ウルトラマンエターナル 〜神聖時間軸の守護神〜 作:マーベルウルトラ
チームと本物の家族としての絆を強固にロックしたスカイ── 。
どうぞ最後までお楽しみください!
イタリアの美しい大自然を滑らかに走る、最高級長距離列車のファーストクラス。洗練された内装が施されたその一角には、どこからどう見ても贅沢な新婚旅行を優雅に楽しんでいる風の、きらびやかでリッチな若い夫婦の姿があった。
──もちろん、それは移動司令空母『バス』が誇る精鋭前線コンビ、グラント・ウォードとスカイによる変装潜入である。
ターゲットは、大富豪イアン・クインがサイバーテック社から極秘裏に密輸しようとしている謎の未知なるサイバネティクス物資。
その輸送ルートをスカイの天才的ハッキングによって完璧に特定したチームは、こうしてそれぞれ役割を分かれ、列車内への極秘潜入作戦を展開していたのだ。
「ねえ、あなた。次の駅に着いたら、あの上質なトスカーナのワインをテイスティングしに行きましょう?」
スカイはドレスの裾を揺らしながら極上のスマイルを浮かべ、ウォードの仕立ての良い最高級スーツの腕に自らの白い手を絡ませた。
言葉自体は完璧な偽装のための演技だったが、事件以来、胸の奥底に芽生えた「最高の師であり頼れる兄、そしてそれ以上の別の特別な感情」のせいで、スカイの心臓はさっきからドギマギと小刻みに高鳴り続けている。
横顔がほんのりと桃色に染まるのを隠すように、彼女はハッカーとしての通信端末へと視線を落とした。
ウォードはそんな彼女の初々しい様子に気づきながらも、冷徹なスパイの仮面の裏に、これ以上ないほど格好良い、不敵な大人の余裕のスマイルをその面に浮かべてみせる。
「ああ、いいよ。君の好きなものを選びなさい、マイスイート。
……コールソン、こちらウォード。ターゲットの車両の手前までホールドした。そっちはどうだ?」
インカムの向こうからは、気難しい富豪の父親に変装して穏やかそうな娘ジェマ・シモンズを伴っているフィル・コールソン。そして、その厳格な妻として共に佇むメリンダ・メイ。
さらに裏方の全自動ラボでセンサーの電波を全肯定でハックしているレオ・フィッツと、特製スーツをスマートに着こなしたマイク・ピーターソンの、頼もしい日常の笑い声が返ってきた。
「こちらは完璧だよ、ウォード。シモンズの愛娘の演技が完璧すぎて、本当にこんな娘ができた気分だ。フィッツとマイクのバックアップも順調だ。いつでもいける」
「私もこんな変装をするとは思っていなかったけれど……コールソン、あなたと一緒なら悪くないわ」
悲劇の分断ノイズなど1ミリも存在しない、不滅の家族の完璧な連携陣形がそこにあった。
しかし、その完璧な調和を冷酷に乱すように、列車の中央車両から不気味なシューという電磁排気音が響き渡った。
シールドの追跡を最初から察知していたクインの手下――組織の超人兵士たちが、車内に特殊な麻痺・消失ガス『夜幻ガス』を大量に散布したのだ。
パニックに陥り倒れ伏していく乗客たちの中、ウォードの動きは神速だった。
「スカイ、俺の胸から離れるな!」
ウォードは迷うことなくスカイの華奢な身体を自らの広い胸へと力強く引き寄せ、その強固な肉体で彼女を完璧に防衛した。
ガスの濃霧が容赦なく迫る中、彼らの前に仁王立ちとなって立ちふさがったのは、完全安定超人パワーをその身に宿したマイク・ピーターソンだ。
「ここは俺に任せてください! 皆さんは先へ! ──ハァッ!」
マイクの剛腕が一閃し、凄まじい風圧と共に、袭いかかってきたムカデ組織の超人兵士たちを一撃で木っ端微塵に制圧していく。敵の退路はすでに完全にロックオンされていた。
列車内の敵を瞬時に一網打尽にした一同は、休む間もなくイタリアの古き大地に佇むイアン・クインの大邸宅(本拠地)へと正面突破で一気に突入した。
スカイは特訓で磨き上げた持ち前の機動力を活かして先行し、邸宅の最深部である薄暗い地下研究室へと滑り込み、密輸物資のコンテナを抱えて逃げようとしていた黒幕イアン・クインの退路を完全に断って追い詰めた。
「ここまでよ、クイン。あなたの薄汚いビジネスは、ここでシャットダウンだから」
不敵な最高のハッカースマイルを浮かべるスカイ。だが、追い詰められたクインは、その顔に卑劣で冷酷な笑みを浮かべ、衣服の奥から一丁の銃を素早く引き抜いた。
「生意気な小娘が……シールドごと消えてなくなれ!」
バン、バン! と、鋭く乾いた銃声が地下室に鳴り響く。
──だが、次の瞬間であった。
地下のコンクリート壁を真っ正面から叩き割るような、凄まじい踏み込みの風切り音と共に、漆黒の影がスカイの直前へと割り込んだ。彼女の教育係、グラント・ウォードである。
ウォードは洗練を極めた戦術格闘の極限の身のこなしにより、クインが放った超高音速の銃弾の軌道を完全に見切り、スカイを左腕でしっかりと抱きかかえながら、正面からそのすべてを美しくスマートに躱し切ったのである。
「え……? ウォード……!?」
スカイが驚愕にその大きな目を見張る中、ウォードはクインが次の行動を起こす前にその間合いを一瞬にして完全に潰し、腰を抜かした大富豪の胸ぐらを、骨をへし折らんばかりの圧倒的な腕力で力強く掴み上げた。
その瞳に宿るのは、絶対的な防衛者としての、極まりない熱い眼光だった。
「──お前、次会ったら覚えておけと言ったはずだ。……俺の大切な生徒に、二度とその汚い手を出すな」
地鳴りのようなウォードの咆哮。その世界一頼もしい男の背中を見つめるスカイの胸の奥底で、言葉にできない特別な感情が、これ以上ないほど熱く、深く、完璧に成熟していくのを彼女自身が強く感じていた。
絶体絶命の恐怖と圧力の中、クインは必死に頭のコードを回転させ、ウォードの背後にあるはずのバックボーンを思い出し、勝機を見出そうと歪んだ笑みで不敵に囁き返した。
「……ひ、ひっ……グラント・ウォード……! お前、自分が何をしているのか本当に分かっているのか……!? 自分がどこの、どんな強大な組織の人間に刃を向けているのかを……! お前はただでは──」
だが、ウォードにとって、そんなクインの浅はかな目論見など、最初からすべてお見通しだった。
迫るクインの顔面を冷酷に見下ろしたまま、ウォードは一寸の曇りもない最高のスマイルをその面に浮かべ、サラリと言い放ったのだ。
「そんな事は──最初からすべて確認済みだ」
お前たちの企みも、組織のドス黒い暗部も、俺がこれから背負うべき宿命も、すべて完全に把握した上で──俺は、この目の前の少女と、このバスという本物の家族を護ると決めている。
その圧倒的な大人の男としての余裕の返答に、クインは自分の脅しがこの規格外の戦士には通用しないことを悟り、ガタガタと歯の根を鳴らして底知れない恐怖に震え出すのだった。
直後、壁を豪快に蹴破ってコールソンやマイクたちが完璧な陣形で突入し、クインとその一味を瞬く間に完全に捕縛。事件は誰一人として犠牲者のノイズを出すことなく終えた。
すべての後処理をハブのタロスたちと共にスマートにホールドし、移動司令空母『バス』へと帰還した後の暖かいリビング。
スカイに怪我一つなかったことに心底安堵したコールソンが、等身大の優しい、ぬくもりに満ちた笑顔を浮かべながらスカイの元へ歩み寄り、温かいハーブティーのカップをそっと差し出した。
「お疲れ様、スカイ。よく頑張ってくれた」
「ありがとう、コールソン」
スカイはいつも通り彼の名前を呼ぶ。しかし、そのハーブティーを受け取る時の彼女の瞳に宿る最深の敬意、そして寄り添う柔らかな佇まいは、言葉にせずとも、誰がどう見ても「本当の父親を深く慕う最愛の娘」そのものであった。
コールソンもそれを肌で察し、これ以上ないほど温かい、最高の父親としてのスマイルを返すのだった。
ウォードは少し離れたコンソールの影から、その美しい家族の調和の光景を見つめ、フッと満足げにその口元を緩めていた。
それに気づいたスカイが、また少し頬を真っ赤に染めながら、彼に向けて最高のスマイルを咲かせる。
マイクやフィッツ、シモンズの楽しげな日常の笑い声がリビングに弾ける中、最高の守護に護られた不滅の家族の日常は、次なる反撃の空に向けてどこまでも美しくスマートに続いていくのだった。
そしてその夜。誰もいないバスの漆黒の暗闇の中に一人佇むウォードは、ウェンウーから託された独自の暗号通信機を静かに起動させていた。
「そっちの方はどうだ、タロス。段取りは順調か」
流麗な電磁残響の向こうから、スクラル人のリーダーの低く頼もしい声が響く。
『──ああ、だいぶ奴らの足を掴めた、ウォード。ニックの指示で、キャプテンアメリカ(ロジャース)やブラックウィドウ(ロマノフ)たちも、世界の裏で共に戦ってくれるそうだ。
シールドの皮を被った膿を、一気に炙り出す準備は整いつつある』
「そうか。……近いうちに、奴からからこちらへ直接連絡があるはずだ。
近々、俺たちに接触してくる。その時に、ハブのダミーデータを奴らにリークしていいか」
『ああ、頼んだぞ、ウォード。私から事前に話しておく。
……これがすべて終われば、お前は自由だ。
だが、その瞬間が来るまでは、どれほど心が痛もうとも、バスのチームの面々にだけは、お前の真の目的を明かすことは絶対にやめろ』
「……分かっている。すべては……通りに」
ウォードとタロスの、世界の暗闇をハネ返す不敵な約束。
通信を全自動消去したウォードは、再びリビングの方から微かに聞こえるスカイたちの温かい寝息の残響へと視線を向け、冷徹な仮面の奥に、すべてを欺いてでも彼らを護り抜くという強固な誓いのスマイルを宿すのだった。
第72話をお読みいただき、ありがとうございました!
ムカデ組織の『夜幻ガス』や超人兵士の急襲をマイクの剛腕で一網打尽にし、クインの放った銃弾からスカイを完璧に絶対防衛したウォードが、その不敵な大人の余裕で黒幕を恐怖に震え上がらせるお話でした。
どうぞこれからも色々とお楽しみにお待ちいただければ幸いです!