深夜の魔法少女アニメを履修してるタイプのマスコット(超善良)が来た   作:蓋然性生存戦略

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誤チェストにごわす


第十六話:薩摩ホ〇ワーツ

《ラプラス》とチームを組み、幾日か経った頃。

《英雄機神:ウルティマ・アルスガリオン》とかいうトンチキロボットは丁重にお断りして、普通に前衛ユニットをカスタムして育てていたところ。

私はアローズに呼び出されて、専用の空間に来ている。

なんかすごい生活感がある。

炬燵出てるし、swi〇ch2、Pl〇yStation5、パソコンが揃ってるし。

あと多分地球には存在しないコンシューマが並んでいる。

生粋のゲーマーじゃん……。

 

「ちょっと待ってね、そろそろ本体が来るはず」

「分霊じゃダメなの?」

「分霊だと扱えるアイテムのグレードが低いから、検査に支障が出るんだよねえ……」

 

さて、私がここに来たのはそう、魔力を認識して扱えるようになってしまったので、検査のために来ている。

本来、魔力を認識して扱えるだけの能力を、現代人は持っていないはずなのだ。

素質があるのは分かってても、道具に頼らないと扱えないのだそうだ。

でも私は直接扱える。

それはとてもイレギュラーなことで、身体に影響がないかを確認するのだそうだ。

 

なお、本体でなければだめだそうなので、スケジュール調整のために発覚から少し時間が経ったのだが。

 

「遅いな、本体……『へーい?起きてる?寝落ちしてない?』」

「……寝てるの?」

「ソンナハズハ……」

『起きてるよー。悪いけど1号、予定の部屋まで案内してくれない?今手が離せなくて』

「先に済ませとけよ」

『今日のことと無関係じゃなくてね。いやまあ先に済ませとけってのはそうなんだけど』

 

同じ声同士の会話、頭が狂いそうだ。

まあでもなんか、本体の方はちょっと老成してそう……?

 

「仕方ない、ついてきて」

 

アローズ(分霊)に案内されて、空間を進む。

 

「あ、間違っても勝手に歩かないでね。安全は保障しかねる」

「ちょっと?」

「セキュリティの関係で許可のない場所に入るとペナルティがあってね。本体の権限じゃないと弄れないから、ごめんね」

 

こわ。

間違っても迷えないじゃん。

既に入り組んでて迷いそうなんですけど?

 

そんなこんなで案内されて1分。

目的の部屋に辿り着いた。

 

そこには、やはりアカデミックドレスに身を包ん……でいない。

普通に寝間着姿のアローズがいた。

ルーズサイドテールで儚さを出しているが、全く儚くない。

元気すぎる。

 

「そんなことないだろ!

 どう見たって儚いだろ!

 明日にはもう会えなそうだろ!

 病室に見舞いに行ってももぬけの殻だろ!

 もうお前は!会えないだろ!!」

 

即ミームで返してくるじゃん。

しかも結構新しめの……。

 

「緊張はほぐれたでしょ?ボクがアローズ(Arose)の本体だ、よろしくね」

「よろしく」

「で、今日の検査なんだけど、先に言っておくことがあります。心して聞いてね」

「はい」

「ぶっちゃけキミ、おかしいです」

 

ぶっちゃけられちゃった。

そっか、おかしいのか……。

 

「というのもね、魔力の質が良すぎるんだよね」

「というと?」

「他の御使が普通に薪を燃やしてる中、キミだけ木炭燃やして戦ってる。キミの魔力総量自体は平均的かそれ以下だ。なのに長時間戦えるのはおかしいと思って調査はしてたんだよね。で、そもそもキミの魔力の質が良くて燃費がすこぶる良いことが分かった」

「良いこと、ですよね?」

「そう、基本的には良いことだ。良いことではあるが、問題はキミが現代人であることだ」

 

現代人であるということが何かデメリットになるのか?

 

「以前分霊のボクが説明したと思うけど、原則現代人に魔力を直接扱う術はない。それは進化に伴う対価の結果だからだ。人間という種の設計図レベルでその能力が無いと言える。でもキミは魔力を直接操って見せた。それが意味するところは、大まかに分けて二つ」

 

違った。

ピン、と二つ指を立てられる。

 

「昔の人類種の設計図で生まれてしまった先祖返りか。そ(・)も(・)そ(・)も(・)、(・)人(・)間(・)で(・)は(・)な(・)い(・)か(・)。まずはそこを調べる。だから準備に手間取ったんだよねぇ……《神話武装(ミシックウェポン):狼ノ楔(グレイプニル)》」

 

――ジャラララ!!

 

私は一瞬のうちに鎖で雁字搦めにされ、身動きが取れなくなった。

……WTF!?

 

「ちょっと本体!?」

「念のための拘束だ。もし違えばボクが謝罪すれば良いだけの話だね」

 

えぇ……?

 

「というわけでフルスキャン開始~~」

 

うぉ、まぶし!

全方位から緑の光を浴びている。

SF映画でありがちなスキャン方法だ……。

 

「チェンジリングは弾けた。肉体改造型の寄生も弾けたか。となると先祖返りか?まるで神代の肉体だ。ただ、全身に外部からの干渉痕は残ってるな、何かしらの影響下にはあるか。痕跡の古さを考えると7年から8年ほど前か。分霊からの報告でその辺から別人のようになっているとは言われてるよな……やっぱそこか、スワンプマンの系列も探ってみるか?うーん……」

 

あの、拘束を解いてもらえませんか。

窮屈でぇ……。

 

「おっと、すまないね。敵対の意思がないことは確認できた、解放しよう」

 

鎖が解かれ、私は自由を取り戻す。

こ、怖かったぁ……。

 

「ひとまず、体に異常は見られない。このまま魔力を扱っても、正しい運用法である限りは支障は出ないだろう。安心してくれていい」

「よかった」

「無論、講習は受けてもらうけれどね。1号、カリキュラムは渡してあったよね?」

「データは受け取ってる。ただこれ分霊じゃ荷が重い項目あるよね?」

「柳ちゃんこっち側だからね、ちょっと頼むわ」

「えぇ〜……戦闘仕様の分霊派遣してくれよせめて」

「それくらいはするさ。B-44から50までは1号の権限で引っ張っていい」

「太っ腹ジャーン。りょーかい」

 

私の魔力の扱いの授業も予定が決まっているらしい。

嬉しいやら困惑するやら。

 

「ひとまずは帰ってもらって構わない。詳しい検査結果は追って知らせるけど、キミの体は現代人としてはオーパーツであることを認識していて欲しい」

「何か悪い影響というか、良く無いことが起きますか?」

「魔術的な視点で見れば、最良と言っても差し支えない状態だ。その体は魔力との親和性も高いから、魔術の行使も容易い。反面、その親和性の高さから魔術の暴発もあり得る。だから体の調子が良くも悪くも変化したら、すぐに1号に知らせること。いいね?」

「わかりました。そのためのカリキュラムでもあるんですね?」

「その通りだ。物わかりが良くて助かるよ。早急に魔力の扱いをマスターした方が、お互いにとってもいい結果になる。励んでもらえると嬉しいね」

「精一杯頑張らせてもらいます」

「うん、頑張ってね。1号、帰りの案内も頼むよ。ボクはこれからデータの解析だ」

「はいはい、分霊使いが荒いぜまったく」

 

私はアローズ(分霊)にまた案内されて、この空間を出る。

出れば入り口はもう見えない。

一時的な通行許可なので、また許可が降りないと入れないそうだ。

まあ多分デバッグルームか何かなのだろう。

 

「で、早速なんだけど変身してもらえる?」

「その心は」

「生身で練習したら危ないでしょ」

「それもそっか」

 

時刻はまだ17時。

魔力の練習をしようということだろう。

私は変身して、ロビーへ入り、練習場へと入場した。

 

「皆まで言わずともだね」

「そりゃね」

「じゃあ、まずは魔力を斬〇刀に込めるところから始めようか」

「斬〇刀言うなし。ていうか、込めるとどうなるの?」

「実質武〇色の覇気みたいになる。強靭になるし鋭利になるし実体がなくても斬れる。あと火炎斬りよりは燃費がいい」

「The基礎技みたいなやつなんだ」

「そそ。一旦これができれば応用も利くから頑張ってみて」

 

愛刀に魔力を込めようと頑張ってみる。

魔力自体は認識できている。

魔力を移動させ、て……うわ、なんか反発する!

何が違う?

うーん?馴染ませるイメージでやってみるか?

あ、うまくいきそう。

でも時間かかるな。

 

「ねえ、ほんとに初めて?」

「初めてだけど?」

「なんで初手成功するかな。一週間くらい見込んでたんだけど」

「そんな言われても……」

 

どうやら私は天才らしい。

ふふん。

 

「まあいいや。とりあえず用意しました、カ〇チン鋼試し切りしてね」

「宇宙一硬い金属さん!?ゼットソードみたいにへし折れるのは嫌なんだけど!?人の愛刀なんだと思ってる!?」

「えー?じゃあ水星の大蜘蛛の外皮にでもする?」

「もっとダメだろそれは」

 

試し切りに用意するものがおかしいだろアローズ。

もうちょっとこう、なんか段階を踏めよ。

 

「仕方ない、いったんタングステン合金にしておくか」

「戦車装甲に使われる金属じゃなかったっけ?」

「今更変身して戦車くらい真っ二つにできなきゃ恥でしょ」

「価値観」

 

まあ、戦車を一刀両断は憧れるところだけど。

とりあえず用意された金属の板を前に、大上段で構える。

ふぅーーーー…………。

 

「チェストォ!!」

 

――斬!!

 

裂帛の気合と共に放つ一太刀。

手応えは十分。

果たして結果は。

 

「ビューティフォー……おめでとう、柳ちゃん。キミは斬鉄剣の使い手になった」

 

縦に真っ二つになったタングステン合金板が、左右に分かれて倒れていた。

ふ、やればできるじゃん。

 

「……気のせいじゃなければ間合い伸びてなかったかな今……気のせいだよね?気のせいだと思いたい」

「何か言った?」

「なんも」

 

まだまだ高みに至れる気がする。

これを自分の体にやったらどうなるんだろう。

 

「アローズ、今の自分の体で試していい?」

「えっ」

「身体強化、できるよね???」

「できるけど……生身では絶対やらないでね?変身してる時だけにしてね?約束だよ?」

「わかった!」

 

愛刀よりもすぐに魔力が充填されていく。

力が、みなぎる!!

 

「チェストぉ!!」

 

手刀を振り下ろす。

新たに用意されていたタングステン合金板が、また真っ二つになった。

……はえ?

 

「「えぇ……(困惑)」」

 

マジ?

変身してるとはいえ、私素手でタングステン破壊できるの?

私はアローズと顔を見合わせ、そして頷いた。

 

「誤チェストにごわす」

「斬る前に名を聞くのは女々か?」

「名案にごつ」

 

一旦ふざけてから……。

 

「「身体強化はいったん封印しよう」」

 

私たちはいったん身体強化を封印することにした。

この力は危険すぎる。




・魔力
神秘的万能エネルギー。
魔力さえあれば大抵の奇跡は再現できる。
柳のそれは超高品質の燃料なのでキャンプファイヤーするのに石炭どころかガソリンぶち込んでるレベル。
よく燃える。
まあ柳はぶっちゃけ■■■■の◆◆◆がスワンプマンした存在なので、燃える、燃やすことに関しては突出してレベルが高い。
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