ウルトラマンエターナル 〜神聖時間軸の守護神〜 作:マーベルウルトラ
完璧なポーカーフェイスで欺き、家族を護るためのウォードでした── 。
どうぞ最後までお楽しみください!
黄金に美しくきらめくアスガルドの王宮執務室。
先のロンドンでのグリニッジ決戦を経て、正式に「魔術の神」にして王代理として認められ、義父オーディンや最愛の家族との深い和解を果たした
──ロキは、豪奢な机に向かって大人の余裕に満ちた佇まいで羊皮紙の報告書に目を通し、スマートに執筆を進めていた。
そんなロキの静かな執務室に、地鳴りのような豪快な笑い声を弾ませながら、ヴォルスタッグらウォリアーズ・スリーが勢いよく乱入してきた。
「ハハハ! ロキ! 今日くらいは執務の手を止めて、我らウォリアーズ・スリーの訓練の成果でも見に来たらどうだ! 美味い肉と極上の酒も用意してあるぞ!」
「──おいおい、私は今、真面目にアスガルドの国務を執行中だと分からないのか君達は! 押しかけるならせめてノックのくらいしたまえ」
不敵で皮肉屋なツッコミ役としての本領を発揮しつつも、ロキはお茶目に眉をひそめて声を上げる。
ウォリアーズたちは知らんぷりを決め込み、ロキに新しい戦術の話を屈託なくふっかける。
そのやり取りは、これ以上ないほど温かい、新しく生まれ変わったアスガルドの平和な日常そのものであった。
窓の外の広大な訓練所を見渡せば、ロキが緑の魔術の軌跡であらかじめ指示しておいた、アスガルド防衛陣形の変更・強化が完璧に機能しているのが見える。
その確かな平和の光景を見届けた不滅の女戦士レディ・シフの元へ、執務机から立ち上がったロキが歩み寄った。
「シフ。アスガルドの地下牢から、男の心を惑わす忌々しい魔女ローレライが脱走し、ミッドガルド(地球)へと向かった。
……あそこには僕たちの友人もいる。地球が危ない、すぐに追って完璧に捕縛してくれ」
「──了解した、我が王代理。ただちにミッドガルドへ向かう」
「それともし……現地でフィル・コールソンというシールドのエージェントに会ったら、ロキがこれまでの無礼を深く謝っていたと伝えてくれ。私もミッドガルドに行く機会があれば、いずれ私自身の口からも直接謝るつもりだとね」
シフは一寸の曇りもない真っ直ぐな瞳で拳を胸に当て、深く頷く。
「分かった、ロキ。私たちが護るあの美しい地を、魔女ごときに汚させはしないわ」
誇り高き決意を胸に、シフはホグニ(ヘイムダルに代わる守衛)が起動したバイフレストの虹色の光の奔流へと飛び込み、地球のバスチームの元へと超高速で降臨するのだった。
──ところ変わって、地球。
「私の名はシフだ。お前がフィル・コールソンでいいか? ……我が王代理であるロキが、かつての件は本当に済まなかったと言い残していた」
「あのロキがか? 人は変われば変わるものだね。……歓迎するよ、シフ」
突如として光跡と共に降臨したレディ・シフを迎えたのは、移動司令空母『バス』の最高のぬくもり溢れる日常の空気であった。
友であるソーや、見違えるほど立派になったロキの影を感じて最高の笑顔を浮かべるコールソン、そしてスカイたちチームのプロフェッショナルな佇まいに、シフは敬意のスマイルを向けた。
しかし、地球を脅かすように、男たちを妖艶な魔力で絶対服従させて私設軍勢を築いた魔女ローレライが、シールドの重要拠点を強襲した。
現場の最前線へとバスで急行し、出合い頭に魔女と真正面から対峙したのは、前線のプロであるグラント・ウォードだ。
ローレライは不敵に妖しく微笑むと、これまで九つの世界のすべての男を跪かせてきた、脳を直接とろけさせる「絶対服従の魅了魔術の声」をウォードへと全自動で放った。
「さあ、私の愛しい下僕になりなさい……。その強靭な肉体と技を、すべて私のために捧げるのよ」
妖艶なピンク色の魔力の波動が、津波のようにウォードの身体を包み込もうとする。
普通の人間の男性であれば、一瞬にして理性を消去されて魅了され、チーム崩壊の引き金となる最大の大ピンチ──
だが、ウォードの瞳は、一寸の曇りもない冷徹な眼光のまま、微動だにせずローレライの顔を静かに見下ろした。
「な……な、ぜ……!? なぜ私の歌声が1ミリも響かない……!? 貴様、一体何者だ!」
自身の絶対的な魅了魔術を完全に全否定され、ローレライは自慢の美貌を激しく歪めて憤る。
ウォードは奇跡の力に頼るまでもなく、これ以上ないほど格好良い、不敵な大人の余裕スマイルをその面に浮かべ、低く冷徹な声を空間に響かせた。
「──お前程度の安っぽい女に、この俺の心が操られるわけがないだろ。
……悪かったな、お前程度の汚い女には、俺は1ミリも興味は無いんだ」
「精神統一の呼吸」、そして仕込まれた「流麗な体術」の強固な構えを静かにとったその瞬間──。ローレライの瞳に、かつてない底知れない恐怖と怒りが爆発した。
「──その構え、その揺るぎなき気迫……! まさか、かつてこの地球で私の同胞たちを正面から圧倒した、奴みたいだ!!
忌々しい奴め、貴様だけは絶対に生かしてはおかん、ここで殺す!!」
激昂して猛然と襲いかかるローレライと、操られた工作員たちの軍勢。しかし、バスチームが誇る不滅の反撃陣形が一斉にロックされた。
「マイク、メイ! 奴らの足を止めろ、陣形を確認しろ!」
「了解です、ウォードさん!」
「最近は運転手だけじゃ物足りないところよ」
ウォードが洗練された体術でローレライの鋭い一撃をスマートに受け流し、強烈な打撃をその肉体へと叩き込む。
さらに、完全安定超人パワーのマイク・ピーターソンが圧倒的な超力で周囲の操られた工作員たちを傷つけることなく気絶させて制圧し、メリンダ・メイの洗練された動きで敵の陣形を全滅へと追い込んでいく。
完璧に退路を断たれ、美しく焦らされるようにうろたえるローレライ。
その一瞬の隙を突き、背後から音もなく肉薄したレディ・シフが、アスガルド特製の「沈黙の首輪」を魔女の首へガチリと強固に装着した。
その瞬間、ローレライの妖艶な魔力は一瞬にして綺麗さっぱり消去され、完全降伏したのである。
事件は無事に終え、ローレライの身柄はシフの手によって、アスガルドの王代理ロキのもとへと安全に連行されていった。
その夜。バスの快適なリビングで行われた、いつもの温かい夕食日常のひととき。
スカイは淹れたてのコーヒーのマグカップを両手で優しく包み込みながら、これ以上ないほど晴れやかな最高のスマイルをウォードへと向けた。胸の奥でトクトクと跳ね続けている「最高の師であり頼れる兄、そしてそれ以上の特別な感情」を宿しながら、悪戯っぽく可愛い口調で微笑む。
「ウォードってば、今日の戦いで『お前程度の女に~』なんて、まるで主人公みたいな最高に格好良いセリフ言うよね。……ちょっと、近くで聞いててドキッとしちゃったじゃない」
「……。俺はただ、事実を言っただけだ。俺の精神力をナメるなと、あの魔女に教えてやっただけだ」
スカイに直球でからかわれ、ウォードは少し照れくさそうにふいと顔を背けながら、不器用なスマイルでコーヒーをズズッと啜った。
その世界一頼もしくて、どこか少しだけお茶目な背中を見つめながら、スカイの胸の奥にある淡い心は、さらに優しく、深く成熟していく。
「いや、ウォード。スカイの言う通りだよ。今日の君のハネ返しは、最高に決まっていた。僕もスカイと同じくらい、君に惚れ直しそうになったよ」
コールソンが等身大の優しい父親のような温かい微笑みを浮かべ、メイもクスクスとお茶目に笑う。フィッツとシモンズ、そしてマイクの楽しげな日常の笑い声がリビングに弾けた。
シールド内部を崩壊させようとするヒドラの暗雲がすぐ隣まで迫っていようとも、絶対的な守護に護られた、不滅の家族の絆は変わらない。
誰にも壊せない絶対の調和を完璧にホールドしながら、移動司令空母『バス』は、次なる反撃の空へと滑らかに飛び立つのであった。
第74話をお読みいただき、ありがとうございました!
九つの世界の男たちを狂わせてきたローレライの絶対服従魔術を、ウォードが鍛え上げられた精神統一の呼吸で1ミリの動揺もなく綺麗さっぱり全否定し、レディ・シフやマイクたちと反撃陣形によって魔女を降伏へと追い込むお話でした。
どうぞこれからも色々とお楽しみにお待ちいただければ幸いです!