結局あれから数時間、僕たちは話していた。夕飯も結局あの後人里で済まして、僕と霊夢の二人で博麗神社に帰ってきた。今は僕と霊夢が話していた和室の中にいる。
団子屋と夕飯の席では僕と早苗で喋っていたこともあったけど、やはり大半はすでに交流がある他の三人で喋っていた。
意外と楽しかった。正直人と話すのは好きだけれど、初対面の人となると苦手だと思っていたからだ。
「そういえば、今日早苗に早苗は外の世界に遊びに行けるって言ったと思うんだけど、一応言っておくとあなたを除け者にしようとしているわけじゃないから。ちょっと事情があって今は帰せないのよ」
そういえばそんなことを言っていた。あまり気にしていなかったな。事情があるのならば仕方ない。聞きたいけれど、わざわざ濁しているということは聞かれてほしくないということだと思うので、聞きはしない。
「そうなんですね。わかりました。大丈夫ですよ」
「そう。わかってくれるのね」
霊夢は安心したように言った。
それから数日間博麗神社の境内の中に居た。
霊夢はその間僕に仕事を与えてきた。働かざる者食うべからずだそうだ。博麗神社では主に境内の掃除、賽銭箱の手入れ、拝殿の中の掃除などをした。これって霊夢の大体の仕事なのでは。
とにかく、これを数日間続けていて、とある日の朝霊夢が突如言ってきた。
「紅魔館に行くわよ」
「紅魔館ですか。そこってどんなところなんですか?」
初めて聞く名前だ。
「紅魔館は行ってみたらわかるけど、吸血鬼が主をしている館よ」
吸血鬼。イメージでは金髪の身長が高くある程度体格がしっかりしている男が黒と赤を基調としたフォーマルな服装を着ている。ここの吸血鬼もそういうものなのだろうか。少し怖いけれど、断れる雰囲気じゃない。
「わかりました。今回も人里に行った時と同じように飛んで行くんですか?」
「ええ、そうよ。今回は魔理沙がいないから、私があんたをおぶっていくわ」
今回は少し恥ずかしい体験をしなければいけないようだ。
「じゃあ、お願いします」
僕がそういうと霊夢は部屋の中から外に通じる引き戸を引いた。右手で右に引いた。
そして霊夢が賽銭箱の前、鳥居と拝殿の真ん中あたりに立つと少しかがんで僕が霊夢に乗れるようになった。
やはり少し恥ずかしい。しかし、こうしなければ紅魔館に行けないか、時間がかかる。
少しためらったものの乗った。
「じゃあ、いくわよ」
そう霊夢が言うと垂直に浮いて、前にすごいスピードで進んだ。
三〇分ぐらい経つと、少し霧がかかっているものの、大きな館とそれを囲む壁、そして正門らしきものが見えてきた。
霊夢が左足から地面に足をつける。両足をつけたところで僕も降りた。
「これが紅魔館ですか」
「ええそうよ」
霊夢がそう言った直後に門の前に立っている女性を見つけた。
緑色メインの服に赤色の長い髪をしている。門に立っているということは門番とかそういう類なのだろうか。
疑問に思いつつ、霊夢が門に近づいていったので僕も後についていく。
門からあと十数メートルのところで赤色の髪の女性が話し始めた。
「おや、霊夢さん。久しぶりですね。隣の方は誰ですか?」
「こいつは鈴原優希。最近外から入ってきた」
「初めまして、鈴原優希です」
霊夢が名前を言ってくれたけど、一応名乗った。
「初めまして、私は紅美鈴です。一応ここ紅魔館の門番をしております」
想像通り門番であった。