バグですが、なにか? 作:社畜から無職へ
前回のあらすじ
本能「フフフ……私、聞こえていたら君の生まれの不幸を呪うがいい」
私「何、不幸だと!?」
本能「そう、不幸だ」
私「ほ、本能……お前は……」
本能「君はいい友人であったが、君の父母がいけないのだよ……フフフ、ハッハッハッハ!」
私「本能、謀ったな本能!」
◇ ◇ ◇ ◇
謀られました…………
やあ皆の衆、私だ。
私は今、少々困った状況に直面している。
前回のあらすじでご理解頂けたと思うのだが、卑劣なる本能の策略により、洞窟の構造自体に広範囲で破壊行為を行ってしまったのだ。
そしてこの洞窟には多くの住人?が居たらしく、彼ら彼女らが大変お怒りで、私を凄い剣幕で追いかけて来るのだ。
「ちっ! クソ猿がぁ~~~~~~!! エテ公の分際でぇ!! 調子コイてんじゃ~~ねぇ~~~~~~!!」
振り向き様に猿供にブレスを放つ私ですが、溜めもなく、全力疾走中の不安定な状態では威力が出ない。
命中した個体は一撃で倒せるものの、数が多すぎる。
最初は良かったんだ。
数匹の猿が吠え狂って襲いかかって来たけど。
「ほ~ら♪ 捕まえて御覧なさ~~い♪」
って感じでヒョイヒョイ避けながら、無事に全て倒したんだが、その後に増量おかわりが来た。
増量おかわりを倒すと、また更に増量。
そして現在、全力で疾駆する私の後ろには比喩ではなく、視界を埋めつくさんばかりに猿の群れがひしめき合っている。
先頭を走る個体なんて、後ろから来る猿に押し倒され、踏み潰されている。
「猿、ホアー?」
アホかも知れんが、狂ったアホは質が悪い。
時折、ワイヤートラップを仕掛けるのだが、全く気にせずに仲間とトラップを諸供に踏み潰してなお、数が減らない。
減らないどころか、寧ろ増えてる。
一匹一匹ならどうとでもなる雑魚猿が恐ろしい。
もし、あの手に捕まったら。
もし、脚が滑って転んだら。
もし、……………
握り潰される私。
踏み潰される私。
引き裂かれる私。
生きたまま喰われる私。
怖い! 怖い! 怖い! 怖い! 怖い!
私の全てが恐怖に塗り潰される。
「ウッギャ~~!エ゛ッエ゛ッ~~~~!!!」
恥も外聞もない、涙と鼻水と涎で顔面をベトベトにしながら、泣き叫ぶ。
「グェア゛ェ~~~~~~!!!」
もし、人型の下半身が在ったら、垂れ流してたのは確実だ。
「ゴベンナザイ~~~~! ユルジデ~~!!」
淑女のペルソナをかなぐり捨て、私は逃げ惑った。
私は逃げ続けた、走って、駆けて、跳び跳ねて。
走り抜けたその先に………
風を、感じた。
逃げる先のその横から微かでは在るが、風の流れを感じる!
出口!! 外界だ!!!
一縷の望みに身体中に活力が戻る。
洞窟を抜けて広い外に出れば何とかなる!
速度を落とさず直角壁面ドリフトをかました先は………
地面が在りませんでしたぁ~~~~ ⤵️ バグピョーン!
・
だがしかし、皆さんは知って居るだろうか?
蜘蛛は飛べるのだ!
「うおりゃ~~あぁ~~!」
蜘蛛型のお尻からネット状の糸を虚空へ向けて打ち出した。
更に更に! 今回のネットは只のネットではない!
ネットの隙間を蜘蛛糸で覆ってある、パラシュートネットなのだ。
下方に熱源が在るのだろうか? 赤い輝きが見える。
それにより結構な強さの上昇気流が吹き上げている。
「I ! can ! fly ! 」
「私はぁ~~飛べるぅ~~!」
徐々に高度を上げながら、周囲を見渡すと上は天まで、下は地獄まで通じていそうな大穴だった。
あ゛猿ども落ちてら。
私が出て来ただろう横穴から、猿達がボロボロと落ちて行く。
後続に押し出されるから、穴が在るからと止まれない。
「猿がゴミのようだ」
ふっ! 所詮は数だけの猿どもか。
我ら蜘蛛とは比べるべくもない。
「猿とは違うのだよ、猿とは」
猿どもが際限なく落ちて行く様を見ながら、キメ台詞を呟く私、カッコイイ!!
「じゃあな、アバヨ とっつあん!」
さて、外の世界はどんなモノか期待に胸を膨らませ、私は穴を上へ上へと昇って行くのだった。
「月がぁ~~♪ 見ぃてぇ~~♪ みぃたいなぁ~~♪」
ほんの少し前には恐怖でぐちゃぐちゃだった魔物が今、何の反省も無く浮かれた調子で世に放たれんとしていた。
◇ ◇ ◇ ◇
次回予告
第五話「貴女に、力を…」
勝利も敗北もないままに、モンスターは愚かな縄張り争いを続けている。
果てしない闇の向こうにバグは何を見るのか。
作戦名『オペレーション・バグ・メテオ』。
蜂連邦に反目する猿達は、流星に偽装した新兵器、バグを大穴にを送り込んだ。
私「………月は出ているか?」
どうも、無職です。
バグの猿に対する罵倒の言葉や I can fly は社畜時代の自分そのままのノリです。
睡眠不足、疲労、時間制限、上司の無茶振り、急な仕事の変更、無職となった今では視野狭窄に陥って居たのを自覚出来ます。
皆さんも健康に気を付けて下さい。
身体を壊しても、国も、会社も、上司も、責任など取ってくれませんから。