ウルトラマンエターナル 〜神聖時間軸の守護神〜 作:マーベルウルトラ
フューリー長官の元へと無傷のコールソンを送り届け、破壊された隔壁の隙間からダイブした真中優斗は、漆黒のタクティカル・ジャケットを暴風に激しく羽ばたかせながら、マッハの速度で地表へと真っ逆さまに滑空していた 。
彼の額の奥がキラッと眩しく閃光を放ち、ウルトラ念力で飛んでいきガッツスパークレンスの誘導線がマゼンタピンクの美しくも強大な残光となって空に長い尾を引く 。
(……見つけた! 二人の力の波長が、あそこで激しくぶつかり合っている……!)
優斗のエタニティコアのエネルギーが捉えたのは、ヘリキャリアから切り離されて落下した、はるか遠くの地方にある無人の巨大な工場跡地の地表だった 。
激突破の凄まじいクレーターの中心で、理性を完全に喪失した憤怒の化身――ハルクと、アスガルドの雷神ソーが、周囲の巨大な鉄骨やコンクリートの壁を砂塵へと変えながら、凄まじい地響きと共に激しい肉弾戦を繰り広げていたのだ 。
「バナー、目を覚ませ! 敵は我々ではない!敵は他に居る!」
ソーが魂を震わせるように叫び、青白い雷を纏った剛腕を上空から振り下ろす 。
対するハルクも、大地を根底から爆砕するほどの凄まじい質量を誇る、寂しい怒りに満ちた巨拳を真っ向から突き出した 。
神々の最強の一撃と、怒れる怪物の拳が正面から激突し、この工場跡地ごと周囲数マイルが木っ端微塵に吹き飛ぶかと思われた――まさにその時 。
ドゴォォォォン!!!
凄まじい衝撃波と共に、上空から超高速でソー達の元へと降り立った優斗が、二人の激突のド真ん中へと生身のまま割って入った 。
優斗はウルトラマンゼット直伝の『絶対に膝をつかない熱血根性』を穏やかに燃え上がらせると同時に、ウルトラマンリブットから直伝された至高のいなし――生身のままで展開する『ストロング・リブットバリア』の滑らかな円の軌道を大起動させた 。
左右から容赦なく突き出されたハルクの狂暴な巨拳とソーの雷のハンマーに対し、優斗はその恐るべき破壊のベクトルを柔らかな円の動きで空間ごと綺麗に受け流し、両手のひらだけでガシィッ!!!と真っ向から素手で完璧に受け止めたのだ 。
バチバチバチィィッ!!!と、ソーのハンマーから放たれた強烈なアスガルドの稲妻が優斗の腕を伝い、全身の白銀の細胞を激しく打つ 。
そして同時に、ハルクの拳から伝わってくる、世界そのものを呪うかのような底知れぬ怒りの力 。優斗はその強烈な二つの波長を至近距離で凝視し、心の中で優しく呟いた 。
(……あ、この雷……すごく綺麗だ。むかし別の土地で、ちょっかいをかけてきた“全能を自称する荒ぶる雷の老人”の傲慢な稲妻なんかよりも、ソーさん、あなたの雷の方がずっと優しくて、まっすぐだ……。あなたはこれから、あの老人なんかよりも、ずっとずっと強くなりますよ……!)
(……それに、ハルク……。そっか。君は悲しみや、やり場のない怒りの感情をそのまま自分の『力』に変えて戦っているんだね……。それは、すごく心が痛くて、寂しいことだよ……)
かつて放浪の旅の最中、天空の都市で出会った雷の老人を完璧に返り討ちにして大泣きさせた日の一幕をフラッシュバックさせながらも ,
優斗の瞳にはハルクの無限の孤独への深い慈愛と、ソーの秘めた不屈のポテンシャルへの温かいリスペクトの光が宿る 。
「なんて力だ……!」
ソーが息を呑み、驚愕にその双眸を見張るハルクがどれほど凄まじい腕力を込めて押し込もうとも、漆黒のタクティカル・ジャケットを纏った地球の少年の身体は、リブットの絶妙ないなしの技術によって1ミリたりとも後退しない 。
生身の滑らかないなしと地球やアスガルド人を超越した剛力だけで、二大巨頭の怪力を力ずくでピタリと停止させてみせたのだ 。
「ソーさん、少しだけ下がっていてください。……バナーさん、もう大丈夫ですよ」
優斗は優しくソーを後方へ下がらせると、怒りでなおも咆哮を上げようとするハルクの大きな緑の頭へと、そっと生身の右手をかざした 。
「今度こそ、心を落ち着けてください……! 『フルムーン・エタニティ』!」
優斗はハルクの前に静かに立ち、そっとその胸元へ向けて右手をかざした 。その刹那、優斗の手のひらから、コスモス直伝の絶対浄化の光流が、これ以上ないほど温かい波紋となって暖かく放たれた 。
ヘリキャリアの中では、ロキの持つセプター(テッセラクト)が至近距離にあったため、ストーンの冷徹な精神操作の術式に光を阻まれ無効化されてしまった 。
だが――ロキの檻から物理的に何マイルも距離が離れたこの『地上』においては、ストーンの精神呪縛の出力は大幅に減衰している 。
「……っ、ぁ、あう……」
優斗の放った純粋な調和の光流は、今度は何にも遮られることなく、ハルクの身体へと100%完璧に染み渡っていった 。
テッセラクトが植え付けた底知れぬ狂気と、彼の中に渦巻いていた寂しい怒りの感情のすべてが、優斗の手のひらから放たれる波動によって優しく包み込まれ、みるみるうちに美しく、跡形もなく浄化されていく 。
ハルクの血走っていた目がふっと穏やかな輝きを取り戻し、狂暴な咆哮が、静かな、深い安堵の息へと変わる 。
ソーが息を呑んで見守る中、ハルクの巨躯はまばゆい光の粒子に包まれながら、静かに、元のブルース・バナーの姿へと戻っていった 。
「……う、ううん……僕は、一体……」
バナーは荒れ果てた冷たい土の上で、衣服を大きく破られた姿のまま、眩しそうに目を擦りながら起き上がった 。
ヘリキャリアの時のように途方に暮れることなく、その心は今、かつてないほどの深い平穏に満たされていた 。
優斗は旅立つ時に見た父親を思い浮かべるような温かい最高のスマイルを浮かべると、とある神々が力を施して仕立て直してくれた、
あの漆黒のタクティカル・ジャケットを自身の肩からそっと脱ぎ、寒そうに身をすくめるバナーの肩へと優しくかけてあげた 。
「バナーさん、お疲れ様です。もう大丈夫ですからね。ゆっくり服を着てください」
そう言い優斗がバナーに服を渡すと、突然服がサイズを変え優斗の大きさからバナーが着れる大きさへと変わっていった。
「……あ、ありがとう、真中くん……。君の光が、僕を、あの怪物から救ってくれたんだね……凄いねこの服」
バナーは目元に温かい涙を浮かべ、優斗から差し伸べられた手を握って力強く立ち上がった 。
その肌を包み込むタクティカル・ジャケットからは、とある神々の加護と優斗の光のぬくもりが優しく伝わっていた 。
「真中優斗……お前という男は、一体どれほどの力を秘めているのだ。我らアスガルドの神々を力ずくで止め、あの緑の怪物を一瞬でなだめるとは……有り得ん」ソーが驚嘆のセリフを漏らしながら、我が身のように信頼するムジョルニアを握り直す 。
そのハンマーの柄からは、先ほど優斗が放った『フルムーン・エタニティ』の光に呼応するように、再びドクドクと、実家の親のぬくもりのような熱い共鳴が伝わっていたが、ソーはまだその理由に首を傾げることしかできなかった 。
優斗は二人の無事を確認すると、空を見上げ、その瞳に鋭い決意の光を宿した 。
その時、優斗のガッツスパークレンスが、遥か彼方の空から轟く強大な時空の歪みを検知した 。
地球のニューヨークの街の上空で、ロキの手によってテッセラクト(四次元キューブ)が本格起動させられたのだ 。
空間が引き裂かれ、異次元の侵略者チタウリの全軍が地球へと降り注ぐ、神聖時間軸の激動の始まりだった 。
「ソーさん、バナーさん。テッセラクトの力は凄まじいけれど……トニーさんたちもきっと、ニューヨークで待っています。みんなの笑顔を守るために、僕たちも今から行きましょう!」
「異論はない! 地球の戦士よ、我が雷と共に参ろうぞ!」
「……僕も、今度は逃げずに戦うよ、真中くん」
二人が力強く頷き、決戦の地へ向けて動き出そうとしたその時、優斗はふと何かに気づいたように足を止め、穏やかに二人に語りかけた 。
「あ、すみません……。二人は一足先に、ニューヨークのトニーさんたちの元へ向かっていてくれますか? 僕は、とある場所にいる古い友人に、少し大切な頼み事をしてから、すぐに追いかけますから」
「古い友人に頼み事、だと……? なぜ我らと共に飛ばぬのだ」
ソーが眉をひそめ、不服そうに問い詰める 。優斗はいつもの安心させるような優しい最高のスマイルを浮かべ、静かに理由を説明した 。
「その友人がいる場所は、とても強固な『次元の防御結界』で護られていて、今の僕では、自分の身体一つをすり抜けさせて跳躍するのが限界なんです」
「ならばその不審な結界とやら、我がムジョルニアの雷で撃ち破って共に進めばよかろう!」
ソーが豪快に笑い、ハンマーをバチバチと鳴らす。しかし、優斗はどこまでも穏やかに、けれど芯の通った強い瞳で、きっぱりとソーの言葉を遮った 。
「ダメです。そんなことをしたら、その凄まじい衝撃で、地球の皆さんに甚大な危害が及んでしまいます。……僕が守りたいのは、地球の皆の笑顔ですから」
「う、む……」
少年の優しくも、神の威厳すら圧倒するような絶対の「優しさの拒絶」に、ソーは思わず息を呑み、圧されて言葉を失った 。
そこへ、隣にいたバナーがそっとソーの腕を掴んで引き留める 。「
……おとなしく真中くんの言葉を信じよう、ソー。彼のあの常識外れの力と、何より地球の人間を傷つけたくないという強い思いを、君も今ここで直接感じたはずだ。僕たちが無理についていくのはよくない。僕たちは先に行こう」
「……フッ、分かった、お前を信じよう。だが遅れるなよ、真中優斗! バナー、行くぞ! 我らの力を見せてくれる!」
「ああ、行こう。……真中くん、後でね」
ソーはムジョルニアを回転させて大空へと飛び立ち、バナーもまた、神々の力が込められた優斗のタクティカル・ジャケットを大切に羽織りながら、工場の敷地内に置かれていた古いバイクへと跨がり、ここから遠く離れたニューヨークの本戦へと一足先にアセンブル急行していった 。
二人を見送った優斗は、再びマゼンタピンクの誘導線を纏って跳躍した 。
彼が向かうのは、ここから遥か彼方、侵略の戦火が始まろうとしているニューヨークの片隅にひっそりと佇む、世界の次元を守る魔術師たちの聖域 。
そこにいる、かつての過酷な多次元放浪期に出会った『古い友人』の元へ、大切な地球の人々の笑顔を守るための結界の儀を願い、優斗は自身の身体を空間の隙間へと滑り込ませ、神速で空を駆けるのだった 。
第4話をお読みいただき、本当にありがとうございました!リブット直伝のいなし技能、そしてバナーさんを包み込む神々のタクティカル・ジャケットのぬくもりを描かせていただきました。二人と別れ、優斗が向かう『古い友人』のいる聖域――。これから始まるニューヨーク地上決戦でどのような神話が紡がれるのか、どうぞお楽しみに!もしかしたらもう一話投稿するかもしれません。平日の投稿は多分出来ないと思います。出来たらします。