曇咲さん家は今日も集られている 作:癖の塊マシュマロ
よろしくお願いします
「いますぐに帰れーーーー!!!!」
玄関の方向を指し示しながらの怒号なのはしかたがない。怒らせるようなことをする方が悪いんだから。
は? なんなんだよ。急に現れたかと思えば目の前でベタベタとしやがって! 抱きつくならオレにしろよ! 魔王様じゃなくてさぁ! いや別に、オレが魔王様とこれ以上の進展があるわけがないし、好きにすればいいんだけども、目の前でイチャイチャするんじゃない! それはオレに効く!
魔王様も魔王様だ! オレの見えないところでイチャイチャしろ! 知らないならモヤモヤしないから! というか、
おいどうなんだよ! 微笑んでんじゃねーよ! 部下の美女たちに囲まれて微笑まれたら、なに考えてるのか解んないだろ! ただえさえなに考えてるのか解らないのによぉ!
「勇者ごときが馴れ馴れしくはないですか? まさかあなたが魔王様の一番だと言いたいのですか?」
「は? 兄様の一番は
背後から魔王様を抱きしめている部下――名前は知らない――がまさかねえと目を細めた。この女、絶対に胸を当ててやがるな! 魔王様は対面に立つオレの胸をガン見してるが。なんでこの状況でガン見してくるんだよ! バカかよ!
そして言い返そうとしたオレより先に言葉を投げたのは、魔王様の義妹である。ブラコンを極めた美少女。チートな魔王様を見ているとブラコンになるのは解らないでもないが、魔王様を離すまいと現代ダンジョンファンタジー世界である
そりゃあ、妹ちゃんの言うとおりの胸だけデカいガサツ者だけど、もっと言いようがあったんじゃないだろうか。可愛らしい人に直に言われたら凹むくらいの心臓の持ち主なんですけど? あとオレは女になって一年しか経ってないんだから、男のままの思考で生きてますよ。体感で一年であって、本当のところは解らない。女神様の領域――神域で修業していた分もあるからね。オレの妹――こちらも義妹なんですよね――に言わせると、男前の女が出来上がっているとのことである。私より胸が大きいのだけが嫌だけどとも言われていたりもします。お兄ちゃんは好きで胸がデカいわけではありませんけどねぇ!
「魔王様」
「名前を呼んではくれないのですね」
「オレに死ねと言っているんですか?」
部下に囲まれた魔王様を気軽に呼べるかよ。殺気だってるのが解らないのか? というか早く部下たちを帰してくれ。時間外労働はやめろ。床が抜けたら困るから早く帰せ。部下たちは完全装備のままなんだからな!?
異世界を救ったあとに戻った先は平行世界。離れなかった魔王様と魔王様を離さなかった義妹付き。魂に刻まれたらしい能力持ちでは元の世界に戻すことが出来ないからと平行世界へと送られたんだけど、妹とルームシェアをしている部屋の窓から見えた景色に見に覚えのない高い塔が生えてたのは閉口するしかなかったよね。
異世界と繋がってダンジョンが存在している現代日本とは聞いていたんだけどさあ、見慣れないものは見慣れないからな。