ウルトラマンエターナル 〜神聖時間軸の守護神〜 作:マーベルウルトラ
ジェーンの治療が静かに見守られるなか、待合室での優斗とソーの真剣な会話、そして優斗の幼少期の原点 。
後半のライラやロケットたちの医療シーンをどうぞお楽しみください !
美しさを湛えたノヴァ軍医療施設の重厚な扉の向こうで、カワウソのライラたちアニマルファミリーと、ザンダー星の優秀な医師たちによるジェーンへのウルトラヒーリング(光の癒やし)の治療が、静かに開始された。
ジェーンのエーテルの過負荷を完璧に消し去るための大切な医療を見守るため、ソー、優斗、そしてウォーリアーズ・スリー達アスガルドの精鋭たちは、何よりも大切な彼女が良くなって笑顔で病室から出てくるその瞬間まで、全員で待合室に寄り添い、お腹の底から静かに祈りながらじっと待つことに決めていた。
近未来的な白銀の待合室のベンチに、ソーと優斗は並んでそっと腰掛けた 。
ソーは腰のムジョルニアをそっと傍らの床へと置き、一人の頼もしい大人の男としての、けれど友である優斗にしか見せない飾らない等身大の表情を浮かべて、静かに、率直な本音をぽつりと語り出した 。
「優斗……世界は本当に、本当に広いんだな。さっき停留所で見た多種多様な宇宙の姿は、9つの世界しか知らなかった俺の胸に深く突き刺さった。父上を超える立派な王(主神)になるため、俺もこの広大な世界の世界を自らの足で旅したいのだ。
だが……俺は船を操縦する腕も、どうやって旅をしていいかも分からんのだ。頼む、教えてくれ、優斗」
それは、アスガルドという恵まれた神の世界でただ力を振るう戦士として生きてきたソーが、自らの未熟さを素直に認めて「世界を教えてくれ」と、次代を背負う王子として頭を下げた。
そのソーのどこまでも誠実で真剣な言葉を真っ正面から受け止め、漆優斗はどこまでも頼もしく、温かい最高の笑顔を浮かべて力強く大きく頷いた 。
「うん、分かった! 喜んで教えるね、ソー。
船のことも航路のことも、全部僕に任せてよ! さっき宇宙船停留所(ポート)に僕たちの船が着地したとき、『肌が真っ青な宇宙人の知り合い』が丁度そこにいたのを見かけたんだ。彼にソーが旅立つための最高の船の手配や、おすすめの安全な大宇宙航路のことを詳しく聞いてみるね。本当だったら、この星の最高統治者である『ノヴァ』がその場にいれば一番話が早かったんだけど……今回はあいにく遠方の留守でいなかったからさ!」
優斗はそこまで一気に言ってから、お茶目に少し苦笑いをして、ソーの隣でいたずらっぽく微笑んだ 。
「──でもソー、動き出すのはジェーンさんの治療が終わってからで大丈夫。
最高の船を手配して旅に出るその前に、まずはすっかり元気になったジェーンさんと一緒に、このザンダー星の街をたくさん楽しんでいってよ! 普段は見られない面白いものが、ここにはたくさんあるからさ!」
その優斗の最高の提案に、ソーは驚き、それからお腹の底から嬉しそうにがはははと声をあげて笑った 。
「がははは! 流石は俺の友だ! お前の言う通りだな。ジェーンが元気になったら、二人でこの広大な異星の街をたくさん巡ってみるぞ!」
未来の輝かしい約束を交わし、ふっと待合室に穏やかで静かな沈黙が流れたその時であった 。
ソーは隣で微笑む優斗の穏やかな横顔を見つめ、どこまでも誠実な、友への興味を込めて、優しく、重々しく問いかけた 。
「……優斗。ジェーンを待っている間に、お前の昔のことを聞かせてくれないか。お前が神としての力を宿して──まだ幼く、お前の大切な家族や、お前を育ててくれた師匠たちと共に暮らしていた頃の、お前の原点の物語を。俺は、俺の大切な友のことをもっと深く知りたいのだ」
そのソーの真っ直ぐな言葉に、優斗は少し驚いて丸く大きな瞳をパチクリとさせたあと、どこまでも愛おしそうに、ふんわりと心が温まるような最高の笑顔を浮かべて静かに頷いた 。
「うん、良いよソー君。僕がまだ本当に小さかった頃ね──」
そこから優斗の口からぽつりぽつりと語られたのは、地球で自分をどこまでも過保護に愛してくれた優しい両親との温かい日々の思い出、そして、優斗に温かさや、誰かを護るために戦う意志をその背中で教えてくれた、不器用で、どこまでも強くて優しい大好きな師匠たちと一緒に笑い合って暮らしていた、あの暖炉のように温かい幼少期の日々の昔話であった 。
ソーはその優斗の話を、一言も聞き漏らさぬように深く深く頷きながら静かに聞き入り、少し離れたソファーから見守っていたウォーリアーズ・スリー達も「……その様な戦士達がいるとは俺達もあってみたいものだ」と言っていた。
二人の神が並んで座る背中に、静かに、けれど確実にジェーンの未来を繋ぎ止める時間が待つなか、やがて運命の医療室の重厚の向こうでは、ザンダー星の優秀な科学者やノヴァ軍お抱えの医師たち、そして優斗にに救われたオリジナル・ファミリーたち全員による完璧な医療が行われていた 。
ライラがウルトラヒーリング(光の癒やし)の優しい極彩色の光をその手に灯し、フロアがウルトラ念力で最新の医療器具をフワフワと空中へ浮かべて手際よく準備を整え、ティーフスがウルトラバリアの清らかな絶対防衛障壁をパシィィィンと展開して完璧な衛生環境をホールドする 。
さらにロケットが自作の特殊銃からウルトラ光線の出力をピピピッとミリ単位の精度で調整し、医師たちと息を合わせて眩い光の癒やしの波長をカプセルへと優しく注ぎ込んでいく 。
ジェーンの生命力を吸い尽くそうとしていたエーテルの過負荷が、極彩色の清らかな光のなかで跡形もなく完璧に融かされ、癒やされていく空間がそこには確かに広がっていた 。
治療を完璧に終え、待合室の優斗やソーたちの前へ戻ってきた一同 。
そのあまりにも驚異的な光の技や技術の数々に雷神ソーや戦士たちが度肝を抜かれていると、工具を持ったロケットがニヤニヤと自慢げにフサフサの胸を張って言い放った 。
「──へっ! 驚いたかよマッチョの神様! この力はなぁ、優斗が昔、俺たちをあの地獄から救い出してくれた時にくれたんだぜ! なぁ、お前ら!」
「そうだよ! 優斗がくれた!」
「僕たちのたいせつなもの!」
機械の義体から、優斗の光によって元通りの頑丈で健康的なフサフサの体を取り戻したフロアとティーフスが、嬉しそうに声を弾ませて笑い合う。
さらにライラも、優しい瞳を向けて愛おしそうに優斗を見つめながら微笑んだ
。
「ええ……私たちの、とっても、とっても大切な宝物よ」
そのファミリーの言葉に、優斗はどこまでも嬉しそうに最高の笑顔を浮かべて大きく頷いた 。
「あはは、みんな、しっかり使えるようになってきたね! 特にライラは、ウルトラヒーリングを僕よりずっと使いこなしてるよ。最近はノヴァ軍の兵士たちにも、たくさん頼まれたりしてるんでしょ?」
そして、治療が完璧に終わり、病室の清潔なベッドで優しく目を覚ましたジェーンの元へ、ライラたちが嬉しそうに駆け寄った 。
ライラは清らかな声で、驚きに目を細めるジェーンへ優しく語りかけた 。
「もう大丈夫よ、ジェーン。これで心配ないわ。でも……治療で体力も使っているし、念のために数日はこの病室でゆっくりと過ごしてくれるかしら?」
ジェーンが「ええ、ありがとうライラ」とすっかり顔色の良くなった最高の笑顔を浮かべるなか、ライラは付き添っていた雷神ソーへ向かって悪戯っぽく微笑んでみせた 。
「──それからソー、貴方もジェーンが心配なら、一緒にこの病室に泊まってもいいわよ。どうする?」
それに対し、ソーは一人の男として、愛しい彼女を特等席で護るため、胸を張って力強く即答宣言を叩き込んだ !
「おお……っ! それなら俺も一緒にいるぞ! ジェーンがここで休む間、俺がずっと思いの丈を込めて隣で護ってやるからな!」
ジェーンが「ふふ、ありがとうソー」と照れくさそうに微笑み合い、二人の愛が病室を温かく満たしていく 。
付き添いを決めたソーは、一人の大人の男として、次代を背負う王として、大切なジェーンを全力で救ってくれた小さな英雄たちの元へ歩み寄ると、がっしりと頭を垂れて誠実な感謝を告げた 。
「ライラ、ロケット、ティーフス、フロア。お前たちのおかげでジェーンは助かった。……心からの礼を言う、本当にありがとう」
ソーは、ニヤニヤと工具をいじっていたロケットの真ん前へドカッと腰を落とすと、床のムジョルニアを指差して最高の笑顔を浮かべた!
「それからロケット、お前に一つ提案がある。さっきはムジョルニアを持ち上げられなかったが、これはジェーンを全力で助けてくれた礼だ。──俺がこの星にいる間は、お前がそのすべてを使って、このムジョルニアを好きなだけ調べていいぞ!」
これにはロケットも、顎が外れるほど目を丸くして大喜びした !
「あぁ!? ……マジかよマッチョの神様! 最高の神じゃねえか!! お前、後から返せって言っても絶対にナシだからな!!」
さっそく自慢の工具やスキャナーを持って、ハンマーの周りでワイワイと少年さながらに目を輝かせ始めるロケット。
「それと俺はマッチョの神ではない。雷の神だ!」
「 それじゃあソー、ジェーンさんが数日して元気に病室から出たら、まずはさっき約束した通り、二人でこのザンダー星の街を思いっきり楽しんできてよ!
アスガルドや地球では絶対に見られない面白いものがたくさんあるからさ。──その間に、さっき言ってた『肌が真っ青な宇宙人の知り合い』のところには、僕から先に少し話を通しておくからさ!」
「船の手配や難しい段取りは全部僕が裏で先に済ませておくから、二人は何も気にせず、異星のデートを楽しんでおいで」という。
その優斗の言葉に、ソーもジェーンも、最高の笑顔で頷き返すのだった 。
ソーや戦士たちが医務室の前でジェーンのことを祈りながら治療を待っていたあの静けさはどこへやら、病室には未来への温かい光が満ちていた。
ソーとジェーンの愛おしいザンダー星デート、そしてその裏で優斗が「肌が真っ青な宇宙人の知り合い」の元へと一人で動き出す次へと幕を閉じるのだった── 。
第32話をお読みいただき、本当にありがとうございました!
機械の義体から健康な体へフサフサに救われたロケットたちアニマルファミリーが、それぞれの「ウルトラ特殊能力」を誇らしく使いこなしてジェーンを癒やす、救済を描かせていただきました 。
ムジョルニアの解析許可をもらったロケットの喜び。
ジェーンも無事に完全復活を果たし、この後は数日の日常、そして優斗が裏で動き出すオリジナル展開が続きます。
二人がザンダー星の街でどんなものに出会うのか、そして優斗が真っ青な宇宙人の元でどんな船を手配するのか、どうぞこれからの余韻とともに色々と想像しながらお楽しみにお待ちください !