ウルトラマンエターナル 〜神聖時間軸の守護神〜   作:マーベルウルトラ

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第9話を開いていただき、ありがとうございます。
ここからはニューヨーク地上決戦の「その後」を描く、後日談となります。
激動の戦いを終えたアベンジャーズの面々が、小さな店で静かに言葉を交わす日常の一幕。
そこで明かされる古代の記録。紡がれていく神話のピースを、どうぞお楽しみください!


アベンジャーズ幕間
第9話紡がれる神話のピース


激動のニューヨーク決戦が終わり、街が歓喜に包まれる中街の一角にある、小さな中東料理店。

 

店内には激しい乱戦の爪痕を感じさせる静けさが漂っていたが、そこに集まったアベンジャーズ本来の戦士たち

 

――トニー、スティーブ、ソー、ナターシャ、クリント、そして完璧に怒りをコントロールされたバナーの6人全員の身体には、不思議なほどに傷も疲労も残っていなかった 。

 

「……信じられん。真中が放った光を浴びた直後から、マーク7の自己診断システムが私の細胞組織に1ミリのエラーも過酷な疲労もないと太鼓判を押し続けているんだ」

 

 

トニー・スタークが肉を口に運びながら、マーク7のホログラムが空間に映し出す超高精度な健康診断データを凝視し、呆然と呟く 。

 

トニーの視線の先、空間に浮かび上がった青い透過モニターには、彼を最も驚愕させる数値が並んでいた。

 

彼を蝕み、死の恐怖へと追い詰めていたアーク・リアクターのパラジウムによる重金属汚染の痕跡が、まるで最初から存在しなかったかのように完璧に消滅していたのだ 。

 

細胞レベルで健康な状態へと再構成されているその数値を前にして、天才科学者であるトニーは言葉を失い、ただただ静かな動揺と、心の底からの救いに深く息を呑んでいた 。

 

 

盾を壁に立てかけたキャプテン・アメリカ(スティーブ)も、自分の無傷の掌を見つめ、静かに息を吐いた 。

 

「ああ。街並みだけでなく、我々の肉体の傷や限界を超えていた疲労まで、あの温かい光が一瞬で『元通り』にしてくれた 。

 

トニー、君のミサイルの全弾斉射の手際も見事だったが、あの少年が見せたものは……本当に、神話の奇跡を目撃したとしか言いようがないよ」

 

「けどキャップ、せっかくこうして戦った全員でテーブルを囲んでいるのに、あの肝心の彼を連れてこられなかったのは残念だったわね」

 

ナターシャがシャワルマをつまみながら、苦笑混じりにスティーブを振り返った 。

 

スティーブはあの後、激しいチタウリの侵略が終わり、白銀の魔術衣を風に靡かせた姿で佇んでいた真中優斗へと歩み寄り、「真中、君も一緒に食事でもどうだ?」と大真面目に誘った瞬間のことを思い出し、優しく目を細めた 。

 

『お誘いはとっても嬉しいですけど、僕はこれから行かなきゃいけない場所があるので、また今度誘ってください! 皆さん、また会いましょう!』

 

そう言って、いつもの安心させるような優しい笑顔を浮かべ、マゼンタピンクの誘導線を大爆発させて爽やかに大空へと跳躍していった優斗。

 

「ああ、もちろん誘ったんだがね。最高の笑顔で断られてしまったよ。彼にはこれから、立ち寄らなければならない大切な場所があったようだ」

 

そう呟くスティーブの視線の先、いつものよれよれた日常のシャツを着て、驚くほど穏やかなに食事を進めるブルース・バナーは、愛おしそうに自分の胸元にそっと手を当てていた 。

 

そこには、優斗が彼のために自らの創生エネルギーを固形化して手渡してくれた、ぽっと優しく温かく灯る『光のお守り』が大切に握られていた 。

 

あの後、変身が解けた直後の硝煙が立ち込める戦場で、優斗はバナーの元へと近づき、優しく声をかけたのだ 。

 

『バナーさん、申し訳ないのですが、ジャケットを返していただけますか? その代わりに、僕の光を固形化したこのお守りを差し上げます。これがあれば、心の中のハルクを暴走させづらくして、彼の寂しい怒りの心をいつでも優しく落ち着けるようになっていますから』

 

バナーは、己の人生を狂わせ続けた「ハルク」という底知れぬ呪いを、恐怖の対象としてではなく、初めて「寂しい怒り」として底知れぬ慈愛で優しく包み込んでくれた真中の眼差しに、胸の奥から溢れ出る涙を堪えることができなかった 。

 

優斗へと大切なジャケットを無傷で綺麗に返却した瞬間、優斗は最高の笑顔を浮かべてバナーさんにこうお願いをしていた 。

 

『それとバナーさん。あなたの細胞の因子が少しだけ必要なので、髪の毛を分けていただけますか? 僕にこの服を貸してくれた友人の力を借りて、バナーさんの為の新しい服を仕立てるために使いたいんです』

 

その時のバナーは、少年が「友人」と呼んだ人物の素性も、その背景にある未知の世界のことも全く分からず、不思議そうに思いながらも、真中が自分のために何かをしようとしてくれている絶対の信頼と意図だけは温かく理解でき、静かに自らの髪を抜いて手渡したのだった 。

 

(真中くんは言っていた……あのハルクの強大な変身の負荷にも絶対に破れず自動でサイズが変わる、僕専用の服を仕立てに行ってくれると 。

さらにそこへ、彼や彼の知人たちの強い光の加護をたっぷりと込めてくれるそうだ 。本当に、どこまで優しい人だ……)

 

バナーが胸のお守りのぬくもりに包まれながら深いリスペクトの笑みを浮かべる中、店内の片隅に吊り下げられた古いブラウン管のテレビからは、ニューヨーク事件を総括する国際臨時ニュースが、激しいアナウンサーの音声と共に大音量で流れ続けていた 。

 

『――街を救ったアベンジャーズの活躍によりニューヨークの街が守られた一方で、現在、世界中のネット上で信じられない映像が拡散され、大論争を巻き起こしています! ご覧ください、これは大通りを捉えた中継映像です。

 

一人の少年が何かを掲げまばゆい白銀の烈光の中から現れたのは……等身大の姿から、一気にはるか四十メートルから五十メートル級の姿へと大爆発を遂げた、あまりにも神々しい“光の巨神”の姿です! 巨大生物を一撃で粉砕したその雄姿ですが、その変身の時の顔を映したニューヨーク中のあらゆるカメラの映像が、全自動の映像バグを起こしたかのように顔の部分だけが激しくブレて写っており、政府は高度なフェイク映像であると否定していますが、現地で目撃した市民たちは口を揃えて“光の巨神は確かに存在した”と、涙ながらに感謝の言葉を叫んでおり――』

 

テレビ画面に映し出されるのは、顔がノイズでブレた真中や変身した後の赤き野生の巨神『エターナル・ワイルドハンター』の堂々たる雄姿 。

 

それを見上げながら、トニーはマスクの奥のジャーヴィスに密かに命じ、世界中の秘密回線や歴史的な機密データベースをハッキングしていた画面を手元の端末に引き出し、声を潜めて語り出した 。

 

「世間は都市伝説と笑っているが、神話の記録は本物だ。……実は決戦の直後、世界中の古代記述を軽く洗ってみたんだが、とんでもないものが浮かび上がってきた。世界最古の文明である『古代バビロンの粘土板』のいくつかに、あの少年が空に残していったあの黄金のウルトラサインと全く同じ幾何学紋章が深く刻まれているのを見つけた」

 

さらにトニーは、あ然とするスティーブたちを前に、ニヤリと不敵な笑みを浮かべて画面をスライドさせた 。

 

「それだけじゃない。神々の記述の中に、失われた歴史の断片を見つけてね。……それによると、はるか昔、傲慢で調子に乗っていたあの全能の神『ゼウス』が、漆黒の戦闘服を纏った見知らぬ一人の青年に、素手のだけで傷一つ負わせられずに完璧に投げ飛ばされ、完膚なきまでに返り討ちにされたという、爆笑モノの記述が遺されていたんだ」

 

 

「なんだと……!? あのゼウスを、素手だけで完璧に返り討ちにしただと……!?」

 

ムジョルニアをテーブルの横に立てかけていた雷神ソーが、驚愕のあまりその豪快な双眸を限界まで見開いた 。

 

同じ雷の神としてゼウスの放つ全能の雷の恐ろしさ、そしてその絶対的な神としての力を聞いているソーだからこそ、素手のだけでゼウスを返り討ちにしたという規格外の事実に、激しい戦慄を覚えざるを得なかった 。

 

ソーは自分の顎を擦りながら、驚きとミステリアスな混乱が混ざり合った表情でトニーを見つめた 。

 

「待て、スターク。世界最古のバビロンの粘土板に名が残っている時点で、すでに数千年前の歴史だ。……父上(オーディン)がアスガルドを平定する前に出会ったという時点でも数千年前の昔の話。

 

昔父上がかつて我がアスガルドの危機を救ってくれた偉大な友人だったと英雄譚を直々に聞かせてくれたが……。見た目は我々よりも遥かに若く見える、あの真中優斗という少年は、一体何歳なのだ……!?」

 

トニーはマーク7のヘルメットを弄びながら、皮肉屋な彼らしいニヤリとしたインテリジェンスな笑みを浮かべた

 

「さあね。見た目はただのピチピチの少年(ティーネイジャー)なんだがな。タイムトラベラーか、あるいは不老不死の本物の神か。

 

……どちらにせよ、ロキを操っていた宇宙の裏幕――あの巨大な“謎の影”の存在はまだ掴めていないが、あのロキが地球の戦場で真中が変身したあの光の巨神を見た瞬間にガタガタと震え上がっていたのは、自らの後ろ盾にいる黒幕をも遥かに凌駕するレベルの恐怖を、本能で察知していたからだろうな」

 

地球の科学の英知、宇宙の神話、そして何千年も前から紡がれている全宇宙規模の因果が、真中優斗という一人の少年の光の裏側で完璧に一つへと重なり合う 。

 

アベンジャーズの6人全員が、自分たちがとんでもない「実在したの守護神」に救われたのだと、魂の底から畏敬の念を抱かざるを得なかった 。

 

「……正体は分からん。だが、真中は『いざとなったら僕たちの勝利の切り札として使う』と言って、文字通り世界を救ってくれた」

 

トニーがシャワルマを置き、真剣な眼差しで全員を見回した 。

「この先、もしまた宇宙の虚空から迫ってきたような、地球だけでは到底太打ちできないような最悪の脅威が現れたら……その時は、俺たちも集まろう。今度は真中を俺たちも支えられるくらいに強くなってな」

 

「ああ、異議はない」

 

「また必ず集まろう」

 

スティーブが力強く頷き、ソーが未だ驚きを隠せないまま深く息を吐く 。

 

ハルクもまた、優斗への最大級のリスペクトを込めて無言で深く首を縦に振った 。

 

アベンジャーズの全員が日常の食事の中で不滅の絆を交わすその上空――

 

ニューヨークのどこまでも温かい光の粒子が広がる青空の向こうで、未来を幸せにする為に神話の歯車が、静かに、けれど確実に回り始めていた 。

 




第9話をお読みいただき、本当にありがとうございました!
アベンジャーズの目の前で解き放たれた光の真実、そして空に融けていった黄金のサイン――。

アベンジャーズ本編の大きな戦いはこれで一区切りとなります。
あと数話ほど後日談を投稿し、その後、次なる新しい物語(フェーズ2)へと進んでいきます。どうぞお楽しみに!
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