ウルトラマンエターナル 〜神聖時間軸の守護神〜 作:マーベルウルトラ
グラビトニウムの暴走を止め、裏の知略でクインを泳がせて帰還したウォード── 。
どうぞ最後までお楽しみください!
ロサンゼルスでの奇跡的なマイクの救済、そして地中海マルタ島での緊迫したグラビトニウム回収任務をスマートに終えた特殊航空機『バス』は、次なる任務へ向けて、北欧スウェーデンの透き通るような大空へと向けて滑らかに爆走を続けていた。
その機内の開発ラボでは、これまでのバラバラだった雰囲気が嘘のような、賑やかでどこか微笑ましい声が響き渡っていた。
「ウォード! 前回のグラビトニウムの時の動き、本当に理論的にも筋肉の噛み合わせ的にも最高に格好良かったわ!
はいこれ、あなたのためにさらに改良したシールド製の最新プロテイン飲料よ!」
「そうだ! 腕の衝撃を完璧に消去する特殊カーボン製サポーターも自作したんだ。邪魔な動きは一切出ない仕様だから、遠慮しないで使ってくれ!」
トレーニングを終えてリビングへ戻ってきたグラント・ウォードの元へ、レオ・フィッツとジェマ・シモンズのサイエンス・コンビの二人が、その瞳を爛々と輝かせながら最高のスマイルを浮かべて一斉に駆け寄ってきた。
マルタ島でのホール博士救出をきっかけに、ウォードの圧倒的な実力と仲間を護る意志を目の当たりにした二人は、これまでの不信感を綺麗さっぱり消去させ、日夜ことあるごとに頼れる最強の兄貴分として彼に懐くようになっていたのである。
ウォードは「おい、俺は今、次の隠密任務の段取りを確認している。意味のわからない言葉を並べて俺の時間を奪うな」と、腕を組んでうざがり突き放すような態度を取ったが、二人の猛アタックは止まらない。
その様子をソファから見つめていたスカイは、クスッと余裕の笑みを浮かべて可愛い釘を刺すように語りかけた。
「すっかり頼れるお兄ちゃんね、ウォード。二人とも、あなたに心から感謝をしてるのよ」
「……ならお前もこいつらを見習って、少しはガードの型を練習したらどうだ。昨日のサンドバッグ打ちはブレていたぞ」
ウォードが面倒くさそうに溜息をつきながらも、どこか不器用なぬくもりを宿して言葉を返すと、ラボの全自動通信コンソールがピーと軽快に鳴り響いた。
奥から現れたフィル・コールソンが、元シールドの優秀なエージェントであり、かつての彼の部下であったアケラ・アマドールが、謎の「バック作戦(強盗行為)」を起こしている極秘映像をメインモニターに大展開した。
「──みんな、集まってくれ。彼女のこの不可解な動きについて、私たちで詳しく調べる必要がある」
成長し始めたチーム全員で、一斉に映像の解析へと乗り出した。
スカイが素早くキーボードを叩いて彼女の視野と連動していると思われる不審な電波通信を逆探知し、フィッツとシモンズがシールド製の大改造デバイスをパチパチと操作してバイオデータを解析した末に、衝撃の真実へとたどり着いた。
「コールソン, これは……彼女の視神経に、未知の超高機能な義眼型デバイスが埋め込まれているわ! 彼女は自分の意志ではなく、この『監視アイ』によって何者かに一挙手一投足すべてを脅迫され、完全に操られているのよ!」
シモンズが驚愕の声を上げると、コールソンは深いぬくもりを宿した瞳の奥に、かつての部下を必ず救い出すという強い決意を爛々と輝かせた。
その裏側で、操縦席のハッチに背を預けていたメリンダ・メイは、一言の言葉も遺さず、ただその冷徹な眼光を静かに燃やしていた。
表向きには感情を見せない彼女であったが、その実、誰よりもコールソンの傷つきやすい心を理解していた。
彼をこれ以上悲しませないために、コールソンのために自らが泥を被ってでもアケラを完璧に叩き伏せて仕留めるという強固な意志を、内裏に完璧にホールドしていたのである。
「よし、アケラを操る黒幕の極秘アジトを突き止めた。ウォード、潜入を頼めるかい」
「了解した、コールソン。――スカイ、機内から目を離すなよ」
「うん、完璧にバックアップしてあげるわ!」
ウォードはスパイとしての冷徹さをジャケットの裏に完璧に潜めながら、ベラルーシの極秘施設へとスマートに単独潜入を開始した。
施設を歩いていると奇妙な幾何学模様(線と丸が組み合わさった図)が書かれていた。
「なんだこれは」
防衛網の裏コードを流麗に潜り抜け、アジトの最深部へと滑らかに侵入したウォード。
しかし、ヒドラの残党をも震撼させる最新鋭の全自動セキュリティセンサーが突如作動し、
「まずいなどうにかできるか」
ウォードの目の前で重厚な防壁がガシャンと閉鎖されそうになる。さらに、無数の防衛工作員たちが銃を構えて一斉に雪崩れ込んできそうになり、絶体絶命の危機を迎えた。
だが、バスの機内でヘッドセットを構えていたスカイの瞳が、一寸の曇りもない真っ直ぐな意志で爛々と輝いた。
「――ウォード、私の教育係をここで無様にノックアウトさせるわけにいかないでしょう!」
スカイがキーボードを凄まじいスピードで叩き、施設の全監視カメラシステムが一瞬にして彼女の手によって「完全ジャック」された。
監視モニターに映るウォードのホログラム映像を一瞬で数秒前の「無人の映像」へとリアルタイムで書き換え、セキュリティの警報コードを強制消去。
工作員たちは、ウォードがすぐ目の前に佇んでいることすら1ミリも気づかずに「誰もいないな」とそのまま通り過ぎていったのである。
完璧に危機を回避したスカイは、無線越しにこれ以上ないほど誇らしげな最高のスマイルを浮かべた。
「どう? ウォード、教育係の成果、完璧に見せられたでしょう?」
「──フッ。よくやった, スカイ。お前のその真っ直ぐな技術、少しは使い物になると言ってやる」
ウォードの胸の中で、スカイに対する確かな信頼の糸がさらに一歩、流麗に深まった。
──だが、アジトの別エリアでは、もう一つの「命がけの段取り」が回り始めていた。
監視アイによって操られ、施設の最深部へと逃れようとするアケラ・アマドールの前に、音もなく滑らかに立ちはだかったのは、伝説の戦士メリンダ・メイであった。
「メイ……! 邪魔をしないで、私は行くわ!」
「それはできない。これ以上、あいつ(コールソン)を悲しませるな」
メイは一言の言葉に静かなる怒りを纏わせると、一寸の曇りもない鋭い眼光をアケラへと向けた。
アケラが義眼の指示に従い、目にも留らぬ速さでコンバットナイフを突き出してくる。しかし、メイの放つ圧倒的な戦闘体術はそのすべてを完全に看破していた。
シュパッ、と空を切り裂くアケラの斬撃を、メイは紙一重の最小限の身のこなしで流麗にかわしていく。
かつて「騎兵」と恐れられたその絶対的な技量が瞬時に爆発した。
アケラが放った大振りの右ストレートの隙を見逃さず、メイはその華奢な懐へと滑らかに潜り込むと、相手の手首をガシッと強固にホールド。
そのまま流れるような関節技でナイフを床へと叩き落とした。
「くっ、あぁ……っ!」
焦るアケラは、義眼のデバイスを限界まで駆動させて予測不能な動きで蹴りを放つ。
だが、メイはそれを左腕の特製ガードで完璧に弾き返すと、目にも留らぬ超高速のハイキックをアケラの顎へと完璧に捉えて飛ばした。
ズガァン! と重厚な衝撃音が響き、アケラの身体が豪快にアスファルトへと叩き伏せられる。
アケラは完全に脳を揺らされ、抵抗もできずその場で完全ノックアウトの沈黙を迎えた。
倒れたアケラを見下ろしながら、メイは静かに息を整えた。彼女がアケラを完膚なきまでに叩き伏せて仕留めたのは、憎しみからではない。
これ以上、コールソンに元部下と戦うという傷を背負わせないため――彼のために自らが冷酷な鬼になるという、メリンダ・メイなりの最最深のぬくもりの証明であった。
「……終わったわ」
メイが短く頼もしい通信を入れると同時に、機内から駆けつけたフィッツとシモンズのサイエンスの力によって、アケラの義眼の脅迫システムは綺麗さっぱり完璧に無効化され、彼女は無傷で救出されたのである。
そして、コールソン率いる『バス』のチーム全員が固い連携の段取りをもって、ついにアケラを脅迫していた今回の黒幕(元MI6の指揮官)をアジトの奥へと追い詰めた、その時のことであった。
「観念しろ。君の薄汚い段取りは、ここで全て終わりだ」
キャプテン・アメリカを彷彿とさせる頼もしい口調でコールソンが言い放ち、誰もが完全降伏を確信したその瞬間、黒幕の男の瞳がオレンジ色に不気味に発光した。
次の瞬間、アケラと同じく彼の義眼の奥の脳内に仕込まれていた極小のバックアップ爆弾がパチチチと作動し、男は一瞬にして脳を焼かれて崩れ落ち、そのまま冷徹な動かぬ肉体となって死んでしまった。
「な、何よこれ……! 証拠を消すために、最初から自爆コードが仕込まれていたの……!?」
息を呑むような凄まじい幕引きに、スカイやサイエンスたちが驚愕する中、ウォードは一人、彼らから少し離れた薄暗い通路の影で、チッと苦々しく大きな舌打ちを響かせていた。
(……まったく、余計な仕事を増やすな、ゴミ屑どもが。この義眼の技術といい、口封じの鮮やかさといい……。ぼやぼやしている暇なんてないんだぞ。これ以上ノイズを混ぜるな)
スパイの仮面の奥で、誰にも聞こえない声で冷徹にそうぼやいていたのである。
「ウォード、大丈夫か?」
コールソンの声に呼び戻され、ウォードは一瞬でいつもの不敵なスマイルを浮かべた。
「……ああ、コールソン。少し、ドブネズミの死臭がしただけだ。バスへ戻るぞ」
ウォードは何事もなかったかのようにスマートに歩き出すと、隣を歩くスカイの頭を「ハッキングは合格点だ」と言うように不器用にポンと叩いた。スカイは一瞬驚きつつも、これ以上ないほど温かい最高の笑顔を浮かべた。
アケラを縛っていた暗い影は彼方へと完璧に吹き飛び、彼女は罪を償い前へと進んでいこうとしてい。
彼らはまだ完璧ではない。しかし、日夜ぶつかり合い、お互いを補い合うことで、確実に一つの不滅のチームへと美しく成長を遂げている。
第63話をお読みいただき、ありがとうございました!
謎の「監視アイ」によって操られていたアケラ・アマドールを救うため、スカイの超高速ハッキングによるセキュリティ奪取、そしてメリンダ・メイのコールソンを想うがゆえの圧倒的な戦闘体術によって、1ミリの犠牲も出さずに完璧にアケラをノックアウト・救出するお話でした。
どうぞこれからも色々とお楽しみにお待ちいただければ幸いです!