「皆さん、少しよろしいですか?」
ゴクチョーと看守が姿を消し、沈黙と少女達だけが取り残された悪趣味なラウンジ。
その沈黙を破ったのはマイの一言だった。
ゴクチョーとの会話も踏まえ、「丁寧だが積極的な人物」というイメージが彼女らの中で形作られていく。
そのうちの何人かは、「出し抜かれた」と少し不本意そうではあったが。
「皆さんのポケットの方にスマートフォンが入っていると思います。残念ながら圏外ではありますが、まずは先程説明のあった【魔女図鑑】について認識を照らし合わせておきませんか?」
空気は相変わらず冷たく、不信感をまとっているが異議は出ない。
当然だ。
何があの怪物共を刺激する要因になるか分からない以上、事が起こる前にリスクを削っておきたいというのは全会一致の認識である。
マイは魔女図鑑を開くための少しの猶予の後、そこにまとめられた規則を1つずつ読み上げていった。
【監房滞在】
・囚人は自由時間以外、定められた囚人番号の監房に滞在すること。
・自由時間外に監房外で発見された場合、即座に懲罰房へ移送される。(2日間の懲罰房行
【監視体制】
・看守が常に巡回しており、違反行為を確認された囚人は懲罰房へ送致される。
【交服の処理】
・囚人の衣服は毎日、シャワールーム内にあるダストシュートに廃棄すること。
・焼却炉は毎週月曜15時に稼動し、廃棄物を処理する。
【体調不良・怪我時の対応】
・拘束時間であっても、体調不良や怪我が生じた場合は医務室で休むことが認められる。
・介助の付き添いは1人まで許可する。
【食事の時間】
・食事は1日3回、各自由時間内に食堂でとる。
・食事時間を過ぎると食事権を失う。
【就寝規則】
・夜10時から朝6時まで監房内で就寝しなければならない。
・消灯後、囚人同士で会話をした場合も懲罰対象となる。
【定期巡回】
・見張りは全エリアを常時巡回している。
・巡回スケジュールは囚人に告知されない。
【発見された場合の罰則】
・自由時間外での外出:懲罰房2日間。
・看守に対する抵抗:暴力行為があった場合、即座に処刑される。
【自由時間の範囲】
・囚人は出入り可能なエリアで自由に過ごすことができる。
・許可されたエリアを越えた場合、違反とみなされる。
【許可のある活動】
・図書室での読書。
・娯楽室での遊戯。
・野外での運動や散歩。
※許可されない活動:集団抗議、脱走の準備
【裁判の開廷条件】
・監獄島の中で殺人が起こった場合、危険な魔女を処刑するため魔女裁判を行う。
・囚人同士で議論・投票を行い、魔女と判断された者は即時処刑される。
【裁判の終了条件】
・裁判が開かれた場合、牢屋敷内の者は指定された時間内に犯人が誰であるかを選出する。
・多数決で最も多い票を得た者は【魔女】と認定され、処刑される。
・時間内である限り、議論を望む者がいる場合は裁判を続行する。
【捜査の条件】
・死体が発見された場合、裁判開始までの間に監獄島内を自由に【捜査】することが許可される。
・自由時間外や拘束時間中であっても、死体が発見された場合は勾留・拘束を解除し、各自の捜査が認められる。
・緊急時や証拠隠滅のおそれがある場合、管理者の判断により、裁判開始までの捜査時間中に最重要容疑者を拘束することがある。
【魔女を特定できなかった場合】
・魔女を特定できなかった場合、参加者全員を処刑する。
・ただし、全会一数で【犯人が存在しない】という結論となり、かつそれを証明する合理的な証拠があると管理者が認めた場合、裁判は中止される。
6:00~9:00
監房のロックが開錠され、自由時間のため出入り可能。
ダイニングには朝食が用意されている。
10:00~12:00
監房にて過ごす。
(看守が巡回し、管理チェックをするため定期的に設けられる時間)
12:00~15:00
監房のロックが開錠され、自由時間のため出入りが可能となる。
ダイニングには、昼食が用意されている。
15:00~17:00
監房にて過ごす。
(看守が巡回し、管理チェックをするため定期的に設けられる時間)
17:00~22:00
監房のロックが開錠され、自由時間のため出入り可能。
ダイニングには夕食が用意されている。
シャワールーム使用可。(この時間以外お湯は出ない)
22:00~翌6:00
外出禁止時間。
「──以上が規則になります。何か発見があった方、あるいは認識を共有したい方は挙手をお願いします」
誰も手を挙げない。
監房の時間が長い、細かいなど文句などはあるが、一応は共通認識という形で話は収まった。
最後に同じくマイの手動で全員が【メッセージアプリ】の連絡先を交換すると、その場で解散となる。
魔女図鑑によれば各々が地下の監房で待機していなければならない時間だ。
各自歩くスピードに差はあれど、同じように監房へと戻った。
「へぇ……意外ね。マイちゃん、案外目立ちたがりなのかしら?」
「いえ、こういう役割なら、
穏やかに、マイは笑った。