ウルトラマンエターナル 〜神聖時間軸の守護神〜 作:マーベルウルトラ
「頼みましたよ真中優斗。いや、光の守護神ウルトラマン」
至高の魔術師エンシェント・ワンの静かな独白を背中で受け止めながら、真中優斗はカマー・タージの最深部に眠っていた、どこまでも純白で気高い新たな『白銀の防衛魔術衣』の袖を軽く引き締め、ガッツスパークレンスを強く握りしめていた。
服を無くし寒がっていたバナーさんへと大切な一着きりのタクティカル・ジャケットを優しく貸し与えたため、現在の優斗の生身の身体からは、エタニティコアの純粋な創生波動がむき出しで漏れ出しかけている。
世界線や現実のルールに大きなエラー(バグ)や危害を起こさぬよう、エンシェント・ワンの手によって臨時の隠蔽コーティングを施してもらったが、一度あの巨大な姿に変身してしまえば、光の過負荷によって術が持つのは「たったの一日」が限界だ。
(……24時間もあれば十分です。本日中に絶対にロキを止めます。目の前にあるみんなの笑顔を、僕は絶対に傷つけさせませんから!)
(未来が見えなくたって、関係ない。父さんと母さんが、それに師匠たちが教えてくれたんだ。未来は自分の手で、みんなと一緒に最高の未来に変えていくものだって――!)
優斗は脳裏に実家の温かい家族や師匠たちの不屈の笑顔を思い浮かべながら、最高の笑顔を浮かべると、マゼンタピンクの誘導線を大爆発させてニューヨーク・サンクタムの屋上から大空へと跳躍した。
キィィィン……ッ!!
美しくも気高い白銀の魔術衣を激しく風に靡かせ、マッハの速度でニューヨークの決戦の場へと神速で駆けていく優斗の視界の先
――チタウリの侵略の火蓋が切って落とされる、スタークタワーの上空へと差し掛かった、まさにその時だった。突入したニューヨークの空が、天を衝くような高周波の歪みによって激しく引き裂かれた。
ロキの手によってテッセラクト(四次元キューブ)が本格起動させられたのだ。
空間そのものがガラスのようにベキベキと音を立てて砕け散っていく。空間の裂け目の奥底から光すら届かない絶対の虚無が漏れ出し、直径数百メートルに及ぶ巨大なワームホールが天空に穿たれた。
「ガァァァァァッ!!!」
耳を劈くような凄まじい咆哮(ほうこう)と共に、ワームホールの奥底から異次元の侵略者チタウリの軍が地球の地上へと降り注ぎ始める。
さらに空間の歪みを強引に押し広げながら、うねるような巨躯が次々と虚空から這い出してきた。チタウリ兵や漆黒の金属装甲を全身に纏った、都市のビル群を容易に踏み潰せるほどに巨大なサイボーグ超巨大生体兵器――『リヴァイアサン』である。
星々の海を渡り、あらゆる文明を食い荒らしてきた災厄が、その圧倒的な質量を以てニューヨークの街へと牙を剥く。激しい爆風と光線がビルを破壊し、崩落するコンクリートの巨大な瓦礫が逃げ惑う一般市民の上へと容赦なく降り注ぐ。
絶望感が街全体を包み込もうとしていた、そのまさに瞬間。
「ウルトラ念力」
優斗の額の奥がキラッと眩しく閃光を放ち、基本アバターの『額のクリスタル』の面影を残すようにキラッと輝いた。
白銀の魔術衣を羽織った人間の姿のまま、優斗はマゼンタピンクの残光の尾を引きながら、瓦礫の雨が降る市街地のド真ん中へと真っ逆さまに突入した。
優斗のその澄み切った瞳は、瓦礫の下の市民だけでなく、一般人の目には決して映らない「街の影」を捉えていた。
サンクタムの周囲やビルの屋上、路地裏の物陰に潜み、橙色の光の法陣を構えて極秘裏にチタウリの急襲をいなし、陰から市民を必死に救っているカマー・タージの魔術師たちの姿が、優斗にはしっかりと見えていたのだ。
優斗は近くの屋上で光の盾を張っていたウォンや魔術師たちと一瞬だけ視線を交わすと、お互いに無言でフッと深い信頼の目配せ(アイコンタクト)を交わした。
彼らが裏の居住区を完璧に護ってくれているからこそ、優斗は目の前のレスキューに全力を注ぐことができる。
「危ない! みんな、こっちへ!」優斗は生身の両手をしなやかに突き出すと、母親カルミラから直接教わった魔術の応用――『エタニティ・ダークネスウィップ』を使った。
本来なら暗黒を齎すはずのしなやかな鞭は、優斗のコアの光によってゴールドピンクと白銀に輝く美しい救命の縄へと超進化を遂げていた。
優斗が両腕を滑らかに一閃させると、光の縄は崩落するビルの下で逃げ遅れていた何百人もの一般市民たちを傷つけずに優しく、かつ一瞬で一括して絡めとり、安全な安全地帯へとふんわりと引き上げて避難させたのだ。
「ありがとう助かったよ!」
「おにいちゃんありがと!」
さらにその背後で撃ち漏らされたチタウリの残兵を、物陰から飛び出したカマー・タージの魔術が瞬時に霧散させる。
「ひ、人が浮いてる……!? 助かったのか!?」
市民たちが驚嘆の声を上げる中、優斗は間髪入れずに、今度は父親ケンゴから直接教わったマナカ家の正統な系譜のポーズを胸の前で美しく組んだ。「『グリッター・ゼペリオンレイ』!!」生身の手のひらから放たれた究極の光が、降り注ぐ爆風や引瓦礫によって、傷ついた人々を優しく包み込んでいく。チタウリの光線が齎したテロの破壊と硝煙の傷跡が、光の粒子によって優しく包み込まれ、みるみるうちに傷ついていた人々の傷が元の綺麗な身体へと一瞬で修復・再生されていった。
「な、なんだあの少年は……!? 飛んで傷を直してるぞ!」
地上で銃や近接格闘で戦っていたナターシャ(ブラック・ウィドウ)やクリント(ホークアイ)、 盾を構えて市民を誘導していたキャプテン・アメリカが、その規格外の能力に度肝を抜かれて目を見張る。
そこへ、上空からトニー(アイアンマン)が急降下し、別れた廃工場から古いバイクに跨がって爆走してきたバナーが、優斗から貸してもらった漆黒のタクティカル・ジャケットを大切に羽織った姿のまま、ついにこのニューヨークの戦場へと合流を果たした!
バナーさんはバイクを降りると、少し申し訳なさそうに自分の肩に手を当て、優斗に向けて声をかけた。
「真中くん、せっかく貸してもらったこの素晴らしい服だけど……これから僕があの怪物(ハルク)になったら、破いて台無しにしてしまうかもしれない。今のうちに返しておくよ」
しかし、優斗はどこまでも温かい最高のスマイルを浮かべ、首を横に振ってバナーさんの手をそっと押し戻した。
「いいえバナーさん、そのジャケットは返さなくて大丈夫です。……今のあなたなら、その服を着ているから、心の中のハルクと優しく調和して、暴走せずに戦えると思いますよ」
「え……?」
優斗の言葉に、バナーさんは目を見張った。ジャケットの奥底からドクドクと伝わってくる、何かは分からないが支えてくれる力と優斗の光のぬくもり。
それが自分の中に渦巻く寂しい「怒りの力」を優しく包み込み、まるで親のような絶対の安心感を与えてくれていることに、バナーさんは本当の意味で気づかされたのだ。
「トニー、バナー博士が来たわ」
「スターク、秘密を教えようか。僕はいつも怒っている」
バナーは初めて、自分の意志で、穏やかに微笑みながら一歩前へと歩み出た。
その瞬間、バナーさんの身体が強大な緑の巨躯へと膨れ上がっていく
――だが、驚くべきことに、とある神々が仕立て直した不滅のタクティカル・ジャケットは、ハルクの巨躯に合わせて自動でそのサイズをぴったりと変形させ、彼の身体をしっかりと包み込んだままであった!さらに、ハルクとなった彼の瞳には、かつてのような理性を失った狂暴な血走りは一切ない。
優斗の光と服の加護によって完全に怒りをコントロールされた、どこまでも理知的で深い平穏を宿した綺麗な瞳のまま、ハルクは迫り来るリヴァイアサンへと真っ向から飛び込んだ。
その瞬間、彼の纏うジャケットの裏に刻まれた不滅の『ウルトラサイン』がドクンと優しく白銀に瞬き、巨獣の底知れぬ怒りの力を完璧な平穏へと調和(ホールド)していく。
ドゴォォォン!!!
と、完璧に制御されたハルクの剛腕が一撃でリヴァイアサンの頭部を叩き潰し、その巨躯が激しく地面へと激突する。
「バナーが……ハルクを完全に統御しているだと!? 一体あの服は何なんだ!?」
トニーやキャップたちが未だかつてない凄まじい驚愕に震え上がる中、大空からソーが豪快な雷鳴と共に着地した。ソーは優斗の姿を見るなり、我がことのように嬉しそうに顔を綻ばせる。
「来たか、地球の戦士よ! 待っていたぞ!」
ソーが誇らしげに叫ぶ傍らで、トニーが優斗の身に纏った純白の衣装をまじまじと見つめ、マスクの奥からニヤリと彼らしい皮肉を放った。
「おいおい、なんだその、どこかの由緒正しい魔術師みたいな格好は? ニューヨークじゃ今、そういう高潔なコスプレが流行りなのか?」
「あはは、トニーさん、これはとある古い友人からお借りした大切な防衛衣なんです」
優斗が最高の笑顔で返す中、トニー、キャップ、ナターシャ、クリント、ソー、完璧にハルクとの調和を遂げたバナー、そして――純白の魔術衣を靡かせた地球の少年・真中優斗の7人が、ガチッと背中を預け合うようにして円陣を組んだ。
アベンジャーズ』の歴史が、完全に結実した伝説の瞬間であった。
彼らが周囲をそれぞれ見渡し、【優斗の光によって怪我を癒され、アベンジャーズや影の魔術師たちに導かれて非難を終えた】
ニューヨークの市民が、【ビルの物陰や遠い安全地帯から、】これから全宇宙の未来を決める7人の戦士たちの姿を【息を呑んで見つめていた。】
「さあ……みんなの日常を傷つけさせるわけにはいきません。地球とまちの皆さんを守るために行きましょう!」
円陣の中心で、優斗はガッツスパークレンスを逆手に力強く握りしめた。
その時ガッツスパークレンスは優斗の気持ちに応えるように淡く光り出していた
第6話をお読みいただき、本当にありがとうございました!託されたジャケットがバナーさんにもたらした変化や、街の影で交錯するカマー・タージとの無言の目配せ――。映画本来のあの『伝説の円陣』の裏側で、優斗の気高く優しい両手が紡いだ未来を、ぜひ色々と想像しながら楽しんでいただければ幸いです!金曜日までにもしかしたらもう一話か二話投稿できるかもしれません。