深夜の魔法少女アニメを履修してるタイプのマスコット(超善良)が来た 作:蓋然性生存戦略
『分霊ロット001より本体へ通達!!即刻朱緋町のテクスチャから裏世界を剥離せよ!!』
母さんの偽物を始末した後、アローズは即本体へと連絡を回していた。
瞬間、ガコンッという音を立てて世界が揺れ、徐々に何かが遠のいていく。
『ああもう次から次へと仕事を増やしやがって!!こうなったらボクにも考えがある!!』
「ねえ、大丈夫なの?私たち外歩ける?」
『当然、問題なし。こう見えてボクは強いのです』
「その割には想定外多くない?劣勢じゃない?」
『一体いつから、ボクが劣勢だと錯覚していた?』
某死神の台詞を吐きながら、アローズはポーズをとる。
ジョジ●ポーズ?
『水面下で地球の表テクスチャから剥離させる準備は整えていたのさ!!次なるアップデートのためにね!!』
「ここでもコンテンツ?」
『次回アップデート!探索・開拓が楽しめるオープンワールド実装!!広さはなんと関東全域と同等!!』
「狭そうに聞こえて絶妙に広大な面積ね……」
『御使の絶対数が少ないからね、普通に。なお、開拓具合によっては拡張も視野』
「本格的にMMOをやろうとしている?」
こんな状況でもコンテンツ作ってるよコイツ。
根は善良だけど狂ってんのかな?
『さて、裏社会の関係各所には伝達しておいて……』
「母さんにも?」
『ご母堂にも。ボクの不手際っちゃ不手際だからね……』
大変だなコイツ。
全部自分から荷物背負いに行ってる気がするけど。
『ま、今日のところは休んでおくれ。鬼退治もあったし、まだ疲れてるだろ?」
アローズはそう言って実体化し、荼毘に付した偽物の母さんを片付けて家に入っていく。
そのまま勝手知ったると言わんばかりに家事を始めた。
「何してんの」
「何って、料理だけど」
「なんで?」
「え?頑張った子を労わるのに理由がいるかい?」
「この異常事態は?」
「本体が頑張ってくれるでしょ」
「それでいいのか……?」
「まあやる気があるのは良いことだけどね、柳ちゃん。ボクは子供を遅くまで働くことを強制したりはしないし、緊急事態だからと言って強制招集するつもりもないし、無理させてまで動いてもらうつもりもない。《シャドウフィスト》や《スターアライズ》もそうだけど、明らかにオーバーワークだ。ゴブリン仙人はともかく、黒鬼は今のキミたちが相手することを想定していない相手だった。確かに危険はないと確信していたし、強く止めはしなかったけれど、それでも
「……了解」
明らか自分より幼い見た目のアローズに大人としてだなどと言われるのは癪だが。
しかし実際には遥かに年上の年長者である。
何となく子ども扱いされたようで反抗期な部分が鎌首をもたげるが、しかし言っていることはこちらを思っての事。
従ってやるとするか……。
「あ、そうだ(唐突)。デザートは高級プリンです。卵の味がしっかりする奴」
あ、すき。
ちゃんと休みます、休ませてください。
「よろしい」
夕飯はどうやって作ったか不明なふわふわ卵のオムライスだった。
我が家の機材で作れるんだ……不思議だった。
翌朝。
フレンチトーストの匂いに出迎えられて起床。
アローズの他に母さんもいた。
「昨日もだけど、ありがとね、神様。朝は忙しいから助かるよ」
「良いの良いの。どうせ分霊のボクなんて、本来暇だしね」
「そうなのかい?」
「デバイスの持ち主が無体な真似されないようにセーフティネットみたいな感じで存在してるだけってのが理想だからねえ……」
「世話焼きだねホント」
「子供には適度な壁にぶつかって成長してもらいたいじゃない」
「一周回って過保護だね」
なんか談笑してる。
最初はあんなんだったのに……。
「おはよ、母さん、アローズ」
「おはよう。朝食も神様が作ってくれたよ」
「自信作です(ドヤァ」
……どう見ても子供仕草全開のアローズと私の母さんが、同じ子持ちの母か。
世の中不思議なものだ。
「おい柳ちゃん、事と場合によっては法廷だぜ」
「何の罪に問うのよ」
「事実陳列罪」
「無罪確定」
「チクショウメェ!!」
名誉棄損とか言わないあたり優しいよな。
私はそう思う。
「で、神様。昨日裏に出てきたあれらはどうしてるんだい」
そうだ。
それ気になる。
私はフレンチトーストを食べながら、耳を傾けた。
「もう全部処理してある。今後はああいったことは起きないよ」
「だったらいいんだが。アンタ、何を相手にしてるんだい?」
「えー?それ聞いちゃう?」
「聞いておかなきゃならんだろう?私も仕事柄無視できない」
「仕方がないにゃあ」
アローズは真剣な顔になって、驚くほど平坦な声で答えを紡ぐ。
「《Code1999/7》。別名《
「……厄ネタも厄ネタじゃあないか。確かそれは1950年に未然に防がれたってハナシだったはずだ」
「いやぁ、それがねぇ、この時間軸だと人柱の封印が緩んじゃったっぽくて。緊急ではないけど重要なのでボクが派遣されたって言うか」
「人柱だと……?」
「そ。まあそれは終わったことだからこの際どうでも良くて。良くないけど。問題は手が足りないってことなんだよねえ……」
「だから御使システムなのかい?」
「そゆこと。大衆の恐怖の集合体だからさ、そりゃもうバグとしては規格外のしぶとさを誇っているわけで。恐怖の想念に対して、ボクとボクのお嫁さんだけだと最終的にミリ削りを続けるしかなかったのよね~」
母さんがとんでもない形相になっている。
なんなのだ、その《Code1999/7》とやらは。
「じゃあ、神様が御使に戦わせてるのって」
「アイツが生み出した世界のバグだよ。あと50年くらいほっといてたら内側から地球爆散してたんじゃない?」
「アローズ?それって普通に世界の危機じゃない?」
「ほっといたらって言ったでしょ。ボクが来た以上そんなんならねーよっと」
逆に言えばアローズが来なかったら地球が爆散していたってことでは……?
「まあこう言っちゃうとアレだけど、あくまで御使は『お手伝い』。子供にそんな本命の責任負わせられないよ。こんなんでもボク神様だからね?」
自分が来た以上は最終的に問題は無い、ってこと……?
そうなんだ……。
「まあだからと言って御使の活動が無意味かというとそうじゃないんだけど。御使だけでバグの増殖スピード相殺してるから、ボクと相棒のダメージレースが加速して最高な状態よ。今回の件でそれももっと加速する予定。戦況はずっと有利なのさ、実はね」
あくまでも、恐怖の大王自体は敵ではない。
そう言いたいのだろう。
いつかは勝てる。
それが遅いか早いかの差で、早く済ませたいからアローズはこんなことをしている。
余計な気苦労を背負ったりはしているけれど。
「ところで神様。その御使ってやつは私でもなれるのかい?」
「母さん?」
「ん~?なれるよ、理論上は」
「アローズ?」
母さん?
ちょっと何言いだしてるの?
「ご母堂も柳ちゃんほどじゃないとはいえ、魔力持ちだからね。デバイスさえ持てば御使形態は作れるはずさ」
「なるほどね。いやね、仕事柄、恐怖の大王は上に報告しなきゃいけないし対処しなきゃいけないんだよ。子供たちのお手伝いだけで済ませて良い話じゃなくてね」
「そうねぇ……」
「というか世界各国が動かなきゃいけなくなる」
「あるぇ?ボクが思ってるより話の規模が大きくなってきたな」
「それだけの厄ネタなんだよ。ぶっちゃけて言ってしまえば、デバイスを関係各所に貸してほしいくらいなんだが」
「いやでーす。ボクはそこまで人間信じてません~~!!むしろ馬鹿なことするに決まってるって信じてます~~!!」
「だよねぇ……」
ああ、仕事か。
仕事なのか……。
「元人間の神だからこそ言います!人間は馬鹿です!!愚かです!!どうしようもないカスです!!」
「ボロクソで草」
「否定はできない」
「特に大人はゴミです、クソです、この世で最も醜悪な存在のひとつです」
「ねえ、もしかしてアローズって人間嫌い?」
「なのでデバイスの貸し出しをするとなると審査をさせてもらうことになりますぅ……でも人間ってバカだから合否に嫉妬してやっぱり問題が起きるんですぅ……」
「否定できない……!」
「はいというわけで公的機関への貸与はなしです。秘密のごっこ遊びの方がまだマシだよボケがよ」
やっぱりアローズってホントは人間嫌いなのでは?
心の中のボブは訝しんだ。
『というわけでじゃんじゃじゃーん!大型アップデート!オープンワールドの実装だよ!!』
「あまりにも手が早い」
『準備だけはしてたからね。計画が前倒しになっただけさ』
「で、それを知らせて何してほしいの?」
『まあ探索して魔獣をシバいて欲しいくらい?欲を言えば《Code1999/7・TheWar》は倒して欲しい』
「ねえ何その物騒な奴」
『戦争の恐怖としての《Code1999/7》』
「絶対ヤバい奴じゃん」
『Sクラス超大型レイド^q^』
「このおばか!!」
・Tips:Arose
アローズくんちゃんは人間レベルが高い人間が好き。
逆に言うと人間レベルが低い人間は大嫌い。
EDF世界線の兵士みたいな人間レベルを要求して来る。
御使になってる子は全員そう。
もし明日フォーリナーが襲来しても戦える黄金の魂の持ち主。
自分も参戦しながら「素晴らしい……やはり人間は素敵だ」ってニチャつくタイプ。
だいたい
・Tips:Code1999/7
大衆の恐怖の集合体、死を筆頭として、戦争・疫病・飢餓、さらに時代の変遷と共に疑心・怪異、電脳が追加された。
シンプルにHPが多くてリジェネがバカ強いしぶとさゴキブリ以上のバグ生産機。
ただHPが多くてリジェネ量が多過ぎるだけでアローズを悩ませている怪物。
コイツを一撃で仕留める技を使うと自動的に地球も滅ぶから使えないジレンマを抱えている。
出来ないとは言っていない。