ウルトラマンエターナル 〜神聖時間軸の守護神〜   作:マーベルウルトラ

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第61話を開いていただき、ありがとうございます!

ハッカーの少女スカイを新たな仲間として『バス』へと迎え入れたコールソンチーム── 。

どうぞ最後までお楽しみください!


第61話ペルーの遺物

ロサンゼルスでの怪事件を鮮やかに解決した特殊航空機『バス』は、次なる目的地、南米ペルーの鬱蒼としたインカ遺跡へと向けて、雲海を滑らかに爆走していた。

 

しかし、漆黒の巨体を持つ機内の空気は、どこまでも冷徹で不完全な緊張感に満ちあふれている。

 

全自動コンソールが鈍く明滅するラボの奥で、レオ・フィッツとジェマ・シモンズの二人は、現地から送られてきた未知のエネルギー波形のデータを前にして、その目を爛々と輝かせながら早口の議論を交わしていた。

 

「この波形、今まで見たことがないわ! 既存のどの地球製エネルギーとも合致しない!」

 

「ああ、僕も鳥肌が止まらないよ、シモンズ! この噛み合わせの法則、まるで──」

 

その様子をラボの壁際に背を預けて冷ややかに見つめていたグラント・ウォードは、冷徹な眼光の中に激しい苛立ちの残響を隠すことなく、二人の言葉を遮るように鋭い声を響かせた。

 

「おい、サイエンスども。俺たちは最前線に遊びに来たんじゃない。

 

専門用語だか何だか知らないが、現場の兵士に意味のわからない言葉ばかり並べるのはやめろ。俺の問いには、イエスかノーかのどちらかで答えろ。あれは脅威なのか、そうじゃないのか」

 

単独での最前線の戦いに明け暮れてきた孤高の工作員ウォードにとって、二人の学術的でお気楽に見えるアプローチは、命を落としかねない現場の足枷にしか見えなかった。

 

その刺々しい言葉に、シモンズは思わずその大きな瞳を潤ませながらも、一寸の曇りもない真っ直ぐな意志で声を張り上げて反論した。

 

「ウォード、失礼よ! 私たちは遊んでいるわけじゃないの! これでも私たちなりに、最善を尽くして真剣に、命がけで調べているのよ!」

 

「そうだとも! 僕たちの分析の段取りがなければ、現場の防衛体制だって1ミリも構築できないぞ! 頭脳をナメないでほしいな!」

 

フィッツも顔を真っ赤に染めて言葉を添えるが、チームの連携は最初から完璧とはほど遠く、険悪なムードの残響だけが重苦しくラボを満たしていく。

 

操縦席のハッチの隙間から、そのバラバラな個性の衝突を「我関せず」といった風にただ静かに見つめているのは、伝説の戦士メリンダ・メイであった。

 

彼女は一言の言葉も遺さず、ただ冷徹な佇まいのまま一寸の曇りもない鋭い一瞥をバックミラー越しに送り、静かにバスの舵をペルーのジャングルへと傾けるだけであった。

 

さらにウォードの視線の先には、正式に加わったばかりの素人ハッカー、スカイの姿があった。

 

胸の奥に顔を秘めるウォードにとって、訓練も受けていない民間人をなぜ最前線へ連れていくのか、コールソンには到底納得がいっていなかった。

 

やがて、バスは木々が鬱蒼と生い茂るインカの古き遺跡へと見事なランディングを果たした。

 

崩れかけの不気味な石壁の奥深くへと進入した一同は、フィッツとシモンズが大改造を施したシールド製の多機能デバイスをパチパチと流麗に操作した末に、壁面へ異常なエネルギーを放ちながら埋め込まれていた謎の兵器――シールド指定コード『0-8-4(素性不明の未確認物体)』を発見する

。

──まさに、その未知の遺物に接触し、解析を進めていたその時であった。

 

ザッザッ、と重厚な軍靴の足音が遺跡の静寂を木っ端微塵に粉砕した。兵器の奪取を狙うカミラ・レイエス率いるペルーの地元憲兵隊が、一斉に銃を構えコールソンたちの周囲を完璧に包囲したのだった!

 

「全員動くな! その兵器は我々が回収する! ……フッ、久しぶりだな、コールソン」

 

一触即発の冷酷な緊張感が空間を支配し、フィッツとシモンズが恐怖に身を縮こまらせる。ウォードが瞬時に戦闘態勢へと移行し、ナターシャと互角にやり合える無手の暗殺技術をその拳に込めた、その瞬間。

 

誰もが最悪の決裂を覚悟したその最前線で、ただの民間人であるはずのスカイが、恐怖にその身体を小さく震わせながらも、前へと一歩踏み出した。

 

スカイは自身のノートパソコンを堂々と掲げ、一寸の曇りもない真っ直ぐな瞳を爛々と輝かせながら、地元軍の兵士たちへ向けて必死に、かつスマートな交渉の言葉を投げかけたのだ。

 

「落ち着いて! 私たちはこれをただ調査しに来ただけなの! あなたたちの領土を侵すつもりはないわ、本当よ!」

 

その一寸の曇りもない必死な行動は、銃を構える兵士たちの冷酷な心をほんの少しだけ融解させ、彼らの引き金を引くタイミングを完全に狂わせた。

 

そのスカイの華奢な背中を後ろから見つめていたグラント・ウォードの瞳に、かすかな驚愕の光が宿る。

 

(──ただの無鉄砲なハッカーだと思っていたが、こいつは……)

 

冷徹な仮面の奥底で、ウォードはスカイの内に眠る「命を賭けて大切な者を護ろうとする気高き資質」を明確に感じ取った。

 

それはかつて、孤独だった自分を闇から救い出してくれた「御方」に、どこか通じるものがあった。

 

ウォードの胸の中に、彼女に対する「微かな、しかし確かな信頼の糸」が、ほんの少しずつ、静かに点火される瞬間であった。

 

「──フッ。お前を護る盾くらいには、なってやるさ」

 

ウォードはニヤリと不敵に笑うと、スカイの身体を自分の背後へ隠すように庇い、襲いかかってきたカミラの工作員たちへ向けて正面から大突進した!

 

「お前ら、邪魔だ!」

 

ウォードの放つ超一流の体術と、仕込みの極上の戦闘技能が流麗に炸裂する。

 

敵の放った至近距離からの銃弾を東洋の歩法で紙一重でかわしながら、瞬時に間合いを詰めると強烈な寸勁の一撃を叩き込み、正面から敵を木っ端微塵に圧倒・完全制圧してみせた。

 

「私は運転手しかしないって言ったわ」

 

その真横では、メリンダ・メイも鋭いハイキックを放って残党を豪快に地面へと叩き伏せて完璧に仕留め、フィッツやシモンズも目を爛々と輝かせてデバイスのバックアップを完全にホールドしたのだった。

 

カミラたちの軍勢は1ミリの抵抗もできず完全降伏へと追い込まれ、兵器『0-8-4』は無傷で完璧に回収された。

 

それから数時間後。再び大空を爆走するバスの隠密ラボにて、フィル・コールソン特工は誰も見ていないセキュア通信コンソールへと向かい、緊張の面持ちでいた。

 

表向きにはカミラたちの地元軍の目を欺き、その危険な兵器をその場で安全に『完全処理(破壊)』したかのように見せていたのだが、

 

コールソンは裏からハブであるタロスをスマートに仲介させ、その超危険な兵器を直接、ニューヨークのニック・フューリー長官の元へと極秘に自動輸送させる手配を完了させていたのだった。

 

「──長官、例の『0-8-4』の段取りは完璧です。これよりそちらへ送ります」

 

『相変わらず手際がいいな、コールソン。お前にチームを組ませた甲斐があったというものだ』

 

ホログラム越しにフューリーがニヤリと不敵に笑うのを確認し、コールソンは通信を切って皆の元へと帰っていった。

 

コールソンは、今日の戦いでスカイを庇うように戦ったウォードの動きを見逃していなかった。

 

「今日の君の連携は見事だったよ、ウォード。そこでだ、ウォード君に彼女──スカイの教育係(SO)を任せたい」

 

「はあ? 俺が何故、あんな素人ハッカーの教育係をしなくちゃならないんだ。冗談じゃない」

 

「私も嫌よ! この人、一言目には『イエスかノーか』ってうるさいし、全然優しくないもの!」

 

「お前が現場で好き勝手にするからだろうが!」

 

「頼んだぞ、ウォード。これは上官命令だ。彼女の頭脳は、これからの私たちに絶対に必要だ」

 

コールソンにそう言われ、ウォードはチッと舌打ちをしながらも、冷徹な表情を取り戻した。

 

「……命令なら仕方ねえ。面倒くせえが、やるか」

 

こうして、ウォードはスカイの正式な教育係へと任命されたのだった。

 

まだ出会ったばかりで、最初から完璧に連携の取れたチームではない。しかし、その夜。

 

自室に戻り、ノートパソコンを開いたスカイは、シールドの監視の目をかいくぐる独自の暗号ラインで、ハッカー組織『ライジング・タイド』へと短いメッセージを送っていた。

 

「潜入成功よ。また連絡するわ」

 

彼女の瞳には、チームへの愛着と、自身の目的のための欺きが交錯していた。

 

しかし、それを知らないはずのウォードもまた、自室のベッドに腰掛け、託された極秘端末を静かに見つめていた。スカイの不穏な電波を完全に傍受・解析しながら、彼はフッ、と静かに笑う。

 

「お前が何を企んでいようが関係ない。だが……あの純粋な瞳を曇らせるような真似だけは、俺が絶対にさせないさ」

 

ウォードとスカイの間に芽生えた、微かな信頼の残響。そして日夜ぶつかり合いながら成長していく若き星たちの輝きを乗せて、移動司令空母『バス』は滑らかに大空へ発進していった。




第61話をお読みいただき、ありがとうございました!

裏の手回しでフューリー長官への極秘輸送を完了させ、スカイの教育係(SO)に任命されたウォード──

どうぞこれからも色々とお楽しみにお待ちいただければ幸いです!
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