14人となった魔女候補はどのような物語を作っていくのか。
気になりませんか?
「あら妖夢、おはよう。それにしても今日は庭の桜が一段と綺麗じゃない?」
「はぁ、私にはいつも通りに見えますが。幽々子さまがそう言うのならそうなのでしょうね」
「そうよ、とても綺麗。今日は桜狩りにでも行きましょう。」
「ええ。お供しま「桜狩りよりも魔女狩りはどうかしら、幽々子?」何奴!?」
「おはよう紫。なにか厄介事なら勘弁してほしいのですけど、急ぎみたいね」
「おはよう、そしてありがとう幽々子。単刀直入に言うと、あなたの力を借りたいの」
「桜狩りの代わりに魔女狩りねぇ。裁判をするよりはずっと楽だわ。
受けてあげるわよ。だって、紫の頼みだもの」
「それじゃ妖夢、お留守番よろしくね」
「わかりました。何人たりとも通しませんから」
「あら、私が帰るのにちょっと苦労しそうだわ」
桜羽エマは、最悪だった。
中学時代をあらゆる悪意に晒され続けた。
唯一無二の親友にも、裏切られた。
どうしてこんなことをするの?どうしてこんなことをされなきゃいけないの?
どうしたらこんな悪夢が終わるの?私はどうすればいいの?
―――ああそうだ、みんなが死ねばいい。
「ちがうッ!!」
桜色の少女、桜羽エマはそう叫びながら飛び起きた。
「あれ…ここ、どこだろう?」
エマが起き上がったのは、自分の部屋ではなかった。
冷たい石壁に鉄格子はエマが囚われていることを示していた。
寝て起きたら全然違う場所にいたことにエマは混乱している。
「ろ、牢屋……!?なんで!?」
室内をざっと観察すると、通路側の鉄格子以外は三方を石壁に囲まれている。
壁にはテレビモニターが設置されている。
「何を考えていますの!?わたくしをこんなところに閉じ込めるなんて!」
「少女監禁とか、犯罪だよこれ!誰だか知らないけど、人生終わるよ!?」
「ざっけんなぶっ殺すぞおらぁ!出せぇ!!」
他にも部屋があるのか、少女たちの悲鳴が聞こえてくる。
にわかに場が騒がしくなると、不意にエマの背後から凛とした声が届いた。
「――静かにしてくれないか。騒がしいのは正しくない」
それはエマにとっては懐かしい声で、心が締め付けられる声だった。
エマの中学時代を暗黒に貶め入れた、エマの唯一無二の親友。
鋭い目つきが似合う長い黒髪の幼なじみ。
「……二階堂、ヒロちゃん?」
エマが振り返るとヒロと目が合う。
目が合ったヒロも、エマを見て大きく目を見開いていた。
「何故、君がここに?ここはどこだ?」
ヒロはエマを見て大きく狼狽しているようだった。
「あ、あのね、ヒロちゃ……」
エマがヒロに親しみを込めて話しかけようとすると、壁のモニターから音が鳴った。
二人ともモニターに視線を移した。
モニターにはフクロウのような生物が映っていた。
それは、柔らかいのに底冷えする声で淡々と語り始めた。
「......あ、もしもし......映像って見えてます......?
何せ古くて故障が多いので......やれやれ」
それはため息を吐くと続けて、
「私、ゴクチョーと申します。
詳しい説明がしたいので、ラウンジに集合して下さい。監房の鍵を開けますので、看守の後についてきてください。
抵抗とかは自由なんですが......命とか無くなっちゃうので......はい......」
ゴクチョ―がそう言い終えるとモニターの画面が消えた。
「ゴクチョ―……?看守……?」
エマは理解が追いつかないのか、呆然と立ち尽くしている。
それはヒロも同様だ。
すると、鉄格子の向こう、通路側からひきずるような重々しい音が聞こえてきた。
おそるおそる視線を向けると、2~3メートルはあるであろう黒衣の何かが立っていた。
仮面をつけていて顔はわからないが、明らかに人間ではない、何か。
エマは恐怖のあまり、ヒロの腕にしがみつく。
「ぎゃああぁ!!触んな化け物ぉ!キモいから!
わかった!わかりました!行くから!!」
他の部屋に収監されていたのであろう少女が化物に連行されているようだった。
「正しい説明がされるのであれば、早く向かわなくてはいけないか…」
ヒロはそう言うと隣のエマに目をやった。
ようやくエマが自身の腕にしがみついていることに気づくと、手を強く振り払った。
「っ…‥!」
「気安く触れないでほしい。私は君が嫌いだ。忘れてもらっては困る」
吐き捨てるヒロの目には深い嫌悪と拒絶の色がにじみ出ていた。
ヒロは鉄格子の扉を開けてさっさと出て行ってしまう。
「ま、待ってよヒロちゃん!」
追ってエマが通路に出た。
通路には、ヒロのほかにもたくさんの少女たちがいた。
その中に、一人だけこちらをじっと見ている少女がいた。
構わずエマがヒロを追いかけようとすると、少女はゆっくりと近づいてくる。
「ねえ、あなた」
「えっと……ボクのこと?」
「ええ」
エマは少女を眺めた。
穏やかな笑顔。淡い桃色の髪に、和風なのにリボンやフリルが目立つ奇妙な服装。
一言で表すなら、浮いている。
少女はエマの顔をしばらく眺めると、にこりと微笑んだ。
「何か食べるものは持ってないかしら?」
「……は?」
エマは思わず固まった。
「食べ物?」
「そう。朝食をすっぽかしてしまったの」
「ごめんなさい、持ってない……です」
「あら、残念」
少女は本当に残念そうに肩を落とした。
「こんなところに連れてこられるなんて思わなかったものだから。何か食べられるものくらい持ってくればよかったわねぇ」
「……」
(こんな状況で食事の心配をするなんて、よっぽど食べるのが好きなのかな)
エマがそう思っていると、少女はエマの顔を一瞥して口を開いた。
「あなた、桜が一番綺麗な時っていつなのか判るかしら?」
(桜?そういえば今は花見の時期かぁ。昔屋上から見た桜、綺麗だったなあ)
「ボクは友達とみる桜が好きだから、満開……が答えになるのかな」
「そうね。満開の桜には素敵な力があるの。ここにいる子たちも同じ。
一分咲、参分咲、伍分咲、八分咲。花をつけるにつれその力も増すわ。
今はまだ、みんな一分咲。でもやがて満開になる。それはそれは綺麗にね。
あなたの桜が満開になる時が楽しみだわ。一緒に桜狩りを楽しみましょうね」
そう言い終えると少女はさっさと行ってしまう。
(何を言っているのかよくわからなかったけど、人とこうして話せたのは嬉しいな。
そういえばあの子の名前、聞いてなかった。ラウンジに行けばまた話せるのかな。
化物が戻ってくる前に、早くラウンジに行かないと)
エマも足早に走っていった。
まのさば、面白いですね。
たまたま幽々子のBGMを聞きながらプレイしていたのでプレイ中幽々子がこの場にいたらどうなってたのかなあと思いながらやっていたので文字起こししてみるとなんと難しいこと。
世のSS作者様方には頭が上がりません。
さて本文ですが、やりたい展開がいくつかあるのでうまい具合にストーリーと合わせようと試行錯誤しております。気長にやっていきますし、読みにくい部分やおかしな点があれば指摘していただけると参考にできますのでよろしくお願いします。