ウルトラマンエターナル 〜神聖時間軸の守護神〜 作:マーベルウルトラ
魔女ローレライの絶対服従魔術をウォードが1ミリの動揺もなく綺麗さっぱり全否定。
どうぞ最後までお楽しみください!
シールド最高幹部から突如としてもたらされた、暗号データベースの極秘情報。
それこそが、これまで数々の陰謀の裏で暗躍し続けてきた謎の存在「千里眼(クレアボヤン)」が、ついにその身を潜めているとされるフロアの座標であった。
移動司令空母『バス』の作戦室から出撃したメンバーたちは、ジョン・ギャレットやアントワン・トリプレット、さらにはヴィクトリア・ハンド率いる別動隊とも完全に合流し、一糸乱れぬ鉄壁の陣形を敷いてターゲットの潜伏先を包囲していた。
「マイク、正面を確認しろ。スカイ、通信網の逆探知は任せた」
「了解です、ウォードさん!」
教育係であるグラント・ウォードの洗練された前線指揮の声が響く。
完全安定超人パワーを宿したマイク・ピーターソンが、圧倒的な超力で正面の重厚な防衛網を一撃粉砕。
その隙を突いて、ウォードを筆頭とした突入部隊が最深部へと滑らかに躍り出た。
無数の薄暗いモニターが怪しくきらめく部屋の中央。
そこに佇んでいたのは、車椅子に座り、無数の生命維持装置に繋がれた男、トマス・ナッシュであった。
ナッシュは合成音声のスピーカーを通じて、不気味なノイズを孕んだ「偽りの予言」を吐き散らす。
「……来たな、シールドの諸君。私はすべてを見通している。お前たちの無駄な足掻きも、この先に待つ絶対の絶望もな……」
その瞬間、ウォードのインカムから、別動隊を指揮しているはずのジョン・ギャレットの、焦りを含んだ通信がパチチと割り込んできた。
『──グラント! そいつは口を割らん、スカイやコールソンを護るために、今すぐその千里眼を口封じに撃ち殺せ! 引き金を引くんだ!』
本来であれば、洗脳コードや焦燥のままにウォードが引き金を引き、チームを崩壊の深淵へと叩き落とす悲劇──
しかし、ウォードの瞳は、一寸の曇りもない冷徹な眼光をホールドしたまま、微動だにしなかった。
(無線で俺に『口封じに殺せ』と騒いでいるな。
お前がが自分自身の正体を隠すために仕掛けた浅はかな罠など、全て確認済みだ。
俺が仕えるのは光と、ボスのみ。もうあんたの人形劇に付き合う義理など、どこを探しても存在しない)
ウォードはナッシュの胸に銃口を突きつけたまま、一瞬の迷いもなく、クルリと鮮やかに銃身を回してホルダーへとスマートに格納した。
「な、なぜ撃たない……!? 貴様の未来は、ここで私を──」
うろたえるナッシュの首根っこを、ウォードは体術でガチリと極めた。
「確保だ。お前の安っぽい予言は、ここで終わりだ」
そう言い放ち、千里眼の操り人形を生け捕りにしたウォード。ギャレットの目論見は、この時点終わっていたのである。
数時間後、バスの作戦室。
生け捕りにしたナッシュの生体データや、彼が事前に把握していたシールドの最高暗号コードを、レオ・フィッツとジェマ・シモンズの天才科学コンビがホログラムで徹底的に解析していた。
データを見つめていたフィル・コールソンは、ニューヨーク決戦で優斗に救われて以来、その肉体に優しく息づき続けている『不滅の光』の鋭い冴えに導かれるように、ハッと真実の核心へと到達した。
穏やかながらも、一寸の曇りもない真っ直ぐな瞳の奥に鋭い光を宿し、コールソンは声を張り上げる。
「──待ってくれ、みんな。何かがおかしい。ナッシュはただの操り人形だ、千里眼じゃない!
シールドの最上級アクセス権を持ち、極秘セーフハウスの場所や、私たちが処分したはずの物質のデータまで最初から熟知して先回りできる存在……
本当の千里眼は──『シールド上層部の人間』だ!」
リーダー自らの力によって、ついにシールドの足元に潜む底知れない暗部(ヒドラの影)の存在が看破された瞬間であった。
リビングの壁際に腕を組んで佇んでいたグラント・ウォードは、コールソンがその特大の真実を口にしたその瞬間──。
「──フッ」
彼の口元が、最高の、そして不敵極まりないスマイルを浮かべながら、ニヤリと力強く持ち上がった。
ついに、この本物の家族を統べるリーダーが偽りの霧を払った。
水面下で進めていた優斗や、そしてフューリーたちによる『全滅包囲網』のすべての反撃スイッチが入ったことへの余裕の微笑みであった。
ウォードのその不敵な笑みを見たスカイは、恐怖に怯えることなく、培った最高の信頼と胸の高鳴りをその瞳に宿して、ウォードへと力強く頷き返した。
直後、コックピットのメリンダ・メイが緊急の暗号回線をロックしようとするが、バスの制御システムがシールド本部(ハブ)のヴィクトリア・ハンド側によって強制的に上書きされ、機体が勝ち進むような爆音を立てて急旋回を始める。
「どこへ連れて行く気だ……!? 制御が効かない!」
フィッツとシモンズが驚きの声を上げるが、コールソンは一歩も引くことなく星星の盾を磨くかのような頼もしさで陣形をホールドし、ウォードはスカイの背中を優しく引き寄せた。
「大丈夫だ、スカイ。俺たちは、組織の腐敗ごときにハックされはしない」
「うん、ウォードがいてくれれば、私はどこまでだって戦える!」
シールドの上層部がどれほど狂っていようが関係ない。信じられるのは、対話と訓練で培った自分たち『バスチーム』の不滅の絆だけだ。
全員の瞳に反撃の炎が灯る中、移動司令空母『バス』は、次なるシールド崩壊──そしてヒドラ一網打尽の完全全滅戦のゴングへと、最高に熱く、滑らかに飛び込んでいくのであった。
第75話をお読みいただき、ありがとうございました!
千里眼の操り人形ナッシュを無傷で生け捕りにして、本当の黒幕が「シールド上層部の人間」であることをコールソン自らの手で完璧に看破させるお話でした。
どうぞこれからも色々とお楽しみにお待ちいただければ幸いです!