ウルトラマンエターナル 〜神聖時間軸の守護神〜 作:マーベルウルトラ
前話のラスト、ソコヴィアの実験施設に現臨し、過去の被験者たちの怨念を優しく救済した優斗──
どうぞ最後までお楽しみください!
東欧ソコヴィアの不気味な要塞、その実験施設の鉄格子の奥。
優斗が放った至高の癒やしの光である『フル・ムーンエタニティ』の全肯定のぬくもりに美しく包まれ、マインド・ストーンによって死んでしまった過去の悲しい被験者たちの怨念がこれ以上ないほど幸せな顔で昇天していったその刹那、ワンダ・マキシモフとピエトロ・マキシモフの二人の心は、これまでにないほど穏やかな凪の日常を取り戻しかけていたのだった。
長年二人を縛り付けていた冷徹な孤独の残響が、優斗の等身大の優しさによって美しく融解しかけていたところへ。
「――騙されるな、お前たち! その男の正体はアベンジャーズだ!お前らの憎むトニー・スタークの仲間だぞッ!」
突然、部屋のドアがガシャンと乱暴に開き、ストラッカー男爵率いるヒドラの構成員たちが武器を構えて雪崩れ込んできたのだった!
ピアースたちを全滅させる作戦が開始されたと知らぬまま、一人で乗り込んで来た優斗に対し、勝ち誇る勘違いの声を張り上げる構成員たちの言葉が、冷徹な実験施設の空間へ最悪の復讐のノイズとなって大爆発するように響き渡ったのだった。
「その男は、お前たちの故郷と家族を奪ったあの悪魔の爆弾を作ったスタークの仲間だ!
力を手に入れ、スタークへの復讐を果たすためにここへ志願した初志を忘れたか!」
「……スターク……ッ!? あの、スターク・インダストリーズの……ッ!!」
その忌まわしい名前を聞いた瞬間、穏やかになりかけていたワンダの瞳が、瞬時に鮮烈な憤怒の赤(カオスマジック)へと染まり、部屋全体の空間を不穏にモゾモゾと不気味に揺らし始めたのだった!
「ワンダに近づくなぁぁッ!!」
ピエトロもまた、家族を奪われたあの日の事を思い出し感情を爆発させ、一寸の曇りもない超高速動き出し、弾丸をも置き去りにする凄まじい速度で優斗へと真っ直ぐに襲いかかったのだった!
「動きが分かりやすいよ」
──しかし、優斗には、そんな攻撃すら1ミリの脅威にもならないのだった。優斗は最高の加護が宿る白銀の魔術衣を手に持ち、漆黒のジャケットを流麗にたなびかせながら、かつて世界を護るために立ち上がった偉大な父・マナカ ケンゴと同じく、真っ直ぐな瞳でその突撃を正面から完璧に受け止めたのだった!
ドゴォォォンと凄まじい衝撃波の残響がラボを包み込むが、優斗はその肉体でピエトロの超高速の拳を正面からがっちりと受け止め、そのまますぐさまその身の動きを抑え込んだのだった!
「ぐ、あぁっ……! なんだこの力は……びくともしない……ッ!」
自分のスピードを見切り留められたことに驚愕するピエトロを強固にホールドしながら、優斗はさらにその視線を、憤怒の赤きカオスマジックを暴走させ始めたワンダへと向け、一寸の曇りもない真っ直ぐに言い放ったのだった!
「ピエトロを離して!!」
「ピエトロさんだったかな、落ち着いて聞いて。
――僕は今から、彼女を止めてみせるよ。彼女には、止める以外何もしないと誓うよ」
「な、何……!? だが、暴走したワンダの力は誰にも止められない! お前が死ぬぞッ!」
必死に叫ぶピエトロだったが、優斗の瞳に宿る絶対的な安心感の象徴、そして父ケンゴから受け継いだ一寸の曇りもない真っ直ぐな人の笑顔を守りたいという姿勢を見つめるうちに、彼は渋々ながらも優斗へと任せることを決意したのだった。
「……クソッ! 頼んだぞ、ワンダを救ってくれッ!」
ピエトロをその場から少し下がらせたその刹那、ワンダの身体から大爆発した赤黒いの魔術の奔流が、冷酷な実験施設を木っ端微塵に破壊するほどの凄まじい暴風となって優斗へと容赦なく襲いかかったのだった!
並のヒーローであれば精神を粉砕され孤立する絶望のエネルギー。しかし、優斗は両親や師匠たちから学んだ不屈の精神でその圧倒的なカオスマジックの猛攻を避けることなど1ミリもせず
「お前たちのせいで!」
白銀の魔術衣を置いた優斗はどこまでも優しい笑みを浮かべながら、正面からその全てを全身に受け止めながら一歩、また一歩と真っ直ぐにワンダの前へと進んでいったのだった!
パチチチチッと不穏な赤き稲妻の残響が優斗の漆黒のジャケットを激しく叩き、空間を歪ませる。
静かに進んでいく優斗であったが、さすがに巨神の姿ではなく、人間体の真中優斗のままであったため、マインド・ストーンのエネルギーと融合して暴走したカオスマジックの桁外れの破壊力には勝てず、その肌や衣服の隙間から少しずつ、少しずつ身体が傷ついていったのだった。
赤い光の刃が彼の身体を切り裂き、痛みが走る。だが、優斗はそんな傷など気にする様子もなく、ただ目の前の者を救うためだけに、一寸の曇りもない真っ直ぐな瞳で前を見据え、一歩も引かずに進み続けたのだった!
その最中、優斗はワンダの全身から噴き出す凄まじい魔術の残響を見つめながら、地球の地底深くからずっと感じ取っていたあの不穏な堕ちたエルダーゴッドの存在を、その最深部で完全にリンクさせたのだった!
「――そうか。君だったんだね」
優斗は、ずっと追っていた『クトーン』の不気味な気配の真の正体が、まさに目の前でカオスマジックを暴走させているワンダそのものであることに気づいたのだったのだった!
「……! 来ちゃダメ……離れてぇぇッ!」
狂乱するカオスマジックの赤い嵐の中を、傷だらけになりながらもどこまでも優しい最高のスマイルを崩さずに歩み寄ってくる青年の姿に、ワンダの心は激しく揺さぶられていたのだった。
そしてついに、優斗は激しいエネルギーの暴風を突き抜け、ワンダのすぐ目の前へとたどり着いたのだった!
「あはは……もう大丈夫だよ。怖い思いをさせてごめんね」
優斗は穏やかでぬくもりに満ちた声で優しく呟くと、その傷ついた手をそっと差し伸べ、優しくワンダの手を包み込み癒やしの光(フル・ムーンエタニティ)をワンダへとこれ以上ないほど優しく注ぎかけたのだった! 宇宙創生の全能のぬくもりがワンダの身体を包み込んだ、まさにその刹那であったのだった!
「助けてくれてありがとう」
優斗が壁にかけておいた、アスガルド王家全員による神々の加護が二重に上書き付与されたあの『白銀の魔術衣』が、まるで自らの意志を持っているかのように手元からふわりと離れ、突然ワンダに向かって美しく舞い飛んでいったのだった!
「えっ……!?」
ワンダが突然の事に驚き目を丸くしたその瞬間、白銀の魔術衣は、優しく彼女を包み込み守るように自分からワンダの身体へと滑らかに纏わられたのだった!
流麗な残響を放ちながら白銀の衣が完璧に噛み合い、ワンダの全身を美しく包み込んだその刹那、優斗は彼女の背後に蠢くクトーンの闇の残響へ向けて、いつもの好青年としてではなく星や人々を守る為戦う戦神の瞳を爛々とさせ、毅然と言い放ったのだった!
「──クトーン。君が彼女を使って何かしようとしているみたいだけど、それは僕が止めさせてもらうよ。
君の野望よりも、目の前にいる怯えている彼女を助ける方が、僕にとってはるかに大切だからね」
優斗の一寸の曇りもない真っ直ぐな肯定の言葉が響き渡ると同時に、優斗のエタニティコアのぬくもりと魔術衣の聖なる加護が発動したのだった!
ワンダの身体に宿っていたクトーンの暗黒の力や、ヒドラの劣悪な復讐コード、憤怒のノイズは、彼方へと完璧に吹き飛び、キラキラと輝く温かい春のそよ風のような光の粒子へと全自動で変換されたのだった!
ワンダの瞳からは、魂の最深部が救われた最最深の感動の大粒の涙が美しく溢れて融解していったのだった。
「ば、馬鹿な……ッ! 空間ごと、暴走したワンダマキシモフの力が、正面から受け止め光を放っただけで完全に消去されたというのか……ッ!?」
愕然とするヒドラ構成員たち。
優斗は身体の傷を少しずつ消去して完治させると、ニヤリと不敵な余裕の笑顔を浮かべ、彼らに向けて手をピッとかざしたのだった!
「まずは君たちからだね」
と優斗は目の前にいるヒドラ構成員と後ろにいる二人を守りながら戦い始めたのだった。
第52話をお読みいただき、ありがとうございました!
マインド・ストーンのエネルギーと融合したワンダの猛攻を人間体のまま全身で受け止め、彼女に宿るクトーンの気配を看破した優斗が、白銀の魔術衣とぬくもりで彼女の魂を最深部から完璧に救済するお話でした。
どうぞこれからも色々とお楽しみにお待ちいただければ幸いです!