ウルトラマンエターナル 〜神聖時間軸の守護神〜 作:マーベルウルトラ
これより『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』完結後の、アスガルドでの賑やかな日常を描く幕間。
訓練場で大騒ぎするソーたちの様子、そしてテラスで和やかに過ごす優斗たちの対比をどうぞお楽しみください!
「ソー、ロキ。お前たち二人には、『明日話すことがある』。今夜はひと先ずゆっくりと身体を休めるが良い」
主神オーディンがそう厳かに告げた翌朝、玉座の間でのあの重々しくも温かい王家最高の秘密と、次代の王への宿題が託された直後のことである 。
約束通り、訓練場へと向かう前、ジェーンに会い大広間にきた雷神ソーの頬には、これ以上ないほど綺麗で鮮烈な張り手(ビンタ)の跡が、クッキリと赤く浮かび上がっていた 。
それを見つけたヴォルスタッグやファンドラル、ホーガンたちウォーリアーズ・スリー、そしてロキが笑い声を響かせた !
「がははは! おい見ろ! ジェーンに一体どんなデリカシーのない脳筋発言をして張り倒されたのだ!? 凄まじく美しい手跡ではないか!」
「フン、相変わらず言葉選びの手加減を知らない野蛮な兄上だね。出発前から顔に名誉の負傷かい? 実に滑稽だよ」
戦士たちやロキから涙を流して怒涛の煽りを炸裂され、ソーは「
な、何だとお前たち! 俺はただ、ジェーンを大きな声で誘っただけだ……っ!」と大慌てで、最高に賑やかな様子だった。
その約束の訓練場へと場所を移してからも、アスガルドの精鋭たちと王宮の兄弟たちのじゃれ合いは沸騰していた 。
訓練場では、大斧を豪快に振り回すヴォルスタッグや流麗な剣技のファンドラルたちの猛攻に対し、父を安心させるための確固たる決意を胸の奥底に秘めたロキが、必死になりながら流石の奮闘を見せていた 。
「 誰が君たちの野蛮な大斧に大人しく当たってあげるものか!」
ロキが文句を言いながらも負けじと得意の幻影魔術や精密なルーンの罠をパパパパッ!と織り交ぜて戦い、ヴォルスタッグたちを
『おわっ!? 偽物か!?』
『ロキ様、いつの間に背後に弾き飛ばす魔術を!?』と大慌てさせる。
そこへ、頬を赤くしたまま特等席で見学していた兄ソーが、メガホンが如き大爆音の笑顔で怒涛の煽りを炸裂させた 。
「がははは! ロキ、幻影ばかり使っていないでたまにはその細い腕で大斧を受け止めてみせろ! ほら、右からヴォルスタッグが来ているぞ!」
そのうるさい外野の言葉に、魔術を紡いでいたロキが青い双眸をギロリと尖らせて、いつも通りの煽り返しを叩き込む !
「──っ、煩い兄上!! 頬に綺麗な張り手の跡をつけたデリカシーのない脳筋は、大人しくそこで自分の顔の心配でもしていろ!」
──王宮の美しい風が吹き抜けるテラスの側は、これ以上ないほど穏やかで静かなぬくもりに満ち満ちていた 。
広大なテラスの食卓の上では、優しい母フリッガが美味しそうなご飯を大鍋でコトコトと作り、それをすっかり元気になり知性を湛えたジェーンと優斗の二人が、楽しそうにお手伝いしていたのだ 。
ジェーンは医療室で厳重に護られて以来、フリッガとすっかり仲良くなり、フリッガもジェーンを気に入り、二人で楽しそうにお喋りをしながらソーの昔の可愛い失敗談などに花を咲かせることが増えていた 。
そして意外なことに、あの気高きヘラが、ミッドガルドの科学者であるジェーンの芯の強い知性をすっかり気に入り、何かと彼女のことを気にかけていたのである 。
優斗がお皿へ盛り付けをしていた、その手元の真横をピタッとキープしていたヘラ姉上は、おもむろに長い指先を伸ばすと、優斗の作っていた出来立てのご飯を横からパッとつまみ食いした !
「ふん……やはり美味いな、真中優斗」と、気高くも嬉しそうな笑顔を浮かべるヘラ。
つまみ食いしたご飯を贅沢に味わいながら、ヘラ姉上は隣にいるジェーンへとその黒い双眸を向け、気高き姉上としての風格を漂わせて言い放った 。
「──ジェーンよ。……もしそのうち、あの言葉選びの手加減を知らない『愚弟』に少しでも不敬な真似をされたり、泣かされるようなことがあれば、いつでも私に言うがいい。私が地の果てまであの脳筋を追い詰めて、その首根っこを力ずくで叩き直して、しつけてやるからな」
アスガルド最強の女神からのあまりにも頼もしすぎる最高の応援を前に、ジェーンはクスッと不敵な、けれど最高にチャーミングな笑顔を浮かべて返した 。
「ありがとう、ヘラ。でも大丈夫、さっきも私の気持ちを無視してデリカシーのないことを王宮に響き渡る大声で叫んだから、一発、完璧に綺麗な『張り手』で大人しくさせておいたわ」
「さすがは私が認めた女だ、よくやった!」とヘラが笑い声を響かせ、大鍋を混ぜていたフリッガママも「ふふ、ソーも良い人と出会えましたね」と愛おしそうに美しい目を細める、アスガルド最強の女性陣のが和やかに話していた。
その訓練場での騒がしいやり取りをテラスで聞いていた母フリッガは、うるさく弟を煽り散らしている長男ソーの元へと静かに向き直り、慈愛の最高の笑顔を浮かべてお仕置きを投げかけた 。
「ソー。貴方もロキに口出ししてないで、しっかり訓練してきなさい。ジェーンさんへのデリカシーのなさを、少しはその体から叩き直してもらうと良いわ」
ソーが「えっ……!? お、俺もか母上……っ!?」と大慌てするなか、ヘラ姉上が「 当然だ愚弟、お前は泥にまみれるのがお似合いだ、行ってこい!」と背中を蹴り飛ばし、ソーまで訓練場へと雪崩れ込んでいく。
そしてフリッガママは、泥まみれになりながらも必死に魔術を紡いでいる遠くのロキへ向けて、これ以上ないほど温かい瞳を向け、優しく、けれどテラスから響き渡るような清らかな声で語りかけたのだ 。
「──そしてロキ。その訓練が終わったら、今度は私と共に魔術をしましょう。……私の、すべての魔術を貴方に教えます。あなたはもう、立派な魔術の神なのですから」
母から紡がれたその最深の全肯定と魔術すべてを教えるという誓いに、訓練場で大斧を避けていたロキは、耳の裏まで真っ赤に染め上げながらも、胸の奥から込み上げる嬉しさをどうしても隠しきれずに瞳を優しく潤ませて、
「……はい、母上……!」と呟きながら、嬉しそうに魔術を滾らせる。
そんな最高の空気のなか、ヘラは優斗へ静かに言葉をかけた 。
「そういえば真中優斗。父上がお前を呼んでいたぞ。何やらお前と二人だけで、ゆっくりと話したいことがあるそうだ」
そのヘラの言葉に、フリッガも優しく向き直り、最高の笑顔で言葉を添えた 。
「ええ、真中さん。……オーディンが、貴方に。どうかお願いできますか?」
「うん、分かった! フリッガさん、ヘラ、行ってくるね!」
優斗はお玉をそっと置き、オーディンの待つ部屋へ静かに歩み出していった 。
廊下でソーとロキが泥まみれの訓練場へと雪崩れ込んで大騒ぎしている賑やかな残響と、絶対神が優斗へと託す次なる物語へ
第27話をお読みいただき、本当にありがとうございました!
ジェーンの放った綺麗な張り手の理由、そしてフリッガママからロキへ紡がれた「すべての魔術を教える」という至高の全肯定を描かせていただきました。
賑やかな日常の残響を背に、絶対神オーディンからの呼び出しを受けて静かに歩き出した優斗。
二人の絶対神が静まり返った部屋で一体何を語り合うのか、どうぞこれからの余韻と次なる物語へ向けて、色々と想像しながらお待ちいただければ幸いです