ウルトラマンエターナル 〜神聖時間軸の守護神〜 作:マーベルウルトラ
これより『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』完結後の、アスガルドでの賑やかな日常を描く幕間編がスタートします。
主神オーディンから告げられる言葉、そして「約束の翌朝」を迎えた彼らの様子をどうぞお楽しみください!
「ソー, ロキ。お前たち二人には、『明日話すことがある』。今夜はひと先ずゆっくりと身体を休めるが良い」
主神オーディンがそう厳かに告げ、大団円で幕を閉じたあの最高の夜から、静かに一夜が明けた翌朝のことである 。
優斗、ソー、ロキの三人は、オーディン直々の呼び出しを受け、アスガルド王宮の厳格なる玉座の間へと集まっていた 。
グングニルをと重々しく構えた主神オーディンが、その隻眼に不器用な親の愛と主神の風格を滾らせて、ゆっくりと、けれど確固たる意志を込めて言葉を紡ぎ始めた 。
「真中優斗、ソー、そしてロキ。お前たちの戦い振り、しかと見届けた。──お前たちは立派に成長した。我がアスガルドを継ぐにふさわしい、真の男になったな」
ずっと張り詰めていたオーディンの厳格な顔が、見たこともないほどの優しい父親の笑顔へと融け、ソーだけでなくロキのことも「アスガルドの王子にふさわしい男」として、一王の全能を以て肯定したのだ 。
さらにオーディンはソーを見つめ、「ソー、お前はいずれ、あの我が父ボー・ブーソンをも超える偉大なる主神となるだろう」と、自らの絶対の眼識を以て、次代の王の立ち上がりをみた。
しかし、最高の全肯定を与えた直後、オーディンは静かに寂しげな息を吐き、衝撃の現実を告げたのだ 。
「……だが、成長した二人を見て、私はアスガルドの未来は明るいと確信した。神としての私の命の器は、もうそう長くは無い」
その言葉に、雷神ソーは激しく双眸を見開き、魂を震わせて絶叫した !
「な……何故ですか父上!? マレキスは滅び、母上とジェーンも無事だというのに、何故そんな寂しいことを仰るのですか……っ!?」
そのソーの叫びの横で、ロキは──言葉を失ったまま、呆然と立ち尽くしていた 。
やっと母と和解し、初めて父から本物の息子として完璧に認められた、まさにその瞬間に突きつけられた、最愛の父の余命 。
ロキの脳裏には(……嘘だ、父上。やっと、やっと私は貴方の本物の息子になれたというのに……。なぜ今まで私は、あんな愚かな反逆で、貴方との大切な時間を無駄にしてしまったんだ……っ!?)という、激しい後悔が駆け巡り、瞳をわずかに潤ませて唇を噛み締めていた 。
そのあまりの切なさに、野生の直感で優斗の「すべてを見通している静かな瞳」に気づいたソーが、震える声で問いかけた── 。
「優斗……っ、お前は、この事を知っていたのか……っ!?」
サークルアームズをそっと傍らに置き、優斗はどこか寂しげな、けれどどこまでも優しいぬくもりの笑顔を浮かべて静かに頷いた。
「……うん、知っていたよ、ソー。神としての寿命の限界は、今の僕の光ではこれ以上は上書きできないんだ」
「そんな……どうにかならないのか優斗! お前のその力で、父上を救ってくれ……っ!!」と涙を流して縋るソーに対し、オーディンが優しく厳かに割って入り、ソーの肩に不器用な主神の大きな手を置いた 。
「悲しむな、ソー、ロキ。優斗を困らせるのではない。これが宇宙の『定め』だ。……だが、私は絶望などしていない。こうしてお前たちが戦友となり、立派に成長した姿を最期に見られたことは、私にとって何物にも代えがたい『かけがえのないもの』なのだからな」
王は厳かに二人を見つめ、秘密を告げた 。
「だが、まだ私の寿命の事は、他に知っているのはお前たちの他に、すでにすべてを察しているフリッガとヘラ、そしてヘイムダル、 ここにいる真中優斗だけだからな。民や戦士たちへ余計な動揺を与えて国を混乱させてはならん。分かったな、ソー、ロキ」
余計な騒ぎを起こさず、残された時間を家族と静かに、大切に過ごしたいという父親としての最深の愛。兄弟は涙を堪えて拳を握りしめ、その言葉を血の滲むような覚悟で頷いた 。
「ソー、次代の王位はお前へ継がせたい。そしてロキ、お前には王位ではなく、ソーを支える別の重要な守護神の役割をして欲しいのだ。二人が手を取り合うことこそが、我がアスガルドの未来なのだ」
さらにオーディンは、出発を控えるソーへと向き直り、深い親の愛の宿題を告げた 。
「ソー。お前がジェーンを連れて、真中優斗と共にこのアスガルドを出発する時、その時に私への『答え』を聞く。それまでに、次代の王としての覚悟をじっくりと考えておきなさい」
──だが、王家の秘密を胸に刻み、切なくも確固たる絆を胸に玉座の間の扉を開けて廊下へ出た
「...がははは! ロキ様! 昨日フリッガ様に『明日にしませんか』と止められた、約束の訓練の時間だぞ!!」
廊下に闘志全開で待ち構えていたヴォルスタッグやファンドラル、ホーガンたちウォーリアーズ・スリーがドカドカと登場し、ロキの細い両腕をがっしりと掴み取ったのだ !
いつもなら「離せ野蛮人ども!」と本気で魔法を使って拒絶し、逃げ出していたはずのロキ。──だが、今のロキは違った 。
父上がもうすぐ消えてしまうと分かったからこそ、自分がいつまでも甘えてウジウジと後悔に塞ぎ込んでいる場合ではない。父上が安心して未来を託せるよう、アスガルドを裏から支える真の守護神としての役割を果たすのだと、その胸の奥底で確固たる『決意』を秘めていた 。
表面上は「──っ!? 待て野蛮人ども、私は今、父上から真の役割を授かったばかりで……ああっ、引っ張るな! 離せ!! 、」と、本当に嫌そうな顔をして文句を言いながらも、ロキはウォーリアーズたちの引きずる足取りに自らの足で力強くついて行ったのだった 。
その少しだけ逞しくなった弟の背中を、ソーは涙を拭って、最高の笑顔で見送った 。
廊下に残され、その後ろ姿を見つめながら、ソーはムジョルニアをそっと握り直し、一人の男としての不安を、大切な友へそっと漏らした 。
「優斗……。お前は、俺が父上のような……あの偉大なる主神オーディンのような王になれると思うか……っ?」
優斗はソーへ向けて、これ以上ないほど頼もしく、温かい最高の笑顔を向けて答えた 。
「ソー。君なら、ボーさんやオーディンさんみたいな偉大な王様に、絶対になれるさ。ううん、二人を追い越すぐらい、九つの世界で一番優しくて最高の主神になれるよ。……僕が保証する。だから、自分を信じて答えを出して」
優斗の言葉を聞いて、ソーは目を見張り、次の瞬間、涙を拭って「──がはははっ! お前がそう言ってくれるなら、俺は無敵だな!!」と、いつもの頼もしい雷神の笑顔を取り戻した 。
「よし、それじゃあロキに雷のプレゼントをしに、訓練場へ行くぞ!」
「うん、僕もいこう!」
ソーは覚悟を胸に修練場へと向かっていった。
第26話を開いていただき、ありがとうございます!
これより『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』完結後の、アスガルドでの賑やかな日常を描く幕間編がスタートします。
主神オーディンから告げられる言葉、そして「約束の翌朝」を迎えた彼らの様子をどうぞお楽しみください!
第26話をお読みいただき、本当にありがとうございました!
この後も、次なる大きなストーリーへ進む前に、アスガルドや地球での彼らの賑やかな様子を描いた『日常』を数話投稿していく予定です。
どうぞ色々と想像しながらお楽しみにお待ちいただければ幸いです!