僕たちは飛んで、人里から少し離れた場所についた。正確には降り立つ場所まで少しずつ高度を下げている。魔理沙が下げている。
道中、かなり揺れたしかなり速かった。思ったより速かった。揺れたのは魔理沙の技術力不足というより、かなり速かったのが理由だと思う。
人里から少し離れた場所に降り立ったのは注目だったりを浴びないためだろう。いくら幻想郷で飛べるのが普通だといっても、人里の中心に降り立ったら多少は視線を浴びるだろう。
「ほら、ついたぜ」
魔理沙が安心させるようにいった。箒は僕が乗ったときとほとんど同じ高度にあった。
「ありがとうございます」
僕はちゃんと安心したように言い、箒の左側から降り立った。左足から。ちなみに、特に怖くはなかった。
僕が箒から降りてから数秒後、霊夢も地上に降りてきた。右足から。
霊夢は降りてすぐ人里に向かって歩いていった。僕と魔理沙はそれについていく。
5分ほど歩いて、人里の入口をくぐることができた。
「ここが人里よ。幻想郷の中で一番人間が多い場所」
そう霊夢が言った。
人里。古風な名前から想像できるように東京都の特別区やマンハッタンのような高いビルがそびえ立つようなところではなく、岐阜県高山市の三町通りのように、現代では古めかしい木造の江戸時代にあるような建物が並んでいた。
「すごいな」
そう感嘆した。やはり、現代の日本にも似たような町並みの場所はあるけれど、結局は建物中に現代文明がある。そうじゃなくても、博物館や観光地として運営されているところがほとんどだ。しかし、ここではこれで生活している。現代日本から見ると古いと言わざるをえない技術で生活している。
「さて、色々見て回りましょうか」
霊夢がそう言うと魔理沙は言葉を返した。
「待て。先に何か食べないか。少しお腹が空いてきたんだぜ」
だそうだ。確かに言われてみればそうだ。僕も空腹感を感じてきた。
僕がここに飛ばされたのは日本の時間で大体午後五時だろう。そこから1時間半ほど歩いて、少し話をしてここに来ているのだから日本の時間では午後七時ぐらいだ。
幻想郷の時間は日本とズレているのか、まだ午後三時ぐらいに見える。隔離されているのだから多少は違っても違和感はない。
「僕もお願いします。僕も少し空きました」
そういうと霊夢は承諾した。ついでに「魔理沙のおごりね」とも言っていた。魔理沙はそれに文句を言っていたが、一蹴された。渋々魔理沙は承諾した。
魔理沙が奢ってくれることを確認した後、霊夢が先導する形で霊夢が団子屋の引き戸に手をかけた。
「霊夢さん、お久しぶりです!」
霊夢が扉を開けるとお店の中から大声でそういう声が聞こえた。
声の主は、僕の前にいる霊夢と魔理沙で見えなかった。