ウルトラマンエターナル 〜神聖時間軸の守護神〜 作:マーベルウルトラ
チタウリの宇宙ウイルスからシモンズを完璧に救出し、お互いの絆をより一層深め合ったコールソンチーム──
どうぞ最後までお楽しみください!
チタウリの宇宙ウイルスによる危機を奇跡的に乗り越え、ジェマ・シモンズが完全に元の日常を取り戻したのも束の間。
シールドの巨大作戦基地『ハブ(HUB)』から、すぐさま不穏な次なる隠密任務が下された。
「今回はウォードとフィッツに行ってほしい。上層部からの直接の命令だ」
コールソンから配属を告げられたグラント・ウォードは、ジャケットを正しながら低く応じた。
「命令なら仕方ねえ、行くか。おい、最前線で足引っ張るんじゃねえぞ」
「心配しないでよウォード。機械の仕様と電子ロックのコード解読の段取りは、僕に全部任せておいて!」
レオ・フィッツはいつになく頼もしく胸を叩いた。
しかし、ハブから下された今回の特殊作戦の全貌は、どこまでも冷徹で不完全な違和感に満ちあふれていた。
敵の有する超巨大な大量破壊兵器の起動を秘密裏に、かつ完全に停止させる。
その極限のミッションを完遂するため、最前線のプロであるウォードと、シールド製の大改造コンソールデバイスの扱いに長けたフィッツの二人は、危険極まりない南オセチアの無法地帯へと向かったのである。
その裏側で、移動司令空母『バス』の機内に残されたスカイとシモンズの二人は、今回の作戦の段取りに、どうしても拭いきれない不穏な疑問のノイズを抱いていた。
「シモンズ、何かおかしいわ。ハブの本部データリンクの暗号コードに、不自然なバック作戦(情報消去)の形跡がある……」
スカイが持ち前の神速ハッキング技術を解放し、キーボードを凄まじいスピードで叩きつけてシールド本部の最高機密暗号データベースをジャック。
シモンズと共に作戦表の裏コードを隈なく調べ上げていくと、二人は驚愕のあまりその場に冷たく凍りついた。
本部の作戦進行表から、現在進行形で命がけの潜入を行っているウォードとフィッツの二人の名前、そして任務完了後に彼らを救出するための退路確保の項目が、最初から完全に消去されていたのである。
上層部による「使い捨ての片道切符」という冷酷無比な作戦を完全に看破した二人は、顔を真っ赤に染めて怒りと震えを宿し、フィル・コールソンの元へと大急ぎで駆け寄せた。
「コールソン、大変よ! 本部はウォードたちを助ける気がないわ! 最初から退路なんて用意されていなかったのよ!」
「今すぐ二人を助けに行かなきゃ、手遅れになっちゃう! レオが、二人が全滅しちゃうわ!」
二人の悲痛な叫びを聞いたコールソンは、一瞬だけその鋭い目を細めた。しかし、チームの覚悟をその胸に抱くと、ニヤリと不敵な余裕のスマイルを浮かべてサラリと言い放った。
「──なるほど、本部の上の段取りはそういうことか。だが、僕たち『バス』のチームに、仲間を見捨てるという文字は1ミリも存在しない。……メイ、本部の命令を完全に無視して航路を変更してくれ! 二人を今すぐ助けに行くぞ!」
「了解。行きましょう。命令だか何だか知らないけれど、今回は私も最高に気に食わないわ」
操縦席からメリンダ・メイが世界一頼もしい口調で応じ、漆黒の司令空母『バス』は凄まじい馬力の残響を響かせながら、二人の待つ絶体絶命の南オセチア最前線へとスマートに大発進していった。
同じ頃、最前線の敵基地の奥深くでは、鳴り響くサイレンと共に、敵の無数の防衛工作員たちに包囲され、激しい打撃音の残響が壁に木っ端微塵に激突していた。
「ウォード、この噛み合わせの電子ロックがどうしても外れない! 破壊兵器の全自動停止手続きが完了するまで、あと数分必要なんだ!」
「焦るなフィッツ! お前は自分の仕事を完璧にこなせ。お前の背後は、俺が完璧に護る!」
ウォードはフィッツを自分の背後へと完璧に絶対防衛しながら、ナターシャと互角にやり合える極上の無手体術を繰り出し、襲いかかる工作員たちの顎を一撃で次々と正面から圧倒していった。
フィッツも冷や汗を流しながら大改造デバイスを操作し、ついに兵器のコア機能を完全に全消去(無効化)することに成功した。
しかし、元より退路のない波状攻撃をただ一人だけで凌ぎ続けたことで、流石のウォードの規格外の強靭な肉体にも激しい疲労困憊の残響が走り、まさに絶体絶命の危機を迎えていた。
──そこへ、天空を切り裂く凄まじい推進力の光跡と共に、コールソンたちを乗せた『バス』が敵基地の天井を破壊して堂々と大現臨を果たしたのである!
「待たせた、二人とも!」
ハッチからコールソンやメイ、そして銃を構えたスカイたちが不敵にスマートに助太刀に参戦し、残る敵の残党を瞬く間に綺麗さっぱり完全制圧した。
バスの快適な機内へと帰っていく一同。
無傷で救われたフィッツの姿を見たシモンズは、これまでにないほどその大きな瞳を爛々と輝かせると、「本当に良かった……! 無事で、無事で本当に良かったよ、レオ!」と大喜びでこれ以上ないほど温かく、彼の身体へと勢いよく飛びついて抱きついた。フィッツは顔を真っ赤にしながらも、最高の笑顔を浮かべた。
一方、スカイはウォードの前に立ち、抱きつきはしなかったものの、その大きな手をそっと自身の両手で優しく包み込むように握りしめた。
スカイは頬を真っ赤に染めて最高のスマイルを浮かべ、一寸の曇りもない真っ直ぐな瞳を輝かせながら、これ以上ないほど可愛い口調で言葉を紡いだ。
「──ウォード。……ねえ、これからは私の頼れる教官として、私に格好良い護身術とか、色々な裏の技術を教えてくれるんでしょ?」
自分の最高の生徒からの真っ直ぐな信頼を完全にホールドしたウォードは、冷徹な仮面を維持しながらも、その瞳の奥には不敵な王者の余裕を宿した最高のスマイルを浮かべ、スカイの温かい手を不器用にギュッと握り返した。
「──勿論だ、スカイ。お前が一人前の最高の戦士になるまで、俺が完璧に指導してやる。約束だからな」
そうして、リビングに新しい信頼と温かい日常の笑い声が満ちていく、まさにその大団円の陰であった。
一人静かに、薄暗い長官オフィスへと移動したコールソンは、本部の通信回線を開き、セキュアな暗号コンソールを起動して極秘の通信を開始した。
その表情には、これまでにないほど気高き怒りが滲んでいた。
「長官……一体どうなっているんですか。なぜ彼らの名前を作戦表から消した。最初から、彼らを使い捨てにして切り捨てる段取りだったというのですか!」
コールソンが受話器を握りしめて怒った様子で問い詰めると、向こうから、冷徹な眼光の中に不敵な余裕の笑みを浮かべたニック・フューリー長官の声が、静かに響き渡った。
『コールソン。お前はシールドという組織が、ただの善良なだけの組織だと思っていたのか?
……それなら間違いだ。今回のハブの幹部のように、私達は世界を安定させる目的のためなら、どのような冷酷な裏の段取りでも、何だってする』
フューリーの声は、世界の裏の裏まで看破し尽くした最高格のボスの重みを纏っていた。
驚愕のあまりコールソンが言葉を失うその刹那、長官は不穏なセリフをサラリと言い放ったのである。
『コールソン、お前に一つだけ教えておく。──シールドを信用しすぎるな。勿論、この私のこともな。
……だからこそ、その為のお前のチーム(バス)だ。上層部にすらハネ返しを食らわせる、お前だけの最強のチームになれ』
「長官……」
フューリーの一寸の曇りもない真っ直ぐな、しかし底の知れない深淵のような言葉が通信を満たし、プツリと音を立てて極秘暗号コードは全自動で完全消去された。
受話器を静かに置いたコールソンは、再び心に強固な誓いを立て、いつもの最高のスマイルをその表情に宿すと、大切なファミリーたちが笑い合う暖かいリビングへと滑らかに歩み出していった。
第66話をお読みいただき、ありがとうございました!
『ハブ』の上層部による「使い捨ての片道切符」という冷酷な作戦をスカイのハッキングで完全に見抜き、本部の命令を無視して最前線へと向かったコールソンたちの手によって、大量破壊兵器を停止させたウォードとフィッツを無傷で完璧に救出するお話でした。
どうぞこれからも色々とお楽しみにお待ちいただければ幸いです!