ウルトラマンエターナル 〜神聖時間軸の守護神〜 作:マーベルウルトラ
オーディンからの呼び出しを受けて静かな部屋へと向かった優斗 。
王の仮面を外したオーディンと優斗、5000年の時を超えた二人の神が二人きりで静かに語り合う最深の対談をどうぞお楽しみください。
廊下でソーとロキが泥まみれの訓練場へと雪崩れ込んで大騒ぎしている賑やかな日常の残響と、絶対神が優斗へと託す次なる物語への予兆──。
優斗は一人、重厚な扉を開けて主神オーディンの待つ静かな部屋へと入っていった 。
そこはきらびやかな玉座の間ではなく、静まり返った王のプライベートな執務室であった 。
扉が閉まった瞬間、廊下からの爆音のじゃれ合いはスッ……と完全に消え去り、厳かで神秘的な静寂が部屋を満たしていく 。
優斗はサークルアームズをそっと傍らに置いて優しく声をかけた 。
「オーディンさん、呼んだかい?」
すると、グングニルを傍らに置き、王の鎧を外して一人の老いた戦士の顔に戻ったオーディンが、隻眼に深いぬくもりを宿して静かに首を振った 。
「……優斗、他のものはおらん。昔みたいに『オーディン』と呼んでくれ。
──私が王の座に就く前、まだ一介の戦士だった頃にお前と並び立ち、戦った時のようにな」
それは、お互いに何度も死線を分かち合った本当の戦友にしか許されない、5000年の時を超えた距離感であった 。
二人は、オーディンがまだ血気盛んな一介の戦士として九つの世界を征服し、平和へと導いていた若き征服時代──
ヘラと共に戦場を駆けていたあの激動の日々を、静かに思い出し、懐かしんだ 。
焚き火を囲んで未来を語り合ったりした記憶は5000年経った今も二人の魂に色褪せず息づいていた 。
やがて、オーディンは優斗の細い肩に大きな不器用な手をそっと置くと、一人の父親としての震える声で、静かに、深く頭を垂れた 。
「お前に、一人の父親として心からの感謝を。お前が、その全能の光を以て、フリッガの死も、ロキの孤独な因果も先回りで完璧に護ってくれた ……何より、狂気と死に囚われ、誰も救うことができなかったヘラの魂すらも、お前は救い上げ、今こうしていれるのはお前がいてくれたからだ、我が家は壊れずに済んだのだ。……本当に、ありがとう、友よ」
厳格だった王が、優斗のぬくもりて得た、ヘラたちの救済へ最深の涙を流す。
二人の絶対神の深い信頼の共鳴に呼応するように、その瞬間、壁に掲げられていたソーの戦鎚『ムジョルニア』、やヘラの『防具』そしてロキの『魔術の短剣』が、パシィィィン……と白金色と青白い烈光を放って、誇らしげに『頼むぞ』と激しく鳴り響いた 。
持ち主である子どもたちの魂の絆と直結しているアスガルドの神の武具たちが、二人の絶対神のバトンタッチを全面的に承認するかのように、窓から差し込む朝日のなかで幾重にも誇らしげに戦神の和音を響かせる、頼もしき共鳴であった 。
そこから、オーディンは主神としての真面目な全能の眼識に戻り、本題のへと切り込んでいった。
「優斗……フリッガから聞いた。お前は大切な仲間たちを救う際、あの宇宙の彼方で滅びかけていた星へ創生の力を使用し、その星そのものに偉大なる光の核を宿して自身の星にしたそうだな 。
そしてお前たちがジェーンの生命力を吸い尽くそうとしたエーテルにより傷ついた身体を癒やすために、お前の『友の星』へと間もなく出発することは知っているが……お前たちの向かうその友の星での治療と、お前自身の持つ光の力を以てすれば、ジェーンのエーテルによって起きたことを完全に融かし消せるはずだな?」
主神オーディンだからこそ、優斗がかつて滅びゆく星を救うために振るった全能の因果の上書きを看破し、最大の敬意を捧げたのだ。
優斗はいつもの等身大の笑顔を浮かべて静かに頷いた 。
「……うん、そうだよ、オーディン。僕の星は、みんなを護るために、絆の光と温かいぬくもりで新しく作り変えたんだ、誰も傷つかない本当に優しい光の場所にするつもりだよ。
ジェーンさんも身体も友の星での治療。……僕を、そして君の息子たちの絆を信じて、安心してね」
優斗の言葉に、オーディンは隻眼から一筋の温かい涙を零しながら、そっと優斗の手をがっしりと握りしめた 。
「……そうか。それなら優斗、次の話に入ろう。ソーやロキ、ヘラたちのこれからの輝かしい行く末を、私は一人の父親として、まだまだずっとこの特等席で見届けたくなってしまったのだ。──前に、お前が私に話してくれていた、あの件を……私からも、頼んでもいいか?」
それは、今後のすべての命運を左右する約束であった 。
数年前優斗が仲間たちを守るため、優斗が神として力を【半覚醒】を遂げたことにより、かつて話していた精神的な保護だけに留まらず、あの全能のぬくもりを以て
いつか訪れる危機のその瞬間から、全てを最高の形へと完璧に引き上げ、新しく再構築までをも完璧に成し遂げられるようになった事実。
あの子たちの未来を見たいがための、オーディンの不器用で愛おしい父親としての未練 。
オーディンは静かに言葉を続けた 。
「……頼むぞ、優斗。私からフリッガとヘラには話しておく。あの子たちにはまだ、余計な動揺を与えて心配させたくはないからな」
その言葉を真っ正面から受け止め、優斗はどこまでも頼もしく、温かい最高の笑顔を浮かべてがっしりと手を握り返した 。
「うん、分かった! 頼まれたよ、オーディン。──それじゃあ、僕たちがこのアスガルドを旅立つ前に、僕らだけでしっかりと『その時』のための準備をしておこう。僕の光の回路が、いつでも君との
約束を果たせるように 」
お互いに未来のための前準備を笑顔で誓い合った後、優斗は頭を後ろに掻きながら、いつもの等身大の少年らしい悪戯っぽい笑顔を浮かべてぽつりと零した 。
「……でも、あはは。これ、全部終わったら、何も知らされてなかったソーやロキから、怒って殴られそうだね。『なぜ俺たちに黙っていたんだ!』ってさ」
その優斗の等身大の心配に対し、主神オーディンは隻眼を優しく細め、まるで困った子供たちを想う父親そのものの深い笑顔を浮かべて、静かに、嬉しそうに返した 。
「──ふ、……仕方の無いことだ。その時は真っ正面から受けてやろうではないか。……それもまた、一人の父親としての幸福というものだからな」
かつては厳格の枷に囚われていた王が、優斗と並んで「全て終わったら息子たちに殴られよう」と笑顔で快諾する。
「それとお願いがあるんだこれに加護を与えてくれほしい」と優斗はこの数ヶ月で友や知り合いに様々な力や魔術を掛けてもらった白銀の魔術衣やバナーに渡す無色の魔術衣をオーディンに渡し。
「オーディン、フリッガとヘラにも頼めるかな」
「そういう事ならフリッガ達も喜んで与えるだろう、ロキも魔術の神として成長した共にやらせるかソーにも一人だけ何もないと彼奴は凹むから何か考えておくか」
二人の絶対神が静まり返った部屋で、未来の奇跡のための極秘のバトンをガッシリと交わし合い、次なる多次元宇宙の輝かしい因果へ向けて余韻を遺して幕を閉じるのだった──
第28話をお読みいただき、本当にありがとうございました!
一介の戦士だった5000年前の距離感で語らう思い出話から、家族を救い上げてくれたことへのオーディンの感謝 。そして二人の神の間で交わされた、未来の奇跡のための約束を描かせていただきました 。
このバトンが次なる物語へ向けてどのような因果を紡ぎ出すのか、どうぞこれからの余韻とともに色々と想像しながらお待ちいただければ幸いです!