バグですが、なにか? 作:社畜から無職へ
世界のバグが誕生して早々バグり散らかします。
「クゥ~」
さて、卵の殻から無事解放された訳だが、現金なもので安堵したからかお腹が空いてきた。
先ほどの軽快な音は、私のプリティーチャーミーなお腹の音だ。
何か喰うものはないか?
水分も必要だ。
キョロキョロ周囲を確認しても、それらしきブツは見当たらない。
うん、当然ではある。
それでもお腹は空く訳で、何かないものかと思案していると私が入って居た卵の殻が視界に入る。
ハッハッハッハッハッー、ご冗談を。
私は理知的で売ってるクールビューティー、自分の入ってた卵の殻など食べないさベイベー。
朝食はノンシュガーの紅茶とスコーンにジャムを添え、半熟のゆで卵と新鮮なサラダ、食後にチョコレートかココアと決めている。
どれも食べた事ないけど。 何故か記憶のソコから………
こうやって自分を誤魔化して居るが、視線が卵の殻をロックオンしたまま離れない。
本能さんがコレを食べろと言っている。
ふぅ、仕方ないですね。
私としては気が進みませんが、本能さんが余りにもお勧めしてくるので仕方ないでしょう。
殻の縁に手を掛けて折り取ろうとしますが、頑丈ですねコレは。
本能さんが早く喰え喰えと急かすので、お行儀が悪いですが直接噛みつきます。
パキン
中々良い音を立てて、アッサリと噛み砕かれる卵の殻。
自己主張の強かった八重歯は簡単に殻に突き刺さり、卵の殻はそのまま口の中でパリポリと噛み砕かれます。
どうやら、私は殴るより噛みつく方が攻撃力が高そうです。
しかし美味しいですね。この殻は。
飲み込む度に、私の中で熱い力が行き渡って行くのが感じられます。
そのまま無心に食べ進め、大きかった卵の殻を全て平らげてしまいました。
ふぅ、ごっつあんです。
中々どうして、見た目(白黒マーブル)と私が入って居たというインパクトで敬遠してしまいましたが、大変美味しゅうございました。
はてさて、これからどうするか?
お腹が満ちたから、このまま寝てしまいたいが安全確認さえ出来ていないのは問題である。
せめて近場だけでも確認しておきたい。
それに自分の能力の把握テストも行いたい。
何とな~く、何が出来るかは本能さんがアレコレと教えてくれるが、やはりぶっつけ本番はマズイだろう。
取り敢えず私は蜘蛛だ、人型が乗って居るが蜘蛛なのだろう。
種族名にしても予測はついている。
アラクネ。
蜘蛛と人型が融合した魔物だ。
多分私はアラクネの亜種辺りだろう。
媒体によって強さや知性に差があるが、強さは兎も角、私は知性的な個体だ。
でなければ誕生したばかりで、これ等の知識があるのが説明つかない。
何となくだが、頭の奥から知識が漏れだしている感じ。
何が出来るのか、この感覚に従い身を委ねてみる。
まず、糸を出してみた。
普通の蜘蛛の様に、蜘蛛のお尻から糸が出た。
いや、正直に言おう。
垂れ流してた。
下の話じゃないよ、君たち。
しおり糸と呼ばれるやつだ、巣を張る蜘蛛も地上性の蜘蛛も基本的にお尻から出している。
しかしアレだ、淑女たる私が糸とはいえ、お尻から常時垂れ流しは見目が悪い。
お尻にキュッと力を入れ、意識的に糸を止めた。
頑張って無意識でもコントロール出来る様になりたい。
お尻意外でも指先や手の平からも糸が出たのには驚いた。
でも便利。
強度的にも問題なしで、射出形状を網目の様に広げて包み込んだり、極細の糸を遠くまで這わせてみたり、逆に極太にして鞭や棍棒の様にも使えた。
流石、蜘蛛糸。 流石、私。
平らな胸をを反らしてドヤ顔してみるが、私1人きりだよ。
少し恥ずかしくなった。
取り敢えず、糸を使ってチューブトップブラを作成。
これで裸族とは言わせない。
他に出来る事がないかな?と思っていると、本能さんが「お嬢さん、取って置きのヤバいブツがありますぜ」と揉み手をしながら囁いて来る。
◇ ◇ ◇ ◇
取って置きですか? 取って置きですよぉ (ニコニコ)
ヤバいんですか? ヤバいんですよぉ (にちゃあ)
でも、お高いんでしょう?
いえいえ、今なら何とお値段、驚きの100%OFF!!
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◇ ◇ ◇ ◇
脳内会議終了!
取り敢えず、お試しで使ってみる事にした。
糸の時の様に本能さんに従い、感覚に身を委ねる。
下腹の辺りから、おへそ、みぞおちと熱い力が込み上げてくる。
胃の腑の辺りから心臓に至り、更に血管を伝い全身に力が行き渡り、ぐるぐると血流に乗って力が循環する。
全身に熱き力が漲り、溢れんばかりの奔流となって喉元に競り上がり………
大きく開かれた私のお口から、白と黒の輝きが瞬き。
数瞬の後、一条の黒き閃光となって放たれた。
◇ ◇ ◇ ◇
「あえて言おう、バグ(詐欺)であると!」
そうだ、バグなのだ。
本能による新生児狙いの、悪質バグ商法である。
故に私は悪くない。
全ては本能によって仕組まれた罠だったのだ!
「認めたくないものだな、自分自身の、新生児故の過ちというものを」
眼前の惨状を前に1人呟く。
地面を削り、壁を撃ち抜き、直径10mはあろう大穴が穿たれ、赤熱した陽炎の向こうは果てしなく。
あまりと言えばあまりな光景を、自らが引き起こしたという実感もなく、私はただ愕然としていた。
◇ ◇ ◇ ◇
次回予告
第四話「バグと猿と」
猿「へっ、怯えていやがるぜ、このモンスター」
私「………モンスターだ! 私が、モンスターだ!」
どうも、無職です。
次回は原作序盤で猛威を振るったお猿さん回です。
もし、猿が進化を続けると、最終的にサイヤ人みたいな種族になったんでしょうか?