ウルトラマンエターナル 〜神聖時間軸の守護神〜 作:マーベルウルトラ
次なる王としての覚悟の「答え」を告げるソー、そしてアスガルドの大空を優斗が連れて来る巨大宇宙船の凱旋をどうぞお楽しみください!
「明日だな、ジェーン」
「ええそうね」
ソーとジェーンが星々が美しく瞬く夜のテラスで最高の旅立ちへの約束を交わし、オーディン家族全員で優斗の魔術衣への最深の加護を込め終えた、あの最高の夜から静かに一夜が明けた翌朝のことである。
いよいよ出発の朝を迎え、アスガルド王宮の大広間には、主神オーディン、王妃フリッガ、ヘラ、ロキ、そしてジェーンの全員が厳かに立ち並んでいた。
ソーは腰に携えたムジョルニアをがっしりと握りしめ、オーディンの隻眼を真っ正面から見据えて、一人の大人の男としての、そして次代を背負う王としての揺るぎない「答え」を力強く告げた。
「父上。優斗の『友の星』でジェーンの治療を一通り終えたら─ジェーンをミッドガルドに連れて帰る間、俺はこの世界を旅をしたいと思います。
ただ玉座を拒むのではありません。父上を超える立派な王になるため、世界を見て学び、その器を磨きたいのです。どうですか、父上」
それは、父の余命が短いという過酷な宿命(定め)を知ったからこそ、ソーが一人の大人の男として、真の統治者として至りついた最高の覚悟であった。
そのあまりにも逞しく頼もしく成長した長男の言葉に、グングニルを重々しく構え直した主神オーディンは、その隻眼にこれまでの厳格の枷をすべて溶かすほどの深いぬくもりと、一人の父親としての熱い涙を浮かべ、がははと頼もしく笑って我が子の背中を真っ正面から押し出した。
「─行ってこい、ソー。
私も若い頃は世界を見てきた。お前にも、きっと良い出会いが沢山出来るだろう。お前はもう、ただ力を振るうだけの戦士ではない。未来を統べるにふさわしい、真の王の器だ」
かつて一介の戦士として優斗と共に世界を駆け、救われたオーディンだからこそ言える、父親としての最高のエール。
王としての覚悟を認められたソーは、続いて隣に立つ弟の元へ歩み寄ると、その細い肩をがっしりとアームで抱き寄せた。
「ロキ。俺が居ない間アスガルドを頼むぞ。お前が王の代理だ」
ずっと歪んだ嫉妬と孤独の過負荷を抱え、不当に王座を欲していたはずのロキに対し、兄から本物の信頼を以て授けられた王座。
ロキはあまりの幸福に嬉しくしながらも不敵に煽り返した。
「……フン、兄上いいのか? 私を王の代理になどして……私がこのまま、兄上の代わりにアスガルドの王座を本当に奪いとってしまうぞ?」
それに対してソーが、
「がはははっ! お前がその精密な魔術で国を護ってくれるなら、俺は安心して旅に出られるというものだ! 取れるものなら取ってみるが良い、弟よ!!」
と笑顔を浮かべてロキの背中をバン!と力ずくで叩き、ロキが「痛いっ!? 離せ何度言えば分かるんだ、私は精密な魔術の神だと言っているだろう!」
と本当に嫌そうにしていた。
弟のさらに成長した姿を見たをソーは、再び父親へと向き直り、胸に秘めていた最大の疑問を問いかけた。
「ですが父上、もう一つお聞きしたいことがあります。俺はミッドガルドでの最終決戦の際、ムジョルニアを持たぬ左手からも、己の身体そのものからあの鋭く澄み切った青白い雷が放たれたのです。……何故、俺の身体から雷が出るようになったのですか?」
そのソーの真剣な問いに、オーディンは低く、愛おしそうに笑って言い放った。
「ソーよ。お前は雷の神か? それとも、そのハンマーの神なのか?
──あのムジョルニアはお前の強大すぎる力を制御し、集中させるための道具に過ぎん。お前の真の神としての雷の力は、最初からお前自身のその肉体の中に宿っていたのだ。
お前が真の戦友を信じ、人のために戦う意志を全開放したからこそ、その真の力が半覚醒したのだ。誇るが良い, 我が息子よ」
オーディンはさらにその隻眼に果てしない期待を滾らせて、重々しく最高の言葉を重ねた。
「──ソー、勘違いするな。今のまばゆい雷の姿とて、お前はまだ、その真の力を半分も引き出せておらんのだ。
お前がこれから世界を巡る旅に出てさらに成長し、我がアスガルドだけでなく、九つの世界を統べるにふさわしい真の男となったとき──お前自身のその身体に眠るすべての力が、本当の意味で覚醒することだろう」
「半分、……俺には、まだそれほどの力が眠っているのか……っ!」
ソーが自身眠っている力に魂を震わせるなか、
王妃フリッガがこれ以上ないほど優しい最高の笑顔を浮かべて「ふふ、貴方ならやれますよ、ソー」と信頼を告げ、ヘラも誇らしげに、けれどいつも通りツンとした顔のまま鼻をフッと鳴らして「ふん、私の弟ならそれくらい当然だ」と澄ましてみせる。
ロキが、少し卑屈そうにしながらも。
「──フン、兄上。私は真の魔術の神となったのです。兄上がただのハンマーの神のままでは、私としても全く張り合いがありませんからね」
「がはははっ! 言うようになったではないかロキ! よし、最高の神になってやる!」
ソーが笑顔を見せ、語り合っていた上空で、
アスガルドの清らかな大空がパシィィィン……と白金色の創生光の粒子で美しく染まり上がり、雲の彼方から、凄まじい大音響が王宮中へと轟き渡った。
現れたのは、雲を割り、アスガルドの大空を覆い尽くさんばかりに巨大な、清らかな白銀のラインが走る美しき宇宙船であった。
それは、優斗が自身の星を開拓する際、そのお祝いとの絆の証として、優斗に恩ある『友の星』から優斗へと贈られた特製の超高性能宇宙船であった。アスガルドの広大な曇り空さえも真っ白な白銀の機体の圧倒的な姿に、王宮中の兵士たちが一斉に息を呑んで空を見上げる。
そして、その巨大な白銀の宇宙船のまさに『先頭』を、全身からまばゆい白金色の創生光をパシィィィン!と激しく迸らせながら、自ら先導して大空を優雅に、そして力強く飛んで帰ってきたのは──優斗であった。
光の巨神として背後の巨大宇宙船と共に纏いながら、優斗は大空からスッと大広場へと真っ直ぐに舞い降り、全員へ向けて最高の笑顔を浮かべて大きく手を振った。
「みんな、お待たせ! 約束通り、とっても大きな宇宙船を連れて戻ってきたよ!」
「お帰り、優斗」
出発の準備を整えて待っていたソーやロキたちが笑顔で出迎えるなか、前夜に王家全員とジェーンの手によって、地球の友人たちの既存の加護の上からさらにアスガルドとしての最高峰の力が上書きされた【白銀の魔術衣】と、地球のブルース・バナーへと手渡すための【無色の魔術衣】が優斗へと優しく手渡された。
服を受け取った優斗は、その瞬間、衣服から溢れ出すオーディンの金色神威、フリッガとロキの緑色のルーン魔術回路、姉上の黒銀の生気、 一人だけすることが無く凹まなかったソーの満足げな最高の笑顔と共に放たれた澄み切った青白い雷──
それらのすべてが完璧に調和した『力』の凄まじさに、驚いて子供のように目を丸くした。
「わぁ、凄い……っ! 、アスガルドの最高の力が宿っているよ……! みんな、本当に、本当にありがとう!」
心の底から嬉しそうに感謝を告げる優斗の等身大の少年らしい姿に、王宮全体がこれ以上ないほど温かい絆の空気に包まれていく。
ソーも、オーディンパパが陰でこっそり考えておいてくれた、自分だけ仲間外れにされて凹まないための『特別な加護のお土産』をその身に宿し、
「がははは! 見ろ優斗、俺の力も完璧に仕込まれているぞ!」と、大満足の最高の笑顔を浮かべて鼻を高くしていた。ロキも「フン、相変わらず騒々しい兄上だね」と呆れつつも、その口元には嬉しそうな微笑みが浮かんでいる。
「よし、それじゃあ出発しようか!」
優斗のその言葉を合図に、すべての準備を完璧にホールド完了した彼らは、白銀の特製宇宙船へとタラップを上がっていった。
ソーは愛しいジェーンの手を優しくエスコートし、ウォーリアーズ・スリーや精鋭たちが、胸を張って船内へと堂々と乗り込んでいく。
地上からそれを見守る主神オーディン、王妃フリッガ、ヘラとロキたち家族の、どこまでも愛おしそうな見送りの瞳をその背に受けながら、やがて重厚なハッチが静かに閉じられた。
──ゴゥゥゥゥンッ!!!
特製の巨大な宇宙船は、重低音を響かせながらアスガルドの大気圏をパシィィィン!と鋭くブチ抜いて大発進を果たした。
船の窓の彼方に広がるのは、どこまでも美しく広大な、まだ見ぬ星々。
その先で待っている、宇宙最高峰の医療技術と、光の癒やし(ウルトラヒーリング)の力を持った彼女が待つ、あの約束の『友の星』へと向けて。
第30話をお読みいただき、本当にありがとうございました!
この後は、次なる地球での『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』へと進む前に、この作品独自の完全オリジナル編を数話投稿していく予定です!
どうぞこれからのソーの宇宙の航海、 独自のオリジナル編への期待を、色々と想像しながらお楽しみにお待ちいただければ幸いです!