ウルトラマンエターナル 〜神聖時間軸の守護神〜 作:マーベルウルトラ
アスガルドのスタッフが引き起こす精神攻撃のノイズをウォードとメイの強靭な精神力で完全に跳ね返し、無傷の回収に成功したコールソンチーム──
どうぞ最後までお楽しみください!
特殊航空機『バス』が次なる目的地であるオハイオ州のシールド補給基地へ向けて雲海を滑らかに大爆走する機内は、どこまでも賑やかで愛に満ちた空気に満ちあふれていた。
リビングの全自動ホログラムコンソールを前に、スカイ、レオ・フィッツ、ジェマ・シモンズの若き三人は、シールドの暗号データベースから発掘した「ある伝説」を前にして、その瞳を爛々と輝かせながら大はしゃぎしていたのである。
「ねえ聞いて! メイさんってシールドの伝説の戦士で、昔バーレーンでたった一人で敵の軍勢を全滅させた『ザ・キャバルリー(騎兵)』っていう凄まじい異名を持っているらしいわよ!」
「えっ、本当に!? 僕はてっきり、別の意味(いつも不機嫌に乗馬でもしているような頑固さ)でついた異名だと思ってたけど、全然違うみたいだね!」
「そうね、本物のトップエージェントの証拠だわ。最高にかっこいいもの!」
スカイが声を張り上げれば、サイエンス・コンビも大喜びで「格好良い!」と言葉を重ねた。
その騒がしい声を断ち切るように、壁際に腕を組んで佇んでいたグラント・ウォードが、冷徹な眼光を宿した瞳で静かに歩み寄り、不器用ながらもスマートに若き星たちをたしなめた。
「おい、お前たちは前線に遊びに来たわけじゃないだろ。
その『騎兵』という異名が、どれほど冷徹な修羅場と、彼女が今も背負い続けている過去の傷の重さの上に成り立っているか、少しは想像したらどうだ。
意味のない言葉で喋るのはやめろ。やる気があるなら、次の任務のブリーフィングでもしておけ」
ウォードの教育係としてのぬくもりに満ちた言葉。
スカイたちは少し気まずそうに顔を見合わせながらも、彼の言う通りだと少し反省したように「……うん、ごめんなさい」と最高のスマイルを浮かべて表情を引き締めるのだった。
操縦席のメリンダ・メイは、ハッチの隙間からその様子を「我関せず」と見つめながらも、自らの傷を不器用に庇ってくれたウォードの背中に、共に世界を歩む戦友としての確かな信頼を静かに確認していた。
補給基地へと到着した一同を迎えたのは、粒子加速器の爆発事故の責任を不当に問われ、周囲の職員たちから冷酷に孤立させられ、激しい敵意をぶつけられていた女性職員、ハンナ・ハッチンスであった。
しかし、彼女の周囲で巻き起こる物品の浮遊や、奇妙な小規模の大爆発、テレポーテーション現象は、決してハンナを呪う怨念によるものではなかった。
事故によって肉体が「半分だけ異次元に閉じ込められた状態」となった技術者トバイアス・フォード。
彼は狂気に取り憑かれたわけではなく、ただ周囲の激しい非難から、愛するハンナを自らの異次元の力で完璧に絶対防衛しようと、孤独な空間の狭間で必死に足掻いていたに過ぎなかったのである。
歪んだ電磁残響をパチチチと放ちながら姿を現したトバイアスに対し、フィル・コールソンは一歩も引くことなく、その穏やかで真っ直ぐな瞳を向けた。
「トバイアス、もう大丈夫だ。君のハンナへの想いは本物だ。
だが、君のその強大すぎる異次元の力は、彼女を護るどころか、さらに彼女を世間から追い詰める事になってしまっている。
彼女の日常を護りたいのなら、私を信じて、その力を引き揚げてくれないか。これからの彼女の安全は、私たちがシールドの誇りをかけて完璧にホールドすると約束する」
コールソンの一寸の曇りもない全肯定のぬくもりの言葉、そして背後で見守るチームの陣形が放つ圧倒的な安心感に、トバイアスの頑なな心は温かく融解していった。
「……ハンナを……どうか、頼みます……」
トバイアスはこれ以上ないほど晴れやかな最高の笑顔を浮かべると、コールソンたちとの対話によって救われ、静かに、そして美しくきらめく光の粒子となって空間の彼方へと成仏していった。
ハンナの周囲の暴走ノイズは完全に消去され、彼女は安堵の涙を流して最高の日常を取り戻したのである。
事件が傷一つなく完璧に解決し、すべての後処理をスマートにホールドした後。夕暮れの光の残響が美しく差し込む、バスの静かなリビング。
コールソンは、一人でコンソールを片付けていたメリンダ・メイの元へと歩み寄り、これ以上ないほど温かい最高のスマイルを浮かべ、真っ直ぐに語りかけた。
「──メイ。あのスウェーデン(ロシア)でのアケラ・アマドールの任務の時。私のために最前線で泥を被って、彼女を傷つけずに止めてくれて本当に助かったよ。……ありがとう、メイ」
かつての部下であるアケラを救うため、メイが最初から自分の心を傷つけないために、あえて冷酷な悪役(泥を被る役)を完璧な裏の段取りで引き受けて動いてくれていた優しさに、コールソンは心からの最深の感謝を告げたのである。
そのい真っ直ぐな言葉を聞いたメイは、いつも通りの冷徹な伝説の戦士の仮面をホールドしつつも、これ以上ないほど温かいぬくもりをその瞳に宿して言葉を返した。
「──コールソン。勘違いしないで。私はただ、私がやりたくてやっただけよ。あなたに感謝される筋合いはないわ」
サラリと言い放ち、スマートに踵を返したメイ。
しかし、去り際に見せた彼女の美しい横顔は、これまでにないほど少し微笑んでいるように温かく見えたのだった。
二人の信頼が、これ以上ないほど美しくスマートに結ばれた瞬間であった。
暖かいリビングでは、ウォードから教わった新しい護身術のフォームをさっそく披露して報告するスカイと、それを「まだまだブレている」とうざがりながらも見守るウォード。
そして二人のやり取りを笑顔で見つめるフィッツ、シモンズの温かい日常の笑い声が弾けていた。
まだ完璧なチームではない。しかし、お互いの傷を理解し、寄り添い合うことで、移動司令空母『バス』はまた一歩、不滅の絆への成長を美しく遂げていくのだった。
第68話をお読みいただき、ありがとうございました!
粒子加速器の爆発事故によって半分だけ異次元に囚われ、愛する人を防衛しようと暴走寸前だったフォードの頑なな心をコールソンが温かく融解させ完璧に成仏・救済するお話でした。
どうぞこれからも色々とお楽しみにお待ちいただければ幸いです!