ウルトラマンエターナル 〜神聖時間軸の守護神〜 作:マーベルウルトラ
作戦室のフューリー長官の元へと無傷のコールソンを送り届け、破壊されたヘリキャリアの隔壁からダイブした真中優斗
はるか遠くの地方にある工場跡地にて、激突する憤怒の化系――ハルクとアスガルドの雷神ソーの猛攻を生身のまま完璧にいなし、調和してみせた。
そして、とある神々が力を施して仕立て直してくれた大切な一着きりのタクティカル・ジャケットを寒さに身をすくめるバナーさんへと優しく貸し与え、一足先に古いバイクや飛行でニューヨークの本戦へとアセンブル急行していった二人の背中を見送った優斗は、再び地を蹴り、マゼンタピンクの美しくも強大な誘導線を大空へと爆発させていた 。
彼が向かうのは、まさに今ロキの手によって地球侵略の凄まじい戦火が始まろうとしている大都会ニューヨークのただ中だった 。
キィィィン……ッ!
マッハの速度で空を切り裂き、瞬く間に摩天楼のビル群の狭間へと滑空した優斗は、喧騒から切り離されるようにひっそりと佇む世界の次元の聖域
――ニューヨーク・サンクタムの屋上へと、マゼンタピンクの光の粒子と共に人間の姿のまま音もなく舞い降りた 。
本来なら、カマー・タージの至高の魔術によって幾重にも張られた世界最高峰の『次元の防御結界』が、許可なき侵入者をミリ単位で剪定し、塵すら残さず爆殺するはずの絶対の領域 。
そこを優斗は、今の身体では少し時間がかかったがエタニティコアのエネルギーを滑らかにコントロールし、自身の身体一つを空間の隙間へと滑り込ませるスフィアの能力で、結界に警報(アラート)一つ鳴らさず、無傷で完璧にすりぬけてみせたのだ 。
サンクタムの屋上から降り立った優斗の前に、侵入者を検知した二人の熟練の魔術師が、凄まじい殺気と魔力を放って飛び出してきた 。
カマー・タージの高潔な魔術師――モルド 。
そして、サンクタムの書庫の守護者であり精鋭のウォンである 。
二人は優斗の姿を捉えた瞬間、両手からバチバチと鮮やかな橙色の火花を散らせ、幾何学模様が整った光の法陣(エルドリッチ・ライト)を瞬時に大起動させた 。
モルドが空間そのものを引き裂くような魔術の光の鞭を容赦なく振り下ろす 。
ピシィィィッ!
と激しい風切り音と共に空気を焦がす火花が優斗の眼前に迫り、同時にウォンが全方位から優斗の肉体を圧殺せんと、巨大な光の盾の法陣を強烈な魔力の波動と共に撃ち出してきた
並の人間、いや並の異星人の軍勢であっても一瞬で消し飛ぶカマー・タージの容赦のない複合猛攻 。
その絶対的な熟練の魔術師達の猛攻を前にしながらも―― 。
優斗は父親譲りのどこまでも穏やかなスマイルを浮かべたまま、一歩も動くことなく、ただウルトラマンリブットから直伝された至高のいなし手と体重移動の技能をふっと滑らかに発動させた 。
ヒュッ、
優斗は、襲いかかってきたモルドの光の鞭の軌道をミリ単位で見切り、まるで最初からそこに攻撃など存在しなかったかのように、流れるような円の軌道のステップだけで、着ていたインナーを1ミリも掠らせずに完璧に全回避してみせた 。
パリン!
さらに、ウォンが放った光の法陣の凄まじい圧力を、生身の手のひらで空間の波長ごとふんわりと横へ受け流し、何事もなかったかのように虚空へと優しく霧散させてみせたのだ 。
「ば、馬鹿な……っ!? 我らの魔術を、生身の体術だけで全ていなし切ったというのか!?」
「一体何者なんだ、この少年は……!」
モルドとウォンが未だかつてない凄まじい脅威に目を見張り、冷や汗を流して完全に戦慄する 。
等身大の少年の放つ、地球の格闘術の概念を完全に超越した圧倒的な『格』の気配に、二人が緊張のあまり再び武器を構え直すよりも早く、背後の扉が静かに開いた 。
「武器を収めなさい、モルド、ウォン。その方にカマー・タージの魔術は通用しませんよ。……そして、その方こそが数千年前、私がまだ未熟な一人の魔術師にすぎなかった頃、地球を支配しようとしたドルマムゥの手から私たちを、そしてこの地球を優しくお救いくださった、不滅の光を宿す旅人――真中優斗です」
黄色い高潔な魔術衣を纏い、静かに扇子を手にした一人の女性――至高の魔術師(エンシェント・ワン)が優雅に歩み出てきた 。
「エンシェント・ワン……!! この方が、あのドルマムゥを……!?」
モルドたちが息を呑み、驚愕のあまり完全に硬直する 。
彼女は優斗の姿を見つめ、深いリスペクトと長き時の流れを感じさせる懐かしさに満たされた美しい微笑みを浮かべた 。
「お久しぶりですね、真中優斗。かつて地球が闇に呑まれかけ、まだ若く未熟だった私が絶望に折れかけたあの日、あなたがその大いなる光と癒しの力で暗黒次元を退け、私たちを、カマー・タージを守ってくださって以来でしょうか」
「お久しぶりです、エンシェント・ワン。あの時は僕も、皆さんと一緒に魔術の理を学べて、すごく楽しかったですよ。皆さんに教わった空間のコントロールも、今でも大切な僕の力になっていますから」
優斗は温かい最高のスマイルを浮かべ、丁寧に頭を下げた 。
至高の魔術師の口から明かされた、地球を支配せんとしたドルマムゥの脅威から地球を救ったという、計り知れない救世主としての歴史。
ウォンとモルドは、目の前の物静かな青年が、自分たちの地球そのものを裏から救い、今なお支えてくれている偉大な『恩人』であることを知り、深い敬意を抱いて背筋を正した 。
「して、私たちの偉大な恩人よ。ガッツスパークレンスを携え、今の出力でわざわざサンクタムの結界をすり抜けてまで、私に会いに来た理由は……あそこですね?」
エンシェント・ワンが扇子でニューヨークの空を指し示す 。
ニューヨークのスタークタワーの上空 。
ロキの手によってテッセラクト(四次元キューブ)が本格起動させられ、空間が引き裂かれて異次元の侵略者チタウリの全軍が咆哮を上げて地上へと降り注ぎ始めていた 。
「はい。トニーさんたちアベンジャーズが、これから前線で侵略を食い止めてくれます。……ですが、僕の今の生身の力だけでは、街の全方位に散らばる一般市民の皆さんの笑顔を、完璧に守りきれないかもしれない。だから――」
優斗はまっすぐな瞳で、至高の魔術師を見つめた 。
「カマー・タージの皆さんの魔術の力で、一般市民の居住区の周囲に『被害を最小限に抑えるいなしの防御結界』を極秘裏に展開して、彼らの戦いを裏から支えてほしいんです。僕が守りたいのは、地球の皆の笑顔ですから」
ただ罪のない人々の日常の笑顔を守るためだけに、生身の制限を抱えながら最前線へ飛び込もうとする優斗のどこまでも純粋な慈愛の精神 。
その青年の美しき魂に、ウォンとモルドは凄まじい衝撃を受け、深く胸を打たれた 。
「喜んで、真中優斗。あなたが最前線で光を灯すなら、私たちは影となって、この街の日常を死守しましょう。ウォン、モルド、カマー・タージの全魔術師に伝達を。ニューヨークの市民居住区の全域に、いなしの障壁を展開しなさい」
「「はっ……!!」」
二人は優斗へ向けて深く敬意の礼を捧げると、街の笑顔を裏から守るため、影から市民を守る為、瞬時に屋上から飛び去っていった 。
ウォンとモルドが屋上から完全に飛び去り、二人きりの静寂が戻ったその瞬間、エンシェント・ワンはふと優斗のまとう空気の異変に気づき、扇子を軽く閉じてその鋭い瞳を優しく細めた 。
「おや、真中優斗。あの大切な、世界に一つしかない不滅の防衛衣――タクティカル・ジャケットを、どなたか人のために差し出されたのですね?」
見抜かれた優斗は、少しだけ照れくさそうに頭を掻き、苦笑いを浮かべた 。
「あはは……流石ですね、エンシェント・ワン。さっき地方で、服をなくしてしまった友を助けた時、とある神々が力を施して仕立て直してくれたあのジャケットを優しく羽織らせて、そのまま貸してきてしまったんです」
「どこまでも思慮深く、どこまでも優しいお人だ。……あなたが密かに保護し、私の管理する別世界へ連れてくる、あの行くあてのない大切な方々の様子も、皆とても穏やかで健やかですよ。あなたがそれほどまでに他者の身を案じる方だからこそ、空間も人々も、あなたの光に惹かれるのでしょうね」
エンシェント・ワンが、二人だけの秘密である大切な避難場所の進捗を愛おしそうに伝えて微笑む 。
優斗は「本当に、いつも保護して見守ってくださってありがとうございます」と最高のスマイルを浮かべた 。
「ですが、あの不滅の衣がなくなった今のあなたの生身の身体からは、エタニティコアの純粋な創生波動がそのままむき出しで外へ漏れてしまっていますよ。このまま戦場へ飛び込めば、宇宙に大きな影響を与えかねません」
優斗は真剣な瞳で頷いた 。
「はい。このまま僕が戦うと、世界の時間線や現実のルールに大きなエラー(バグ)や危害を引き起こしてしまうかもしれない。だから……地球に僕の光の影響が出ないように、どうか外部の僕の身体に、もう一度だけ、あなたの至高の魔術で隠蔽の加護をかけてもらえませんか?」
「ええ、喜んで。……それから、インナー姿のまま最前線へ向かうのは、さすがに心許ないでしょう。あなたが人のために不滅の服を貸したのなら、今度は私が、あなたを保護するための上着を貸して差し上げます。これを羽織りなさい」
エンシェント・ワンは優しく微笑むと、カマー・タージの最深部に大切に保管されていた、どこまでも純白で気高い『白銀』の防衛魔術衣(上着)をそっと差し出した 。
ファサッ、と美しい衣擦れの音と共に優斗がその純白の魔術衣を肩へと優しく羽織った瞬間、その不滅の布地が優斗のエタニティコアの純粋な波長に呼応し、眩しい白銀の刺繍の紋様となって美しくその身体に適合していった。さらに、彼女が扇子を優しく一振りする 。
刹那、彼女の手のひらから放たれたまばゆい黄金色の幾何学魔術の光の粒子が、優斗が新しく羽織った純白の魔術衣の上からその身体全体を優しく包み込み、むき出しになっていた強大すぎる光のエネルギーの波長を、完璧に、穏やかに現実の裏側へと隠蔽し、コーティング(偽装)していった 。
「ですが、いつもはあの方々が施してくれた強固な加護が上書きされていましたが、今のあなたのむき出しの光の強さを考えると、一度あの形態に変身してしまえば、私の魔術が持つのも、過負荷で『一日』が限界ですよ」
黄金色の魔術光と優斗のエタニティコアの純粋な輝きが美しく混ざり合い、過酷なタイムリミットが厳かに刻まれていく 。
――だが、エンシェント・ワンはふと、己の胸元に下がる緑の石『タイム・ストーン』を見つめ、深いため息と共に静かに語った 。
「……真中優斗。私はこのストーンの力で、幾度となくこの地球の未来の時間線を覗き見てきました 。のちにこの地球へ、宇宙全体の絶望的な壊滅を齎そうと“紫の巨人の影”が襲来する残酷な運命も、アベンジャーズが繰り広げる過酷な戦いの結末も、私は全て知っている 。――ですが、あなたの未来だけは、その宿るエタニティコアの力が強大すぎて、ストーンの術理を以てしても、霞がかかったように何一つ覗き見ることができないのです」
「僕の未来が……見えない?」
優斗が小さく小首を傾げると、エンシェント・ワンはこれまでで一番、嬉しそうに、そこで全幅の信頼を寄せた美しい微笑みを浮かべた 。
「ええ。宇宙の絶対的な時間法則すら超越して、誰もその運命を縛ることができない不滅の特異点――それこそがあなたという光です 。だからこそ私は信じていますよ。あなたがこの地球にいてくれる限り、未来のどんな過酷な闇のパズルをも、あなたのその気高く優しい両手が、最高の未来へと上書きしてくれるのだと」
(……未来が見えなくたって、関係ない。父さんと母さんがそれに師匠達が教えてくれたんだ。未来は自分の手で、みんなと一緒に最高の未来に変えていくものだって――!)
優斗は脳裏に実家の温かい家族の不屈の笑顔を思い浮かべながら、新しく貸してもらった美しき白銀の魔術衣の袖を軽く引き締め、ガッツスパークレンスを強く握り直して笑顔で頷いた 。
「一日(24時間)……十分です。本日中に絶対にロキを止めて、バナーさんからジャケットを返してもらいます。未来なんて見えなくても、目の前にあるみんなの笑顔を、僕は絶対に傷つけさせませんから!」
「ありがとうございます、エンシェント・ワン。……それでは、僕も行ってきます!」
加護を再び纏い、どこまでも美しく気高い白銀の魔術衣を風に靡かせた優斗は、最高のスマイルを浮かべると、ガッツスパークレンスを強く握りしめ、マゼンタピンクの誘導線を大爆発させてサンクタムの屋上から大空へと跳躍した 。
裏の防衛は整った 。優斗は美しき白銀の魔術衣を羽織った人間の姿のまま、マッハの速度で侵略の嵐が吹き荒れるニューヨークの決戦の場へと、神速で駆けていくのだった―― 。
「頼みましたよ真中優斗いや、光の守護神ウルトラマン」
5話をお読みいただき、本当にありがとうございました!
バナーさんへタクティカル・ジャケットを託した優斗が、サンクタムで受け取ったもう一つの『加護』と『白銀の魔術衣』――。
語られた長き時の因果や、あのストーンにすら映らない優斗の未来に隠された本当の理由は、これからの物語の中で少しずつ明かされていきますので、ぜひ色々と想像しながらお待ちいただければ幸いです!これで平日になるので次の投稿は金曜日以降だと思います。もしかしたらその前に投稿するかもしれません。