ウルトラマンエターナル 〜神聖時間軸の守護神〜 作:マーベルウルトラ
お祝い空間を楽しんでいたアベンジャーズの面々──
どうぞ最後までお楽しみください!
ニューヨークの騒がしい喧騒から切り離されたスタークタワーの最上層では、今も新しい仲間を迎えたアベンジャーズの温かい祝宴が続いていた。
「ブルースそっちを取ってくれ」
「ああいいけどこんな時にまで作るのかトニー」
「またロマノフ達と任務で居なくなるだろう最終確認だ」
「私はペッパーと話してるわ。あとは頼むはブルース」
「俺も科学は専門外だ。新人のウィルソンとでも話してくる」
トニー・スタークが用意した極上の料理と、ブルース・バナー博士の知的で穏やかな笑い声。
そして新しくアベンジャーズの仲間として正式に迎え入れられたバッキー・バーンズとサム・ウィルソンを囲む空気は、これまでにないほど十分な『希望』に満ちあふれていた。
だが、その華やかなリビングの片隅で、キャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースだけは、静かに磨き上げた星星の盾を見つめながら、胸の奥にある一つの切ない因果へと想いを馳せていた。
スティーブはそっとバッキーの隣へと歩み寄り、一寸の曇りもない真っ直ぐな瞳で、大切な親友の肩へと優しく手を置いた。
「バッキー。……僕たちがペギーに会いに行ける時間は、もう残り僅かだ。
彼女の体調を考えても、会いに行くなら今しかないと僕は思っている」
「ペギーに……?」
その懐かしくもあまりに気高い名を聞いた瞬間、バッキーの身体が小さく強張った。
トニーの手によって美しく改良されたばかりの最新鋭アームの指先が、かすかに震える。
バッキーは視線を落とし、その低くこもった声に深い悔恨の残響を滲ませながら首を振った。
「……いや、俺には彼女に会いに行く資格なんてない。
俺がヒドラのウィンター・ソルジャーとして、この腕でどれほどの血を流してきたか、
お前だって知っているだろう。あんな気高き彼女の前に、今の俺が堂々と立てるわけがないのさ」
自らの犯した過去の暗殺に、再び心を苛まれそうになるバッキー。
だがその刹那、リビングの作業台でホログラムを操作していたトニー・スタークが、会話へと割り込んできた。
「──おいおい、バーンズ。随分としけた顔をしているじゃないか。
天才の僕からアドバイスをやるよ。会いに行ったほうがいい。
人はいつ会えなくなるか、誰にも分からないんだ。会える時に会っておいたほうがいいのさ」
トニーの言葉は、かつて自らの両親を失い、そして今回のヒドラ全滅作戦を経て、過去の因果を『圧倒的な余裕』で乗り越えた大人の男だからこそ言える、魂の芯に響くぬくもりに満ちていた。
ペッパー・ポッツやハッピー・ホーガンも、そんなトニーの姿をこれ以上ないほど温かい最高のスマイルで見守っている。
「スターク……。お前がそう言うなら……」
トニーの肯定の言葉に背中を押され、バッキーは照れ隠しに頭をガシガシと掻きながらも、渋々ながらスティーブについていくことを決意する。
それから1日経ち。トニーが頼みハッピーの巧みな運転する高級車が静かに滑り込んだのは、ワシントンD.C.の郊外に佇む、緑に囲まれた静かな医療施設の敷地内であった。
一歩一歩、廊下を進むスティーブとバッキー。
アームを服の袖で丁寧に隠し、緊張に身を固くするバッキーを廊下に少しだけ待たせ、スティーブは一寸の曇りもない真っ直ぐな最高の笑顔を浮かべながら、ペギー・カーターの待つ静かな個室のスライドドアを開けた。
「やあ、ペギー。調子はどうだい?」
ベッドの上で静かに身体を起こしていた、かつてのシールド創設者であり、気高き伝説のエージェント・ペッパー
――いや、ペギー・カーターは、スティーブの姿を捉えた瞬間、その老いた瞳をこれまでにないほど爛々と輝かせた。
「スティーブ……! ああ、スティーブ、あなたなのね。私の大好きなヒーローが、また会いに来てくれたわ」
認知症の症状が進み、時折世界の時間が混濁してしまうペギー。
スティーブは彼女の手をそっと握りしめ、しばらくの間、1940年代のあの輝かしい日常の残響を確かめ合うように、二人だけで静かに、そして温かく談笑を交わした。
そして、部屋を包み込むぬくもりが最高潮に達したその刹那、スティーブはこれ以上ないほど温かい優しい声を響かせた。
「ペギー。実は今日、どうしても君に合わせたい人がいるんだ。……入ってきてくれ、バッキー」
スティーブの呼びかけに応じ、廊下で固唾を呑んで待機していたバッキー・バーンズが、静かに、逃げも隠れもしない曇りのない瞳を爛々と輝かせながら部屋へと足を踏み入れた。
「……バッキー……? ああ、嘘でしょう、バッキーなのね!? あなたも……あなたも生きていたのね……!」
ペギーは目を丸くして驚愕し、その老いた両手を震わせながら、目の前の青年へと伸ばした。
すべてを受け入れたバッキーは、一人の気高き107部隊の戦士として彼女の前に立ち、真っ直ぐに最最深の謝罪を口にした。
「……済まない、ペギー。本当に、済まない……! 俺は今までヒドラに劣悪な洗脳コードを植え付けられ、冷酷な暗殺者として生きてきたんだ。
両親の仇を前にしても自制してくれたスタークや、スティーブがいくら許してくれようと……俺には君に会う資格なんてないんだよ」
悔し涙を流し、自らの過去の過ちを告白するバッキー。
しかし、ペギーはそんな彼の言葉を首を振って優しく全否定すると、これ以上ないほど温かく優しく、魂を肯定する最高のスマイルを浮かべて言った。
「そんなことないわ、バッキー。
そんな悲しい事は、全部吹き飛ばしてしまいなさい。あなたがこうして無事に、私達の元へと戻ってきてくれた。それが何よりも嬉しいのよ。
……ああ、神様、ありがとう。これでスティーブは、もう一人じゃないわね」
ペギーの慈愛に満ちた言葉が響き渡ったその瞬間、バッキーの胸を締め付けていたウィンター・ソルジャーとしての暗い影は、彼方へと完璧に吹き飛んだ。
「ああ、ペギー。バッキーには僕だけじゃない、タワーで待っているスタークやバナー博士、サムたちアベンジャーズの最高の仲間たちもいるんだ。
僕たちの心には、もう一寸の曇りもないよ」
スティーブがこれまでにないほど頼もしい最高の笑顔を浮かべると、バッキーもまた、熱い涙を拭い去り、一寸の曇りもない真っ直ぐな最高の笑顔をペギーへと向けた。
そうして、3人で奇跡のような会話を重ねてた。
「二人とも楽しそうね……」
ペギーの瞳が一瞬だけ微細に揺らぎ、今までの会話の記憶のすべてが、まるで春のそよ風のように一瞬で綺麗さっぱりと忘却の彼方へと消え去ってしまった。
ペギーは再び、初めて二人に会ったかのような一寸の曇りもない純粋な顔を浮かべると、嬉しそうに声を張り上げた。
「あら、スティーブ、バッキー! 久しぶりね! 二人揃って私の元へ来てくれるなんて、本当にいつ以来かしら!」
あまりにも突然に訪れた認知症の症状。
しかし、アベンジャーズの二人には、そんな悲劇のすら完璧に『合わせる余裕』があった。
スティーブとバッキーは顔を見合わせ、違和感を感じさせないよう笑みを浮かべると、声を揃えてスマートに応えを返した。
「──ああ、久しぶりだね、ペギー!」
「──元気な顔が見られて嬉しいぞ、ペギー!」
二人の曇りのない優しい声が部屋を満たし、混濁した時間すらもこれ以上ないほど温かい日常の残響へと昇華された。
施設を後にし、大型トラックやクインジェットの残響が遠くに響くワシントンD.C.の美しい夕暮れの道を、スティーブと帰るその道すがらのことであった。
バッキーは立ち止まり、自らの右腕に宿る美しい最新鋭アームを見つめながら、これまでにないほど目を爛々と輝かせた。
「──スティーブ。俺はもう、1ミリも迷わない。
ペギーのぬくもりに、そして俺のすべてを肯定してくれたスタークや仲間たちに誓ったんだ」
バッキーは余裕を宿した格好良い最高のスマイルを浮かべると、スティーブに向けてその大きな手を堂々と差し出し、これ以上ないほど頼もしい口調で言い放った。
「これからは、俺のこの腕で世界の子どもたちを、俺たちの仲間や未来を完璧に絶対防衛してみせる。――これからは頼むぞ、スティーブ」
「──ああ、こちらこそ頼むよ、バッキー。僕たちの前には、どんな苦戦も悲劇も存在しない。共に最高の未来を作っていこう」
スティーブの一寸の曇りもない真っ直ぐな言葉と共に、二人の手がこれ以上ないほど固く固く重ね合わされ、不滅の男の約束がここに結ばれた。
カマー・タージで光の魔術を学び始めたワンダ、テン・リングスのガレージで稽古に励むピエトロ、そして銀河へと発進したロケットたちの明るい未来へと進んでいく。
第59話をお読みいただき、ありがとうございました!
ペギー・カーターの慈愛に満ちた全肯定のぬくもりに包まれ、バッキーの胸の暗い影が綺麗さっぱり完全消去され、スティーブと共に不滅の男の約束をガッチリと結び直すお話でした。
いよいよ次からエージェントオブシールドシーズンワン開始です。ドラマシリーズなので1話につき1話投稿するので長くなると思います。
どうぞこれからも色々とお楽しみにお待ちいただければ幸いです!