一、二分間廊下を歩くととあるドアの前まで来た。道中、虫のような薄い羽根が生えていてメイド服を着ている身長の低い少女たちとすれ違った。咲夜さんにあの人たちが何なのかを聞いたところ、妖精だと言われた。妖精もいるのか、幻想郷には。
「ここが今日からあなたの部屋です。必要最低限のものは置いてあるかと思います」
咲夜がそう言った後、咲夜がドアを開けた。
ドアの先には先ほどレミリアと話した部屋の二、三倍ほどの広さの部屋が見えた。ベッドもクイーンサイズからキングサイズの間ぐらいであり、収納も多い。これは、元居た世界の部屋より広い。
「どうです、気に入りましたか?」
「ええ。外の世界の僕の部屋より広いです」
「そうですか。それは良かったです。それでは昼食の時間になったらお呼びします。それまで、館内のどこに行っても構いません。館の外に出てもいいですが、自己責任です」
「わかりました。ありがとうございます」
「あとそれと、地下室があるのですが、近づくことはおすすめしません」
「そうですか。わかりました」
そう僕が返すと「では」と咲夜が言った直後、部屋から消えていた。やはり、能力によるもので間違いない。
地下室に入ってもいいけど、推奨はしないと言っていた。なにかあるのだろうか。とりあえず館内を歩き回っていいと言っていたので、部屋の外に出ることにしよう。
部屋をでて五分ほどさまよっていたところ、大きなドアを見つけた。気になる。咲夜が館内のどこに行ってもよいと言っていたので、きっと入っていいんだろう。実はダメだったら、言い訳すればいいだけの話なのだ。そんなことを一分ぐらい考えた後、ドアを引っ張ってみた。開かない!!押し込んでみると……。はい、外開きでした。
ドアが開いた先には本棚がたくさんあり、本がきれいに整頓されていた。そして、奥には紫色の髪をした女の人が本に埋もれながら本を読んでいた。
「あぁ、あなたが鈴原優希ね。初めまして、私はここの大図書館の管理をしているパチュリー・ノーレッジよ。本当は明日呼ぶつもりだったんだけど、呼ぶ手間が省けたわ」
明日呼ばれる予定だったらしい。つまり、用事があるということだ。
「なにか僕に用ですか?」
「一つ聞きたいことがあってね。魔法は好きかしら?」
魔法。魔法というのはあの魔法だろうか。あの、なんか空とか飛べて炎とか出せるやつ。幻想郷と外の世界じゃ認識が違う可能性がある。聞いてみよう。
「魔法ってなんですか?」
「魔法。そうね、幻想郷には主に霊力、魔力、妖力、そして神力といったエネルギーを個人が宿しているけど、そのうち魔力を使って行使するのが魔法。空とか飛べるわ」
認識はある程度一致しているようだ。完璧じゃないかもだけど。
「このエネルギーは一人一種類しか持っていなくて、人間なら大抵霊力を持っているんだけど……。あなたはなぜか魔力を持っているようね。もう一度聞くわ。魔法は好きかしら?」
空とか飛んでみたい。扱えるなら、扱ってみたい。
「好き、ですかね。空は飛んでみたいです」
「そう。良かったわ。明日ここにまた来なさい。魔法を教えてあげるわ」
「ありがとうございます。では、出ますね」
そう言って大図書館の外に出た。