深夜の魔法少女アニメを履修してるタイプのマスコット(超善良)が来た 作:蓋然性生存戦略
こよなく愛しているクソゲーが経験値44倍なのでまた数日更新が遅れます
「さて。第N回報告会を始めます!!」
神域。
アローズが居城とする神の一間……と呼ぶにはパソコンだのコンシューマ機だのが置いてあり、炬燵にみかんと生活感がマシマシなのだが。
そこには4人のアローズがいて、炬燵の四方にそれぞれ1人ずつ座っている。
「はい、まずは
「もうこれ『大衆が思う怖いこと』の集合体だろ」
「そのうちゴキブリでも出るんじゃない?」
「テラフ●ーマーズ始まったらシャレにならん」
報告会と称しながら進んでいないように見えるが、これが彼女の平常運転。
特に問題なく進行していく。
「
「
「
「待って?一部流出マジ?」
「マジマジ。今頑張って探してる」
「なんだよぉぉぉ!もぉぉぉお!またかよぉぉおお!!」
なお、本体は観測班からの報告によって壊れた。
あまりの過負荷に心が保たなかった。
「はぁ、はぁ、はぁ……落ち着け、落ち着けボク……すていくーる……」
「そう言ってる時点でクールじゃないじゃんね」
「もう諦めろよ、ボクたちは向こう数百年家に帰れないんだよ」
「言ってて悲しくなってきた。シクシク……」
本体がダメージを受けるということは分霊もダメージを受けるということである。
報告会の場は一気に暗くなった。
「とりあえず、今回の緊急メンテは無事終了。侵入経路の対策とこれからの対応もOK。支援班は全国の御使にメンテ明けを知らせといて」
「りょっかー」
「あ、そうだ本体」
「なに?」
「多分だけどヤナギちゃん、
「だよねぇ……ま、いいや。解散」
ひとまず、今回の報告会は終わる。
これから、柳から齎される爆弾情報を知らずに。
「ねぇアローズ」
『なにかな』
「なんか魔力っぽいもの感じるようになったんだけど」
『へぁ!?』
修学旅行も最終夜。
皆が寝静まった頃。
私はひとり起きて、誰も起こさないようにアローズと話していた。
相談したいこともあったからだ。
というのも、あの黒鬼戦を終えてからというもの、何か違和感を感じているのである。
それは自分の体の内側からであり、デバイスからであり、そしてアローズからである。
共通項は、御使関係。
私の早とちりでなければ、多分これが魔力である。
多分。
『マジ?マジだ……な、なんでぇ……?今時の子って魔力を保有していてもそれを知覚する機能が無いはずなんだけど……』
「でもこれ魔力だよね?アローズ、これは一体……」
違和感は操れるので、テキトーに指先に集めてみる。
『魔力操作もできるんだ……知らん……何それ、怖……』
「これ私の身体に害があったりしないわよね?」
『それはちょっと断言できないので今度検査を受けてね、予約票は発行しておくから』
「私しかいないんじゃ」
『ボクにも都合があるんだYO!』
やっぱり魔力らしい。
頑張れば色々とできそうな気配を感じるが、あまりやらない方がいいだろう。
『いいかい、絶っっっ対に!独学で魔力の扱いを学ばないように!!良いね!?』
「分かってるわよ」
『破った場合真面目にリスポーンシステムが働かないから死ぬよ』
「分かってるわよ!?」
アローズから念を押されてしまった。
やはり危険物質だったか、魔力……。
『あぁ、胃が痛い……何?何なの?こういうことは起きないってちゃんと調べてからシステム稼働させたのに、なんでこういうことが起きるの……?』
「しらんけどごめんだわ」
なんでやろなぁ……。
『ほんとだもん、ちゃんと調べたもん、うそじゃないもん……』
「案外余裕ある?」
『ネタに走らないとやってられないんだよ』
それはまあ、ご愁傷さまです。
「で、魔力を操れるということは?」
『魔術が使えます。まあ魔術も勉強の世界なので、ちゃんと扱うには勉強が必要なんですが』
「これ以上勉学は増やしたくないわね……」
『自力で魔術を使えればシステムに頼らなくても《魔獣》に攻撃ができるんだな、これが』
「詳しく」
『そのまんまの意味だぜ?極論変身しなくても攻撃できる』
「勉強するわ」
『前のめりだねえ』
今回の件で、力不足を痛感したからね。
やはり強くならねば。
『ボクとしては強くなってもらうことに異論は無いけれど、変身しないでも魔術を使えるって言うのはちょっとねぇ……』
「何よ」
『いやだってさ、法で縛られてない隠密性抜群の凶器持ってるに等しいじゃん?』
「それはそう」
『いやまあそこまで管理するつもりって言うか支配するつもりはないんだけど……いやでもこれボクの責任問題か……?』
そこまでは知らんけど。
『とりあえず、キミの魔術教育カリキュラムは急いで組んでおくね……』
「そんな無理しないでも良いよ」
『変に暴発されると困るの』
それもそうか。
まあ、こんな不確定な爆弾みたいな存在は嫌だよね、流石に。
『ま、大きな問題は対処したから安心してよ。これからイベントもやり放題さ』
「だと良いけど」
まあ、フラグなどへし折れば良いだけの話だ。
と思っていたところ。
――ピロン
端末に着信。
連絡先を交換したギガブロからだ。
『事態は収束したようなので感謝を。地元を守れたのはアンタらのおかげだ』
改まっちゃってもう。
良いのに、そんなこと。
『あ、そうだ。今度は俺達が旅行する時期なんだわ。まあ会うことはないだろうが、もしあればよろしくな』
そうか、この時期だもんね、どこも。
交互ってこともありうるか。
というかギガブロ、変身時と口調違い過ぎてギャップが凄い。
やっぱあれ変身中の特徴なんだ……。
『柳ちゃん、そろそろ寝た方がいい。流石に明日に響くよ』
「そうしますか……おやすみ、アローズ」
『おやすみ、柳ちゃん』
そうして、二日目を終えたのだった。
翌日。
「山本さん」
「何?」
「昨日通話してた人は誰?!」
朝食の時間、なんか激詰めされた。
なんで?
お前ら全員寝てたじゃん。
「山本さんね、今話題の人でね」
「交流を持たないわけじゃないって分かってからどういう人なのか気になるって流れがね?」
「で、寝たふりして会話聞いてたの」
「アンタら一回シバき倒して欲しい?ねえ?」
どうして!そうなる!!
おかしいだろ!!
「ゲームで知り合った友人よ。一応言っておくけど、サブカルが趣味の根暗人間よ、こっちは」
「いーのいーの。誰とくっつくか知りたいだけだから」
「誰ともくっつかないわよ!!そういうの分かんないんだから……」
「えー?山本さんくらいの美少女なら引く手あまたじゃない?」
「今まで突撃してきた男子ZEROだけど?」
「……ウチの男子ヘタレ過ぎない?」
「いやでも、紅ヶ咲くんが途中から来たからそこはノーカンにしようよ」
「それはそれとしてじゃない?」
「紅ヶ咲とも別に共通の趣味があるだけよ」
「その共通の趣味をだーれも知らないんだよねえ……」
「モン●ンよ。だいたいね」
「結構中性的な声だったけど男性?女性?」
「女性だけど」
「名前からして多分外国人だよね、日本語流暢だったなあ」
「やっぱりお相手もヲタク……」
く、苦しい。
何なのだこの熱量は。
「とりあえず食事に集中させて」
(おや、逃げるのかい?)
食事に避難だ。
(無駄なことを……)
落ち着かないなあ、もう!!
まあそんなこともあったが。
何事もなく帰路に就く。
時間が過ぎるのは早かったとだけ。
楽しかったのかな?
よく分からないけど。
地元について、家路について。
「おかえり、柳ちゃん」
「ただいま、母さん」
母に出迎えられて帰宅する。
いつも通りの光景だ。
それが、陽のまだ沈んでいない、夕景でなければ。
「《燃え盛れ》!灯薙!」
『ちょ、柳!?』
「急いで解析して。こいつ母さんじゃない」
『WTF!?マジだ!?ボクが騙されるとかマジ!?』
母さんが出迎えることはない。
どう足掻いても帰宅は19時になるから。
この時間に母さんが家にいるわけがない。
つまりニセモノである。
「で、状況は?」
『ご母堂は無事だ。ただ、裏で色々おかしなことが起きてるみたいだね。今、朱緋町の裏は魔境だ』
「休まる暇もないわね」
『ほんとにね……』
どうやらアローズの敵は出方を変えたらしい。
さて、流石に安全とはいかなくなってきたが。
どうするかな?