深夜の魔法少女アニメを履修してるタイプのマスコット(超善良)が来た 作:蓋然性生存戦略
神域にて。
数多の分霊従えるアローズの本体。
彼女はとある事実に辿り着き、大いに溜息を吐いた。
特大の厄介ごとである。
それは、先日行った、柳の検査結果。
それが示す事実に、彼女は頭を悩ませるほかなかった。
アカシックレコードに接続しての確認も怠っていない。
それは純然たる事実であり、とある幼子の命を懸けた献身を意味しており。
《Code:1999/7》に存在しなくてはならないファクターが存在しない理由であった。
「とんでもない大天才だったんだな。英雄の時代に産まれても遜色ない器だ。人知れず産まれ、そして散って行ったのが悔やまれるよ。くっそ、柳ちゃんみたいなのが他にもいるって考えると頭が痛くなってくる……道理で人に化けてまで襲おうとするわけだ。奴も自分を取り戻すために必死ってわけだ。ああ、クソ!こんなこと誰が予想できるかよ!!」
アローズは考える。
今を生きる『山本 柳』という少女が、何を内包した存在なのか。
否、答えは明白である。
あれほどの適性だ、どう考えても答えは出ている。
「それは、数多ある災厄の中でも、特異な存在。
未だ踏み込むことすらままならぬ大空ではなく。
未だ脈動を征すること敵わぬ大地ではなく。
未だその全容を知ることのない大海でもない。
それは、人智と共に歩みながら、しかして人智を脅かすモノ。
大空と大地と大海に密接に関わりながら、独自の分類として確立したモノ。
人はそれを、
とか言ってる場合じゃないよクソがよ!!」
唯一人為的に起こすことができる奇跡であり、そして災厄。
しかし自然に発生することすらある。
人々が
《■■》の概念を身に宿す少女こそ、山本 柳という存在なのだった。
「少なくともあとアレとアレとアレがあるってことだよなあ、コレ!!全部引っ張ってこられたらやべーぞ畜生!!パーフェクトゲームが一気に難しくなった!!」
アローズは頭を抱えた。
ぶっちゃけどれもヤバイ。
神話スケールの戦いになる。
ものによってはメテオストライクが含まれる。
それを単身封じ込めた幼子は間違いなくMVPだが、恐らく自然災害全てを内包することはできなかったのだろう。
《■■》だけを確保し、他は四散させて機能不全に陥らせた。
そう見るのが妥当だろう。
では、他のはどこに定着したのか?
それを探る仕事が増えた。
とはいえ、ひとつは見当がついている。
未来、星辰、転じて空。
現代人にしてはあり得ないスペックを鑑みるに、十中八九彼女だろうと確信を持てる。
問題は大カテゴリの残り二つである。
どこにいるか全くわかったものではない。
「まずは柳ちゃんの昔の人間関係を洗ってくか……」
この事実が知らされることはない。
知ったところで意味が無い。
今を少女として生きる彼女に、無為な悩みを抱く必要はない。
ちょっと個性的な体質の、普通の少女である。
この事実は、天地がひっくり返っても覆ることはない。
故にアローズは黙する。
柳が滅びの力を宿すことを容認する。
でなければ、真っ先に裁かれるべきはアローズなのだから。
「ふん、やってやらぁ。なにがアルマゲドンだ。事前に食い止められてる時点で、
任務を遂行する、その過程で子供たちも守り、文明も守る。
全部やらなきゃならないのが、彼女の辛い所だ。
だが問題はない。
全てはあり得ざる理想であるが故に。
「《
あり得ないと言われれば言われるほど、アローズは現実にしてしまうのだから。
「其は神話の根幹。人智を集結して尚、未だ抗い切れぬモノ。故に人は恐怖する」