ウルトラマンエターナル 〜神聖時間軸の守護神〜 作:マーベルウルトラ
監視アイの恐怖からアケラを完璧に救出し、日夜ぶつかり合いながらも不滅のチームへの歩みを進めていたコールソンチーム── 。
どうぞ最後までお楽しみください!
東洋の魔都、香港。
100万ドルの夜景と称される絢爛たる光の海を切り裂き、シールドが誇る移動司令空母――特殊航空機『バス』は、滑らかに大空を爆走していた。
しかし、漆黒の機内を包み込む空気は、どこまでも不穏なノイズに満ちあふれていた。
香港の街で突如として発生した、炎を自在に操る特殊能力を持つ青年チャン・ホアセン(スコーチ)の不自然な拉致事件。
さらには、謎のハッカー組織『ライジング・タイド』からの極秘情報流出に起因する、シールドの暗号コード漏洩。
それらの不穏な因果が交錯する全自動コンソールの前で、若き天才科学者レオ・フィッツとジェマ・シモンズの二人は、謎の組織が開発した「エクストリミス因子」の新たな亜種データを解析していた。
「フィッツ! この因子、放っておいたら数分で被験者の肉体ごと周囲を木っ端微塵に全滅させてしまうわ!」
「本当に恐ろしいな、シモンズ! だが、僕たちのシールド製大改造コンソールがあれば、その暴走を完璧に先回りでホールドできるはずだ!」
二人がその瞳を爛々と輝かせて議論を張り上げる中、チームに正式に加わったばかりのスカイだけは、自らの過去のコードに胸を締め付けられるように、ただ静かに視線を落としていた。
バスが香港へと到着し、チームが現地警察の網をかいくぐってチャンの行方を追う裏の段取りを敷いている、その時のことであった。
グラント・ウォードは一人、誰にも行き先を告げることなく、ジャケットを流麗にたなびかせながら、香港の喧騒から完全に切り離された薄暗い路地裏へとスマートに歩みを進めていた。辿り着いた先は、歴史の残響を纏う、古びたレンガ造りの跡地であった。
ウォードは静まり返ったその空間の真ん中で立ち止まり、自らの拳をギチリ、ギチリと激しく握りしめた。
(──ここは、…場所だ……)
その肌に思い出しながら、ウォードは過酷な使命を果たすための不敵な余裕の笑みを宿した。
自分にぬくもりをくれたように、今度は自分がその地を護るのだと、自らの誓いと覚悟をより一層強固なものへとさせていくのだった。
だが、そんなウォードやコールソンたちの『バス』チームの動きを、香港の摩天楼の上空、次元の境界の影から、静かに見つめている二人の影があった。
最高峰の加護が宿るカマー・タージの法衣を纏った戦士モルド、数多の禁書を司るウォンの二人であった。
「……ウォン。あの方の仲間たちが動いている。我々は介入しなくていいのか」
モルドが一寸の曇りもない鋭い眼光を爛々と輝かせながら、隣のウォンへと問いかけた。
しかし、ウォンは至高の魔術師(ソーサラー・スプリーム)の弟子として静かに首を振った。
「ああ、俺たちが手を出す問題ではない。地球の不穏な影は彼らが完璧に守っている。それよりも、俺たちには今、カマー・タージですべき事がある」
ウォンが手をピッとしなやかに一振りすると、空間が火花をパチチチと橙色に弾けさせながら美しく円を描き、次元を切り裂く光のポータルが展開された。
モルドと共にその中へ消えていくその刹那、ウォンはポータルの向こう側の世界を見つめながら、ふと、小さな言葉を遺した。
「──少し、似ていたな」
二人の至高の魔術師は、残響を空に残したまま、静かに空間の彼方へと消え去っていった。
その頃、バス機内での作戦の段取りは一気に佳境へと突入していた。
チャンの潜伏情報をムカデ組織(花柄のドレスの女)へと密かに売り渡していたのは、ハッカー組織『ライジング・タイド』の仲間であり、スカイの元恋人でもあるマイルズという男だったのだ。その裏切りコードがスカイのハッキングによって暴かれた瞬間、ウォードとコールソンはスマートにその場を押さえ、マイルズの身柄を完璧に確保した。
「スカイ、君は僕たちを裏切ったのか。イエスかノーかで答えろ」
ウォードが冷徹な眼光を向けると、スカイは逃げも隠れもしない曇りのない瞳を真っ直ぐに輝かせた。
そして、最深の感動と悲痛の入り混じった大粒の涙を流しながら、自らがシールドへと近づいた『本当の目的』のすべてを、絞り出すような大声で告白したのだった!
「──私がシールドに潜入したのは、世界を壊すためじゃないわ!
私の実の両親……私が生まれた時に、私をシールドの隔離指定コードとして抹消した、本当のお父さんとお母さんの情報を探すためだったのよ!
自分の本当の家族を見つけること、それが私のたった一つの真の目的なのッ!」
彼女の口から語られた、出生の秘密という特大の未来への伏線。その一寸の曇りもない真っ直ぐな叫びが、バスのリビングを満たしていく。
驚愕の真実にフィッツやシモンズが目を丸くして息を呑む中、教育係であるグラント・ウォードはスカイの頭を優しくポンと叩いた。
「──フッ。手のかかる素人だ。だが、家族を探したいなら、これからは俺たちの総力を使い、探し出してやる。お前はもう、俺の最高の生徒だからな」
「ウォード……ッ!」
「今回は不問とするが、次は無いぞ。チームに秘密は厳禁だ」
コールソンもこれ以上ないほど温かい最高のスマイルを浮かべ、スカイのすべてを肯定のぬくもりで包み込んだ。
自分の本当の目的と生き方を完全に肯定されたスカイは、涙を拭い、最高のスマイルを浮かべたのだった。
「よし、本当の絆が結ばれたなら、ここからは反撃の時間だ。これ以上、ムカデ組織の思い通りにはさせない」
コールソンが力強く頷き、チームはすぐさまチャンの拉致されているムカデ組織の極秘実験施設へと向かった。
施設内では、花柄のドレスを纏った謎の女・レイナの扇動によって、過剰なエクストリミス因子の投与を受けたチャンが暴走寸前の状態に陥っていた。彼の身体から噴き出す凄まじい炎が周囲の壁をドス黒く赤に染め、熱波の残響が空間をグニャリと歪めていく。
「全員、一旦下がっていろ!」
ウォードが遮る熱風を切り裂くようにして、真っ先に最前線へと突入した。その圧倒的な戦闘技能が爆発する。
立ちはだかる強化工作員たちの重い打撃を、ウォードは洗練された東洋の体術で紙一重でかわすと、一瞬の隙も与えずに相手の胸元へ滑らかに潜り込み、強烈な一撃を与える。
「邪魔よ」
その真横では、メリンダ・メイも背後の残党を豪快に叩き伏せて完璧に仕留めてみせた。
しかし、チャンの肉体はすでに限界を超え、オレンジ色の激しい炎が今にも大爆発を起こそうと、パチチチと不穏な電磁残響を放ち始めた。
「フィッツ、シモンズ! 急げ!」
「任せてください!」
機内のラボから全自動で転送されたシールド製の大改造安定化コードを、コールソンが多機能デバイスからピーと軽快に鳴らして解放し。
ニック・フューリーがスタークたちに作らせたその温かい全肯定のぬくもりのエネルギーが、暴走するチャンの肉体を優しく包み込んだ。
「う、あぁぁ……っ、熱が、引いていく……! 身体が、温かい……!」
チャンの暴走ノイズは一瞬にして完全に消去され、彼の身体から不穏な炎の残響は綺麗さっぱりと消去された。彼は無傷で完璧に救済され、これまでにないほど最高の笑顔を浮かべたのだった。
だが、この大混戦の裏で、ウォードの鋭い眼光は施設から密かに逃亡しようとする「花柄のドレスの女」――レイナの姿を完璧に捉えていた。
正面から突撃すれば、今のウォードの規格外の武力をもってすれば、一瞬にして彼女の身柄を拘束することは可能であった。
しかし、ウォードはあえてその歩みをピタリと止めた。彼の頭脳をよぎったのは、先ほど涙を流して本当の目的を告白したスカイの姿、そして彼女が追う「実の両親」へと繋がる複雑な運命の糸であった。
(──ここでレイナを完全に潰せば、スカイの両親に関するハッキングデータの手がかりも一時的に途切れてしまう。
今は彼女の未来のためにも、この女を泳がせておくのいいか。情報網でも掴めなかったスカイの過去、俺が必ず暴いてみせる)
ウォードは冷酷なスパイの仮面の奥で不敵に笑うと、スカイを背後へと庇うような体勢をあえて維持し、レイナが闇の中へと逃げ去るのを静かに見逃した。スカイを気遣うが故のほんの一瞬の隙として、物語は美しく焦らされる。
レイナ以外の幹部や強化工作員たちは抵抗もできず全滅を迎え、その身柄はハブであるタロスの手配した安全なルートへと完璧に回収されていったのだった。
再び『バス』の隠密ラボへと戻った一同。ウォードから「よくやった」と特製の暗号解読コードを渡され、嬉しそうに目を輝かせるスカイの最高のスマイルが弾ける。
まだ出会ったばかりで、最初から完璧に連携の取れたチームではない。しかし、本当の秘密を共有し、お互いの背中を護り合うことで、彼らは確実に不滅のチームへの歩みをこれ以上ないほど美しくスマートに進めていた。
第64話をお読みいただき、ありがとうございました!
シールドに潜入した「本当の目的(実の両親の捜索)」を涙ながらに告白したスカイのすべてを、コールソンやウォードたちが温かいぬくもりで包み込み、暴走寸前だったチャン(スコーチ)を安定化血清で傷一つなく完璧に救済するお話でした。
今回の様に他のシリーズの人物も少し入り込んだりするかもしれません。
どうぞこれからも色々とお楽しみにお待ちいただければ幸いです!