黒の暴牛代理副団長は転生者   作:ダークラーメン

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衝動書きなので投稿ペースは不定期です。申し訳ない。
とりあえず書ける所まで書いていく予定です。


4話 賭けと代償と初任務

アスタとノエルが黒の暴牛に入ってから数日が経った。

 

ノエルは王族としての暮らしとのギャップと団員達の破天荒ぶりに振り回されているが、アスタはそれなりに黒の暴牛に馴染んでおり、アジトの掃除、全員分の洗濯、命懸けの魔獣の餌やり、パワハラ紛いの無茶振り、その他諸々の雑務を押し付けられている。

 

そんなある日、私は朝早くから書類をまとめていると一つの書類が目に留まった。

 

「これ……ヤミ団長の承認が必要ですし、かなり期限が短いですね」

 

その書類は王都の魔法騎士団本部からのものであり、しかも魔法騎士団長直々の承認が必要な書類だった。

 

そして当の団長は……

 

「ヤミ団長がいませんね。これは困りました」

 

団長室をノックしたが反応が無く、アジト内の魔力を感知してみたが食堂にいる団員達の魔力しか感じられない。

不思議に思った私は食堂に向かいそこにいた団員達に話しかける。

 

「誰かヤミ団長を見ませんでしたか?急ぎの書類があるのですが」

 

「ヤミ団長ならマグナ先輩と任務に向かいましたよ」

 

「任務?」

 

その場にいたアスタの返答に思わず聞き返した。

 

黒の暴牛の任務は基本的にまず私が内容を確認し、危険度や人員の適正を見てから団長に回す流れだ。

団長が直接受理して出発するなど、よほどの突発事態でもない限りあり得ないし、そんな任務にマグナ1人を連れて行く可能性はかなり低い。

 

少しの違和感を感じて考えていると、一つの考えがよぎった。

 

(絶対にカジノに行っていますね)

 

ほとんど直感だが、ヤミ団長がこんな朝から任務と言って姿を消し、しかもマグナを連れている時点で答えは一つだ。

 

「ありがとうございますアスタさん。大体の目星はつきました」

 

そう言って私は軽く身支度を整えて箒に跨りアジトを出発した。

 

空を飛んでしばらく経つと、ヤミ団長行きつけのカジノが見えたため、ゆっくりと下降した後に中へ入った。

 

ここのカジノはそれほど大きな施設では無く、軽く見渡せば直ぐに全(・)裸(・)で放心状態の団長とマグナの姿を確認できた。

 

ん……全裸?

 

私は一瞬、視界に映った光景の意味を理解できなかったが、頭を抱えながら2人に近づく事にした。

 

「……ヤミ団長」

 

「ん、クリスか?お前がカジノに来るとは珍しい事があるもんだな」

 

「至急団長の承認が必要な書類が見つかったので後を追って来たのですが……何で全裸なのですか貴方」

 

「そりゃお前……有り金が全部無くなったから代わりに衣服を賭けて負けたんだよ」

 

毎度思うがこの人は自分の団長という肩書きがこの国でどれほど大きいのか理解しているのだろうか?

 

魔法騎士団の団長が公共の場で全裸など騎士団のイメージダウンにどれだけ影響すると……そもそも黒の暴牛の信頼度は地の底だから今更か。

 

「それはそうとお前に一つ報告があってな」

 

「何ですか?」

 

「そこのセイヒの爺さんに負けて何でも言う事1つ聞く事になったんだが……イノシシ退治をして欲しいんだとよ」

 

私は視線をゆっくりと、団長の背後にいるセイヒの爺さんと呼ばれる方へ向けた。

 

そこにいたのは、小柄ではあるがどこか威厳を感じさせるような白髭の老人だった。

 

「ワシの住んでるソッシ村付近の森に凶暴な猪が住み着いてなぁ。村が荒らされて困っとるんじゃ。儂らじゃ手に負えんくてのぅ」

 

「で、ヤミ団長が負けて条件を飲んだと」

 

「男に二言はねぇ。それに、丁度新人2人にはもってこいの任務だろう」

 

それっぽい事を言っているが、要するに自分の尻拭いをアスタとノエルに押し付ける気満々である。

いつも通りの無茶振りに頭が痛くなるが、イノシシ退治くらいならアスタとノエルでも可能な難易度で、初任務としては良いのは事実であり、何より困っている国民の声を無視するのは魔法騎士団として出来ない。

 

「はぁ……もう分かりました。手続きは私の方でしておきます」

 

「おし、そうと決まればもうここに用はねぇな。さっさとアジトに帰るか」

 

「そうっすねヤミさん。次はゼッテー負けねーからなセイヒの爺さん!」

 

ヤミ団長とマグナはどこか満足げに笑いながら出口へと向かう……全裸で。

 

一部の人に見られるのはまだ良いが、このままでは団長とマグナが全裸で街を闊歩するという最悪の事態になる。黒の暴牛の信頼が地に落ちるどころか、もはや地面を突き抜けて地中に潜るレベルだ。

 

「ヤミ団長、マグナさん。少しここで待っていて下さい、すぐに戻りますので」

 

これはまずいと思った私は2人を止めて、急いでセイヒの爺さんに頭を下げながら頼み込む。

 

「すみません。全部あの2人の自業自得なんですけど……何とか服だけは返して頂けないでしょうか」

 

「そう言われてものぅ。これは賭けに勝って得た戦利品じゃからタダで返す訳にはいかんのぅ」

 

ん〜まさに正論。ぐぅの音も出ない。

お金ならかなり持っているので服を買い取りたい所だが、残念ながら急いで来た為、財布はアジトに置いてきている。

 

何か金目の物は無いかとバッグを漁ると、解体予定だったペンダント型の魔道具を見つけた。

 

「現金では無いですが、この回復用魔道具と交換はどうですか?」

 

私は金目の物と交換なら出来ると思いバッグから魔道具を取り出す。そして効果の実証として小さな氷のナイフを作り出し、自分の指先を薄く切る。

 

何事かとセイヒの爺さんは驚いた様子だったが、数秒も経たないうちに指先から出ていた血は止まり、傷口が塞がり始めていた。

 

「この様に軽傷であれば即座に治ります。普段使いに使用しても良いですし、売れば服よりは高値で売れると思います」

 

「おお!確かにこれは良い品物じゃが本当に貰って良いのかい?」

 

「実はこれ私の試作品でして、予定していた性能より少しだけ魔力効率が悪いんです。ですが日常使いなら問題ありませんし、いざという時の保険には十分役立ちます」

 

そう言いながら、私はペンダントを差し出す。

 

セイヒの爺さんはしばらく顎髭を撫でながら考え込んだ後、ゆっくりと頷いた。

 

「ふむ……確かにワシのような年寄りにはありがたい代物じゃな。よかろう、その申し出受けよう」

 

「ありがとうございます。イノシシ退治についてですが、申請任務として動くと準備が必要になる為、おそらく数日後になります。ですが、それまでの間に被害が拡大する可能性もありますので、今回は申請外の任務として対応し、出来る限り急ぎます」

 

「それは助かる。村の者達も安心するじゃろう」

 

セイヒの爺さんは深く頷き、約束の証としてヤミ団長とマグナの服を差し出した。

 

私はそれを受け取ると、すぐに2人の元へと向かう。

 

「ヤミ団長、マグナさん。服は回収しましたので早く着て下さい」

 

「お、流石だなクリス。やっぱり全裸で外に出るのは繊細な乙女の心に響くってもんだ」

 

「いやマジで助かります……これ以上いたら出禁どころか通報されてたかもしんねぇっす」

 

そう思うなら最初から服を賭けないで欲しいが、口答えすると何かしら言われそうなので、敢えて口に出さないでおく。

 

◇

 

後日、新人のアスタとノエルをロビーへと集めて、今回の任務についての簡単な報告会を開いた。

 

「……と言うわけで、カジノで負けた代わりとして、アスタさんとノエルさんはソッシ村で猪退治をしてもらう事になりました」

 

「それって俺たち関係ないッスよね⁉︎」

 

「そうよそうよ。負けたのは団長とマグナなんでしょう?だったら――」

 

アスタとノエル、明らかに不満げな視線をヤミとマグナに向ける。立場的にはあまり褒められたことでは無いが、2人の主張はもっともだし私もそう思う。

 

「行くのか死ぬのか、どっちだ?」

 

「「行きます!」」

 

だが残念な事にここ黒の暴牛では真っ当な正論など二の次で、ヤミ団長が絶対なのだ。

ヤミ団長の殺気がこもった脅しにアスタとノエルは二つ返事で答えるしか無い。

 

「経緯はともかく私としては初任務にはちょうど良い内容だと思いますよ。私とマグナさんもついて行くので何かあっても安心して下さい」

 

「おうよ!お前ら後輩のケツくらい先輩のオレ達が面倒見てやらぁ!」

 

私の言葉にマグナは胸を張りながら同意する。

 

「イノシシ狩りとは言え魔法騎士団の初任務だ!テンション上がるぜ!ウォ〜!」

 

「そ、そこまで言うなら一緒に行ってあげても良いわよ」

 

どうやら2人ともやる気はあるようで何よりである。

 

「ところでマグナ先輩が一緒なのは分かるんですけど……何でクリス副団長まで同行するんですか?」

 

アスタが不思議そうに首を傾げる。

 

「今回は君たちの初任務ですからね。戦闘技術だけじゃなく、任務中の立ち回りや報告、住民への対応なども見させていただきます」

 

「つまり採点って事ですか?」

 

「そんなに堅苦しいものではありません。今後君たちに回す任務の基準を決める為の確認、みたいなものですね。アスタさんは勢いで突っ走る癖がありそうですし、ノエルさんは実戦経験が少なく魔力の制御が出来ない。なので一度、実際の任務対応を見ておきたいのです」

 

「うっ……」

 

「べ、別に私は問題無いわよ!」

 

アスタは図星を突かれたように肩を竦め、ノエルは露骨に目を逸らした。

 

2人とも素質は一級品だが、尖りに尖った問題児でもある。

放っておけば、遅かれ早かれ大事故を起こす可能性が高い。だからこそ、今の内に実戦の中で癖や思考を把握しておきたいのだ。

 

「説明はこれぐらいにして、早速ソッシ村に箒で行くとしましょう」

 

「お前らアジトに置いてある箒から適当なもん選んでこい!」

 

アスタとノエルはお互いに顔を見合わせた後、ゆっくりと手を上げた。

 

「クリス副団長、マグナ先輩。俺、箒で飛ぶの出来ません!」

 

「右に同じく」

 

「「……え?」」

 

その場の空気が一瞬止まった。

 

マグナはぽかんと口を開け、私は思わずこめかみを押さえる。

 

「あー、そう言えばアスタさんは魔力がありませんし、ノエルさんは魔力制御が出来ないので無理ですね」

 

「チッ!しょうがねぇな……なら相乗りで行くしかねぇか」

 

悪態をつきながらマグナはアジト前に置いていた愛ボウキである"紅零雨威災駆乱(クレイジーサイクロン)号"を見せつけるが、目を輝かせるアスタとは対照的にノエルの反応はイマイチであった。

 

ちなみにヤミ団長にはお灸として大量の書類作業を押し付けておきました。

一度は断られましたが、心を込めた説得(給料カットの脅し)により、快く引き受けてくれました。




いよいよ2期の放送日が近づいて来てワクワクしています。
アニメ2期でブラッククローバーの人気がさらに上がって二次創作が増えてくれると嬉しいですね。
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