる、これ以上ないほど格格の高い無言の最大級の信頼の称賛が、そこには確かにあった。

 

偽りや嫉妬をすべて融かし去り、真の意味でロキがオーディンたちアスガルド族と本物の「家族」になった、奇跡の神話の瞬間──。

 

外の戦場に佇む最高の家族たちの視線が、今度は一斉に、彼らの中心に佇む一人の少年へと注がれた。

そこには、漆黒の美しく輝く戦闘ジャケットの下に、泥のついた農作業服(つなぎと長靴)を着たまま、

 

「あはは、ちょっと農作業をしてたからね。着替える時間がなくてさ」と、照れくさそうに頭を掻きながら笑っている真中優斗の姿があった。

 

「全く、優斗、その格好はやっぱり何度見てもおかしいぞ!」とソーが再び笑い、ヘラやロキたちも呆れたように、目を細める。

 

優斗が届けてくれたぬくもりは、王宮の上下を繋ぎ、アスガルドのすべてを最高の笑顔にしていた。




第20話をお読みいただき、本当にありがとうございました!
フリッガのスープのぬくもり、そして真中こ仕込んでくれたお守りの光から始まった、アスガルドの家族全員の総力戦と雪解けを描かせていただきました 。

フリッガ様の命が救われ、ロキが国中から愛される王子となったことで、ここから物語はMCUの正史とは少しずつ離れて、この世界線だけの独自の軌道へと進んでいきます。

長靴姿のまま並び立った優斗たちの次なる旅路、『マレキスの元』へと向かう新章の展開を、ぜひ色々と想像しながら―― 。
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