深夜の魔法少女アニメを履修してるタイプのマスコット(超善良)が来た   作:蓋然性生存戦略

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第十一話:RE・ボクと契約して、御使になってよ!!

『ウォォォオオオ!!』

「ハァァァアアア!!」

 

ガキン!!と金属がぶつかり合う音が鳴り響く。

黒鬼の金棒と私の愛刀が激しく火花を散らし、私が大きく後退させられる。

速度は辛うじて食らいつけている。

だが問題は膂力差だ。

私はRPGのようなゲームでのロールでいえばスピード、テクニカルタイプであり、近距離から中距離を担当するダメージディーラーである。

メイン火力は物理一辺倒ではなく、炎属性の神秘を内包した魔法剣士タイプ。

つまるところ、真正面から斬り合うパワー、ないしはタフネスを持ち合わせているタイプではない。

 

無論、皆無ではないが、ギガブロのような本職のパワータンクタイプと比べればティッシュペーパー並みの耐久力しかないわけだ。

 

そして問題があるとすれば、本職のパワータンクであるギガブロですら、現状はあの黒鬼に競り負けている状況。

なまじ最初から強いからレイドクランの人間にも勘違いされがちだが、彼は性質的にはスロースターターであり、戦闘時間が長引けば長引くほど強くなるタイプである。

逆に言えば彼の初動を上回る力で早期に仕留められる力があれば容易に対処できてしまうということだ。

 

黒鬼は言語能力を有しており、すなわちそれ相応の高度な知能を持ち合わせている。

つまるところギガブロの性質を見抜かれる可能性は存在しており、事実としてギガブロは狙われ続けている。

そのカバーに私が奔走しているが、ぶっちゃけパワータイプとの鍔迫り合いは魔力の消費が激しすぎる。

ギガブロが提示した1時間という時間を稼ぐには、すでに心許ないレベルまで消耗してしまった。

なお、稼いだ時間は15分だ。

 

「おのれ、虫ケラの分際がァ……!」

「どうするギガブロ、さすがに私の魔力が保たないわよ」

「アローズ!《シャドウフィスト》と《スターアライズ》はどうした!!」

『今頑張って起こしてるよ!!もうすぐ来る!!』

 

となれば援軍を求めたいが、あいにくと今稼働している御使デバイスは4人だけ。

アローズの打った手が裏目に出てしまっている。

尤も、これは私たちが自分から首を突っ込んだ窮地だ、アローズが悪いわけでもない。

 

「《ブレイクシャドウインパクト》!!」

「《アルティメットブレイド》!!」

 

それに、フィストとスターが到着した。

御使最高峰が4人もそろっている。

筋肉達磨相手に時間を稼ぐくらいは訳はない。

 

『ヌゥォオオオオオ!!』

「うぉ!?」

「うそ!?」

 

しかし、分が悪い賭けなのも確かだ。

強化フォームに突入したフィストとスターの必殺技を受けて、なお無事。

それどころか攻撃の威力を相殺した。

 

「悪ぃ、遅れた。ずいぶんやべーのとやり合ってるじゃんか」

「まさか《アルティメットブレイド》が砕かれるとは思いませんでした」

 

二人とも一撃の火力には定評のある御使である。

その一撃を相殺するほどの純粋なパワーを持っているとなると、まともに食らえばお陀仏である。

 

「やっと来たようだな。奴はオレを重点的に狙っている。オレが倒れれば奴を倒す術はオレ達にはない」

「おーけい、気が高まるまで稼ぐんだな」

「ギガブロさんにお願いするしかないようですね……」

 

だが、逆に言えば相殺できる。

相殺できるのとできないのでは雲泥の差だ。

直接的な膂力が足りない私だけではできなかったことだ。

 

とはいえあと40分と少し。

苦しい状況なのは変わらない。

 

「アローズ、繋いでくれる?」

『まーだ戦うつもり?もう……』

 


 

焔塵卿:ギガブロ、アンタ一回デカいの貰ってKOされたフリしてくんない?

 

ギガンティックブロッコリー:このオレに前線を離れろと?

 

スターアライズ:ギガブロさんの脅威を認識されてしまっている以上、カバーに回らざるを得ないのが現状です。であれば、一度ヘイトを剥がすためにも一芝居打ったほうが良いかと

 

シャドウフィスト:俺も賛成。ぶっちゃけまともにやって勝てる局面じゃない。ギガブロが頼りな以上、ギガブロの準備が完了するまでの時間を効率的に稼ぐにゃこっちの方がやりやすい。焔塵卿もかなり消耗してるしな

 

ギガンティックブロッコリー:チィ……良いだろう。すぐにくたばるような真似はするなよ

 


 

作戦会議終了。

相手は言語能力を有しているからね、念話で伝えた方がいい。

ギガブロからヘイトを剥がすために一芝居。

相も変わらずギガブロ狙いの黒鬼なので、誘導は容易い。

言語を理解する知能はあっても、戦略眼は恐らくない。

戦っていた感じ、知能自体は最初に戦ったSランクの《嵐の竜の影(タイフーンフェイカー)》の方が高かった印象がある。

 

とは言え、だからと言って作戦を目の前でべらべらと喋る愚は犯さない。

あとはこの激しい猛攻をしのぎ続ける必要があるが。

 

『ぐぬ、ぐぬぬ……どうしてこう、ボクの見込んだ子たちは大人しく退いてくれないかなぁ!!』

 

ん?

アローズが何か喚いている。

 

『新たに御使が一人来る。とびきりのサポート特化だ、このパーティに足りない人材だろう?』

 

どういうことだ?

今デバイスは私たちの以外は起動していないはず。

一体だれが。

 

そんな疑問を浮かべた時、ふと未(・)来(・)が(・)見(・)え(・)た(・)。

とっさに記された未来を変えるべく、即座に動く。

動いた結果、ギアを少し上げた黒鬼の一撃を防ぐことができた。

何だ今のは。

 

『急遽飛び出てくれた助っ人だ。ぶっちゃけ直接戦闘能力は雑魚も良い所だし、なり立てだから魔力量もさほど無いけれど……サポートするには十分すぎるってね』

「全く。もっと直接的に支援できればよかったのだけど」

 

そこにいたのは、どこかで見た面影のある御使。

異界に巻き込まれていた一般人、弓場 秤であった。

白装束に身を包む彼女は、眼を輝かせながらこう言った。

 

「倒す未来は保障してあげる。倒しなさい」

(彼女の能力は見ての通り《未来予知》とか色々。未来のヴィジョンを伝える方法は、脳内チャットの機能を流用しているよ)

「ナニィ!?」

「ありがたいが、混乱するな」

「アローズ、アンタ押しに弱いわよね、意外と」

(うぅ……)

 

何があったかは知らないけど、これでやりやすくなる。

 

「予定変更、シバく」

 

 

 


 

 

 

時は少し遡り。

 

「ふぅ。無事に救助完了だ……焦ったよもう……」

「あ、あなたは……?」

「ボクはアローズ(Arose)。ちょっと代理で地球の管理者をしている者さ。ボク達の戦いに巻き込んでしまってすまないね。状況が終わり次第、元の場所に戻してあげるから、少し待ってほしい」

「いきなり現実離れしたことを話しているのは理解しているかしら」

「生憎と世界は案外ファンタジーでね。こういった現実離れしたことが起きても不思議じゃないのさ。表沙汰にならないだけでね」

「……あっそ。それで、いつになったら帰れるのかしら、この不可思議な空間から」

「ちょっと相手が強くてね。ボクも手伝ってあげたいんだけど、もっとヤバいのがいるから手が離せない」

「私が手伝うことってできるのかしら」

「……やめておいた方がいい。彼らが戦っているのは、なり立てが相手できる相手じゃないんだ」

「一応聞くわ。彼らの歴は?」

「……短くて半年だね」

「ならやれるはずよ。やらせなさい」

「……仕方がないなあ。ボクと契約して、御使になってよ」

「今更篩にかけるのはやめなさい。その台詞でも飛びつくような頭の軽い連中と同じに見えるのかしら」

「はぁ……ボクの忠告を聞いてくれない、悪い子ばっかり。キミがどんな能力になるのか次第では、ボクは容赦なく弾き出すからね」

「構わないわ。能力がランダムで、引き当てたモノが役に立たないのならば、それは仕方のないことだもの」

「じゃ、これが契約書ね。内容は急ぎなので頭に直接ぶち込むよ」

「っ……!!良いでしょう、契約を結びましょう」

「さーて、何が出て来るか、な……うっそだろ!?《未来測定》でも《未来予測》でもない、完全な《未来予知》!?しかもナニコレ、げぇー!!完全に外れ値じゃないかぁー!!グランドキャスターにでもなれよもう!!うわぁーーん!!」

「つまり、手伝えるわけね?」

「……はい。さて、キミはこの姿でどう名乗る?」

「《ラプラス》。そう名乗らせてもらおうかしら」

「怖い話だ」

 

アローズは泣く泣く、弓場 秤を戦場に送り出した。

 

 

 


 

 

 

そして今に至る。

らしい。

 

「格段に楽になったけども……!!」

「《ラプラス》!魔力量どんなもん!?」

「見て共有するだけだからまだいけるわ」

「燃費良すぎだろ!!」

「ギガブロも絶好調だしこれ行けんじゃない?」

「でもSランクなんですよね」

「アイツ奥の手あるだろ」

「アローズが作ったモンスターデータだし……そりゃね」

『御免なさいね本当に!!』

 

格段に対処が容易になった状況。

油断はない。

少しでも慢心すれば一気に崩される。

それが分かっているから決して気を抜かない。

こっちは朝食を食べてないって言うのに。

 

「っ!!」

『ナンデアタラネエ!!』

「なんでかしらね!!」

 

そして、相手は知能がある存在だ。

このままでは埒が明かないと分かれば。

手を変えてくるのも必定か。

 

『ナラ、コレデ、イクゾ!!』

 

死のヴィジョン。

既に眼前に金棒が振り下ろされている。

身体が動く、間に合わない。

いくらなんでも、早過ぎる……!!

 

「《事象の支配者(イーヴィルコード:ラプラス)》!!」

 

――ズガァァァァァン!!

 

吹っ飛ぶ体。

されど無事な体。

生きてる!?なんで!?

 

「はぁ、はぁ……!!そう何度もできないわよ、これ!!」

 

息を切らしている《ラプラス》。

いや、まさかとは思うが。

 

『そのまさかさ。事象の改変。キミは今、デスポーンしなかったことにされた』

「は、反則……!!」

『流石に魔力消費は激しいけどね。というか彼女、ずば抜けて魔力量多いんだけど、何これ』

「私が知るか!!」

 

とはいえ、だ。

弱点も露呈している以上、頼るべきではない。

 

「目慣れた?ていうか慣れろ」

「いきなりあんな早くなるのかよ……」

「流石は日本きっての最強の存在、鬼ですね……」

「ククク……」

「こっからが本番。気張って行こう」

「「「応!!」」」

 

あの速度を見せられれば温存とか考えてられない。

本気を超えた全力で行く。




・《ラプラス》
未来予知に事象改変とかいうチートを持って来たニュー御使
代償として戦闘能力はクソ雑魚ナメクジを超えたクソ雑魚ナメクジ
置物性能があまりにも高すぎてソシャゲなら人権と騒がれるレベルのカード
勿論無制限というわけではなく、燃費は最悪
彼女自身が初期から高い魔力保有量を有していなければすぐガス欠である
見るだけでも実は結構消費してる
魔力保有量だけで言えば作中トップ(アローズ除く)_

・アローズ(情けない姿)
年端も行かない青少年に分霊が守られているのが本当に情けなくて悔しくて涙を流している。
でも「分霊だろうが辛いもんは辛いだろうが」って言ってくれる良い子たちで別の涙も流している。
彼女は人の善性にとても弱い。
そして人の悪性にとても厳しい。
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