ウルトラマンエターナル 〜神聖時間軸の守護神〜 作:マーベルウルトラ
円陣の中心で、真中優斗が逆手に握りしめたガッツスパークレンスは、彼の昂る決意に呼応するように淡く、けれどどこまでも温かいマゼンタピンクの光を放ち始めていた 。
その神秘的なデバイスの輝きと、等身大の少年の身体から溢れ出しかけた底知れない創生エネルギーの波動に、周囲を囲むアベンジャーズの戦士たちが一瞬だけ視線を集中させる 。
トニー・スタークが身に纏うアイアンマン・マーク7のシステムが、未知の『波動』を即座に検知し、人工知能ジャーヴィスの警告アラートを内部モニターに激しく明滅させた 。
数値化不可能な領域のエネルギーを前に、天才科学者の背中に冷たい汗が伝わる 。
トニーが
「おいおい少年、いよいよその手の中の『機械』を起動させる気か?」とマスクの奥から鋭い視線を投げかけるよりも早く、優斗は引き締まった、けれどどこまでも真っ直ぐな瞳で全員を見回し、凛とした声で告げた 。
「皆さん、僕に作戦があります。空のテッセラクトが作っているあのワームホールですが……おそらく、ロキが持っているあの『杖』を奪って、エネルギーの結界に直接突き刺せば閉じると思います。同じストーンの特性を持った力同士なら、干渉して相殺できるはずですから」
「ロキの杖で、四次元キューブを止める……!?」
ナターシャが息を呑んで目を見張り、キャプテン・アメリカ(スティーブ)が瞬時にその言葉の合理性を戦術的に理解して力強く頷いた 。
「確実な情報なのか、真中」
「はい。……それと、僕も彼らを食い止めるために、いざとなったら僕だけの『切り札』を使います。ですが、今の僕の身体では過負荷の制限があって、その力を維持できるのは――たったの『三分間』が限界なんです」
「三分間……?」
クリントが弓を驚愕に握り直し、トニーがマスクの奥から眉をひそめて問い詰める 。
「おいおい少年、作戦のロジックは理解した。だが、君の言うその『切り札』とやらは一体何なんだ? 君が持っているその『機械』のチャージが3分しか持たないのか?」
優斗は白銀の魔術衣の袖を軽く引き締め、いつもの安心させるような優しい最高のスマイルを浮かべてガッツスパークレンスを一度胸元へと収めた 。
「あはは、いざとなったら分かりますよ。だから、その切り札は最初からは使いません。本当に街の皆さんが危なくなった、ここぞという瞬間に、僕たちの勝利の切り札として使います。それまでは――このままで、皆さんと一緒に行きます!」
少年の優しくも、圧倒するような寸分の迷いもないその言葉に、アベンジャーズの面々の魂に熱い火が灯った 。
切り札が何かはまだ誰も知らない 。だが、地方の工場跡地でハルクとソーを素手で完璧に停止させ、今またハルクの怒りを完全に手懐けてみせた少年の言葉には、絶対的な説得力があった 。
その3分間の切り札を最も有効な瞬間に使用するために、今度は自分たちが少年を支え、道を切り拓くのだと、チームの意識が完璧に一つに結集した 。
「……気に入ったぞ、真中優斗! お前がそう言うなら、我がムジョルニアの雷でお前の最高の舞台を整えてみせよう!」
ソーが誇らしげに叫び、スティーブが盾を掲げて全軍に鋭い号令をかける 。
「作戦は決まった! スタークは上空の敵を抑えろ。ナターシャとクリントは地上で市民を誘導しつつロキの杖を狙う。ソー、バナーに優斗は、通りに降り注ぐチタウリの主力部隊をここで叩き潰すんだ。……行くぞ!!」
「「「オォォォォッ!!!」」」
全軍が一斉に、チタウリの軍勢が咆哮を上げるニューヨークの市街地へと突撃を開始した !
キィィィン……ッ!
上空から凄まじいプラズマ弾を縦横無尽に撃ち込んでくるチタウリの飛行艇に対し、優斗は人間の姿のまま、不滅のブーツを深く鳴らして大地を爆ぜるようにして蹴り上げた 。
彼の額の奥がキラッと眩しく閃光を放ち、ウルトラ念力飛行を瞬時に使用する 。
「はあっ……!」
ファサッ、と美しくも気高い白銀の魔術衣を大空へ向けて激しく羽ばたかせながら、優斗の身体は一瞬にして重力の束縛を置き去りにした 。
マゼンタピンクの美しくも強大な残光の尾をニューヨークのビル群の狭間に長く引きながら、マッハを越える神速の滑空で空を縦横無尽に走破する 。
四方八方から肉眼では捉えきれない速度で襲いかかってくるチタウリのプラズマ光弾の弾道を、優斗はウルトラマンリブットから直伝された滑らかな空間いなしの体重移動だけで、衣服の裾すら1ミリも掠らせずにすべて完璧に回避してみせた 。
「そこです、ソーさん!」
滑空の勢いのまま、優斗が生身の掌を前方へとしなやかに、しかし力強く突き出す 。
――ズ、ズゥゥゥン……ッ!!
大気がぐにゃりと歪む凄まじい高周波の音と共に、前方から弾幕を張って迫り来ていたチタウリの高速飛行艇三機が、優斗の放った『ウルトラ念力とリブットから学んだリブットバリア』の不可視の絶対障壁に衝突 。
行き場を失った慣性エネルギーが空間の軋みとなって激しいパチパチとした火花を散らし、あたかもそこだけ時間が完全に静止したかのように、凄まじい風圧を纏ったまま空間ごとガシィッ!!!とピタリと完全停止させられた 。
「見事だ、真中優斗! ありがたい!!」
その一瞬のスローモーションのような静寂を切り裂き、上空から青いマントを翻した雷神ソーが、ムジョルニアにアスガルドの全雷撃を纏わせて豪快に急降下してくる 。
完全に自由を奪われ虚空に固定された敵機へ向けて、雷神の稲妻が容赦なく叩き込まれた 。
ドゴォォォン!!!
と大爆発を起こして瞬く間に激しい火球となる敵の残骸 。
それすらも、優斗はふんわりと手のひらで空間を湾曲させて一般居住区から遠い安全な空き地へと硝煙ごと綺麗に受け流し地上では、不滅のジャケットを纏って完璧に怒りをコントロールされたハルクが、理知的で綺麗な瞳のまま、迫り来るチタウリの歩兵部隊を次々と剛腕で地面へと叩きつけ、文字通り無双の壁となって立ちはだかっていた 。
しかし、その凄まじい総力戦の最中――ニューヨークのビル群を容易に踏み潰す、漆黒の装甲を纏った二機目、三機目の超巨大生体兵器『リヴァイアサン』が、ワームホールの奥底から地鳴りのような咆哮を上げ、ナターシャたちが向かっているスタークタワーのある大通りへと真っ逆さまに突攻を開始したのだ 。
激しい地響きと共に、高層ビルが根底から爆砕され、街全体を圧殺せんとする圧倒的な災厄が迫る 。
「――いざ、となりましたね」
上空で白銀の魔術衣を靡かせた優斗は、静かにその不屈の根性を燃え上がらせ、懐からガッツスパークレンスを逆手に力強く引き抜いた 。
アベンジャーズや遠くの物陰から息を呑んで見守るカマー・タージの魔術師たちに戦いを見守っている市民たちが凝視するその戦場のド真ん中で、優斗は堂々とデバイスを天へと掲げた 。
「過去を紡ぎ、未来を切り開く――光と闇の調和!!」
「エターナル!!!」
刹那、ガッツスパークレンスのコアからマゼンタピンクの『多次元宇宙のコンパスの光の針』が、カチカチッと神聖な音を立てて虚空へ美しく閃いた 。
それと同時に、青年の等身大の生身に課せられていた制限(リミッター)を内側から一気にブチ破る、まばゆいウルトラ生命体の創生光流が、津波のような白銀の輝きとなった 。
ギギギギ……ッ!!!
だがそのコンマ一秒後、ニューヨークの空へと噴出しようとした強大すぎる光の波長を包み込むように、天空の四方八方に巨大な黄金色の幾何学魔術の法陣(エルドリッチ・ライト)が一斉に大起動した 。
サンクタムの屋上や街の物陰から、この瞬間をじっと見守っていた至高の魔術師エンシェント・ワンが、その至高の魔術を遠隔で全展開したのだ 。
彼女が放った黄金の魔術の結界は、優斗の身体から溢れ出そうとするウルトラ生命体の莫大な過負荷を、力ずくでギュッ……と抑えつけるように調和し、現実の裏側へと優しくコーティング(隠蔽)していった 。
世界線やタイムラインを過負荷から守り抜くための、至高の術の冴え。
彼女の魔術が優斗の膨大なエネルギーを現実に害の出ないレベルへと完璧に抑え込み、調和の閃光が収まったその中心――。
そこには白銀、漆黒、そして鮮やかなマゼンタピンクのラインを幾何学的に身に纏い、胸の中央には『三菱型トライコア・カラータイマー』が輝く、等身大のアバター形態――『エターナル・マルチタイプ』の姿が静かに佇んでいた 。
その額の中央にある菱形の『額のクリスタル』は、エタニティコアの純粋な創生波動を示すように、澄み切ったコスモスブルーへと美しく輝いている 。
トニー・スタークは、その圧倒的な神々しさを放つ光の巨神の姿をジャーヴィスのスキャン越しに凝視し、己の脳裏に眠る膨大な歴史の知識とそれが一瞬で合致した瞬間、驚愕に息を呑んだ 。
「おいおい、冗談だろ……。世界中に遺された、数々の神話や古代文明の最深部に描かれていた、失われたはずの『光の巨神』がそのまま現実に飛び出してきたみたいじゃないか……!」
ハルクの姿のまま隣にいたバナーもまた、言葉を発することはなかったが、優斗の服のぬくもりによって完全に怒りをコントロールされたその瞳をリスペクトの念と共に静かに優斗へと向けた 。
バナーの魂は、――彼の正体を知り本物の守護神の格を本当の意味で確信し、無言で深く首を縦に振った 。二大天才科学者がその圧倒的な光に度肝を抜かれる中、その誰よりも、握りしめたハンマーの柄から親のぬくもりの熱い共鳴を受け止めていた雷神ソーが、驚愕のあまりその双眸を限界まで見開いた 。
「な、なんということだ……! あの白銀と漆黒の姿……! 幼い頃、父上がかつて、我がアスガルドの危機を優しく救ってくれた、大いなる『光の巨神』という名の偉大な友人がいたと……英雄譚として直々に聞かせてくれたあの伝説……真中優斗、お前だったのか……!?」
地球の科学の英知と、宇宙の神が父から聞かされた神話の記憶が、目の前の少年の光の中で完璧に一つへと重なり合う 。アベンジャーズやカマータージの魔術師たちがその底知れない『気配』に魂を震わせる中、優斗は3分間のカウントダウンの中で、チタウリの軍勢へ向けて静かに一歩を踏み出すのだった――
7話をお読みいただき、本当にありがとうございました!アベンジャーズの目の前で解き放たれた光の真実、そして科学の英知と宇宙の記憶が交錯する神話の答え合わせ――。優斗が紡いだ未来を、ぜひ色々と想像しながら楽しんでいただければ幸いです!調子が良くもう1話出来ました。この調子だと今週でアベンジャーズ編は終われると思います。