ウルトラマンエターナル 〜神聖時間軸の守護神〜 作:マーベルウルトラ
前話のラスト、ハブの非情な使い捨て作戦をチームの不滅の絆で完璧に叩き潰したコールソンチーム──
どうぞ最後までお楽しみください!
優斗が『ウルトラマンエターナル・ワイルドハンター トールモード』へと変身を遂げ、ソーやロキの四色マーブル結界と共にマレキス率いるダーク・エルフの怨念を正面から完璧に調和・全滅させた、あのグリニッジ決戦。
その激闘から少しの時間が経過したイギリス・ロンドンでは、九つの世界が直列したコンバージェンスの影響により、未だに周囲の磁場がパチパチと不穏に歪み続ける空間の残響が残されていた。
シールドの移動司令空母、特殊航空機『バス』の漆黒の機内では、フィル・コールソンが全自動ホログラムコンソールに映し出されたロンドン全域の異常なエネルギー波形をじっと見つめていた。今回の任務は、アスガルドの神々が地球に残していった超危険な兵器――バーサーカースタッフ(狂戦士の杖)の回収であった。
「──みんな、今回の段取りはいつも以上にスマートに行こう。ロンドン現地に、タロスから極秘裏に教えてもらった、地球に何百年も隠れ住んでいる『ある老人』がいる。まずは彼に接触して、アスガルドの危険な遺物のありかを看破する」
コールソンが最高の笑みを宿して指示を出すと、バスはロンドンの古き街並みへと滑らかにランディングを果たした。
街の片隅に佇む、歴史の残響を纏った古びたアンティークショップ。
そこで一同を迎えた白髪の老人は、一寸の曇りもない真っ直ぐな口調で語りかけた。その老人の正体は、タロスが広大な宇宙のネットワークを駆使して裏の段取りで繋がっていた、正真正銘の「地球在住のアスガルド人」エリオット・ランダルフであった。
「フィル・コールソン、よく来た。……お前たちの探しているものは、触れた者の脳に眠る怒りや恐怖、狂気を数千倍に増幅させて暴走させるアスガルドの秘宝『ベルセルク・スタッフ(狂戦士の杖)』だ。
昔、私たちが地球へ置き去りにしていった代物だが……今、それを神格化して崇める『狂気の信仰者(テロリスト)たち』が、世界を恐怖で支配しようとその行方を追っている。スタッフの破片の一つは、すでにスペインの古き教会へと隠されているはずだ」
「──なるほど。奴らに渡る前に、私たちが完璧に回収する」
コールソンはニヤリと不敵な余裕の笑みを浮かべると、スカイ、フィッツ、シモンズ、そしてグラント・ウォードとメリンダ・メイを率いて、すぐさま次なる最前線であるスペインの古き教会へとスマートに発進した。
情熱の国、スペイン。夕暮れの光の残響が美しく差し込む、厳かな大聖堂の地下ドック。
スカイがキーボードを軽快に大爆走させて周囲のセキュリティシステムを一瞬にして完全にジャックし、フィッツとシモンズがシールド製の大改造多機能デバイスをパチチチと操作してエネルギーの震源地を全自動でロックオンした。
「ウォード、こっちよ! この崩れかけたインカ風の石壁の奥に、凄まじい地球外物質の電磁が確認されているわ!」
「少し下がっていろ!」
シモンズが叫ぶ。ウォードは強靭な脚力で石壁を豪快に粉砕し、暗い奥深くへと滑らかに潜り込んだ。
──まさにその薄暗い空間の真ん中で、鈍い赤黒い光跡を放つ金属製のスタッフの破片をウォードが見つけ、思わず直接、素手で触れてしまった、その刹那であった。
ピシャァァン! と脳裏を強烈に突き刺すような、激しい精神的ノイズがウォードの全身を駆け巡った。
彼の心にへばりついていた過去のあまりにも重い過ちの記憶が、ドス黒い不穏な残響となって空間にモゾモゾと不気味に現臨したのである。
幻影の闇の中から浮かび上がったのは、冷酷な井戸の底で、助けを求めてワンワンと激しく泣き喚いている幼い実の弟の姿。
そして、その弟を冷酷に嘲笑いながら、理不尽に拳を振るって殴り続け、ウォードにまでその暴力を強要していた実の兄の、最悪なトラウマの残響であった。
「ほら、お前が落とすんだよ、グラント!」脳裏に響く兄の狂気
普通の人間の精神であれば、この暴力の記憶の濁流によって精神的孤立の恐怖とパニック障害を引き起こされ、理性を完全に狂わされてウィンター・ソルジャーのような暗殺ノイズに心を苛まれる絶望の淵に落とされるはずだった。――しかし、このグラント・ウォードは違った
彼は誓いを持つ男だったのである。
「――が、あぁ……ッ! ……へっ、くだらない幻影を見せてくれるじゃないか、アスガルドの骨董品が」
ウォードはギチリと拳を握りしめると、鍛え上げられた強靭な精神力による凄まじい「ハネ返し」によって、脳内を狂わせようとしたウイルスの如き怒りの暗号コードを、今この瞬間に綺麗さっぱりと完全消去してみせた。
ウォードは一寸の曇りもない真っ直ぐな瞳を爛々と輝かせ、ベルセルク・スタッフに向けてサラリと言い放った。
「俺の心を操り、狂戦士に染め上げたいなら……その程度の過去のゴミ屑(トラウマ)では、1ミリも無理だな。
俺の忠誠は、もっと別の場所にある」
ウォードの覚悟が地下聖堂を満たしたその刹那、ベルセルク・スタッフはまるで自らの意志で触れる者を選び直すかのようにウォードの手を離れ、何故かすぐ隣に佇んでいたメリンダ・メイの元へと吸い込まれるように真っ直ぐ向かっていった。
さらに不思議なことに、そのスタッフは、何故かフィル・コールソンの元へだけは、まるで強固な見えないバリアに弾かれるかのように、触れようと近寄ることすらもしなかったのである。
コールソンは「?」と不思議そうに首を傾げていた。
「──おっと、私を指名か? 悪くないね」
メイが大人の余裕の笑みを宿し、スタッフの凄まじい残響をスマートに右手で受け止めると、彼女の持つ圧倒的な心の強靭さで、兵器の暴走システムを完全に無効化してしまった。
そこへ、スタッフの奪取を狙って雪崩れ込んできた狂気の信仰者たちの武装工作員たちがドゴォォンと豪快に壁を破って突入してきたが、完全に正気を保ったままのウォードとメイの二人の無双の連携の前に、正面から一瞬にして完全全滅、無力化されたのである。
数時間後、再び大空を爆走するバスのリビングにて。
過酷なアスガルドの精神攻撃を完全に耐え抜いたウォードに向けて、スカイが最高のスマイルを浮かべながら、これ以上ないほど誇らしげに言葉を遺した。
「さすがは私の頼れる教官ね、ウォード! あなたなら絶対に、あんな怪しい魔力になんかに負けないって信じていたわ!」
「……フッ。手のかかる素人に心配されるほど、俺は甘くないさ、スカイ」
ウォードはニヤリと不敵な王者の余裕の笑みを宿すと、スカイの温かい手を不器用にギュッと握り返した。
二人の師弟の絆は、誰にも引き裂けないものへとさらに美しくスマートに成長を遂げていた。
しかし、その賑やかなリビングから少し離れた薄暗いラボの隅で、フィッツとシモンズは、コンソールに残された「スタッフがコールソンだけを拒絶したデータ」を見つめ、目を丸くしてひそひそと呟いていた。
「ねえフィッツ、この波形……あの時のコールソンの周囲何だか普通の人間のとは、噛み合わせの次元が完全に違っているわ……」
「ああ、まるで……別の存在がいるみたい、無理やり書き換えたような不自然なプロテクトだ。一体、コールソンに何があったんだ……?」
謎の残響が、静かにバスの床へと溶けていく。それでも移動司令空母『バス』は、若き星たちの温かい日常の笑い声を乗せて、夕暮れの大空をどこまでも滑らかに飛び続けるのだった。
第67話をお読みいただき、ありがとうございました!
アスガルドの魔力が引き起こす過酷なトラウマのノイズを、グラント・ウォードが一寸の曇りもない瞳と強靭な精神力で綺麗さっぱり完全消去し、メリンダ・メイの大人の余裕あふれる大立ち回りと共にテロリストを無力化するお話でした。
どうぞこれからも色々とお楽しみにお待ちいただければ幸いです!