深夜の魔法少女アニメを履修してるタイプのマスコット(超善良)が来た 作:蓋然性生存戦略
そう言えばだが。
《Code:1999/7・TheWar》を倒した時点で、夏休みに突入している。
なんだかんだと時間が経つのは早い。
で、だ。
今私の前には、アメリカ大統領アルモンド=シュトルムネイガーがいる。
『Yeah!久しぶりプレジデント!!』
『久しいな、アローズ殿!』
なんか仲良さげだし。
どゆこと?
来日しているというのはニュースでやっていたが。
何故朱緋町に?
あと英語分からないから通訳してくれ。
『おっと。バブイルシステム起動っと。改めて、自己紹介を』
「うむ、そう言えば通訳を通していなかったな。私はアルモンド=シュトルムネイガー。アメリカ大統領である」
高齢であることを微塵も意に介させない、威風堂々たる佇まい。
筋肉とかムキムキである。
「いや、知っていますが……私は山本 柳。普通に中学生です……で、なぜここに?」
「当然の疑問だな。端的に言えば、アローズ殿に呼ばれたからだ」
『うむ。呼びました。そのための諸々のフォローはしているよ』
「大統領呼び出しとか何言ってんだコイツ」
『いや、違うんよ。元々は大統領たっての願いでね』
「うむ!日本のヒーローたちがどう言った戦いをしているのかを見てみたいと思っている!」
『と言うわけで、スケジュール調整とか諸々やって、来れたのが今』
そんな興味本位で来ちゃったのか。
いやまあ、世界情勢とかに関わらなければ別にいいんですが。
護衛とかどうしたんだ大統領。
『まあボクとしても渡りに船でね。プレジデントは叩き上げの軍出身だし、下の方で燻ってる御使の子達を軽く鍛えてくれないかと思ってね』
軍隊式の訓練にガキがついてこれるとでも……?
「なに、ハー◯マン軍曹のようなやり方はしない。私は戦い方と工夫を教えるだけだ。生憎と私も地味な能力だったからな、創意工夫が必要だった」
『大統領の能力は、軍の携行装備を無制限に取り出して使用できるってだけだ。それでも御使相応の火力はあるけれど、柳ちゃんみたいな派手さはない』
「その通りだ。それに肉体も、標準的な肉体強化だ。つまるところ戦い方を誤れば一撃で戦闘不能になるのもおかしくはない」
「だからこそ、適任ってわけね」
なるほどねえ。
確かに、その手のノウハウはまだ蓄積されてない。
これが必要な生産支援系の御使は、まだまだ前線に出てこれるもんじゃない。
結局、《魔獣》を倒すのが1番成長するのだから。
『なかなか信頼できる人材で教えられる人がいなくてねえ……』
「私としても、日本の善意の若者を見てみたかった」
『これぞ利害の一致!』
「『ワハハハハ』」
で、なんで我が家に来たんですか?
「まあなに、顔合わせだ。アローズ殿曰く、君が御使の代表らしいじゃないか」
「そうなの?」
『ぶっちゃけキミ以外にないね。平均スコアランキングはずっとキミが1位だし』
まじかよ。
もう気にしてなかったから知らないけど。
『ついでに討伐数ランキング、ランク別討伐数ランキングもキミが1位だ』
「嘘でしょ?」
『マジだね』
知らなかった……。
『御使相手なら結構顔が利くでしょ?大統領の説明もキミならうまくいくと踏んでのことさ』
「もしかして期待されてる?」
「うむ」
「まあ、努力はさせてもらいますが……」
マジか。
まぁじぃかぁ……!
「と言うわけで、先ほどアナウンスした通り、アメリカ大統領アルモンド=シュトルムネイガーさんです。夏休みの間、戦い方の工夫などを教えてくれます。皆さん拍手を」
突然の大統領。
それでも人が集まり、拍手が集まる。
「紹介に預かった、アルモンド=シュトルムネイガーだ。気楽にアルモンド、もしくはヒーロー名の《ターミナル・コマンダー》から取ってコマンダーでもいい。よろしく頼む。何か質問はあるかね」
御使名、どう考えてもター◯ネイターとコ◯ンドーなんだけど。
ミームが混ざる……!!
「なんで大統領がここに?!」
「いつから……」
「能力って聞いてもいいですか?!」
「今までの討伐歴を教えていただいても?!」
「ばっかランキング載ってるから調べられるだろ!!」
「ソロ討伐ランキング1位だぞ!!」
大混乱って感じ。
「順番に答えよう。
ひとつ。アローズ殿に頼んで君たちと交流したかったから。
ふたつ。割と初期から。
みっつ。軍の正規採用品とされている、御使仕様の携行装備を無制限に扱える能力だ。
よっつ。討伐歴はまあ……すまない、覚えてないが、二度同じ敵に負けたことはない」
大統領がいい人でよかった。
孫でもみている目だけど。
「軍の携行装備無制限か。地味なように見えて結構強力だな」
「御使の謎パワーで強化されているから尚更」
「他に特殊な能力を持たないから本人が強くないと発揮しないタイプだけど」
「口ぶりからして一回は負けたことがある《魔獣》がいる?」
「その後リベンジは完了してるぽいぞ」
「強いぞ大統領!本人の性能が!!」
「上位層も勉強になるかもしれん。マンパワーに頼っているところは少なくないし」
「それはそう」
「「「「「よろしくお願いします、コマンダー先生!!!!!」」」」」
「元気だな」
『自慢の御使たちですから』
上位と下位では武装や動き方が違う。
だが考え方は通用するはずだ。
上位の動きはかなりゲーム的なところも多い。
ゲーム的な能力を持っている御使は特に顕著だ。
無駄が多い部分もなくはないので是正できるならしたい。
私も勉強していくか?
技量はともかく、立ち回りに関しては甘い自覚はある。
オープンワールドのほうで演習をするっぽいので参加してみよう。
結論から言えば、実りはあった。
ただ、ただしだ。
大統領、あまりにもガチ過ぎる。
下位の御使でも戦える方法ではあった。
集団戦の簡易的な極意とも呼べるものだった。
上位の御使も勉強になる部分は大いにあった。
今までのポジションがまだまだ詰めが甘いことを指摘された。
ただ、大統領……あなたの神懸かった指揮を青少年にやれっていうのは酷が過ぎます。
「日本の少年少女たちよ、これからも精進するといい!」
なんで3秒後の予兆なしの攻撃を読んで対策の指示を出してるんだよ!おかしいだろ!!
「どうだった、プレジデント?」
「やればできる。優秀な子たちだった。自分の能力の活かし方が解っていなかっただけだな。あれで目に火が灯るのならば、まだまだ伸びるだろう」
「よかったよかった。そこで腐るのならどうしようかと」
「そんな人材はスカウトしていないだろう?」
「まあね」
そこは、大統領専用のプライベートルーム。
アローズが用意した、待機部屋。
そこで、アローズと大統領は酒とつまみを楽しみながら、話していた。
「助かったよ。ボクとしても、燻っている子を見るのはつらくてね」
「なに、時折防諜に手を貸してもらっている礼だ。日本とも、貴女とも、良き隣人でありたい。個人としても、大統領としてもね」
「ボクも、神として、人として、良き隣人でありたいものだ」
「しかし、貴女はこのデバイスをアメリカにも波及させるものと思っていたが」
「そーしたいのはやまやまなんだけどねえ……アメリカの人口を考えると、サポート分霊の数が今のままじゃ足りない。要するにボクの準備不足ってわけさ……」
「神にも限界はある、か?」
「全知全能の神なんていないよぅ。誰だってリソースに苦しめられるのさ」
「世知辛いな」
「ねー」
システムのアメリカ進出。
アローズとて、考えていないわけではない。
今まで通り人材を厳選し、サポートの分霊をつければ、問題がないと思っている。
ただ、その分霊の数が追い付かない。
サポート用の分霊は、アローズが用意している中で最も安価で生産性のある分霊だが、それでも限度というものがある。
なにせ、この案件に割り振られている予算というものがある。
システムの運用費、本来の活動費、分霊の増産費、それらを加味すると、生み出せる量にも限界はあるというものだ。
あと、文化的な衝突が起きないように、最初はサーバー(便宜上サーバーと呼ぶ)を分けなければならない。
徐々に交流サーバーなどを作って交流ができればいいとは思っているが。
ランニングコストはともかく、イニシャルコストがバカにならない。
今のところ絵に描いた餅、絵空事である。
何とかできないかと言われれば、できるが。
コストの踏み倒しという点においてアローズは無敵である。
苦労はするのである。
「アメリカのヒーロー市場はデカいから、期待は大きいんだけどねえ……」
「日米、ほかに進出しようと思っている国はあるのか?」
「今のところないね。お国柄とかも考えると日米以外足を延ばせないかな」
「そうか。どれほどで進出に取り掛かれるかは聞いても良いかな」
「三ヵ月は欲しいねえ……ヴァルプルギスフェスティバルもあるし、どんなに頑張っても早くてひと月半さ」
「思ったよりも早いな。それまでに準備を進めておこう」
「およ?お政治な話?」
「ああ。国家元首として、利用しない手はあるまい」
「程々にね」
「わかっているさ。ただ、日本のほうはいいのか?」
「別にぃ?未だに会議でダンスダンスしてるやつらなんかしーらない」
なお、アローズは日本首相よりもアメリカ大統領のほうが好感度が高い。
腰の重い日本官邸は、あまり好きではないのだ!!
同じ民主主義、資本主義なのにどうして……。
なお、アローズがそもそもお政治な話が好きではない。
アルモンドくらいあけすけにしてくれて、堂々と「利用するぞ?」と確認してくれたほうが嬉しい。
これぞ、ジャパニーズハラワリコミュニケーション。
狸のようなお政治仕草はお呼びではない。
覚悟見せろや覚悟、アルモンドはビビらず一人で要求を突き通したぞ。
テメエの
「ハハ、随分と嫌われたな、日本政府は。私も一歩間違えればそちら側だったのが笑えんが」
「わろてますがな」
「笑うしかないさ。笑えなくともな」
「へへ、まあね」
アローズも笑う。
お互いwin-winの関係を築けている。
互いの善性を天秤にかけて。
「ま、三ヵ月以内にアメリカ進出も済ませておくよ!その時は連絡しておくね」
「子供たちの最終的な統率は私も協力しよう。私の言葉が響く場合もあろう」
「護衛分霊増やしておこうか?死なれちゃ困るし?」
「できれば頼むよ。まだ死ねない」
「クックック、贅沢だねえ!」
「アローズ殿ほどじゃないさ」
「「ハッハッハ!!」」
一応言っておく。
こいつらに悪意はない。
お互い、自分の国が大事だし、地球の未来が大事である。
そのために暗躍しているだけに過ぎない。
その結果として、アメリカと日本の二強になるだけである。
世界の列強よ、どんまい。
・アルモンド=シュトルムネイガー/《ターミナル・コマンダー》
作中アメリカ大統領、筋肉ムキムキの60歳。
元ネタはもちろんシュワちゃん。
《魔獣》ソロ討伐数ランキング1位、平均リザルトランキング14位、《魔獣》討伐数ランキング20位。
割と初期のほうにアローズとタイマン会話で”ケツイ”見せたので気に入られたおじいちゃん。
現状唯一のアメリカ人御使として活躍中。
御使としての能力は《ワンマンアーミー》。
御使仕様となった軍正規品携行装備を無制限に出現させ、使用することができる。
コイツの恐ろしいところは出現数に制限がなく、遠隔で消すことができ、なおかつ他人も扱えるところである。
携行装備に限られるとは言え、その範囲は無反動砲なども含まれるため、火力の幅は結構広い。
C4だって出せちゃう。
ついでに本人が高い戦闘技能と指揮能力を持っているため、強力な武装を持たない御使を率いると馬鹿みたいに強くなる。
具体的に言うと、情報さえあれば犠牲を出しながらもSランクレイドを討伐できる。は?
ただ、上位の御使とは相性が悪い。
文字通り一騎当千なので従来の運用をする方が弱いためである。