ウルトラマンエターナル 〜神聖時間軸の守護神〜 作:マーベルウルトラ
スカイの出生の秘密をチームの温かいぬくもりで包み込み、真の信頼の絆で結ばれたコールソンチーム── 。
どうぞ最後までお楽しみください!
かつて世界を揺るがしたニューヨーク決戦。
その戦場でエイリアン――チタウリが残していったヘルメットの調査を進め、解析を行っている最中のことであった。
チタウリの兵器やヘルメットといった地球外の遺物は、シールドの厳重な管理の元、過去の危険因子として残さず完璧に消去されていたはずであった。
だが一部街に残っていたものを回収し、特殊航空機『バス』の隠密ラボの冷徹な空間に、突如としてパチチチと青白い不穏な静電気の音が鳴り響いた。
ヘルメットの奥底に数年間休眠状態で付着していた未知の電死ウイルス――宇宙の過酷な静電気ノイズが、ジェマ・シモンズの可憐な肉体を不運にも蝕み始めていたのだ。
「みんな、近づいちゃダメ! 早くこのラボを完全に閉鎖して!」
シモンズの悲痛な叫びが響き渡ると同時に、バスの気密スライドドアが冷徹な音を立ててガシャンと強制閉鎖され、彼女はラボの強化ガラスの奥へと完全に隔離されてしまった。
このままでは数時間で脳の神経回路が過電流によって完全に破壊されるという、絶望のバイオデータが無慈悲にホログラムコンソールへ映し出される。
「嫌だ! シモンズを一人になんてさせるか! 僕が、僕が絶対に今すぐ特効薬を作ってみせる!」
隔離された最愛の相棒を前にして、レオ・フィッツはこれまでにないほどその瞳を狂ったように顕微鏡に向き合わせ、一人で抗体のビルドに身を投じた。
1分1秒が惜しい極限の時間。しかし、宇宙の未知のウイルスの解析はあまりにも複雑怪奇であり、現場の限られたシールド製の機材だけでは、どう足掻いても抗体の噛み合わせが合わないのだった。
「駄目だ……抗体が作れない……! 時間が足りないんだッ、ちくしょう!」
フィッツは自らの無力さに大粒の涙を流し、絶望のあまりガックリと床へ膝をついてヘタり込んでしまった。
強化ガラスの向こうで、シモンズは弱々しく微笑む。
「フィッツ、もういいの。あなたのせいじゃないわ……」
まだ未完成なチームに、最悪のパニックノイズが襲いかかろうとした、まさにその限界の刹那であった。
ラボの外でその様子を静かに見守っていたフィル・コールソンが、深く息を吐き出すと、少し含みのある頼もしい顔を見せた。
「──フィッツ、シモンズ。よく頑張った。
……メイ、すまないが航路を変えてくれ。行き先は、あの場所。これは、私たちだけの秘密だ」
コールソンの一寸の曇りもない真っ直ぐな言葉に、操縦席のメリンダ・メイが「了解」と短く、しかし世界一頼もしい口調で応じ、バスの巨大な機体を滑らかに急旋回させた。
さらにコールソンは多機能デバイスをピーと軽快に鳴らし、裏のハブであるタロスへと極秘の暗号通信を繋いだ。
「タロス、彼らに話を先回りで通しておいてほしい。頼めるか?」
流麗な電磁残響と共に、コンソールからタロスの低く男らしい声がホログラム越しに響き渡った。
『――了解した、コールソン。ブルース・バナー博士やナターシャ・ロマノフがいる、あの『シールド・セーフティハウス』への受け入れで良いな?
既に彼らの元へ、私が宇宙から集めた様々な惑星の珍しい抗体や、特製の医療道具を完璧に届けてある』
「ああ、頼んだよ、タロス。私たちの仲間を救いに行くぞ、フィッツ」
コールソンとタロスの連携が完璧に噛み合い、絶望のノイズは一瞬にして反撃の段取りへと移行した。
バスは凄まじい馬力の残響を響かせながら、アメリカの隠された大自然の中にひっそりと佇む最高の隠れ家(セーフティハウス)へと滑らかに大降下を果たしたのだった。
ハッチがガシャリと開いたその空間には、過保護な洗浄・速乾機能付きの魔術衣をスマートに纏ったブルース・バナー博士と、いつもの戦闘服ではなく普通の私服を着たナターシャ・ロマノフの二人が、これ以上ないほど温かい最高のスマイルで待っていた。
「よく来たね、君たち。もう大丈夫、僕たちに任せてくれ」
「ええ、ブルースがいてくれて助かったわね。さあ、時間がないわ、ラボへ運ぶわ」
バナー博士はメガネの位置を直し、知的で穏やかなお茶目な口調でフィッツの肩を優しく叩いた。
セーフティハウスの最先端ラボのテーブルの上には、タロスが広大な宇宙の星々から極秘に集めてきた未知の惑星の抗体や、神秘的な宇宙の医療道具がズラリと整然に並べられていた。
「フィッツ君、君のこれまでの解析データは完璧だ。ここからは僕たちの技術を融合させようじゃないか!」
「はい……! はい、バナー博士! よろしくお願いします!」
「あ、ちなみにここら辺に置いてあるものは僕の私物だから触ってもいいけど、向こうのトランクのは辞めておいてくれ。スタークの持ち物なんだ。勝手に触るとうるさくてね」
憧れの天才科学者を前にフィッツは再びその瞳を爛々と輝かせ、二人の天才による共同開発を始めた。
バナー博士の地球最高峰の知識と、タロスが持ち込んだ宇宙の抗体物質、そしてフィッツの精密な電子技術が完全にシンクロし、チタウリのウイルスを木っ端微塵に全滅させる、最高の特効薬が完璧に完成を迎えたのだった!
「シモンズ! 間に合ったぞ!」
フィッツが叫びながら完成した特効薬を隔離カプセルのシモンズへと投与すると、彼女の身体を蝕んでいた青白い静電気ノイズは一瞬にして綺麗さっぱり消去された。
「あぁ……っ、痛みが、完全に消えていく……。フィッツ、ありがとう……!」
シモンズの瞳から溢れた涙は、悲しみではなく、魂の最深部が救われた感動の涙だった。晴れやかな最高の笑顔を浮かべるシモンズと、それを見て泣き笑いするフィッツ。
そんな最高に賑やかな救済劇の残響がラボに響く中、セーフティハウスの裏手にある薄暗い森林の影の空間であった。
月明かりに照らされた漆黒の闇の中、グラント・ウォードは、シールドの表に決して姿を現さないはずのスクラル人のリーダー、タロスと静かに合流していた。
彼はこれ以上ないほど怪しげに、しかし余裕の笑みを浮かべて密談を交わしていたのだった。
「──タロス。今回お前が持ち込んだ宇宙の医療道具の段取り、見事な先回りだったぞ」
ウォードが冷酷な仮面の奥で低く頼もしい声を響かせると、タロスは腕を組み、ニヤリと不敵なスマイルを浮かべてサラリと言い放った。
「ウォード。分かっているな。これは、このチームに潜入しているお前の立場を完璧に手助けするための必要な仕込みだ。
シールドの連中には、ただの偶然の幸運にしか見えていないだろう?」
「フッ、その通りだ。サイエンスの子供たちも、前回の件と今回の件で俺を完全に頼れる兄貴分だと勘違いして、日夜懐いてきている。
計画はこれ以上ないほど完璧に進んでいる」
「いつも一人でいたお前が、随分と楽しそうでいいが……お前が本当にすべき事忘れるな」
「分かっている。……ところで、この場所の情報(セーフティハウスのデータ)をリークしてもいいか」
「ああ、私から事前にバナー達にはダミーのデータを掴ませる許可を得ている。
だが、本当に取られて困るものもあるからな。流すデータの噛み合わせは事前に言え。しくじるなよ、ウォード」
「勿論だ。全ては……」
ウォードとタロスの、世界の暗闇での不敵な男の約束。
二人の怪しげな会話の残響が夜風に溶けて消えていく中、セーフティハウスの暖かい窓からは、危機を脱したスカイやシモンズたちの、これ以上ないほど愛に満ちた笑い声が爛々と輝いていたのだった。
そして誰も気づいていなかったがスタークのトランクから出ていた微量の粒子がコールソンの周りを覆っていた。
第65話をお読みいただき、ありがとうございました!
絶望に暮れるフィッツの前にコールソンとタロスの連携、避難先のセーフティハウスにてブルース・バナーやナターシャ・ロマノフと共同開発により、シモンズを蝕むウイルスを一瞬にして綺麗さっぱり救済するお話でした。
どうぞこれからも色々とお楽しみにお待ちいただければ幸いです!