深夜の魔法少女アニメを履修してるタイプのマスコット(超善良)が来た 作:蓋然性生存戦略
気まずい。
修学旅行のバスの中。
クラスメイトがあれやこれやと会話している中。
やはり私はボッチである。
割り当てられたグループの子もやりにくそうにしている。
悪いね。
「(山本さんと話すの怖いよ……!)」
「(なんであんなにいつも不機嫌そうなのぉ……!)」
「(山本さんのパーソナリティ誰も知らないことある!?)」
「(紅ヶ咲くんと星野さんくらいでしょ、あの人に話しかけられるの!!)」
聞こえてるんだけどな。
まあ、ものぐさを発動しているのがよくないというか。
私から自分からコミュニケーションをとればいいだけなのだが。
必要性を感じないというか。
多分こういうところだろうなあ。
「はぁ……」
「「「「ひぃ!?」」」」
何をそんなに怯えているのか。
私の顔はそんなに怖いか?
(ヤナギちゃんは鋭さのあるキレイ系の顔だからねえ。それがいっつも不機嫌そうな表情だったら話しかけにくくもなるさ)
……そんなに不機嫌そうに見える?
(うん!もっと睡眠時間増やしたほうがいいよ!!)
残念ながら、趣味の時間は削れない。
(よくわかるけどもさぁ……)
まあ、起床時刻を遅らせてもいいのかもしれない。
今24時就寝5時半起床だからね。
(もっと寝ろ定期)
後ろ向きに検討に検討を重ねて検討してまいります。
(それやらないやつじゃーん!)
よくわかってるね、さすがアローズ。
で、宿に着きました。
荷物を置いて、しばしの自由時間。
お土産とかは何を買おうか。
せっかく京都に来たし、名産品とか……。
八つ橋とかいいかも。
残るものより消費できるもののほうがいいとも聞いた。
となれば最終日に向けて物色物しょk『ギャオオオォォオオオ!!』ファッ?!
『ヤナギ、本当に申し訳ないんだけどワイバーンだ』
「なんでよ!?」
『今システムにハッキング仕掛けられてリポップシステムが乗っ取られた。もう制御は取り戻したけど手遅れだったみたいだ。Bランクのワイバーンが数匹現実に出現した。今近くにいる御使は
「ああもう!《燃え盛れ》!!」
4人?と疑問符を浮かべながら、要請を受けて《焔塵卿》へと変身し、表に飛び出す。
同時にフィストとスターも出てきた。
が、すでに戦闘を開始している者がいた。
舞飛ぶワイバーンの群れの中心に堂々と立つ偉丈夫。
筋骨隆々とはこのことかと思わざるを得ない肉体。
逆立つ淡い緑色の髪を持つ上裸の男。
私は彼を知っている。
というかアイツこの辺だったのか地元。
一斉にワイバーンからブレスを受けるも、無傷で佇んでいる。
「なんなんだ、今のは?」
某野菜人のようなセリフを放つ彼の御使名は、《ギガンティックブロッコリー》。
レイド専門クランのエースオブエースであり、個人戦闘力で言えば最強の一人に数えられる暴虐の化身。
「無駄なことを……今楽にしてやる」
「もうあいつだけでいいんじゃないかな」
彼の持つ能力は『ギガンティックフォース』。
某野菜人にそっくりな力を持ち、なおかつ格下からの攻撃を受け付けない概念装甲を持つ。
ソロ討伐記録はAランク。
文句なしの絶対強者である。
一匹目。
地面に岩盤。
二匹目。
決死の噛み付きを上から肘鉄を落とされて頭をつぶされて終了。
三匹目。
見た目にそぐわぬ精密な気弾で爆散。
最後の一匹。
逃げようとしているところを上から強襲されて終わった。
アイツだけでいいやんけ。
急いで出てきて損したわ。
『……えぇ?(困惑)』
なんでお前が困惑してるんだよ、おかしいだろ。
『つっよ……しらん、なにそれ、こわ……』
こっちが怖いわ!?
「ふん。やっと戦う気になったようだが、どうやら少し遅かったようだな」
「ようギガブロ!助かったぜ!いやぁ、こっちは修学旅行中に不意打ちでさぁ」
「宿から出たらすでに戦っていらしたので驚きました」
「ここはオレの地元だからな、奴の言葉を聞く前に飛び出した」
「さすがね。アナタがいるとわかっていたらお土産を見ていたのに」
「フハハハハハ!さしものお前でも、このオレを認めざるを得ぬか!」
「いつだって私は物事をきちんと客観視してるわよ」
「そうか。まあ良い。それで、アローズ。どういうことか説明しろ」
まあそうだわな。
いきなり専用フィールドじゃないところに《魔獣》が出てきたのだ。
システムがハッキングされたとは言っていたが、国家機密だろうがスッパ抜くと豪語するアローズを相手に成功させるとは一体何者だ?
『はいはい、呼ばれて飛び出てアローズくんちゃんです……この度は誠に申し訳なく……』
「そういうのいいから」
『簡潔にいうと、ボクがこの世界に派遣された理由に原因があるんだよね。《魔獣》という名のバグを生み出し続ける根源。こいつが反撃してきてさ、一瞬だけ制御持ってかれたんだよね。本当に申し訳ない』
「ねえ、地球の危機とかじゃないって最初に言ってなかった?」
『うん、まあ、その予定でした。正直言って相手をナメてた。人柱ひとつで封印される災厄とかたかが知れてると思ってました。帰宅予定が最低500年後で確定しました、泣きたい』
おい、アローズ。
話が違うぞ。
『もちろんキミたちの安全に関しては絶対に手を出させない。というかその辺が危ういようなら全部ボク一人で抱えるよ』
「要するに、当初の予定から大幅に狂ったということだな?」
『まあ、うん、ハイ』
「まずくない?」
『まずいかまずくないかで言えば、想定外が産まれた時点でまずい』
アローズ、本当に大丈夫?
システムじゃなくてアローズ自身が。
「御使のいない所に湧いたりしたらマズいんじゃ」
『それだけは絶対にない。大前提としてシステムの可動範囲がデバイスの周囲1㎞圏内だ。デバイスを中心として稼働している。システムへのハッキング攻撃である以上、システムの可動範囲を逸脱したことはできない』
「問題があるとすれば、オレたち御使の事情を考慮せずに出現することくらいか。オレは今一応療養中の身、少しの間ならば京都は万全だろうが、他はそうはいかない」
『その通りだ。だから緊急メンテナンスを実施する。予定は《焔塵卿》たち三人が修学旅行期間である今日を含めた三日間。その間、ここにいる4人のデバイスのみを稼働させ、侵入経路を探る。無論、協力は必須ではない』
いつになく真剣な眼差し。
それだけ緊急事態なのだろう。
無論、私達に危険が及ぶようならば手伝いなどとは言わないだろう。
そこは信用している。
だからこそ心配している。
この小さな神様は、私達を守ろうとし過ぎる。
「はぁ……私はやる。フィストとスターは?」
「私もやります。Aランクくらいなら、私達3人にギガブロさんがいるのならどうにでもなりますし」
「俺もだ。てかギガブロは?」
「雑魚が何匹束になろうとオレを倒すことはできぬ。だが地元が壊されるのは我慢ならん。むしろ手を貸せ」
「決まりね」
私たちは、満場一致でアローズを手伝うことにした。
コイツ目を離したら干からびてそうだし。
あ、そういえば。
「京都在住の御使は他にいないの?」
『無論、いるとも。けれど、この地域に住んでいて、Aランクに単独で対応できるのはギガブロくんだけだ。万が一を考えると、申し訳ないけど生半可な実力の子は呼べない』
「りょーかい。ひとまず私たちは宿に戻るけど、ギガブロ連絡先交換しておく?」
「ここで会ったのも何かの縁だろうからな、交換しておこうぜ」
「ふん、良いだろう。ちなみにオレは変身すると人が変わるタイプだ。先に言っておく」
「そうなんだ……」
変身前はションボリーの可能性があるってコト……?
『少なくとも今日一日は問題は出させない。ゆっくり体を休めて欲しい』
「アローズもしっかり寝てね」
『HAHAHA、神は眠る必要がないから大丈夫さ!』
余計心配なんだけど。
私たちはギガブロと別れ、宿に戻る。
宿に戻って気付く。
喧噪が戻って来る。
何かしら異界に入っていたらしい。
ワイバーンの事は話題になっていない。
SNSにも浮かび上がらない。
アローズの仕事は完璧のようだ。
「しかし外に出て来るなんてな」
「彼女にしても想定外。一体何を相手にしているんだか」
「神様でも手古摺る、そんな相手のようですから、すごく厄介なのでは……」
「これからどうなることやら」
心配なのは、アローズの事。
約束をちゃんと守る神だというのは分かっている。
安全を確約した、だから私たちの安全は守られるだろう。
だが、何か、何かイレギュラーが起きた時。
約束を守れない事態になった時。
彼女はどうするだろうか。
私の予想だが、約束を守れないくらいならシステムを全て止めて自分一人で奮闘するだろう。
元より彼女一人で十分だと判断された案件っぽいし。
問題はないのだろう。
だが……いつだったかの姿が過る。
あまりにも人間として情緒豊かな、涙を流しながら愚痴を吐いていた姿が。
あの少女の姿をした神を、独りにしてはならないと告げている。
「……多分、元人間なんだろうなあ」
「なにがだ?」
「ううん、何でもない」
それはともかく。
なんかひそひそとうるさいな。
何?
「山本さんと紅ヶ咲さんが一緒に!?確かに前から一緒に行動してたけど……別クラスになっても仲いいんだ……」
「星野さんも一緒に話してる……え、山本さんって話しても大丈夫なの!?」
「何の話してるんだろう……」
「結構親しげだしゲーム……?」
「山本さんってゲームすんの?!」
あ、なんか嫌な予感。
「あ、あの!山本さんと紅ヶ咲さんと星野さんってどういう仲なんですか!?」
ゆ、勇者現る……!!
クソ、答えるしかないのか?
めんどくさい……。
「……同じ趣味の仲ってだけ。趣味に関しては話題にされるとめんどくさいから言わないけど」
「ま、そゆことだな」
「親しくさせてもらってます」
ああもう、盛り上がるな。
他の客の迷惑だろ。
あ~、コイバナとか振られるのかなあ。
やだなあ、答えようがないよ。
(キミ、ぶっちゃけ日陰者だしね、根っこが)
うるさい、ここぞとばかりに直接脳内に語り掛けないで(怒)。
なお、紅ヶ咲と付き合っているか聞かれたが断固としてノーである。
アイツと付き合ったら苦労する、絶対。
友達としては十分だが恋人にはしたくない。
フラグじゃない、フリでもない。
違うったら違う!!
・《ギガンティックブロッコリー》
Zの方、みんな大好き岩盤生産マシーンがモチーフの御使、京都在住。
どこかのゲームであったサタンパワーで友好化した感じのブロッコリー。
その圧倒的POWERで全てを蹂躙するパワータイプ。
足音は勿論ギュピッ。
その圧倒的パワーと平均ステータスの高さ、そして時間経過で上がり続けるパワーの代償として、変身すると言動がZブ●リーに寄った上、「手加減てなんだ?」とパワーの制御が難しくなる。
変身前の彼は身長170㎝くらいの高校生、礼儀正しい筋肉もりもりマッチョマンの紳士。
彼を空手選抜大会でケガをさせた相手は多分カカロ●ト。
修学旅行中の助っ人キャラとして出現するが、ここまで性能を盛った助っ人が出現するということはそういうことである。
これも全部アローズって奴が管理ミスったのが悪いんだ。
アローズ「誠に遺憾である」