銀狼を開拓したい転生者の話 作:ザンディク・ワン・クワバラ
銀髪、青目、うすほそ、ゲーマー女子、無口無表情、ボーイッシュ!
性癖情報の開示……本気だね。
どうも、銀狼の事がスタレ女キャラの中でトップ四を争うレベルに好きな転生者です。第一候補が長夜月、第二候補が緋英、第三候補がキュレネ(少女形態)でそこに続く堂々の第四候補こそが銀狼である。お前、性癖にピンク髪入ってない癖に表彰台争い四分の三ピンク髪やん。
まぁでも、原神でも癖に掠りもしてないのに何故かヴォジャニーツァが一番好きだったりするしそう言うもんだよね!
ちなみにスタレ男キャラランキングは魔境である。優劣を決め兼ねるし甲乙つけがたい。サンポとザンダーとファイノンとアナイクス辺りがトップ争いしているか……?
俺は盛るペコは許さない派閥だし眼鏡キャラはコンタクトに変えた方が良いと思うしきのこの山派である。褐色より色白、太いより細い、勝ちヒロインより負けヒロイン!
「あああああああ!! また青甲羅飛んだきたんだけど!!!」
『受けられないなら一位譲れば良いのに』
どうしてだ、俺が何か悪い事をしたって言うのか? ただ派閥戦争に燃料を投下しただけだと言うのに……。
「だってさぁ、一位になったら勝てるかもって思うじゃん。一位死守すれば勝てるんだぜ?」
『後続は当然落とそうとしてくるんだから、防御アイテム無いなら負けて当然なんだけど』
「圧倒的走力で千切れば勝ちだろ」
『それ、有言実行出来るだけのプレイヤースキルはあるの?』
「やめてよね、俺が准将に勝てるワケ無いじゃないか」
准将ォーーーーーーー! 俺の後ろにビタ付けしてた奴が赤甲羅に殺されたぞ!! 次は俺の番か……?
『それだけ騒がしくゲーム出来るのは、一種の才能だと思うよ』
ありがとう、でも『パンクロードゼロⅡ世』さんも俺以外とやってる時は結構うるさいよ。
「またサンダー降ってきたんだけど!? おかしいだろこの世界! 俺以外全員無敵じゃねぇかふざけんな!」
『はい、余裕の一位』
「運ゲやん」
はークソ、おもんな。運ゲとかマジクソ要素だわ。どうして俺のボックスからはバナナの皮しか出て来ねぇんだよ。
『このコースはそもそも捲りの方が強いよ』
「知識ゲーじゃねぇか……もしかして、俺が一位張って我が世の春してたのは、単純に前走らされてただけ……?」
『そうだね』
俺の心は深く傷ついた。
『ここまで点差離されると大分キツそうだね?』
「キツそう? 何言ってんだ、勝負はまだこれからだろ」
今から全レース一位取れば行けるか……?
『ダメそうだね』
まずはここで一位を取らなければ始まらないと言うのに、あわや周回遅れである。
「凄いぞドゥーラ……俺は今負けそうだ。(周りが)速いし、(周りのアイテムが)強い……!」
『あなたは弱くて遅いけどね』
おい、言葉を慎めよ。正論ってのは容易に人を傷つけるんだぞ!
「ドゥーラ、俺……戦士になるよ」
◇史上初『愉悦の使令サンポ実装待機勢』亜光速で舞う──
『単純にあなたが下手なだけなのか、それとも必敗の呪いのせいなのか』
それか三月なのか。
「どちらもありうる、そんだけだ」
おかしいな、俺は前世でこれと良く似たゲームのダブルダッシュってヤツを結構やり込んでた筈なのに。一人で。
ふっ、進んでるな。ネット対戦の技術力は。
『タイムアタック勢と言うにはコース取りがお粗末だし、対戦プレイヤーとしてはアイテムを即投げするし』
「だが、お陰でデータは集まった」
『へー、なら次は勝てそう?』
「勝つさ」
という事でもう一戦。
「言い忘れてたけど、そっちが挑戦者だから」
『クソ雑魚が』
返しが強過ぎる。
このバナナの皮とかを道に撒き散らす系のレースゲームは、先程の経験から得た学びとして知識ゲーである。そしてアイテムを保持、必要な場所で切る選択、走力はあって当たり前で初めて運ゲの舞台に立つ事が出来る。
多分友達と何も考えずにワイワイ遊ぶゲームだと思うんですけど……。
ともあれ、我々は先程の経験によってこのゲームを理解した。となれば後は勝つだけである。ここで唯一の初白星を手に入れるかァ!
『くっ……さっきから赤甲羅ばっか投げてきて。即投げチンパンなの?』
「しっかり効いてんじゃねぇか!」
『パンクロードゼロⅡ世』が暫定一位でその後ろに俺、相手の防御札は削り切り此方には食べるとぶっ飛ぶキノコがある。あっち側(表彰台)に立つんは、俺や!
カートがターボで加速し、まさに今『パンクロードゼロⅡ世』の駆るカートを抜き去らんとした刹那──彼女のカートもまた同速となりそのままゴール。一位は彼女で二位は俺だった。
『……』
「なぁ」
『……』
「おい」
『……』
「使った?」
『あれ、もしかして『愉悦の使令サンポ実装待機勢』は知らない?』
「何を?」
『愉悦の運命を歩む行人だけが使える秘技、通称愉悦スキルを』
急にターン制RPG要素ぶち込んでくるじゃん。
「まさか、アッハタイム!?」
『そう、今の瞬間はアッハに全てが許される瞬間だった』
「ほなアッハが悪いか」
君の愉悦スキルってシークレットスコアを獲得するかランダムな敵単体に愉悦ダメージ六回のバウンドじゃなかった?
『そもそも、まだグランプリは終わってない。文句があるなら総合一位取って私に勝ってから言って』
「文句があるとは一言も言ってないんだけどなぁ……いいぜ!」
負けました。
あの時の神懸った瞬間以外はダメダメだった。我々は何一つとして理解出来ていなかった……。
「同じプレイしてる筈なんだけどなぁ」
学習した内容を極めて正確に出力している筈なのに、どうしてアレ以降の結果が振るわなかったのか。
『そりゃアレだけの走りを見せられたからでしょ』
危険視されたから皆が潰しに来た……ってコト!?
「停止クラとか普通にマナー違反じゃね?」
『避けられないのが悪い』
「クソわよ」
青甲羅の爆発に巻き込みに来るとか、人の走行ルートに的確にボム投げるとか、お前ら殺意高すぎねぇか?
「無敵状態で幅寄せとかして来やがって、世が世なら煽り運転でネット大炎上だぞ」
はー負け負け、お前に負けるなら悔いは無いさ、ヴァンピィちゃんの負け負けぇ! ルナの負けだよ。
『……ごめん』
「何で急に謝ってんの?」
えぇ、怖。そう言うノリじゃなかったじゃん。
『だって、あなたの初白星奪っちゃったし』
「はぁ? 俺だって白星くらいありますけど??? いや『パンクロードゼロⅡ世』さん相手には無いけどな?」
総合的に見て勝率0%なだけだからな? そんな事言ったらバトロワゲーとか毎回最初の犠牲者になるだろうが。て言うかさっきの文脈、実質「あなたの初めて奪った」だよな? 凄いえっち! いくらで奪ってくれる? 所持金ゼロだけど。
『気にしてないの?』
「してたら一緒にゲームするワケ無いじゃん」
多分ガチでゲームをしている人ほどチートは嫌いだろう。まぁその気持ちは分かるし間違いなく正しいモノだ。だが俺は、チートを楽しめる程度にしかゲームをやってないエンジョイ勢である。
イカの色塗りゲームをやった時、初めてチーターに遭遇して大爆笑したのは良い思い出だ。
それに、バトロワゲー等でチーターが出没した際に動画投稿者の様な激ウマプレイヤー達が、如何にチーターを狩るかというのも見ていて面白い。
まぁやはり、そんなにガチでやってないからこそ楽しめるのだろう。
理想はやっぱりチート使われても勝つ事だ。そうは言っても現実は非情であり、使われたら為す術無く負けるのだが。そもそも銀狼と言うキャラが好きな自分にとって、彼女がチートを使うのは想定内であり、むしろ漸く使わせる事が出来た達成感すらある。
『……変な奴』
「失礼だな、俺ほど誠実で純粋で約束を守る人間は居ないっていうのに」
『過言じゃない?』
「少なくとも否定はされない程度にそう思われてたって事がかなり意外だよ」
前世の記憶の感じだと、普通に褒められるところが一つも無い様な塵屑なんだけど。俺は自分の事を優しい人間だと思ってたけど、他人に優しく接してやってる自分を良いなと思ってたからそう振舞ってただけなんだよね。
『少なくとも約束は守ってるからね』
「どちらかと言えば契約では……?」
衣食住を提供して貰う代わりに必要な時に手を貸すと言う契約だ。俺からすれば破る必要性が微塵も無いそれを、守っているからと言って偉いとはならない様な……。
『そっか、せっかく人が褒めてあげたのにそういう事言うんだ……じゃあ仕方ない、あなたにとっておきのゲームを送ってあげるよ。クリアするまで他のゲーム禁止ね』
「待って、そこはかとなく嫌な予感がする」
クソ、ありがとうの一言で終わらせれば良かった!
『はい、送った。ちゃんと全クリしてね』
俺は転生して初めて、自分の記憶が消えるという自滅者の特性に感謝した。なんか気付いたら一ヶ月くらい過ぎてるし、俺の正気度ががっつり削られていた……一体俺は、何をやらされたんだ?
記憶を消してもう一度やりたい、もう一回見たい。そんな貴方の望みを叶えてくれる自滅者の特性! お得だね。もう一回クソゲー出来るよ。