深夜の魔法少女アニメを履修してるタイプのマスコット(超善良)が来た   作:蓋然性生存戦略

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第十五話:固定を組む努力

『というわけでね、ぬるっと実装したオープンワールドですが』

「本当にね」

『今まで使ってたロビーはオープンワールドの初期開始地点ということにした。その方がリソース節約できるからね。あと、ロビーも色々拡張されました!!』

「もう知らない場所とか増えてそう」

『そりゃもうね。普通にカフェとか勉強用の個室とかある』

「あるんだ……」

 

というわけで。

私は放課後、オープンワールドの方にやって来た。

今までのロビーから入るようで、従来通りの討伐も行える。

オープンワールド実装に伴い、拡張も行われて、ただのロビーとは言えなくなった。

ロビー内部にファストトラベルがあるのはどういうコト?

ていうか何、居住区って……。

 

『そこは人間の闇が関係しているからあまり触れないでほしいかな』

「あ……」

 

なるほど、保護施設か。

御使の皆が皆、恵まれた家庭であるわけではない。

中には保護を必要としている御使の子もいる。

幸運なことに、私はそれを必要としていないが、中にはそういう子もいるのだ。

 

アローズはそういった保護活動も並行して行っている。

居住区はそのための物なのだろう。

 

『察しが良くて助かるよ』

「私もあまり首を突っ込みたいわけじゃないしね。で、マップの全体像って分かってる感じ?」

『ボクの方では完璧にね。でもまあ、マッピングはしてもらうよ。その方がゲーム感あっていいでしょ?』

「あくまでもコンテンツなのね」

『おうとも。初期位置、ロビーが存在するのはここ、マップド中央に存在する《始まりの街》のさらにど真ん中。ここから街を出たら《アルス草原》。ここからが実質オープンワールド探索の始まりかな。探索に必要なアイテムとかは街に売ってるよ。あ、そうそう。オープンワールド内部限定の通貨があるから、探索用の買い物はそっちの通貨でやってね』

「もしかしてMMO好き?」

『大好きさ!!色んなMMOで産まれるストーリーが一番好き』

 

仕事だと言っておきながら一番ゲームとして捉えてそうなアローズ。

何気にコイツが一番楽しんでるかもしれない。

家に帰れないって散々グズグズ泣いてるのに。

 

『柳ちゃん。楽しまないとやってられないんだよ』

 

ッス……。

 

『まあそれはともかく。みんなが頑張ったオープンワールドを開拓して基地とか建設したらファストラ繋げるから、御使諸君には頑張ってほしい。ぶっちゃけ戦闘に向いてない能力の子たちも力を振るえるようにってのが主目的だし』

「そうなんだ」

『特に生産系、色々と頑張ってほしい。分霊アローズちゃんに品質負けるようじゃ明日は無いんだよ』

 

まあ、アローズとしては、そうなるだろうね。

向いてないからと不貞腐れるよりは、生産に割り切れる方がよほどいい。

 

『で、とりあえず探索する?帰還用アイテムの《帰路の偶像》を買ってから出かけることをお勧めするぜ』

「そうしようかな」

 

私は初期配布のオープンワールド専用の通貨を受け取り、帰還用アイテムを買ってから街を出る。

うん、草原だ。

そこかしこに兎だのなんだのがいる。

とりあえず散歩がてら焼き尽くしながら移動するか。

 

『テロじゃん』

「多分これが一番早いと思います」

『ちなみにオープンワールドでは魔獣を倒してもご褒美を直接振り込むわけじゃなくて、専用通貨と素材アイテムを獲得する形になるよ。ご褒美は専用通貨のモネをロビーで変換してね』

 

なるほどね。

ご褒美の価値の調整ってところかな。

まあ、そうしないと悪用されそうな気配はする。

 

『ぶっちゃけ《焔塵卿》にとっては余裕すぎるエリアだね』

「開拓が進むまでは結構移動が面倒になりそう」

『そうだねえ……ま、ある程度ウェイポイントは設置してるけど』

「流石の用意周到さ」

『せっかく探索したのにご褒美がないとダメだからねえ。昨今のゲームは苦労に見合ったご褒美って奴を軽んじているところも多くて嫌になっちゃうよ……何で鍔迫り合いから選択肢に出てくる真溜めが確定しないんだよ、ふざけやがって』

「アローズ?」

『コホン。まあ、何か要望があればデバイスの専用フォームから……』

「前にも聞いたわねそれ」

 

とりあえず、このまま直進してみようか。

幸いにして、私は某死神モチーフ。

空を走る事が出来る。

瞬歩だって使えちゃう。

だから移動面は結構楽なのだ。

ウェイポイントを探してレッツゴー。

 

 

 


 

 

 

というわけで結構移動しました。

ファストラいくつか見つけられてうれしいね。

ちなみに、アローズによってあらかじめ用意されたファストラの場所は、誰かが見つければ御使全員が分かるようになるらしい。

開放はされないらしいが。

逆に開拓の果てに建設された基地などは、アローズがファストラを繋げれば誰でも使えるとのこと。

なるほどね、そういう差異を作って来るか。

 

で、私が今いるのは《ラセオン廃都》。

名前の通り、廃都市である。

大規模な戦闘を感じさせる傷痕がいくつも存在し、機械系の《魔獣》がひしめき合っている。

いくらか戦ってみた感じ、一体一体がそこそこ強かった。

具体的に言うとBランクの群れ。

先にウェイポイントを見つけられていてよかった。

下手したら袋叩きでデスポーンするわ。

Aランクとのタイマンならともかく、Bランクの群れとか怖すぎる。

これがオープンワールド化による変化か。

美(・)味(・)い(・)こと作りよる。

 

『《焔塵卿》?なんだか目つきが……』

「今ここにいるのは私だけ、私だけがここを今独占できる……!!」

『あ、これダメだ、新天地で美味い狩場を見つけちゃったゲーマーの顔だ』

 

今宵の私の愛刀は飢えている!!

全部スクラップにしてくれるわぁー!!

 

『ま、待って《焔塵卿》!さしものキミと言えどこのエリアをソロはまだ早計』

「ちぇりおーーー!!」

『えぇ、なんで対処できてるの……まあ、どうせ詰むんだけど』

 

って、あれ?

なんか、なんかじゃない?

なんで見渡す限りの《魔獣》が敵対してるの?

あれ?

 

『説明しよう!あれらは《殺戮の群勢(マーダー・コロニー)》!!一定時間に討伐された数に比例して、どんどん敵対連鎖範囲が広がっていくぞ!!』

「先に!言え!!」

『まあオープンワールドと通常の討伐ではデスポーンの扱い別だから別に良いかなって』

「よくない!!」

『何事も経験さ、HAHAHA』

「なんか今日のアローズ意地悪くない!?」

『気のせい気のせい』

 

まあでも?

これでご褒美もウハウハだし?

いざとなれば《帰路の偶像》あるし?

 

『一応言っておくけど偶像は敵対判定切ってからじゃないと使えないからね』

「ですよねぇ!!」

 

意地でもリターン取って無事に帰ってやる!!

でも手数が足りない!!

あ、ちょ、ま、ミサイルの雨はやめて!?

も、もえろぉぉぉおお!!

 

 

 


 

 

 

「ひどい目に遭った」

『愉悦』

「こいつ……」

 

命からがら。

なんとかして敵対判定を切り、《帰路の偶像》を使って帰還した私。

時刻は既に19時を回ろうとしており、家事のひとつも進んではいない。

危険だ、このコンテンツは危険だ。

このままでは、私はネトゲ廃人のようになってしまう……!!

訪れる頻度はよくよく考えよう……あと固定を組もう。

ちゃんとPTじゃないと無理だコレ。

 

『固定を組む努力が足りてない』

「るさいわね!どうせ私はぼっちですよ!!」

『コミュニケーションを取ればいいのに。フィストくんやスターちゃんに甘えちゃだめだぞ?』

「……分かってるわよ」

 

とはいえ、御使相手に話をするのも億劫なのよね……。

自分のこの気質が何より面倒だ。

 

「あら、随分とやつれた顔をしてるじゃない、《焔塵卿》」

「……《ラプラス》か」

 

ロビーで疲れを癒していると、《ラプラス》がやって来た。

コイツ隣町の担当だけど、ロビーでなら普通に会えるんだよね……。

 

「疲れてるから覚えのない八つ当たりをされる余裕はないんだけど」

「チームを組まない?」

「は?あんたと、私が?」

「《シャドウフィスト》と《スターアライズ》もね。今あなた達にはサポーターが足りてないでしょ?」

「わざわざ隣町の私達と組む必要性は?」

「……私の予知をうまく使えてるの、今のところギガブロと貴方達だけなのよ」

「……そういうことね。まあ別に良いけど、他の2人がなんていうかは知らないわよ」

「根回しは済んでる」

「手が早いことで」

 

《ラプラス》。

本名は弓場 秤。

どうやら過去の私と因縁があるようだが、私は全く覚えていない。

申し訳なさが無くはないが、ぶっちゃけコイツが原因説もあるのでまだ何とも言えない。

チームに加わってくれるなら、嬉しいことこの上ない能力ではあるが。

 

「お、話は済んだか?」

「そのようですね」

 

話が終わると、フィストとスターがやって来た。

残りは私だけってね。

 

「フィスト、この手の話を受けたなら連絡ちょうだいよ。スターも」

「悪い悪い。ただまあ、《焔塵卿》が断るならダメって言ったんだよ。だから言わなくてもいいかなって」

「なんでそこ私に全部委ねるのよ」

「なんでってそりゃ、コミュニケーションは絶望的にモノグサだけど、判断力は信じてるからだけど」

「……なんでこいつ面と向かってそういうコト言えんの?」

「さぁ?」

 

まあ、合否は合だ。

是非もない。

ぶっちゃけ私に対してだけ当たりが強いだけで社交性もある。

私に対する態度が悪いだけだ。

まあ多分過去の私が悪いんだろう。

シランケド。

 

「これからよろしく、《ラプラス》」

「できれば思い出してほしいものね」

「それができれば苦労はしないわよ」

 

まあ別に私がそれで何か思うことはない。

そういう人間が一人くらいいてもいいだろう。

それよりも、あそこで確実に狩りをするなら、あともう1人、出来ればタンクが欲しいな。

尤も、朱緋町近辺に腕の立つ奴がもういないから、望み薄ではあるけれど。

 

『ふむ。であればボクに案がある』

 

ほう?

聞かせてもらおうじゃないか。

 

『戦闘力が乏しい、生産などの技能に特化している御使向けの、サポート前衛ユニットを貸し出そう。前衛として十二分の働きをするはずだ。カスタム性もあるよ』

 

マジ?

 

『もしくはボクが趣味で作っている人型合体ロボット、《英雄機神:ウルティマ・アルスガリオン》を貸し出そう。個神的にはこっちがおすすめ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ごめん、なんて?




・御使の人数
実は御使の総数自体は結構いる。だいたい10万人くらい。
でもAランクに挑めるのが上位5%くらい。
だいたい5000人。
これだけの数が魔獣狩りに勤しんでも大本のHPは減らない。
ぶっちゃけ大人の組織が加わっても焼け石に水、糠に釘、暖簾に腕押し。


・《英雄機神:ウルティマ・アルスガリオン》
アローズが完全に趣味丸出しで、プライベートな時間にチマチマと創り上げている超合体ロボット、ぶっちゃけオーパーツ。
飛べる!踊れる!戦える!最強無敵強靭ロボット!!
何がヤバいって主人公たちの戦いに前衛として駆り出せる性能をしているとアローズが判断しているくせにまだ未完成。
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