あの後はすぐに寝た。部屋にあった時計を確認したところ、十一時ぐらいだったからだ。
朝起きて少ししたところ、咲夜が僕の部屋に来て、レミリアの部屋に行くように告げた。
「部屋の場所がわからないのですが」
僕がそういうと咲夜はこう返した。
「そういえば、そうでしたね。五分だけあげます。私は外で待っているので、着替えてください。着替えは棚の中にあります」
そう言われた直後、咲夜はこの部屋から消えていた。
指示通りに棚の引き出しを引いてみるとスーツが置いてあった。普段はもちろん着ないし、制服は学ランだったのだ。
着るのには四分ぐらいかかった。奇跡的にネクタイをつけれた。
「似合っていますよ」
急に咲夜が目の前に現れてそう言葉を投げかけてきた。
毎回急に現れるのは慣れないし、不思議だ。
「さて、今からお嬢様の部屋に向かいます。ついてきてください」
そう言った直後、僕たちは僕の部屋の外に出ていた。僕の部屋のドアの目の前である。
歩くこと数分、紅魔館の廊下の最後のほうにレミリアの部屋らしきドアがあった。ここだけ、ドアの雰囲気が違う。大図書館もドアが大きかったり雰囲気が違っていたが、ドアのサイズは普通だ。だけど、何か違う。
「さ、入ってください。ついでにそこで朝食を取ってください。私は外で通常業務に戻ります」
「わかりました。ありがとうございます」
そういうと咲夜はレミリアの部屋のドアから遠ざかっていった。
僕はレミリアのドアを開けた。
「ようこそ。私はちゃんとノックとかしたのに、許可を取らないのは失礼ではなくて」
あっ。すっかり忘れていた。追い出されるのでは。
「まあ、別にいいわ。とりあえず座って」
そう言われた後、プリンが置かれていてレミリアが現在座っている向かい側に座った。間には丸テーブルがあり、そこがプリンが置かれているテーブルだ。
僕が座るとレミリアはプリンを食べ始めた。もぐもぐ。そういう音は聞こえない。
半分ほど食べ終わると、レミリアはようやく口を開いた。
「あなたに仕事をお願いしたいと思っていたのよ。働くべきもの食うべからず。霊夢も言っていたと思うんだけど。でも、正直あなたにはまずある程度戦える力を持ってほしい。そんな霊夢みたいな力は必要ないけど、弱い妖怪ぐらいなら倒せるようになってほしいのよ。じゃないと、紅魔館の外での仕事を任せられない。ということで、しばらくはパチェのところで魔法の勉強に励むといいわ」
やはり僕はこの幻想郷において貧弱な存在であった。それはそうだ。今まで会って来た人の中で勝てそうなのはいない。ルーミア、霊夢、魔理沙、早苗、美鈴、咲夜、レミリア、小悪魔、そしてフランドール。やはり、勝てる気がしない。
「わかりました。じゃあ、今からパチュリーさんのところに向かえばいいですね?」
そういうとレミリアは首を横に振ってみせた。
「いや、あなた何か忘れてない?朝食よ。咲夜から聞いてなかった?私はプリンを食べているけれど、あなたも食べたい?」
朝食からプリンは遠慮したいものだ。