黒の暴牛代理副団長は転生者   作:ダークラーメン

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ブラッククローバーのアニメが始まるので書いて見ました。
初めての執筆です。


1話 転生者クリス・サンドレット

日本に生まれたごく普通の少年だった私はある日突然神様のうっかりミスで命を落としてしまった。

しかし、神様はそのお詫びとして前世の記憶と一つの特典を与えランダムな世界へ転生するチャンスをくれた。

 

私が転生したのは『ブラッククローバー』の世界。この世界での名前はクリス・サンドレッド。

 

全く読んだことのない作品だった為、何が何やらさっぱり分からなかったが、色々な出来事を経て今はクローバー王国の魔法騎士団の中でも個性的(問題児)な面々が集う『黒の暴牛』で代理副団長を務めている(押し付けられた)。

 

この世界では誰もが魔法を使うことができ、魔法騎士団は、クローバー王国最強の魔道士である魔法帝直属の精鋭部隊で、九つの団それぞれの団長の下、魔法騎士たちが様々な任務をこなしている。

 

その任務は多岐にわたり、要人の護衛から、問題地域の調査、他国の侵略を防ぐ防衛任務まで様々だ。

そんな魔法騎士団の一員である私も、現在任務を遂行中だった。その内容はというと――

 

「何だ、こいつ!ぐわっ!」

 

「く、来るな!近づく……グハッ!」

 

「何でこんな強え魔法騎士が恵外界にいやがるんだ!」

 

現在、私は恵外界の村を荒らし回る盗賊団の捕縛にあたっていた。

 

「黒の暴牛のローブに、黒い仮面!間違いない、黒仮面の氷剣士クリスだ!」

 

盗賊たちの口から、私の異名が叫ばれる。

ある理由から常に顔を隠すため、黒いフルフェイスマスクを被り、氷の剣を創り出して戦う彼のスタイルが、いつしかこんな異名を生んだのだ。

 

私はこの厨二じみた異名を内心恥ずかしく思っており、マスクの下で苦虫を噛み潰したような顔をしているのだが、そんなことなど露知らず、盗賊たちはその名を聞いて明らかに動揺していた。

 

もっとも、その数は30人ほどと少なくなく、魔力もそれなりにあるようだが、ほとんどが実戦経験のない素人の集まりだ。

 

「え?」

 

「速っ!」

 

私は彼らが放つ魔法を紙一重でかわしながら瞬時に距離を詰め、魔力で創り出した二振りの氷の剣でさらに二人の盗賊を峰打ちで昏倒させた。

 

戦闘開始からすでに10分が経過していたが、こちらはかすり傷一つ負っていない。対照的に、盗賊たちはすでに半数の15人が戦闘不能となっている。

 

それでもなお盗賊たちの戦意は衰えず、炎、雷、風、土など、様々な属性の魔法が全方位から放たれる。

 

「さっきからそれだけですか?まるで芸がありませんね」

 

私はもう見飽きたと言わんばかりに、迫り来る魔法に向けて氷の剣を振るう。

その剣閃は、盗賊たちの動体視力をはるかに凌駕しており、彼らの目には私の腕がわずかに動いたかと思うと同時に、次々と魔法が切り裂かれていく光景が広がっていた。

 

「お前ら!よく時間を稼いだ!」

 

その時、奥の方で先ほどから魔力を溜めている様子の盗賊の一人が大声を上げた。どうやら、盗賊たちが無闇に魔法を放っていたのは時間稼ぎで、本命は彼の魔法だったようだ。

 

「俺の魔法で燃え尽きろ!炎魔法"猛火の炎鳥"!」

 

男の両手から巨大な炎の鳥が現れ、私に向かって飛びかかってくる。

 

「これが俺が放てる最大の炎魔法だ!氷の剣じゃあ、溶けて防げねぇぞ!」

 

彼の言う通り私の魔法属性は氷であり、炎属性の魔法とは相性が悪い。実際にこの魔法に氷の剣をぶつけても、一瞬で溶けてそのまま直撃するだろう。

 

だが、それは常識の範囲内の話。私は剣を持った両手を極限まで脱力させた。両手をだらりと下げたその姿を見て、盗賊たちは彼が諦めたのだと思い、嘲笑し始めるが――

 

「シッ!」

 

瞬間、まるで線のような、美しいとさえ思える何かが走り、それと同時に盗賊の放った魔法が、私を避けるように四つに分かれて背後で爆発した。

 

ありえない光景に混乱した盗賊たちが動きを止める中、それを起こした本人は、手に持っている氷の剣を確認して呟いた。

 

「まだまだ速度が足りませんでしたか……修行不足ですね」

 

その剣は、先ほどのような綺麗な形をしていなかった。大きく歪み、所々が溶けて水滴になっている。明らかに何か熱いものと接触した証拠だ。

 

「て、テメェ、何しやがった!まさか、俺の魔法をそんな氷の剣で斬ったって言うのか!」

 

炎の魔法を放った盗賊が、恐怖に歪んだ目で叫ぶ。

先ほども言ったように、彼の放った魔法は、氷の剣を溶かすには十分すぎる火力があり、それは事実だ。では、なぜ斬ることができたのか?

 

「単に、剣が溶けるよりも早く振り抜いただけです。ただ、見ての通り完璧とはいきませんでした」

 

「「「はぁ?」」」

 

溶けてしまうのであればその前に斬ればいいというあまりにも現実離れした暴論。だが、悲しいことにその暴論を可能にしてしまう技量がこの男にはあった。

それを聞いた盗賊たちは意味が分からず反論すらできない。

 

「さて、良い魔法をもらったお礼に、私からも貴方たちにお返しをするとしましょう」

 

そう言うや否や、私は両手にあったボロボロの剣を今までよりも数段速い速度で振り抜いた。

その瞬間、剣は砕け粉々になりながら放射線状に超スピードで飛び散る。

 

「「「ぐわああぁぁーーー!!!」」」

 

飛んで行った氷の欠片は全て盗賊たちの急所に正確に衝突し、直撃した全員が地面にうずくまる。

 

もちろんまぐれではない。恐るべき技量と魔力操作によって、全て狙い通りに飛ばされているのだ。

これにより動ける盗賊団は残り数人となった。

 

「う…嘘だろ、魔導書の魔法を使わないでここまでやるとか…!」

 

残った盗賊の一人が、震える声で呟いた。私の圧倒的な実力に、戦意どころか思考すら凍りついているようだ。地面には戦闘不能となった仲間たちが倒れ伏し、辺りは静寂に包まれる。

 

「後輩の魔法を真似たのですが、かなり良い感じですね。そろそろ終わりにしましょうか」

 

「ひ、ひぃっ!待て、待ってくれ!降参だ!」

 

すると、盗賊の一人が慌てて手を上げた。他の仲間たちも魔導書を投げ捨て、膝をつく。もはや戦う気力は完全に失せていた。

 

(なんてな!これで終わりだ!)

 

かと思われた次の瞬間、私の背後から猛スピードの雷の矢が現れた。

 

実は、戦闘が始まった時点で盗賊のリーダーである男は私が只者ではないことをすぐに察知し、部下である盗賊たちに何とかして隙を作るように指示を出した後、離れた場所まで移動して、気付かれないように魔力を練り上げていたのだ。

 

「これで終わりだ!雷魔法"貫雷の矢"!」

 

リーダーの男が叫び、放たれた雷の矢は、速度と貫通力に特化しており、不意打ちの状況で斬る事は不可能に近い。

 

そんな魔法が一直線に背中へと迫る。私は盗賊たちの降伏に意識が向いており、奇襲に気付ける要素は一つもない……はずだった。

 

「終わりと言いましたよ」

 

私は背後から迫る雷の矢をまるで分かっていたかのように左手へ新たな氷の剣を作り出し、背後に向けて振り抜いた。

 

「なっ!?」

 

リーダーの男は、信じられない光景に驚愕する。

振り抜いた氷の剣は目にも留まらぬ速さで雷の矢を剣の側面で捉え、斬る事が出来ないならばこうするまでと、絶妙な力加減と魔力操作で弾くように魔法の軌道を逸らしたのだ。

 

「一体……どうなって……」

 

驚いていたのはリーダーの男だけではなかった。降伏するふりをしていた盗賊たちも、何が起きたのか理解できていなかった。

 

「謝罪は聞きません。少しの間、眠ってください」

 

「待っ!」

 

そして私は動揺している盗賊たちを氷漬けにして拘束した後、雷の矢が放たれた方向に視線を向けた。

 

「場所は把握しましたが、かなり距離がありますし、既に逃げてますね」

 

視線の先には、リーダーらしき男が箒に乗って全速力で逃げる姿が映っていた。

 

「あんな化け物相手にしてられるかよ!」

 

あの魔法が防がれた時点でどうしようもないと早々に悟った男は、部下たちを見捨てて、一人だけでも助かろうと逃走を選択していた。

 

そして、男の選択は正しかった。既に私の魔法の射程範囲を優に超える距離を稼いでおり、今から飛んで追いつくのは難しいだろう。

私は逃げる男をしばらくの間冷たい瞳で見つめていたが、やがて諦めたように小さく息をついた。

 

「これは……無理ですね。全く、自分の体たらくにはいつも呆れてしまう」

 

打つ手なし。故にリーダーの捕縛を諦めたのだろうか、そっと瞼を閉じる。

 

そして……

 

「アーチャー、お願いします」

 

「承知しました、マスター」

 

言葉に応えるように、一人の男が私の横に現れた。

その男、アーチャーはその名の通り手に持つ弓に矢をつがえ、引き絞りながら逃げている男に照準を合わせた。

 

だが、既にリーダーの男との距離は1キロ以上離れており、尚且つ箒に乗って高速で逃げているため、弓矢という飛び道具では常識的に考えれば直撃させるなど不可能だ。

 

しかし、アーチャーの瞳には一切の迷いがなく、ただひたすらに集中力を研ぎ澄ます。

 

「この程度の距離と速度であれば、問題ありません」

 

そう言い放つと同時に、矢にかけていた指が離れた瞬間、矢は音速を優に超える速度で弓から放たれた。

もはやそれは矢などではなく、まるで一筋の閃光であり、空気を裂く轟音とともに――

 

「……なっ!」

 

逃走中だったリーダーの男の跨っている箒を、寸分の狂いもなく穿ち、破壊した。

男は一瞬、何が起きたのか理解できずにいたが、自身の箒が破壊されて地面に落下していることに気付き、恐怖に顔を歪めた。

 

「う、うわあああああああああっ!!」

 

リーダーの男は、壊れた箒ごと空中から落下し、体を強く打ちつけた。魔力で体を強化していたとはいえ、とてつもない痛みで起き上がることもできず、その場で意識を失った。

 

「対象の沈黙を確認。しばらくはあの場から動かないでしょう」

 

「感謝しますアーチャー。今度何か礼をさせてください」

 

「では、私のスペシャル特訓メニューを今度一緒にこなしていただければ、それで充分です、マスター」

 

アーチャーがにこりとしながら応える。その一言に、クリスの仮面の中の顔が微妙に引きつった。

 

「それは……分かりました。できる限り、死なない程度にお願いします」

 

「もちろんです。……半分は」

 

「……つまり、半殺しにはすると」

 

そう言いながらも、私はどこか安心したように微笑む。戦いの緊張感がようやく解けたのか、彼の肩の力もふと抜けていた。

その後、盗賊たちを全員氷で拘束してまとめ、魔法騎士団本部に連絡を入れると、すぐに回収部隊が派遣されることが決まった。これで任務は無事完了だ。

 

ふと空を見上げると、空には分厚い雲が流れ、夕焼けがその隙間から差し込んでいた。

 

「そう言えば……今日は魔法騎士団の入団試験でしたね。できれば、問題を起こさない良い子が入って来ますように」

 

そう願いながら盗賊たちの受け渡しの準備に入った。だが、これから始まる困難を私は知る由もなかった。




主人公
名前:クリス・サンドレット(?)
年齢:20歳
身長:178cm
誕生日:2月20日
星座:みずがめ座
血液型:O型
好きな物:魔道具の調整、英霊達との修行、氷菓子、律儀な人
魔法:氷魔法
転生特典:英霊召喚
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