銀狼を開拓したい転生者の話   作:ザンディク・ワン・クワバラ

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有識者兄貴姉貴達に帝弓達は使令やでってご指摘頂いたんで修正しときました。


HN.コールドフット

「どうです? お姉さん方。とても良い取引になると思うのですが……決して損はさせませんよ?」

 

「うーん、でもこの願力集積装置って何が出来るの?」

 

「それは当然、願力を集める為の物ですよ……あって困る物では無いと思いますがねぇ」

 

 主に暫く先の二相楽園でだが。逆に言えばそこでしか使わないとも言える。

 

「怪しいし、胡散臭いし、用途が分からないよ! やめときなよアンタ」

 

「おやぁ、酷いじゃないですかお姉さん。貴方もそう思いますよねぇ? サンポ」

 

「はぁい」

 

 

 

 ベロブルグ、とても寒いぜベロブルグ。

 

 松島みたいな一句を詠んだ所で、引きこもりニート社不のヒモでうんこ製造機しか取り柄の無いゴミ人間であるこの俺は、極寒の地スネージナヤへと来ていた。違ったベロブルグだ。

 

 この悪く言えば特に発展もしていなく見所さんも無い様な星に、良く言えば厳しい環境の中でも輝く人達のいる星に、わざわざ俺が来た理由は何故でしょうか?

 

 そうだね、サンポだね。

 

 まぁぶっちゃけ、愉悦の中でも古株のブラーチだったり使令だったりと、憶測や推測で語られる未だに謎の多いこの男は、果たして俺という自滅者を何処まで認識出来るのか試してみたいと言う気持ちは大きい。とは言えあくまでも、この星にわざわざ来た目的は初期のハッチャケ開拓三人組を見る事だ。

 

 このベロブルグと言う星は、星核の災いによって滅亡の淵に立たされている。これが最初に来る星の姿か……?

 

 押し寄せる極寒に人間の生活可能空間は限界まで追い詰められ、存護の加護で辛うじて生き残れている現状。そして人間の格差社会を見せつけるかのように上層部と下層部での対立。追いやられて苦しめられている下層部、と言う風に見えるが上層部も上層部で裂界の対処に追われる……うーん、これは開拓しなきゃいけないね。開拓してどうにかなんのか? これ。

 

 まぁ多分開拓三人組が来ないとカカリアが星核の力に汚染されて造物エンジンとか使ってヤバい事になってたのだろう、知らんけど。

 

「ところで、お姉さん……いや、お兄さん? あなたはここで、一体何をしてらっしゃるので?」

 

「そうだよ、変な格好して」

 

 サンポに乗っかる様に開拓者──女性の方なので多分星ちゃん──に酷い暴言を言われる。俺が変な格好ならお前は変な頭してんだよ。男の方だったら「中々の美少女だな、まぁ俺ほどじゃ無いけど」とか言ってるぞ……やっぱ開拓者の性別はどっちでも頭おかしいな?

 

「ああ、この格好? 賭けに負けた罰ゲームでこうなってる」

 

 メイド服である。このクソ寒い中で。一般人のくせにプレイヤーによってはメイド服着せられてホロウに行かされるゼンゼロの千夏ちゃんくらいにはTPOを弁えていない。

 

 ちなみに賭けゲームの相手は当然シルバーウルフさん。普通に負けて一週間彼女の指定した服装を無理矢理着せられている。今世の顔がそれなりに良いお陰で酷い絵面にはなってないのが唯一の救いだ。

 どうしてそんな賭けをしたのかと問われれば、銀狼に制服を着せたかった以外に無い。学パロ風味を味わいたかったし、女の子との制服えっちは全人類の夢である。まぁ、負けたのでその望みは叶わなかったが。

 

 ワンチャン土下座で頼み込んだら制服着てくんねぇかなぁ。よしんばそのままえっちなムードに持ち込め……無いか!

 

「それで? なんであんな胡散臭い商売みたいな事を突然して来たの?」

 

 あ、長夜月のミステリアス抜きだ! 流石に失礼か? 可愛いよね三月なのか、良い匂いしそうだし触ったら柔らかそう……思考が流石にキモいか。

 

「一度やってみたくて」

 

 ネットミームと言うよりはネットで一時期流行ったノリである「お前は誰だよ」ってやつ。サンポの真似すりゃいけると思ったんだよね。そしたら突然横にサンポ現れるんだもん、こいつノリ良いわ。流石仮面の愚者やで。

 

「まぁちなみに、本当にオススメ出来る商品だってのはサンポさんも保証してくれると思うよ」

 

「ええ、まぁ……そうですねぇ。ですが、時期尚早じゃありません?」

 

「そりゃお助けアイテムなんて、必要となる時に売ったらただの良い人じゃん。あの時買っておけば良かった! って悔しがる顔を見たいだけだから……」

 

「あーらら、随分と性格が悪いですねぇ」

 

「サンポさん程じゃ無いって!」

 

「「HAHAHAHAHAHA!」」

 

「うち、頭おかしくなりそう……」

 

「三月、あまり深く考えるな」

 

 おっと酷い言われようだ。まぁこんな序盤で願力とか言われても分からないし、当然説明もしてないもんな。これで買うとか言ったら先見の明があり過ぎるか転生者か未来予知能力持ちだよ。

 

「それで? お兄さん、あなたはここで何をしているので?」

 

「え、まだ何もしてないけど? していたなら商売だけど」

 

「ああ……なるほど、特に意図しての事では無いと。どうやら僕の勘違いだったみたいです」

 

 急に怖い事言い出すじゃん。え、俺ってもしかして存在罪でしょっぴかれる様なやべー奴だった?

 

「まぁ強いて言うならサンポさんに用があったかな」

 

「おや、僕にですか?」

 

「じゃあウチらもう行っていい?」

 

 やりたい事はしたので当然用済みだ。ついでに頭のおかしい奴に囲まれて頭痛に襲われてる丹恒も見れたので満足である。

 

「それではお姉さん方、またお会いしましょう」

 

 サンポはニコニコと手を振るが、開拓三人組はこちらを見もせずに何処かへと行ってしまう。マトモに相手して貰えないサンポ可哀想……ひとえにてめーの胡散臭さのせいだが。

 

「それで? 一体この僕に、どのようなご要件ですか?」

 

「折角来たからついでに慈善事業して行こうかなって……消していい裂界とかある?」

 

「なるほど、でしたらご案内しましょう。ですが一つ忠告を」

 

「ん?」

 

 裂界にそんな危険なんてあったか? いや一般人とかシルバーメインの兵からすれば危険極まりないけども。

 

「自滅者達は意図せずに虚無の影響を垂れ流します。あなたは無意識にか極力影響を抑えている様ですが……運命を侵食するソレを、存護の力で保たれている世界に持ち込むのは危険な行為です」

 

 おっと真面目な話だった。て言うか自滅者ってそんな特性あるのかよ……普通に知らんかった。まぁ虚無は終焉程では無いけど特別な立ち位置にあるし、そういう事もあるか。

 

「居るだけ、立っているだけで影響を与えるって事ね」

 

 ピノコニーで黄泉が警戒されてたのって、そういう事? 普通に雷電顔の迷子やん、何でそんな警戒してんのってプレイしてた時思ってたわ。

 

「それは覚えておいた方が良さそうだ」

 

「ええ、是非覚えておいて下さい。どうやらあなたにはそれが出来るらしいので」

 

 

 

「ここら辺なら、裂界の影響が消えても問題無いでしょう」

 

「おっけー、ありがとねサンポさん」

 

「さんはいらないですよ」

 

「ポ」

 

「ファーーーーーーwwwwwwwwwwww(開拓者に未来を託し息絶える)」

 

 そうして消えていったサンポ、取り残された俺。ノリ良すぎねぇか? 流石は第四の壁を超えてメタ認知してそうな男だ。お前はほんと何なんだよ、いい加減情報を出してくれ……コラボ先の3rdの方とかでも良いからさ!

 

 それはさておき、多分そう遠くない内にカカリアと開拓者の戦いが始まるだろうし、それまでにはベロブルグからオサラバしたい所だ。

 

 裂界とは、星核によって侵食された事で起きる現象である。物体、生物、空間を呑み込み特殊な裂界造物へと転換する。そしてそこに取り込まれた、或いはそこで死んだ者達は無念のままに徘徊する幽霊のようになる。

 

 ゾロゾロと現れ集まってくる裂界造物達。帰る場所を見失い、失って、自分すら無くした誰かや何かの成れの果て。開拓の旅路の傍らにある悲しい出来事として流される、この星における悲劇の一つ。

 

 俺に出来る事は多くない。だがそれでも、たまにはなけなしの良心のままにボランティアをしても構わないだろう。

 

 現れた裂界生物達へ向け右の手のひらを向ける。

 

「還りな、お前達の居るべき無へ」

 

 取り込まれた生物等の情報、記憶から生前と似た様な行動を取るモノもいる。自分が死んだ事にすら気付かずに前線で戦い続けるシルバーメインの兵士もいるし、いつまでも親を探し続ける迷子もいる。それら全ては既に死んでおり、情報と記憶を元に似た様な行動を取らされているだけなのであったとしても、やはり哀れみは覚えるモノだ。

 

 元となった魂はもういない。なら、元々存在する筈のない彼等もまた、ここにいなければならない理由は無い。

 

 だから、還してあげよう。

 

 裂界造物達は鈍くなったブリキの様になり、身体中から緑色の結晶体を生やす。そしてそのまま結晶に呑まれて砕けて消える。

 

「まぁ、この程度の裂界なら消耗せずにいけるか」

 

 裂界とは星核による汚染の結果である。むしろこんな事態を引き起こすからこそ星核は星海の癌とまで呼ばれるのだ。その能力に有用性を見出し研究するファミリーの様な集団もいるが(と言うか星核を生み出したのは調和の可能性が高い)普通に危険なので星核ハンターの行いは慈善事業と言える。その分迷惑も撒き散らしてるのでプラマイゼロだが。

 

 裂界と呼んではいるが、この特殊な空間もまた裂界造物の一つである。空間自体が呑み込まれて転換させられた結果であり、起きた異変だけに限定して無へと還せば結果として裂界は消えるだろう。

 

 ベロブルグの氷雪の中で拾ってきた良い感じの棒を地面に突き刺し、力を行使する。足元から急激に広がる緑色の結晶は瞬く間に空間を埋め尽くし、砕けて消えた後に残るのはただの氷雪に呑み込まれた世界だった。

 

「うーん、メイド服じゃ格好つかねぇな」

 

 持って帰ろうかと思っていた良い感じの棒が、手元で砕けて消えた。

 

「俺、アレで獅子心王ごっこしようと思ってたんだけどな」

 

 エクスカリバーッ! って叫んだら楽しそうだったのに……そういやその内セイバーも来るのか? ちょっと楽しみだな。

 

 いずれ来るであろうエミヤに、パチモンエクスカリバーを強請ろうと心に決めた。




獅子心王って誰やってFate知らない人に軽く説明すると、ただの棒きれでもエクスカリバーとして光線ぶっぱ出来るやべー奴。ちなみに名前はリチャード一世
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